道後山は広島県と鳥取県の境に位置する山で、標高は1271mです。

日本三百名山に選ばれており、山頂部はなだらかな草地が広がります。開放的な風景と、登山初心者でも挑戦しやすい手軽さが多くのハイカーを呼び込んでいます。

どこまでも続く草原が魅力

西隣の岩樋山（いわひやま）から道後山にかけては、東西にのびる穏やかな台地が続きます。視界を遮るものがなく、初夏は緑の草が風にそよぎ、冬には一面の雪景色が広がります。その雄大な眺めは、まさに圧巻です。

中国地方唯一の日本百名山である大山や、比婆山系の山々を十分に見晴らします。

明治時代から昭和の中頃までは、牛の放牧地でした。広島、鳥取の両県の農家が共同で行っていたため「両国牧場」と呼ばれていました。
現在もその名残りとして、県境に築かれた石積みの柵が残されています。これは放牧された牛が越県しないように造られたもので、「万里の長城」の通称で親しまれています。

道後山の最高地点に標識などは設置されておらず、草地に登山道が静かに延びているだけです。そこから東へ進んだ標高1268mの地点には、一等三角点と山頂標識が置かれています。

花々に恵まれた「新・花の百名山」

道後山は四季折々に咲く草花も見どころで、新・花の百名山に選ばれるほどです。

高山植物の可憐な姿が見られるほか、初夏には鮮やかなヤマツツジの花が、秋は風にそよぐススキが山肌を彩ります。

山頂部の南斜面に位置する大池では、湿地特有の植物も観察することができます。

お決まりルートは月見ヶ丘から登る

道後山登山の定番ルートは西麓の月見ヶ丘から登ります。
岩樋山を経由して道後山を目指しますが、2座にはそれぞれ山頂を迂回する道があります。8の字を描くようにルートを取れば、行きと帰りで異なる道を通ることができます。

登山口の月見ヶ丘は道後山高原スキー場の上部にあり、駐車場やトイレが整備されています。

最初は森の中を登っていきます。

木々が茂る中に、東屋が佇んでいます。
そのすぐ先で道が分かれており、岩樋山を経由するかそれを巻くかを選択することができます。

岩樋山へ向かうと徐々に視界は開けてきます。岩樋山の山頂は360度の大パノラマが楽しめます。

岩樋山と道後山の鞍部で道は再び分かれます。左の道は道後山山頂に続きます。右の道は大池へ通じており、山頂を迂回します。

さらに足を延ばして、多里大山（たりだいせん、別名：持丸山）へ立ち寄る登山者も多いようです。
多里大山の山頂にはお地蔵様が安置されています。