三浦アルプス(行方不明者発見!)

Hiroyans
その他3人 - GPS
- --:--
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 363m
- 下り
- 362m
コースタイム
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
| アクセス |
行き)自宅から徒歩 帰り)自宅まで徒歩 |
写真
感想
4/14
自閉症の少年X君(17)が福祉施設職員と田浦梅林に向かう途中、一人で走って逃げてしまい、そのまま行方不明になる。
4/15
別の福祉施設で勤務している妻が帰宅後、その情報を僕に伝える。「あさって、山行くんでしょ?意識しておいてね」と、妻。
4/17
9:45JR田浦駅に集合だったが、遅刻気味に自宅を出発した友人Aがバイクで向かっている途中、スピード違反で取り締まられて、大幅に出発が遅れる。
10:30 駅を出発
決して登山好きとは言えない友人を三浦アルプスに連れて行く際、いつもなら眺めの良い田浦梅林の登山口から入るのだが、以前、友人B(今回も参加)を連れて行った際、「田浦梅林への階段で最初から疲れた」と、泣き言を言われたので、今回は比較的歩きやすい田浦町3丁目の登山口から登ることにした。
10:45頃 登山開始。まもなく、警察の捜索隊(10人くらい)に遭遇。
2日前に妻から聞いていたにも関わらず、警察に遭遇するまで、行方不明者がいることはすっかり忘れていた。捜索の様子は、テレビのニュースで行方不明者が出たときに見るあの感じと一緒だった。
警官から行方不明者の「名前」「年齢」「自分の意思を喋ることができず言葉は相手の言ったことを繰り返す事しかできない」ということを聞き、写真を見せてもらった。
友人Cが「大柄な人だね」と、言った。
それからしばらくの間は、「谷に滑落しているのではないか?」と思い、注意深く登山道の脇を見ながら歩いていたし、話題もそのことに集中していたが、やがて忘れていってしまい、非常にくだらない話で盛り上がりながら、登山は進行した。
11:10頃 一人の男性とすれ違う。笑顔で挨拶してくれた。(後にX君の父親であるとわかる)
しばらくして、沢の中に生き物がいるのをCが発見する。数十回とこの道を通っている僕が今まで気がついていなかったことを馬鹿にされる。
12:00頃 林道終点到着。高台にあるベンチは満席なのが見えたので、高台には上らず、下の河原で昼食をとり、休憩した。
12:40頃 出発
南沢へはそのまま河原沿いに進むこともできるのだが(その方が近い)、友人Cを連れてくるのは初めてだったので、高台の休憩場所を見せてあげようと、少し遠回りした。
高台では7人ほどが休んでいた。皆、立ち話をしたりしていたが、一人だけベンチに座って、うつむき加減で眠っていた。その前を通り、再び沢沿いの道に降りようと思ったとき、「大柄な人だね」という友人Cの言葉が思い出された。
ベンチで寝ている人は大柄だった。
まず、他の人たちに「この人は同じグループですか?」と訊いた。みんな答えは「ノー」だった。
それから彼を起こした。
警察から聞いた名前は忘れてしまっていたが、妻から聞いていたX君の住所はなぜか覚えていたので、「○○から来た?」と訊いた。
「○○から来た」と返答した。オウム返しだ。
僕の携帯電話はこの場所で電波状況が良くないのを知っていたので、その場にいた人から電話を借りて、110番通報した。それから、南尾根への道を少し登った所が自分の携帯電話が通じやすい事を知っていたので、そこへ移動し、警察と連絡しあった。
その間、友人達は水や残っていたお菓子をあげ、いろいろと話しかけていた。もちろん答えは全てオウム返しだった。しばらくすると、疲れた様子だったので、大きなベンチに横にならすと、すやすやと眠ってしまった。
最初の通報から1時間ほどで、警察の捜索隊が到着した。
X君は一見、普通にハイキングしていて、休憩している人にしか見えなかった。スニーカーを履いていたし、リュックを背負っていた。薄汚れてはいたけれど、三浦アルプスのマニアックな道を通れば誰しも薄汚れてしまう。
だから、林道終点で休憩していた人たちが誰も不審に思っていなかったのも頷ける。さらには、自分から話をすることができず、助けを求められないということが、緊急時には本当に致命的だと実感した。4日間で相当な人数に目撃されているはずだ。
警察はもちろんその道のプロだし、大人の事情もいろいろあるのだろうし、家族が拒んだかも知れないのだけれど、登山口で写真入りのビラを配るだけでも、もっと早く発見できたのでは?とも思った。
もし、友人Aがスピード違反で捕まらず、もっと早く登り始め、警察の捜索隊に出会わなかったら・・・。
もし、友人Bが田浦梅林の階段を気に入ってたら・・・。
もし、友人Cに観察力がなく、「大柄な人だね」と言わなかったら・・・。
その他いろいろな偶然が重なって、X君を発見することができた。どれか一つ欠けていたら、見つからなかったと思う。
X君は自発的に喋ることができないので、4日間どう過ごしていたのかは、永遠に解らないのだけれど、保護された後は、自力で林道を歩いて山からでたようだ(警察談)。そして、その後も変わりなく暮らしているようだ(父親談)。
今回の出来事で思ったことは「生きてて良かった」ということ。もちろんX君もだけど、僕自身がそう思えたことが大きかった。
「人間は何のために生きているのか?」って、昔よく悩んだのけれど、この出来事で初めて「本当に生まれてきて良かった。僕が生きていた意味があった」と思った。これは大袈裟ではない。
山登りは僕の人生の意味づけもしてくれた・・・。感謝。
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