植物園+ハイキングのススメ

2025年11月6日

こんにちは、ヤマレコ エンジニアのKJです。
秋も深まり、そろそろ登山シーズンも終盤ですね。皆さんは、今年はどんな登山をしましたでしょうか。
私はというと、今まで興味がなかった植物園の楽しさを知り、植物園のついでにハイキングに行くという新しいスタイルを確立しました。
「野草は自然のなかで咲いてこそ」という気持ちがあり、なんとなく敬遠していた植物園。
そんな私が初めて植物園を利用したのが、一年前の早春のこと。
花を楽しみに高尾山に登ったのに珍しい花が見つけられず、登山道をトボトボ歩いていました。
そんな時に目に入ったのが、高尾山さる園・野草園
何度も前を通っているのに入ったことがない……と、気まぐれに立ち寄ってみました。
それが思ったよりも楽しくて、以降は積極的に利用するようになりました。

■植物園+軽登山 をお勧めしたい理由

もともと植物園にネガティブな印象を持っていた私が、植物園をお勧めしたい理由は4つあります。

その一 時間を気にせず、じっくりと観察できる!
本格的な登山と花の観察を同時にすることは、なかなか難しいです。
下山時刻が気になるし、疲れが溜まると花を楽しむ余裕がなくなってしまいます。
同行者がいる場合も、その場に長く留まることは気が引ける。
植物園+2、3時間のハイキングであれば、山の雰囲気を楽しみつつ、じっくり植物観察ができます。

その二 希少な花が見られる
植物園では高山植物や、一部の地域にしか自生しない希少な花を見ることができます。
わざわざ高山や遠方の山に行かなくても、数百円の入園料で見学できるのはお得感があります。
人気のある高山植物「コマクサ」も、植物園であれば気軽に見学できます。


その三 答え合わせがしやすい
自力で植物の同定をしようと思ったら、とても大変です。どんなに調べても自信が持てません。
植物園なら、そう、名札があるんです!植物名の書いてある名札ラベルが。

花の正体がはっきりと分かり、また自分の勘違いに気づくこともできます。
例えば、私がずっと「ホトトギス」だと思っていた花がこちら。

しかし植物園で見たホトトギスは何やら様子が違う。

よく見ると、上の写真では花が茎に付き、下の写真では花が葉の付け根に付いています。
調べてみると、今までホトトギスだと思っていた上の写真は「タイワンホトトギス」だということが分かりました。

その四 植物園で見た花を、自然の中で見ることができる
山の植物園では、その地域に自生している花を数多く展示しています。
植物園の近くでハイキングをすれば、展示されていたものと同じ花を自然の中で見つけることができます。
植物園で見た花をわざわざ探しに行く必要があるのか疑問に思う人もいるかもしれません。しかし植物園と野生では環境が違います。同じ花でも印象が異なります。植物園は環境がいいので、野生のものに比べて大型なものが多いように感じます。
そのような観点から比較するのも楽しいですよ!

おすすめは「植物園→軽登山」の順番です。
これは個人の感想なんですが、一度見たことのある花は目に入りやすくなる気がします。
知識のない花を観察しても、どこに注目すれば花の判別ができるのか分からないため、結局よく分からないまま終わるということがあります。予習して行けば効率よく観察でき、ストレスが溜まりません。

■お勧めの植物園+軽登山

1. 六甲高山植物園 + 六甲山

六甲高山植物園は神戸市にあり、都市部に近い高山植物園です。
この植物園で出会える花の種類は、約1,500種!今回紹介する植物園の中でも、ずば抜けて多い数です。
低山の六甲エリアに「高山」植物園があるなんて、正直とても意外でした。
公式サイトによると、ここは北海道南部に相当する冷涼な気候なんだそうです。
訪れた際にはロックガーデン・樹林区・湿生植物区・高茎草原のエリアがありました。

ここではキイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑)を見ることができました。
特定の地域にしか自生しない希少な花です。近くにジョウロウホトトギスも咲いていて、見比べができて大満足。
自然ではあり得ない近縁種の違いを確認できるのも、植物園に行くメリットです。

