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Yamareco

針ノ木岳(はりのきだけ)

都道府県 富山県 長野県
最終更新:ヤマレコ/YamaReco

大雪渓と古道の峠が楽しめる北アルプスの二百名山

"針ノ木岳"
"針ノ木岳"

針ノ木岳は、富山県と長野県にまたがる標高2821mの山です。

"針ノ木雪渓"
"針ノ木雪渓"

日本三大雪渓のひとつ針ノ木雪渓を抱き、夏でも雪上歩きができるところや、山頂から望む北アルプスの大パノラマが魅力です。
日本百名山の選考に惜しくも漏れたエピソードを持ちますが、日本二百名山および新・花の百名山に名を連ねています。

"富士ノ折立付近より望む針ノ木岳とスバリ岳や黒部湖"
"富士ノ折立付近より望む針ノ木岳とスバリ岳や黒部湖"

山頂部は山らしい端正な三角形をしており、立山連峰や黒部湖あたりからその特徴的な山容が良く見えます。
一方で麓からはあまり仰げず、長野県大町市から蓮華岳の背後にわずかに見える程度です。

"ミヤマハンノキ"
"ミヤマハンノキ"

山名の由来は諸説ありますが、そのひとつは山頂の東に位置する針ノ木峠にちなんでおり、大正時代から呼ばれるようになったそうです。
また「針ノ木」という名は、周辺に多く分布するミヤマハンノキの「ハンノキ」が転訛したと伝えられています。

日本三大雪渓「針ノ木雪渓」

"針ノ木雪渓"
"針ノ木雪渓"

針ノ木雪渓は針ノ木峠直下に広がる大雪渓で、白馬大雪渓、および剱沢雪渓と並び日本三大雪渓に数えられます。夏でも雪が残り、涼やかな空気を感じながら登ることができます。
一方で、雪の状況を見極めることが重要で、状況によってはアイゼンピッケルを使用することもあります。また雪が少な過ぎる場合は踏み抜きなどの危険が高まります。雪解けの進み具合によっては、雪渓と並行する夏道を歩くことになります。

"針ノ木岳山頂:バックカントリースキーヤー"
"針ノ木岳山頂:バックカントリースキーヤー"

春はバックカントリースキーもよく行われています。

山頂からは北アルプスの大パノラマ

"針ノ木岳山頂"
"針ノ木岳山頂"

針ノ木岳の山頂は、北アルプスの雄峰を一望できる絶好の展望地です。
三等三角点が設置されており、点名の「野口」は麓の大町市の集落名にちなんでいます。

"針ノ木岳山頂より立山(中央)と剱岳(右)を望む"
"針ノ木岳山頂より立山(中央)と剱岳(右)を望む"

隣にそびえる蓮華岳をはじめ、爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳へと連なる後立山連峰の名峰群、さらに裏銀座縦走コースの山々が広がります。また黒部川を見下ろし、その向こうには立山剱岳などの威容を拝むことができます。

越中と信濃を繋いだ針ノ木峠

"針ノ木峠"
"針ノ木峠"

針ノ木峠は針ノ木岳と、隣接する蓮華岳との鞍部に位置しています。
高所にありながら、古くは越中(富山県)と信濃(長野県)を結ぶ交通路の経由地でした。古道は「さらさら越え」とも呼ばれ、塩の道のひとつとして越中側からは塩や海産物が、信濃側からは米や味噌が運ばれていたようです。

"さらさら越えの経由地のひとつ・ザラ峠"
"さらさら越えの経由地のひとつ・ザラ峠"

豪雪地帯ゆえ冬のさらさら越えは極めて困難ですが、1584年に戦国武将・佐々成政(さっさ なりまさ:生年諸説あり-没1588年)が厳冬期に密かに北アルプスを横断した際、複数ある推定ルートの一つとされています。

また明治時代には牛馬が通れるほどの広さに整備され、1880年に立山新道(ほかに信越連帯新道など複数の呼称あり)として有料道路が開通しました。しかし、冬期の閉鎖期間が長く収益が上がらなかったため、わずか2年で営業を終えることとなりました。

"針ノ木小屋"
"針ノ木小屋"

現在の針ノ木峠には針ノ木小屋が建っており、往来するのは登山者のみです。

針ノ木小屋の創業者・百瀬慎太郎

"大沢小屋"
"大沢小屋"

針ノ木岳を語るうえで欠かせない人物が百瀬慎太郎(ももせしんたろう:1892-1949年)です。
彼は登山案内人として活躍し、大沢小屋針ノ木小屋を開設して登山道の整備にも尽力しました。

