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Yamareco

記録ID: 738062
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ハイキング
中央アルプス

須原駅〜糸瀬山〜須原駅

2010年09月09日(木) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
08:05
距離
15.0km
登り
1,468m
下り
1,453m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
7:15
休憩
0:42
合計
7:57
距離 15.0km 登り 1,470m 下り 1,471m
6:57
237
10:54
11:36
198
14:54
九月最初の山歩きは、木曽の山「糸瀬山」
あんまり聞かない山の名前だけれども、駅から直接取り付けるということで、気にはなってた山である。
標高は1866.6m 残暑はまだきついものがあるが、これだけ高度があれば、山中涼しく過ごせそうだ。
それでは中央本線に乗って、行ってきます。
過去天気図(気象庁) 2010年09月の天気図
アクセス

感想

「糸瀬山」は中央アルプス(木曽山脈)の三ノ沢岳から南西へと伸びる尾根上にある山である。
標高は1866.6m 山頂手前には大きなガレ場があり、登山道は麓のJR「須原」駅より伸びている……

登山前、僕が地形図から見て知った、糸瀬山に関する情報である。
本当に駅から登山道が続いているのか、正直心許ない。
登山計画を立てる際にネットで登山道について検索。
フムフム。実際歩いたレポートは見ないが、確かに登山道はあるようだ。
ならば大丈夫。計画を続行しよう。

登山道や山頂の様子は特に調べることもせず、紙の地図で予定歩行時間を計算。
う〜ん、自宅から朝一の列車で行ったのでは、下山の時間がかなり遅くなりそう。
事前に登山口近くの駅まで行かないと、しんどそうだ。
熟慮の末、登山前夜に須原駅より4駅手前の「南木曽」の南木曽駅で駅泊することに。
(いい年したおじさんがすることではないな……)

*****************************

夜も煌々と電灯の灯る南木曽駅の待合室。客待ちのタクシーが行ってしまうとここには僕一人。
ベンチにタオルを敷いて横になる。9月に入り幾分か夜も涼しくなってきた。
電気がついているため、なかなか眠れない。
それでも、深夜も1時くらいだろうか、駅舎の電気が突然消えた。
ようやく、眠れる……

*****************************
始発列車で須原駅に着いたのが、6時44分。空はあいにくの曇り空。
これは山頂の展望は期待薄かな。特に準備運動もせず、登山口と思われる神社まで歩き出す。
6:58-7:05 鹿島神社 標高585m 0.5km

歩行者用の「お宮踏み切り」を渡り、神社へ向かうこと約10分。
赤い欄干の小さな橋を渡ると、大きな杉の木が生える鹿島神社に着いた。

大杉の横には古い灯篭と神社についての簡単な説明版がある。
何でも神社は景雲二年(768)に出来たという。ずいぶんと歴史があるもんだ。
大杉は推定樹齢800年とあり、風雪に耐えた威厳のある姿をしている。

登山前に神社にお参りをしておこう。
兎の彫刻が施してあるその下で、賽銭を投げ、安全祈願。
楽しい山歩きになりますように……
7:53 馬塞道 標高900m 2.0km

登山道を登り始めてすぐ、右手になにやら怪しげな建物が。何だろう?
近づいてみると、どこからか水を引き込んでいる。何かの作業小屋?? やっぱりよく判らない。
とりあえず、ここの水を汲んでおこう。

道は谷沿いの植林の中から、尾根伝いの自然林の中の道になった。
道もはっきりしていて、迷うところは無い。
「馬の背」と案内板の出ているところでは、右手の谷から沢音が聞こえてくる。
やがてヒノキ林の見える巻き道となり、「馬塞道」とブリキの標識のある平坦地に着いた。
すっかり、植林の中である。
ここから、もうしばらく進めば、林道へと出る。
8:00 しょうぶ平(林道) 標高850m 2.3km

登山道はいったん、ダートの林道に飛出す。南の越坂集落から続く林道だ。
この林道を右に行けば、その集落へ、左へ向かえば、すぐ舗装された林道に出る。
糸瀬山へは舗装された林道を右へと向かう。
この辺りは「しょうぶ平」と云われているらしい。(そう書かれたブリキの標識がここにもある)
林道を歩くこと5分ほど。糸瀬山の登山口に着いた。

