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Yamareco

記録ID: 3029489
全員に公開
ハイキング
東北

みちのく潮風トレイル・スルーハイク2日目

2021年03月27日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 宮城県 福島県
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
08:42
距離
26.7km
登り
414m
下り
537m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
7:35
休憩
1:07
合計
8:42
距離 26.7km 登り 414m 下り 537m
8:10
3
鹿狼山駐車場
8:13
8:22
2
8:24
8:26
49
9:15
9:39
54
10:33
10:34
13
10:47
50
11:37
20
11:57
29
12:26
35
13:01
13
13:14
13:15
25
13:40
13:41
38
14:19
14:39
4
14:43
14:44
70
16:11
16:19
33
16:52
過去天気図(気象庁) 2021年03月の天気図
アクセス
2021年03月27日 06:07撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 6:07
2021年03月27日 08:15撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:15
2021年03月27日 08:16撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:16
2021年03月27日 08:19撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:19
2021年03月27日 08:21撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:21
2021年03月27日 08:23撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:23
2021年03月27日 08:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:25
2021年03月27日 08:26撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:27撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:28撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:28
2021年03月27日 08:31撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:35撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:38撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:39撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:42撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:43撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:44撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 8:44
2021年03月27日 08:46撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:53撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:53撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 08:55撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:00撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:01撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:12撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:15撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:17撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:20撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:21撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:23撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:39撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:42撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:45撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:47撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:52撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:54撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:57撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 09:58撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:24撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:26撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:28撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:31撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:31撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:40撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 10:40
2021年03月27日 10:41撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 10:55撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 11:01撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:01
2021年03月27日 11:09撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:09
2021年03月27日 11:11撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:11
2021年03月27日 11:15撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:15
2021年03月27日 11:19撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:19
2021年03月27日 11:21撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:21
2021年03月27日 11:24撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 11:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:25
2021年03月27日 11:26撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:26
2021年03月27日 11:30撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 11:31撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:31
2021年03月27日 11:32撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:32
2021年03月27日 11:32撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:32
2021年03月27日 11:42撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
3/27 11:42
2021年03月27日 11:45撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 11:52撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 11:57撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 12:01撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 12:13撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 12:22撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 12:24撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:08撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:08撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:10撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:22撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:27撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:33撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:41撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 13:54撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:01撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:17撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:23撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:25撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:26撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:43撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:49撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 14:59撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 15:01撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 15:08撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 16:26撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 16:49撮影 by  Canon PowerShot G5 X Mark II, Canon
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2021年03月27日 18:04撮影 by  iPhone 11 Pro Max, Apple
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2021年03月27日 18:04撮影 by  iPhone 11 Pro Max, Apple
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感想

昨晩の天気予報では、今日は曇り時々雨の可能性と言っていた。あまりよろしくない。
何と言っても、みちのく潮風トレイル・スルーハイクの2日目には、記念すべき初の「山登り」区間が登場するのだ。最初はやはり晴天の下、絶好の眺望を拝みたい。
明けた今日の早朝、ドキドキしながらカーテンを開けるとオーシャンビューの窓からとても美しい朝焼けの空と凪いだ海が見えた。とりあえず雨は降っていない。降りそうな兆候も今のところない。どうかこのまま今日一日もって欲しい。

同じホテルに2泊する今日は、不要な荷物は部屋に置いて身軽にハイクできる。私はカメラや予備の電池を持ち運ぶ必要のあり、不用品だけ出して同じザックを背負っているが、荷物の少ない巨神兵などは折りたたみできる超軽量リュックだけだ。
ホテルを出ると、昨夜のうちに予約しておいたタクシーはもう来て待ってくれていた。週末の早朝、まだ静かな田舎の町の道をすいすいと車は走り、ものの15分で昨日のゴール地点である鹿狼山の登山口に到着した。

(注:超長文です。同文章は、個人ブログにも投稿しています。https://mountain-penguin.jp/mct-02/)

鹿狼山は新地町民にとっては町のシンボルのような山で、近隣の地元ハイカーには一年を通じて人気の日帰り登山スポットらしい。その証拠にまだ朝の8時半だというのに、登山口脇の広い駐車場はほぼ満車だった。

