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Yamareco

記録ID: 48526
全員に公開
沢登り
槍・穂高・乗鞍

黒部川 上の廊下

1997年08月13日(水) 〜 1997年08月17日(日)
情報量の目安: A
都道府県 富山県 長野県
 - 拍手
hotaka その他4人
GPS
107:00
距離
54.8km
登り
2,236m
下り
2,738m
アクセス
コース状況/
危険箇所等
古い記録ですがヤマレコに「上の廊下」の遡行記録がなかったのでアップします。
上の廊下はすばらしい所ですが、遡行の安全は天候と水量に左右されます。
梅雨の長い夏はお盆を過ぎないと水量的に厳しいでしょう。
予約できる山小屋
七倉山荘
黒部ダムから出発!
黒部ダムから出発!
平の渡。ダムから急いであるいて何とか間に合いました。
結構しんどい。
平の渡。ダムから急いであるいて何とか間に合いました。
結構しんどい。
いよいよ黒部川に入渓します。
その前に装備の点検。
いよいよ黒部川に入渓します。
その前に装備の点検。
今夜のサイト場です。
今夜のサイト場です。
大きな淵を泳ぐ。水が冷たい!!
大きな淵を泳ぐ。水が冷たい!!
薬師岳をはるかに仰ぎ見て、北アルプスの奥懐に入った雰囲気に浸る
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薬師岳をはるかに仰ぎ見て、北アルプスの奥懐に入った雰囲気に浸る
赤木沢出会いの巨大なプール
赤木沢出会いの巨大なプール
源流部から来た道を振り返る
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源流部から来た道を振り返る

感想

8/13
夜、諏訪を出発。扇沢の案内センター 建物の軒下にシュラフを広げて寝る。盆ということもあり、多くの観光客が夜のうちに扇沢に入ってきた。

8/14 天候;曇り ときどき 晴れ
薄明くなる頃から、周りの人の動きが盛んで寝ていられない。黒部湖を渡るために午前10時発の「平の渡し」に乗るには朝一番のトロリーバスをゲットしなければならない。早々にシュラフをたたみ、チケット売り場の列に加わる。
切符の発売になる5時50分には列が150Mぐらいに達していた。みんなこんなに朝早くからどこに行くのだろう?
通勤電車なみに人が詰め込まれた6時30分発の始発で扇沢を出発。6時50分黒四ダム着。ひたすら平の小屋めざして湖のほとりを歩く。予想外にアップダウンがあり、うんざりする。
なんとか9時50分、平の小屋に到着。10時、平の渡し発。同乗したのは上の廊下へ行くパーティーがほとんど。
10時15分対岸着(運賃;無料)。船着き場から奥黒部ヒュッテまでの道もこれまた、ひどいアップダウンの道。まるで嫌がらせのようにアップダ ウンが続く。
途中から黒部湖から黒部川の流れへと変わる。青い激い流れが木々の間から見える。
12時30分、奥黒部ヒュッテ着。いよいよここから、上の廊下に入る。日程上、今日中に下の黒ビンガはなんとしても突破したい。
13時、奥黒部ヒュッテを出発。何度か股までの徒渉をして14時30分、下の黒ビンガ入り口に到着。さらに厳しい渡渉を何度かこなし、
口元のタル沢手前の河原でサイトとする。17時00分着。