"大沢小屋:百瀬慎太郎のレリーフと祠"
"大沢小屋:百瀬慎太郎のレリーフと祠"

その功績は北アルプス南部の近代登山の発展に大きく寄与したとされ、大沢小屋には彼のレリーフが設けられています。
また歌人としての一面もあり、レリーフに刻まれた「山を想えば人恋し、人を想えば山恋し」の詩は多くの登山愛好家に親しまれています。

"針ノ木岳慎太郎祭:記念登山の前に御祈祷を受ける登山者"
"針ノ木岳慎太郎祭:記念登山の前に御祈祷を受ける登山者"

さらに毎年6月は、開山祭として針ノ木岳慎太郎祭が行われています。

定番ルートは針ノ木岳と蓮華岳の2座登頂

"登山ルート概要(扇沢〜針ノ木岳〜蓮華岳)"
"登山ルート概要(扇沢〜針ノ木岳〜蓮華岳)"

針ノ木岳登山のメインルートは、山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」の出発点・扇沢からスタートします。

"沢を渡る登山者"
"沢を渡る登山者"

序盤は谷筋を巻くように登山道が続き、いくつか支沢を横切りながら高度を上げていきます。

"針ノ木雪渓"
"針ノ木雪渓"

大沢小屋を過ぎると道は谷底に入り、やがて針ノ木雪渓を迎えます。雪渓は場所によって急斜面となり、登り切るために体力が求められます。

"針ノ木峠と針ノ木岳山頂部、スバリ岳山頂部"
"針ノ木峠と針ノ木岳山頂部、スバリ岳山頂部"

雪渓を登り切ると針ノ木峠に到達します。
ここから山頂へは高山植物の咲き誇る稜線歩きとなります。

"ライチョウの親子"
"ライチョウの親子"

運が良ければライチョウに出会えることもあります。

"スバリ岳山頂付近から望む蓮華岳"
"スバリ岳山頂付近から望む蓮華岳"

多くの登山者は針ノ木小屋に宿泊し、翌日に隣の蓮華岳にも足を延ばして、2座を合わせて楽しみます。

"コマクサのお花畑"
"コマクサのお花畑"

蓮華岳へと続く稜線には、可憐なコマクサが群生するお花畑が広がっています。

人気の周回ルート「針ノ木サーキット」

"登山ルート概要(針ノ木サーキット)"
"登山ルート概要(針ノ木サーキット)"

登山上級者には「針ノ木サーキット」と呼ばれる周回ルートも好まれています。

"針ノ木岳山頂より、スバリ岳から岩小屋沢岳へ続く稜線と爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳などを望む"
"針ノ木岳山頂より、スバリ岳から岩小屋沢岳へ続く稜線と爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳などを望む"

扇沢を起点に針ノ木岳へ登り、その先はスバリ岳赤沢岳鳴沢岳岩小屋沢岳といったピーク越える稜線歩きを満喫します。

"柏原新道"
"柏原新道"

下山は、種池山荘から柏原新道を通って扇沢へ戻ります。

"新越山荘と岩小屋沢岳"
"新越山荘と岩小屋沢岳"

宿泊地は、大沢小屋針ノ木小屋新越山荘種池山荘があり、行動ペースに合わせて選ぶことができます。

針ノ木岳の難易度(信州 山のグレーディング)

88. 針ノ木岳(扇沢) 難易度B ★★☆☆☆(2)
登山口 針ノ木登山口(扇沢)
周辺の山小屋 針ノ木小屋
大沢小屋
新越山荘
種池山荘
基本情報
標高 2821m
場所 北緯36度32分17秒, 東経137度41分03秒
カシミール3D
山頂
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

針ノ木岳(はりのきだけ)は、富山県中新川郡立山町と長野県大町市にまたがる標高2,821 mの山。中部山岳国立公園内にあり、後立山連峰に属する。
大糸線信濃大町駅の西北西10.4 kmに位置し、針ノ木峠を挟んで蓮華岳と対峙している。大町側からは、大きな山容の蓮華岳が手前にあるため、針ノ木岳の方がやや標高が高いにもかかわらず、はっきりと見ることができない。ピラミッド型の端正な山容で、日本二百名山及び新・花の百名山に選定されている。東西の主稜線は同じような勾配であり、白馬岳のような後立山連峰の特長である非対称山稜は見られない。高瀬川の支流である篭川の上流部に日本三大雪渓の一つ、針ノ木大雪渓がある。針ノ木岳の源流部の厩窪(マヤクボ)沢にはカール地形がみられる。山体は濃飛流紋岩型の溶結凝灰岩からなる。

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