妙高山〜燕温泉発着の一周ルート(北地獄谷・燕登山道-燕新道)


- GPS
- 09:19
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 1,415m
- 下り
- 1,407m
コースタイム
【実働】6時間55分
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
温泉街手前に無料駐車場があり、台数は余裕。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コースの状況】 燕温泉駐車場にある登山道案内板では、北地獄谷のルートが「崩落のため通行止」となっているが、実際は称明滝下までずっと3尺くらいの幅でコンクリートが打たれており、何の問題もなく通れる。 また、遊歩道で惣滝の下まで行けるような表示になっているが、実際はかなり以前から吊り橋(河原の湯への分岐)の先で崩落による通行止となっており、麻平から下りてくる登山道も最後はエスケープルートを通るようになっている。 つまり、この案内板はあまり当てにならない。 頂上手前の笈摺岩の鎖場は長いがステップが切ってあり困難はない。 頂上から火口原への下りと燕新道の大倉沢への下りはかなり急で、所々ロープの補助があるので適宜利用する。 北地獄谷と大倉沢は、増水時は渡渉困難になるので注意。 【水場・登山ポスト】 水場は北地獄谷では光明滝手前の赤倉温泉源湯脇、燕新道では大倉池へ流れ込む清水とその先の黄金清水。 登山ポストは温泉街が切れる所、黄金の湯へ上り口(北地獄谷経由燕登山道)と河原の湯方面への遊歩道(燕新道)の分岐地点にある。 また、天狗堂と麻平下にそれぞれ登山者カウンター装置がある。 【温泉等】 黄金の湯と河原の湯はいずれも登山道に接した露天風呂(乳白色の湯)で無料入浴できるが、ともにかなりぬるめ。 黄金の湯は一応男女別だが、河原の湯は完全な混浴。温泉街には足湯もある。 車で少し下れば、関温泉(赤っぽい湯)や赤倉温泉・池の平温泉(無色透明)など、泉質の異なるお湯も楽しめる。 燕温泉街には数軒のホテル・旅館と土産物店があり、行きずりで季節の汁物(きのこ汁など)を味わえる店も一軒ある。 【山頂からのパノラマ展望図】 http://www.kashmir3d.com/panomaga/htmlview.cgi?20010529 |
写真
岩肌はやはり硫黄色で水は白っぽい。
コンクリートの打たれた道はここで終わり、滝の左岸を巻いていく本格的な山道が始まる。
周囲は結構広いので、眺望を得るにはあちこちへと移動しなければならない。
感想
ガイド地図による本日の行程時間は8時間10分。北信五岳残り最後の一つ・妙高山は、日帰りで行くにはもうそろそろ日長時間的にタイムリミットが近い。休憩・食事時間を含め7:30入山-16:30下山の予定とし、6:30頃車に乗り込もうとすると、放射冷却のためガラスが凍っていた。自分は冬山はパスなので、登山機会も今年はあと2〜3回くらいか。もっと早い時期から登っていたらよかったなと思う。
関山のコンビニで買い物をし、7:10頃燕温泉の公共駐車場に着く。綿の長袖シャツ1枚だとやや肌寒い。
ヤマレコの掲載画像用として、まず駐車場に設置されている登山道案内板をあまり注視もせずにデジカメに収める。(実はこの案内板には今回登る北地獄谷のコースが「崩落のため通行止め」となっていたのだが、下山して改めて見るまでそれに気づかなかった。気づかなくて幸運だったが…。)
短い温泉街の終わりにある登山ポストには、今日はまだ1枚も登山届が入っていない。予定通り7:30スタート。自分にとっては5年前の高妻山以来の長丁場だ。
石段を登るとまもなく"黄金の湯"に至る。この露天風呂には17年前から幾度となく(特に夜中に)お世話になっている。最後に来たのはもう4〜5年前で、それまで中でつながっていた男湯と女湯が大きな岩で区切られていた。ただし、それぞれの脱衣場に行くまでに湯船は丸見えで、現在もその構造は変わっていないようだ(湯が乳白色なので、入ってしまえば首から下は見えない)。