8/15 天候;曇り一時雨 後晴れ
昨日はあまり進めなかったので今日は、できれば薬師沢の近くまで行きたいところだ。
6時15分出発。しばらく行き、口元のタル沢出会い付近でいきなり深い淵が現れる。10m程は泳がなくてはならない。ここで、今回特に持ってきたライフジャケット登場。Hがトップで泳ぎ切る。
荷物を引いて運び、後は各自、ライフジャケットをつけてザイルをたぐって淵を突破。
その後もジャンプ徒渉を含む、厳しい徒渉や、胸までのへつりを繰り返す。途中、小雨がポツポツと来て、かなり焦る。こんなところで増水にあったら身動きがとれなくなってしまう。幸い、雨は本降りには至らなかった。9時30分下の黒ビンガをようやく突破。
晴れ間が出てくる。
下の黒ビンガと上の黒ビンガの間は広河原と呼ばれる文字とおり広い河原が広がる。幅200-300mはあろうかという広大な河原のはるか頭上に薬師の重厚な三角形のピークがくっきりと青空を切りとっている。はるか前を歩く者は河原にある一片の石の如く景色に溶ける。
いつか心にあった深山幽谷のイメージと目の前のイメージが重なる。下界の事は現実味がなくなるが、今歩いている現実もまた夢の中のような錯覚に陥る。
11時30分;上の黒ビンガに到着。天候が良くなったせいもあり、険悪な感じはなく、青空に大岸壁が映えて美しい。上の黒ビンガは特に悪場もなく通過。左岸からは美しい花崗岩の滝がスダレ状に水を落としている。
14時頃金作谷出会いを通過。今年は雪渓が少ないようだ。金作谷を過ぎるとすぐにゴルジェ帯になる。ここが意外と厳しい。水線沿いに突破するには水量、水勢共に大きすぎる。右岸の草付きバンドを100m程トラバースし、最後は15m程の懸垂となる。
懸垂でやれやれと思う間もなくまた深い淵が現れる。15m程も泳がされる。ここもライフジャケットを使いなんとかクリヤ。空荷+ライフジャケットで行くトップは、快適に泳げるがセカンド以下が荷物を背負ったままフォローするのは、ザイルがあるとはいえ苦しい。
事前のルート研究では金作谷を越えれば順調に行けると踏んでいたが、トラバース、懸垂、泳ぎと時間がどんどん過ぎてゆく。淵には尺以上の魚影が見えるが竿を伸ばす余裕はない。
今日中にできれば薬師沢までと思っていいたが、とても行けそうもない。それどころかもう4時を過ぎるというのに、テント場にはほど遠い狭いゴルジェに中でもがいている。
午後5時、ゴルジェを越えた左岸の台地に絶好のテント場を見つける。焚き火を囲みながら明日以降の計画を話した。
上の廊下に入ってからここまで予定の1.5倍以上の時間を費やした。以前行ったWさんの話では上の廊下は1箇所、下の黒ビンガで泳ぐだけであとは高巻きもなく、懸垂も最後の4mだけ、徒渉もそれほど困難では無いとのことだったが、今我々の前にある黒部はとてもそんな流れではない。
明日もこのペースであれば時間的に源流まで行くのは無理。かといって大幅に早く下山できるエスケープがあるわけではないし。電話のある山小屋も遠い。とにかく行くしかないという結論となった。

8/16 天候;晴れ時々曇り
5時45分出発。まもなく、またも深い淵につきあたり、泳いで突破。朝から黒部の水につかるのはつらい。
右岸から赤牛沢、岩苔小谷が合流する頃になって水量も幾らか減り、緊張感から解放される。
立石の奇岩で記念写真を撮るころにはようやくメンバーにも余裕が出てきた。B沢出会いでの4m懸垂で一応、上の廊下は終了。登山道を薬師沢出会に向かう。
12時15分薬師沢着。今日の行程は予想より早いペースで来れたので、このまま源流へと向かう。
12時45分薬師沢出会いを出発。
午後3時頃、赤木沢出会い到着。この出会いは広いプール状になっており、先行パーティーのにいさんたちが水中めがねを付けて泳いでいる。黒部源流の澄んだ空気と光のなかで水しぶきがきらきら光っている。これはまさに山渓のグラビアの世界だ。
源流部とはいえ、腰ぐらいまで何度か浸かりながら、祖父平を目指す。
途中で我々より1日早く上の廊下に入渓したパーティーと話す。彼らの話では今年は水量が多く、8月12日までに入渓したパーティーはすべて敗退し、今年初めて遡行できたのは8月13日に入渓したパーティーだという。
16時30分ビバーク地着。

8/17 天候;晴れ時々曇り
今日の行程は長い。6時15分ビバーク地発。黒部の源頭(岩苔乗越) 目指してひたすらつめる。途中からは登山道を利用する。谷は浅くなり、雪渓も現れる。3000mの空気の透明感が気持ちよい。青空をバックに高山植物と三俣蓮華のシルエットがよく映える。
トウトウとした黒部源流の流れは乗越のすぐ下100mぐらいのところまで途切れることなく続いていた。
9時40分岩苔乗越に到着。一同握手を交わす。稜線からは雲の平を始め、裏銀座から黒部湖までよく見える。入山4日目にしてようやく稜線にたどり着いた。
後は湯俣目指して下山するだけであるが、下山する竹村新道は遠望してもうんざりするほど長い。13時、竹村新道との分岐着。湯俣めざしてひたすら下った。

以上


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