登り口には梯子がかけてあり、脇にはやはりブリキの案内板。
何々? 「ごぶじでおかえり」「必見 のろし岩」
心配してくれているとは、そんなに大変な道なのかな? のろし岩というのに行って見るべきなのか?
梯子の向かいには登山届けもあるが、このあたりに駐車スペースは無い。
8:47 1090.5m三角点 1090m 3.6km

登り始め、始めは広い植林の斜面をだらだら登る。
やがて、右の尾根へと目指すが、尾根をのっこすと、そのまま南斜面を巻きながら進むようになる。
この巻き道はちょうどまだ若い植林と自然林の狭間を歩く。
一時、背の低い植林の頭越しに、山間の集落と、山並みの上からちょこんと顔を出す、南木曽岳を望む。

巻き道を15分ほど進むと、三角点に向けて尾根を上り返し始める。
登山道は三角点を通らず、糸瀬山への手尾根へと向かう。ここで三角点までちょっと立ち寄り。
特に薮も無く、雑木林の中を進むこと数分。
三角点のまわりは石がいくつか並べられているが、特に標識も無い。
ひとつ離れた所に置かれた石が石碑のようであった。
9:14 丸屋の鳥屋 標高1230m 4.4km

いよいよ糸瀬山への主尾根の歩きとなった。
植林も無くなり、雰囲気の良い静かな落葉樹林の尾根道が続く。

小さなピークを南側から巻くと、「イチョウ谷」と標識のある左手がガレた縁を歩く。
そこから「胸突き八丁」の登りに差し掛かる。
この坂を上りきると地形図で見る1220m標高点、「丸屋の鳥屋」と標識のついたところに出た。
正直、地名の由来は分らない。

これより、朝露に濡れた背の低い笹が現れ始め、辺りは美しいミズナラの林になる。
時々現れるミズナラの大木を羨みながら、糸瀬山へ徐々に高度を上げていく。
9:52 山居の鳥屋 標高1500m 5.1km

丸屋の鳥屋から20分ほど歩くと「まむし坂」と名付けられた急坂になる。
このあたり、左手に「いちょう谷 四の谷」があり、やはりここも少しガレた様になっている。
この坂を上りきったところが「山居の鳥屋」と標識のある所に出た。
ここも地名の由来は不明。何か小屋でも建ってたのだろうか? 近くの立木になぜか鎖がかけてあった。

ここからミズナラ林に針葉樹が混じり始める。
それと共に笹も背が高くなり、登山道に被り始める。
笹には朝露がびっしり。今日は誰も歩いていないみたいだし、今日の朝露を一身に浴び続ける事となる。
10:38 アオナギ 標高1770m 6.3km

地形図で見る標高1630mあたりの平坦地に着いた。もう辺りは針葉樹の森に変わっている。

笹を掻き分けて進んだ僕の足元はもうすっかりびしょびしょに。
搾りたい気もするけれど、まあ気にせず歩きましょう。

基本周囲は針葉樹の森だが、時々ダケカンバの林も現れる。
ダケカンバと言う植物は、林床が荒れたりすると真っ先に進入する植物だと読んだ事がある。
きっと台風か何かで倒木が出来たりしたのだろう。
針葉樹林とダケカンバ林を交互に見ながら、展望の効がない道をゆっくりと登っていく。
と、突然目の前に大きなガレ場が現れた。

これが好天気だったなら、きっと突然の展望に歓喜の声を上げるかもしれない。
しかし、麓で見た曇り空は、ここではその雲の中であるようだ。
「ここで標高1800m 頂上まで15分」
この標識を見て思うことは、せめて頂上に着いたときだけでも天気が良くなってくれていればなあ……
11:00 糸瀬山山頂着 標高1866m 6.8km

最初のガレ縁を過ぎ、すぐに次の規模の大きなガレ場に出る。
残念ながら辺りはガスの中。下をのぞくと伊那川ダムの緑色の湖面が僅かに見えるのみ。
(このガレ場を「アオナギ」と呼ぶのは後になって知った事である)
天気が良ければ中央アルプスの山並みが見通せるはずなんだけど……

