上高地 冬(過去レコです)。

- GPS
- 32:00
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 708m
- 下り
- 696m
| 天候 | 晴れ。 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2009年02月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
上高地には何度か行ったことがあるが、冬の上高地は未だ経験していない。雪化粧した穂高はさぞかし奇麗だろうと思われるが、冬の間は上高地への入り口である釜トンネルは閉鎖され、バスもタクシーも入ることが出来ない。勿論上高地内のホテルは全て冬季営業を行っていないので泊まることは出来ない。35年以上も前の事、大学時代の友達が新婚旅行で冬に上高地へ行ったという話しを聞き、変わった奴がいるもんだと思ったことがあるが、まさか自分が行きたいと思うようになるとは夢にも考えていなかった。でもわたしが冬の間に登る山は限られており、上高地あたりは最も手頃そうなので行くことにした。08年2月7、8日の2日間を使って上高地に行く計画を立てた。中の湯温泉旅館に宿泊の手続きをするため電話すると、釜トンネル入り口まで車で送迎してくれるというので、駐車の心配は無い。この時は急用が出来、止む無く中止となったが、2週後の21、22日の両日を使って行くことにした。
前日は寒波襲来、山は雪。今日は高速道路を使わずにゆっくり行くことにする。関金山線を経て下呂から高山に向かう。宮峠は積雪あるも高山市内は無し。高山で簡単に昼食。平湯トンネルの手前から積雪あり、トンネルを抜けてからは慎重に下る。安房トンネルを越えて中の湯温泉旅館へチェックインしたのは1時過ぎ。明日、釜トンネルまで送ってくれる車を朝8時に予約し、昼食の弁当を作ってもらうように頼む。中の湯温泉旅館のかすみ棟の2階の部屋から見える霞沢岳、頂上は白いが山腹はまだら、黒い部分が目立つ。その左手に穂高連峰が眺められるが、稜線は雲の中。旅館の露天風呂に入る頃には、といっても左程時間は経っていないが、青空が広がり白く輝く穂高の峰々が姿を現す。夕食まで時間はたっぷり、部屋の窓から穂高の稜線を眺めながらブランデーをチビチビするうちに夕食となる。焼酎のボトルを頼み、お湯割り。フラフラになって部屋に戻り、バタン。
外が白み始め、時計を見ると5時半。ひと風呂浴び、7時からの朝食までまだまだ時間があると思ってのんびりし、テレビを付けると7時10分、ん? どうも1時間間違えていたようだ。8時の車の予約を8時半に変えて貰い、ゆっくりと朝食を摂る。ハードシェルを着込み、ザックにお湯の魔法瓶、弁当、それに軽アイゼンを入れる。8時半発の車に乗ったのはわたしだけだが、釜トンネルの入り口には結構大勢の人がたむろしている。団体さんもいる。ゲートに入ろうとすると若い女性がやってきてアンケートに協力してくれと云う。年齢は何歳代か?と聞くので、「50代」と答える。釜トンネルは電気が消え真っ暗闇、8時40分、ヘッドランプを点けて中に入る。釜トンネルはかって路面の凍結がひどく、冬の上高地は冬山装備の登山者だけの世界であったが、釜トンネルが新しくなってからは、冬季閉鎖中でも気軽に歩いて入る観光客が増えたようだ。軽装で上高地に入る観光客を抑制するため、非常灯と2ヶ所の待避所の照明を除いて全て消灯されている。トンネルの中はずっと上り勾配、夏は大型バスが行きかう道の真ん中を足早に歩く。100mから200m間隔で距離が表示されており、あと半部、あと500mと、あと200m、出口の明かりが見え始め、25分ほどでトンネルを抜ける。トンネルの出口でアイゼンをつける。県道上高地線は除雪され、アスファルトが露出した部分もあり、アイゼンは不要だったかな。軽いアップダウンがあり、除雪された車道は左側へ分かれ、その先の県道上高地線は雪の積もった気持ちよい道となる。トンネルから20分程、道が右にカーブすると、正面に雪を冠った穂高の峰々が現れる。右手に国土交通省松本砂防事務所への道を分け、大正池に至る。池の端に降りて、大正池と穂高連峰をバックに記念撮影。大正池ホテルの前では、皆さん同じ色の同じ形のスノウシューをつけた団体さんが休んでいる。ホテルの横から大正池の河原に下り、池面に張った氷をつつく。5cmほどの厚さでとても乗るわけにはいかない。ここでスノウシューに履き替えて河原を歩き、池の上の木道を進む。木道には70〜80cmの雪が積もり盛り上がっている。池の氷が張っていない所では、カモが2羽スイスイと泳いでいる。湧水なのだろうか、水が流れている場所では小魚が群れている。大正池を過ぎ、田代池に到着。これまた同じ色のスノウシューを履いた別の団体さんが、連なって自然研究路に向かって行くが、わたしは林の中に入る。夏は木道がついているようだが、今は深い雪の下。トレースがついているので道に迷うことは無いが、あちこち枝分かれしているのでどちらに進もうかなと、時々立ち止まって考える。折角のスノウシュー、わざわざ新雪の中を歩いて自分の足跡をつける。梓川沿いの自然研究路に出て間もなく田代橋へ。池の向こうには、赤く色づいたケショウヤナギの純林。白く聳える穂高連峰。中の瀬公園の東屋で靴の紐を締め直す。冬用の靴は固くて、紐をしっかり締める事が出来ず、歩いているうちに靴の中で足が遊び出す。梓川沿いを歩いてトンネル入り口から2時間20分、河童橋に到着。夏の人混みとは比べようもないが結構人が多く、想像していた真冬の上高地とは程遠い。空いているベンチに腰を下ろし、コンロで湯を沸かし味噌汁を作り、カキの缶詰めを開け、旅館が作ってくれたお弁当を取り出す。座っているとさすがに寒くなってくる。30分程休んで出発。橋のたもとの穂高の案内図を見ながら、もう一度穂高の峰々を仰ぎ見る。右から、明神岳、前穂高岳、吊り尾根、奥穂高岳、ロバの耳、ジャンダルム、畳岩の頭、天狗岩、間の岳、西穂高岳、独標、3000m級の山々が白い稜線を連ねている。人は多くっても、感動的な眺めである。帰りは坪足で県道上高地線を足早に歩く。大正池が終わり、振り向いて穂高連峰に別れを告げ、焼岳を眺めながら歩く。釜トンネルではヘッドライトを点けるが、雪の明るさに慣れた瞳孔はなかなか開かず、ライトの電池が無くなったのではないかと思われる程である。帰りは河童橋から1時間20分の行程であった。
トンネル入り口の売店で迎えを頼み、中の湯温泉旅館の風呂で汗を流し、ロビーでひと休み。ロビーの望遠鏡を覗いてみると、トリの餌場にテンが入り込み、餌をあさっている。始めてテンという動物を見た。雪の降りはじめた峠道を慎重に下り、上高地では天候に恵まれたことに感謝して岐路についた。



いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する