左がキイジョウロウホトトギス、右がジョウロウホトトギスです。
とても似ている花ですが、よく見ると葉の形が違います。

+ 六甲山
車道を縫うように作られた登山道(六甲全山縦走路の一部)を歩きます。
ハイキング目的の場合は物足りないかもしれませんが、大阪湾と神戸市街地を見渡せる絶景は魅力的。都会の山ならではですね。

2. 高尾山さる園・野草園 + 高尾山

世界一の登山者数を誇る高尾山の、一号路中腹にある植物園。
この野草園の前を素通りしたことのある人は多いのではないでしょうか。
さる園が人気のようで、植物園には人が少なくゆっくりと観察できました。
この野草園では、高尾山に昔から自生していた野草を中心に300種の野草を観察することができます。

+ 高尾山
高尾山は都会の山のイメージがありますが、実は自生する植物の数が多いことで有名な山なんです。
花の百名山にも選ばれています。
山頂を目指さずに、花を探してあちこち歩きまわるのも良いですよ!



人気の山だけあって情報が多いのも魅力です。
高尾599ミュージアムがサイトで公開している植物図鑑ページでは、咲いている花の説明だけではなく、花期や場所の情報も掲載されており、植物観察の強い味方になります。
高尾599 植物図鑑

3. 白馬五竜高山植物園 + 小遠見山

標高1515mに位置する白馬五竜高山植物園。
植物園に行くには、山麓とおみ駅からアルプス平駅までゴンドラに乗る必要があります。植物園の料金はゴンドラ料金に含まれます。
この植物園は山の斜面を利用して造られています。花の観察をしながら登っていくのは、けっこう疲れました。駅の近くにある展望リフトで植物園最上部まで行くこともできます。小遠見山まで行くのであれば、行きはリフトを使い、帰りに植物園を楽しむ方がいいかもしれません。

白馬五竜高山植物園で出会える花の種類は300種。外国の高山植物が多い印象でした。
目玉の「ヒマラヤの青いケシ」をはじめ、エーデルワイスやプルサティラ・ブルガリス(オキナグサの仲間)など、数多くの花が見られます。

白馬五竜高山植物園では、ヨーロッパに自生するエーデルワイスや、八方尾根の固有種のハッポウウスユキソウを同時に見ることができます。残念ながら、私が訪れた七月末にはハッポウウスユキソウは終わっていました。

+ 小遠見山
展望リフトから小遠見山までは、樹林帯のなか木製階段を登っていく、少ししんどいトレッキングコース。往復三時間ほどの距離です。要所要所でアルプスの雄大な山々を眺め、ハイキングとは思えない充実感がありました。

+ アルプス平自然遊歩道
展望リフト降り場から一周約30分ほどの、アルプス平自然遊歩道も良かったです。
誰かが鳴らした大きなクマ除けのベルの音を聞きながら、青々とした草原の中を歩きました。気持ちのいい散策路です。
特に「地蔵の頭」からの景色はよく、北アルプスが一望できます。花に見とれて小遠見山まで行く時間がなくなった人にぴったり。


2025年の植物園シーズンは終わってしまいましたが、まだまだ行きたい植物園がたくさんあります。
冬の間は来シーズンの計画を立てようと思います。
皆さんも是非、植物園+ハイキングを楽しんでくださいね。

■【おまけ】ヤマレコの「山の用語集」を活用しよう!

ヤマレコの「山の用語集」には、ちょっとした植物図鑑があります。
山の植物について調べることができ、またその花の写真が登録されている山行記録を読むことができます。
このページは見るだけでなく、自分で登録したり編集することができます。
植物園から帰ったあとに情報を登録しておくと、良い振り返りになるかも?!

※関連する写真リストのサムネイルをクリックすると、山行記録へのリンクが表示されます。
以上、ヤマレコの機能紹介でした。
それでは、良い植物園+ハイキングを!




One Comment

  1. waon より:

    大都会の近くの山に、こんな豊かな自然がある事に感謝しています

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