黄金の湯から先、一部工事のため迂回させられるが、その後しばらくは工事用の車道を通る。日差しをさえぎるものがなく少し汗ばんでくる。車道が切れると道はいよいよ北地獄谷へと入っていくが、ずっと3尺幅くらいのコンクリートロードが続き、遊歩道といった感じだ。谷の左岸は日陰に入るので涼しい。右岸側山腹には紅葉に日差しが当って目にまばゆい。落葉さかんな道は時折硫黄の臭いが漂い、所々に赤倉温泉へ温泉を引く黒い塩ビ管や、ゴボゴボと音を立てる溝がある。途中コンクリート道と階段状の道が並行する区間があるが、どちらを行っても同じである。
歩き始めて45分ほどで"赤倉温泉源湯"に至る。温泉作業小屋と、清水を引いた水場がある。足取り快調なので、水だけ少し飲んで休まずそのまま進むと、右手前方に光明滝が見えてくる。水が硫黄分を含んでいるとみえて、水の流れる岩肌が黄色く見える。道は滝の落ち口のすぐ脇を通る。写真を撮るため下を覗き込むが、ふらっと落ちたりしたら命はない断崖だ。その上流に称明滝があるが、道は直前で左岸の巻きに入るので、滝を見るには河原を10mほど入っていく。こちらも岩に硫黄が黄色く固着している。水は温泉のように白っぽいが、さすがに温かくはなかった。
称明滝の巻き道前でコンクリート道は終わり、ここからが本格的な山道となる。だんだん細くなる北地獄谷の右岸へ一度渡りまた戻るが、水量が少ないので問題なく渡渉できた。どこかで麻平からの道が合流してくるはずだが、結局気がつかなかった。
水が涸れるにつれ急登になり、"胸突き八丁"にかかる。表示札には「天狗堂へ200m、30分」と書かれているが、「いくらなんでもそんなにかかることはないだろ」と口に出して突っ込みつつ足を進め、まもなく久し振りに明るい日の当る尾根に飛び出す。妙高頂上部はもうかなり近くに見える。天狗堂はその先すぐで、先ほどの札の所からは17分だった。
天狗堂は地図上では"天狗平"となっており、赤倉道・池の平道が合流してくる地点だ。小さな祠と登山者カウンターが設置されている小広場状の所で、ここで今日初めて他の登山者を見る。歩き始めから2時間5分、ちんたら歩きだったが結局ここまで休みなしで来てしまった。行程的には称明滝の下辺りで一本取ってもよかったなと思う。足はまだ充分元気だ。
天狗堂から程なく小さな光善寺池の脇、続いて風穴を通過する。道は妙に凸凹がなく幅広でしっかりしており、時折野尻湖を見下ろしながら快適に進む。ここ辺りまで来ると、黒沢池・高谷池に泊まったのであろう登山者たちと時々すれ違うようになる。そして、鎖場の下に到着。前を先ほど天狗堂で会った登山者2名が登っているので、ここで景色を見ながら2回目の休憩を取る。
百名山のビデオの「妙高山」によると、この鎖場の岩は"笈摺岩(おいずるいわ)"と言うらしい。見上げると10mちょっとくらい真っ直ぐ登り、上部で左へ数mトラバースするようになっている。ルートの最初から最後まで鎖やロープが取り付けられていて、岩肌にも深いステップが切ってあるので、特に緊張することもなく楽しく登れる。頂上直下はボコボコと溶岩が露出した急登となる。20分ほど頑張ると、妙高山最高点2,454mの南峰に到着する。
南峰は溶岩で囲まれスペースが狭いせいか、先に登っていた登山者たちも、写真だけ撮ってあまり長居はせずに北峰へと向かって行く。標高の表示は見当たらず、平たい石積みの上に"妙高山大神"の祠があるだけだ。この妙高山大神がどんな神様かは知らないが、中央には馬に乗ったお地蔵様が鎮座しており、"将軍地蔵"と刻まれている。将軍地蔵の由来を見ると、「…大東亜戦争時代国民一致団結…祈願…ノ神ト祀ル」などとある。左側には"瀬孝霊神"と読める石碑もあり、複数の神様が合祀されているのか、これらがみな同一神なのか、よくわからない祠である。
最高点からの展望を期待していたが、時間とともにだんだん霞んできて遠くの見通しは良くないし、北側は標高差のあまりない北峰までの台地に大きな溶岩がゴロゴロして視界を妨げているので、正直なところがっかりしてしまった。
北峰へは溶岩の間を縫って5分ほどで行ける。所々に5〜6cm位の霜柱が残っており、日が当って解けた所はぬかるみになっている。北峰には一等三角点があり、その標高は地図上では2,445.9mなのだが、近年妙高"市"が設置した山頂標識には2,454mと南峰の標高が記されており、何だか納得のいかない違和感を覚える。こちらの頂上はかなり広いため、1ヵ所に立って3方を見渡すようなことはできない。展望を得るためにはそれぞれの方向に移動しなければならず、このことでも今一つ満足感を得られなかった。
