春の大崩山(ワク塚・坊主尾根)

- GPS
- 09:50
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 1,777m
- 下り
- 1,782m
コースタイム
合計距離: 12.91km
最高点の標高: 1512m
最低点の標高: 620m
累積標高(上り): 962m
累積標高(下り): 974m
| 天候 | 4/19(土)午前6時 気温15℃ 快晴 日の出 05:39頃 月の出 22:46頃 日の入 18:46頃 月の入 08:30頃 月齢 19.3 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2014年04月の天気図 |
| アクセス |
【アクセス】 大分自動車道・甘木IC出発→大分米良ICよりR10号線を南下→R326号線に入って(三重・豊後大野方面)南下→道の駅みえ→道の駅宇目→北川ダムを過ぎ、下赤簡易郵便局のある交差点を左折(大崩山・祝子川温泉方面の標識あり)。約3時間30分 大崩山へのアクセスに詳しいサイト http://www3.plala.or.jp/ookuetarou/akusesu.html 【テント泊】 「祝子川温泉・美人の湯」の駐車場にテントを立てさせて頂きました。支配人様、ありがとうございました。駐車場には水場・トイレ・街灯もあり大変快適でした。もちろん、温泉・食事とも「美人の湯」を利用させて頂きました。 祝子川温泉・美人の湯 http://www1.bbiq.jp/hourigawaonsen/ 【登山口】 登山口までは美人の湯より車で移動します。登山口に駐車場はないので路肩に停めます(10台程度は可能)。午前6時で6台ほど停まっていました。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
九州の登山者には有名な「九州最後の秘境」大崩山ですが、登山道は整備されているものの標識や赤テープは少なめと思いますので、初めての人は経験者と同行するほうが良いと思いました。 祝子川温泉・美人の湯 http://www1.bbiq.jp/hourigawaonsen/ 大崩山周辺の情報が詳しいHP http://www3.plala.or.jp/ookuetarou/index.html 大崩山の最新情報が分かるFB https://www.facebook.com/mt.ookue |
写真
感想
旧知ではあるが長いこと連絡を取り合っていなかったWさんからメールがあった。ヤマレコを見ていて、僕の投稿をみつけたというのだ。Wさんは高校時代山岳部に所属していたが、長いブランクを経て現在は地元の山を楽しんでいるとのこと。そんなやり取りから、一緒に大崩山(おおくえやま)へ行こうと言うことになった。
「九州最後の秘境」と呼ばれ山好きには知られた大崩山。行って見たいとは思っていたが、独りでは厳しそうだな、と思っていたところにWさんのお誘いだったので二つ返事で乗った。互いにメールで計画についてやり取りをする。金曜午後に登山口そばでテン泊し土曜日早朝より登山、日曜日に帰路につくというのんびりした(贅沢な)計画を立案した。
予定通り金曜にWさんと合流。大分自動車道を米良ICに向けて走る。車内では既にテンションマックスの中年男ふたり(笑)。久しぶりの再会を喜び、近況を話し、山行計画を確認し、晴れ男ぶりを自慢しあう…まぁほとんど子供の会話ですね(笑)。向かうは「祝子川温泉・美人の湯」である。ところで祝子川は「ほうりがわ」と読む。普通は読めないでしょ、これ。そこで由来を調べてみた。
まず、この川を産湯として使った「火遠理命(ほおりのみこと)」にちなんだと言う説だ。この火遠理命は一般には山幸彦として知られており、稲穂の神、穀物の神として信仰されている。そのホオリが産湯に使った川だから、流域には雀がいないんだそうだ。ちなみに「祝」と言う字は「ハフリ」と訓読みもするので、変じて「ホオリ」と読むのかもしれない。すると「祝子」の「子」は一体何なのか?と思って更に調べると関わりのある説も見つけた。…が、こういった神話の世界は解釈も様々あって書き出すとキリが無いのでこの辺にしておく(笑)。