ガレ場を過ぎると「しらび平」と標識のついた平坦地。(周りの木はシラビソかな)
そこから僅かな歩きで糸瀬山の山頂に着く。
糸瀬山の大岩に、二度驚く

糸瀬山の山頂は、苔むした巨大な花崗岩が積み重なり、岩屋の様になっている。
糸瀬山の二等三角点もその巨岩の上に設置されている。
ただし、周りは樹林の中。岩場を隠すかの様に針葉樹が生い茂り、日の光も差さないほど。
「展望所」の標識のある所に向かってみるも、わずかに麓の田畑が見えたのみ。

マイナーな山の山頂なんてこんなものか。
失礼な事を思いながら、せっかくだからと「のろし岩」まで見に行くことに。
そして僕は驚いた。

その巨岩は山頂側の南側から見上げてみても高さは10m程はある。
周りの木々を圧倒し、太陽の光をさんさんと浴び、花崗岩の白い岩肌を更に白く浮かび上がらせている。

「お日様のひかり!!」

山の頂だというのにまわりはジメジメ、おまけに蚊まで寄ってくる山頂に、半ば失望しかけていた。
山頂での昼ごはんもやめて、さっさと降りようと思っていた。

でもあの岩の上なら……

なんだか危なっかしい梯子と鎖が架けてあるが、あの岩の舞台の上なら、おいしい風景が待っていそうだ。
「必見 のろし岩」
ザックをそのまま肩に担ぎ、梯子に足をかけ上りはじめる、登山口で見た標識を思い出しながら……

*****************************

梯子の登りは見た目以上に恐怖感がある。
巨岩の下部はハングしており、今掴んでいる梯子部分の下は「中空」なのだ。
梯子もアルミ製の少々頼りないものである。何かの拍子に落っこちたら洒落にならない。

やっと岩に取り付き、掴んだ鎖もまた曲者である。
赤錆びた鎖は縄梯子状になっている。どうも車の車輪に取り付けるチェーンの様だ。
岩の傾斜も非常に急でどうあがいても鎖に掴まらなければ動けない。
しかも、こんな古びた鎖で……

いやまて、それより支点は大丈夫か? 引っこ抜けたりしないだろうか??
でも、この鎖を登りきれば、素敵なランチスポットが待っているはず!
古い鎖、下りの不安を後回しにして、ネズミ捕りに引っかかるねずみの様に、淡い期待を餌にして、
上へ上へと登ってゆく。

鎖の先端が見えたとき、期待と違った結果に僕は絶望した。

登る前の想像では、寝転べるほど岩の上は平坦で、
お昼を食べた後は、展望の回復に期待しながらのんびり昼寝をしているはずだった。
しかし現実は……

巨岩の一番上に行くには、鉈の上でも歩くかような、エッジの立った細い岩の上。
距離はほんの数メートルだが、確保も何も無い、切り立った岩の上。
その一番上の平坦地も、ほんの猫の額ほどの広さでしかない。

「うっ……。でも、ここまで来たんだ……」
心で泣きながら、エッジに跨る。
そのままずるずると跨いだまま体を引きずり、なんとかのろし岩のてっぺんへ。

岩の上には羽のついた小さなアリがたくさん飛び交い、もちろん岩の上にもたくさんとまっている。
それを払う余裕はなく、虫が体につくもなすがまま。
(その代わり、ここまで進む間にたくさんお尻でつぶしたかもしれない)

青空ながら、期待の中央アルプスは残念ながら雲の中。
では、回復するまでランチタイムを……
って、そんなこと出来るかー。とひとり突っ込み。
ランチのつまったザックを下ろすどころか、手を回すこともままならず。
緊張でのどもカラカラだと言うのに、水一滴だって飲めやしない。

*****************************

時間を巻き戻すかのような動きで、のろし岩を後にする。
最後に梯子から地面に足をおろしてやっと一息つけた。
そして、登山口の標識を思い出す。
「ごぶじでおかえり」
こういう意味だったのか……

結局、お昼は「丸屋の鳥屋」まで。笹はすっかり乾き、木漏れ日の下、吹きぬける風が心地よい。
山頂ではずいぶん涼しい思いをしたが、日帰りの軽い低山歩きなら、今ぐらいがちょうどよい。(おしまい)

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