北峰には常時10人くらいの登山者がいた。思い思いの場所に散って昼食を食べたりくつろいだりしている。自分も火打山や焼山が見える西側に移動して弁当を広げる。残念ながら日本海は霞の先、北アルプスもはっきりしない。風はないが、南峰に着く前後から頂上付近は上空に大きな雲がかかって日が遮られ、汗が冷えて寒い。温かい飲み物がほしいところだが、今回は行動を急ぐためガスコンロを携行していない。長い下りが待っているので12時丁度から下山を開始する。
約400mの標高差を一気に火口原へ下る道は、段差が大きく、ロープを頼って下りる所もしばしば。否応なしに膝にダメージが蓄積されてくる。まだ登ってくる登山者も多い。そんなことはなかろうが、登りの方がまだ楽かもとつい思ってしまう。
やっと傾斜が緩くなるとまもなくベンチが置いてある長助池分岐に着く。この先しばらくは傾斜は緩いが、燕新道は外輪山の登り返しがないので、原則下る一方だ。膝の回復を図り少し長めの休憩を取る。
木道が現れるとすぐ長助池の前に出る。小さな池塘の集まりで、この時期となると水も少なく目立つ植物も見受けられない。大倉池付近まで来ると、いくつか流れ出る清水が水路で誘導され庭園風を呈している場所があったので休憩を入れる。地図に水場の表示はないが、冷たくておいしい水だ。
歩き出してすぐに外輪山への道を分ける大倉分岐を通過、道は大倉沢方向へ向きを変える。まもなく地図にも水場表示がある"黄金清水"。水は先ほど飲んだばかりだが、柄杓が置いてあるのでここでも一杯口にする。
小さな尾根を一つ巻いて、大倉沢への道はいよいよ急になる。谷の底部は見えず、なかなか水の音は聞こえてこない。大きな段差でまた膝のクッションが利かなくなってくる。普段からヒンズースクワットでもやっておれば少しは違うのかもしれない。沢の流れる音が聞こえ出してからも、道の落差の割にはなかなか底が見えてこない。最後にロープを握りながら崖を下り、ようやく大倉沢の河原に出る。
さて、ここで渡渉しなければならないのだが、ペンキで示してある地点へ行っても「どこをどう渡れというんだ?」と思うくらい、渡るに適当な石が少ない。それでもステッキを突いてバランスをとりながら、水面から深くない石を選び、なんとか足を濡らさず渡り切る。水量がもっと多いときははじめから水に入ってしまうほうが良いかもしれない。
10分足を休めて出発。腿は上がらないが、ここまで来れば後は知れており気は楽だ。麻平までの間、時折ある小さな登りがかえって気分転換になる。麻平で天狗堂から下りてくる道を合わせ、"河原の湯"に入るのを楽しみにしながら最後の一本にかかる。登山者カウンターを過ぎるとまた道は急になり、崩落のために設けられたエスケープルートへと導かれる。このときに至って、いったん深く曲げた膝を伸ばそうとして立ち上がれずに、そのまま後へひっくり返ってしまうほど足はガクガクになっていた。
最後は崩落脇の急な工事用階段を手すりにつかまりながら一歩一歩慎重に下り、河原の湯の上にある吊り橋横に到着、そのまま河原の湯に直行する。
河原の湯は吊り橋から沢へ下りて、岩陰を回り込んだ所にある小プール状の混浴露天風呂だ。入りに来ても、様子を見て戻って行ってしまう人も少なくない。
リュックを脱衣小屋脇に置き、着替えだけもって小屋へ入る。湯船には中年女性3人を含め、9人が浸かっていた。浴用着をつけた女性2人と連れの男性は湯に浸かりながらブドウやナシを味わっている。乳白色のお湯は体温程度とかなりぬるいので、みんななかなかお湯から上がらない。唯一小学校低学年くらいの男の子が、平気で裸で河原の方まで出て遊んでいた。
実働時間6時間55分、ほぼ予定通りに行動できた。
最初に黒姫山に登ってから17年、地元に住んでいながら本日やっと北信五岳の完踏達成。それに特にこだわっていたわけではないが、山登りを再開して一つの節目にはなる。まずはメデタシメデタシ。
家に帰って食事をしたあと休んでいると、急に寒気を感じて布団に飛び込んだ。もしやと思って体温を計ると、37.2度とわずかに発熱していた。どうやらぬるい温泉で湯冷めしたらしい。季節的に燕の2つの露天風呂はもうそろそろ厳しいかも…。
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