さて、3時間ほどで「祝子川温泉・美人の湯」に到着。支配人の好意で駐車場にテントを張らせて頂くことに。設営を終えた我々は早速ひと風呂浴びて、夕食も頂いた。テントに戻り、本格宴会のスタート。酒を飲みつつ深遠なる人生について語らったのである。夜が更けるにつれ晴れ間が広がっていった。やがて満天の星空…実に美しい。思わず星空を見上げた二人。心中では、このシチュエーションがむさ苦しい中年男同士であることを互いに悔やんでいたに違いない(笑)。
土曜の早朝5時に起床。朝食を済ませテントを撤収し、車で登山口まで移動する。モルゲンロート(朝焼け)に輝く大崩山が見える。今日は素晴らしい一日となるに違いない。登山口から急登が始まるが、木の根が張り巡らされたルートは踏み跡がはっきりしない。赤テープも少なめなので、慎重に進むべきだろう。我々も全行程のうち3回ほど道迷いしかけたし、後続パーティがルートを誤っているところに声をかけたこともあった。ともあれ新緑に覆われた原生林は美しく、気持ちがいい。「スローペースだから迷惑かけるね」と言うWさんの足取りも実に軽やかで、むしろ置いてゆかれそうになる。山で三味線は弾いて頂かなくても良いのに(笑)。
40分ほどで大崩山荘に着くが、ここで帰路の祝子川の渡渉地点を確認する。あまり水位が上がっていたら渡れなくなるらしいのだ。問題なしと判断し、山荘まで戻り先へ進むことにしたが、トイレへ上がる道に踏み跡があったためここで軽く道迷いする。ロープのある岩場などを慎重に進み、ワク塚ルートの分岐に出る。左折し川原に出て渡渉しなければならない。ここで先行パーティが川を渡りかねていたので、お先に進ませて頂く。ここには以前、橋が架けられていたようだが、流されていた。結構な流量なので、飛び移る岩から足を滑らすと大変なことになるだろう。
ここから袖ダキ展望所までの道のりは、それなりに険しいものだった。そしてやはり踏み跡が分かりづらい。袖ダキの手前でも道迷いしてしまう。でもそのお陰で素晴らしい景色が見られた(笑)。画像では坊主岩(米岩)をWさんが股の間から覗かせているところである。なんかあの岩、オッパイっぽいよね(笑)と言う事で、僕は乳首をつまんでいる写真を撮ったのだった。こんな素敵な山中なのに、中年オヤジは卑猥なのだ。ところで「ダキ」という言葉も聴きなれないものだ。これは岩壁や岩場を意味する方言だそうだが、タケ(岳)が変じたものではないかと思うがどうだろう。あ、今更アカデミックぶってもダメですか?
さて、袖ダキ展望所だ。急斜面を登りきるといきなり展望が良くなるので、テンションが上がる。うお〜、どわ〜、うっひゃ〜、など思わず嬌声が出てしまう。他に人がいなくて良かった。正面に小積ダキ北壁、西には下ワク塚の岩峰が聳え立つ。絶景に見入っていると、地下足袋姿の若者が登ってきた。大崩山とプリントの入ったポロシャツを着ていて軽装だ。きっと常連さんだろうと思い、ちょっと話しかけてみた。ここはロッククライミングも盛んなようだけど、どこを登るんでしょうか?との問いに、「ああ、正面に見える北壁なんか登ってますよ。10ピッチくらいかな」と軽いお答え。とても信じらない。人間業とは思えない。怖くないんですか?「そりゃ僕でもココから下を覗くと怖いんだけど、下から登ってくるとそうでもないんですよね」と。ははぁ、そういうものなのか?でも、ちょっと興味あるなぁ。
彼は「美人の湯」に勤めているらしく「降りてきたら風呂に入ってって下さい。5時までは受付にいますから」と言われていた。ちなみに4/29(祝)に大崩山山開きと祝子川渓谷開きがあるようで、そのガイドもされるそうだ。さて先へ進もう。
乳房岩を経由して下ワク塚を目指す。ハシゴが連続し、面白い。これは今までの山とは違う、アドベンチャー感がある。ここいらからWさんのペースが落ちだしたこともあって、下ワク塚の頂上では大休止を取ることにした。湯を沸かしカップラーメンをすすってると、2パーティと合流。みなさんどちらからですか?と声をかける。すると、現在頂上にいる全ての登山者が福岡県人と判明(笑)。それぞれが「福岡のどこ?」なんてやってると、100mも家が離れていない人たちが居たりして、その方たちは電話番号の交換をしていた(笑)。
再会を約束して我々はお先に中ワク塚を目指す。ここで一騒動あった。岩峰からは素晴らしい眺めで、写真を撮りまくっていたが、なんと!パンツのポケットに入れていた携帯電話がポロリと落ちたのだ…。岩壁から下まで落ちていればもちろん回収不能だが、携帯はなんとか岩の隙間に挟まってとどまっていた。上部から手を伸ばしても届きそうもない。危険だとは思ったが、岩を回り込んで崖の横から身体をねじ入れ、肩を入れ手を伸ばす。Wさんが上から「危ないよ〜。落ちるなよ〜」と明るく声をかけてくる(笑)。結果的に回収できたが、ヤバかった。
次に進んだ上ワク塚はこれまた素晴らしい眺望。基部でザックをデポして岩峰を登ったが、ポケットに入れたカメラが落ちないか気になって仕方なかった(笑)。この辺りから空が霞みだし、上ワク塚からしか見ることの出来ないという七日廻り岩も綺麗に写すことが出来ない。雨にはならないと思うが、先を急ごう。長めの休憩や道迷いもあって、予定よりペースが遅いようだ。そこで大崩山山頂へは行かず、りんどうの丘経由で坊主尾根へむかうショートカットを選択することにした。
坊主尾根の下りはワイヤー、ハシゴ、ロープが連続する難コースと聞いていた。Wさんは持病の膝が痛み出した様子でペースが上がらないので、尾根に出た辺りで二度目の大休止。アルファ米を戻して食ったので30分ほどのんびりした。小積ダキでの展望を楽しんだ後、象岩の基部をトラバースし、20数箇所に及ぶハシゴとロープの連続を降りる。アケボノツツジの美しさに癒されつつも、慎重に下る。まれに滑落事故があると聞くが、さもありなん。足元をひとつ踏み外せばただでは済まないルートだ。坊主岩を過ぎ、ようやく傾斜が緩んできた。と思うと、また急な下りになったり。三点確保が基本だが、さすがに上腕や背筋を酷使しているのを感じる。
樹林帯に入ってハシゴは無くなったが、ここも赤テープが少なく、ルートが間違っていないか気になる。やがて沢の音が聞こえ出し、ようやく緊張が解けてきた。祝子川の渡渉をして山荘前まで戻ってきたところで、登山口まであと30分。無事に車まで帰りついたときには僕の膝も笑っていた。大休止を2回、岩峰でもかなり時間を取ったので、10時間近くに及ぶ山行となったが、たっぷりと「九州最後の秘境」を満喫できた素晴らしい一日だった。
誘って頂いたWさん、ありがとうございました。おかげで本当に楽しい山登りが出来ました。ぜひまたご一緒しましょう。
山っていいなぁ。頭がからっぽになって、心が一杯になる。
さあ、次はどこの山に行こうか。
コメント
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wakatakeya




去年秋に大崩山に初めて登った者です。
←小積ダキ頂上の写真です。
青空とアケボノツツジの大崩山、素敵過ぎますね!
そしてなにより山行の充実感がとても伝わってくるレコですね!
この時期に行きたいんですが、都合無理なので行った気にさせてもらいましたm(__)m
写真60はヒカゲツツジで間違いないと思います。
(おそらく雪の影響で)蕾が落ちた株の様に思います。
omiさん、コメントありがとうございます。
山行記録を拝見しました。雲仙や多良岳の写真が素晴らしいですね。まだ登ったことのない山なので、omiさんの山行を参考に(笑)花を訪ねて登ってみたいと思いました。ヒカゲツツジも雲仙で見たいものです。
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