登山口付近の情報板や山のルート図を眺めたり、登山口すぐ裏手の自動販売機で朝のコーヒーをキメたりしてしている間にも、もう登り終えて戻ってきたのか軽ハイク姿の人達が数人たて続けに登山口から出てきた。この人たちはいったいどんな早い時間から登ったのだろう。
登山口前でノロノロしている自分達が少し恥ずかしくなり、急いで身支度とトイレを済ませて登山口へと足を踏み入れた。
さぁ、みちのく潮風トレイル2日目開始だ。

登山口横のルート案内板によると山頂への道は複数あり、みちのく潮風トレイルのルートは一番南側の「樹海コース」を登る。これらのコースを認識していなくとも、みちのく潮風トレイルのロゴ入り専用道標は山道でも要所要所に設置されていたので、それに従って前進すれば問題はない。

ちょうどカタクリの花の見頃時期だったようで、道沿いのそこかしこに群生していた。登山口からすぐの影になった谷間を行く辺りには、ドライフラワーになったアジサイも道沿いにずっと続いていたので、初夏の頃はきっときれいだろう。
山の下の方は杉や檜などの植林地で、真っすぐ整然と伸びた木々の間を山道はゆるやかに登っていく。一方、山の中程から上は落葉樹の雑木の森なので、どの木々もまだ昨秋葉を落として裸のままだった。

道の脇にはだいたい100m毎に頂上までの距離のカウントダウン道標が立っていた。幾つかにはこの山に生息する野鳥の絵が描かれ、名前と簡単な説明がついている。
残りの道標には皆同じ昔話のおじいさんのようなキャラが描かれている。このおじいさん、異様に細くて長い両手を大きく広げてニコニコしており、名前はどうやら「手長明神」。— 名が体を表しすぎている。あとで頂上の神社にあった案内板によると、手長明神の手は山の上から海まで届き、貝を集めて食っていたらしい。今でも新地町にはその食べがらの貝を捨てた貝塚が残っているとのこと。手長明神は縄文か弥生時代から存在していたのだろうか。

樹海コースで行くと、山頂まではだいたい40分程度となっている。
傾斜のゆるやかな登り坂が続き、とてもよく整備された道だ。私達が登っている間にも、前から降りてくる人たちや後ろから追い越していく健脚の人たちと何度もすれ違う。ソロの人、子供連れの家族、中年の夫婦、女性だけのグループと様々な人たちが歩いている。近くに住んでいる人たちが犬の散歩に来るコースでもあるようだ。
いずれも週末の低山登りを楽しんでいるという風情で、みちのく潮風トレイルを踏破中という感じの人は見かけなかった。

杉の木立の下を歩いていると、遠く向こうから何やら子どもの声が響いてきた。声は少しずつ大きくなっていき、子ども、1人ではなく複数、が大声で何か言っているようだが、とりあえず悲鳴や危機感を感じる叫び声ではないので心配する必要はなさそうだ。
すぐに、その声の元である小さな兄弟が駆け下りてくるのが見えた。遅れて下りてきているのは若い両親だろう。今やはっきりと「さよ〜なら〜」と言っているとわかった。どうやら走り下りながら通り過ぎる人たち全てに大声で挨拶するのがツボっているらしい。私達にも通り過ぎざまにきゃっきゃと笑いながら「さよなら〜」と言ってくれ、答える間もなく駆け去って行った。少し遅れてご両親が「はしゃぎ過ぎて、すみません」と苦笑しながら通り過ぎ、私達は「いえいえ、全然」と手を振った。今日び自然に親しめる子どもは貴重な存在だ。

そこからもう少し行くと、道の曲がりの脇に休憩用の東屋があった。その奥からは海側の景色がよく見えた。私の視界の下半分は伸びた木々に隠されていたが、巨神兵の視界で海沿いに広がる新地町がよく見えたらしい。
ここまでのところ、天気も良く気持ちよく山登りするには最適な気温だ。ありがたいことに、見晴らしポイントから見える空にも海にも天気が崩れそうな気配はない。

見晴らし休憩所から先は、常緑の植林地帯を抜けて雑木の森になった。木々を落とした枝や幹の向こうに他の尾根が見える。冬になるとこの辺りはそれなりの雪が積もるのか、場所によっては積雪で滑りやすい時用の安全な回り道を示した看板もあった。

しばらく道は平坦な稜線上を進み、もう少しで頂上前の最後の登りに差し掛かろうという所で、前から降りてくる高齢の男性とすれ違った。顔つきからすると80は下らないであろうと推察したが、背筋はピンと伸び、なにより服や装備のスタイルが古き良き時代の古風な登山スタイルっぽくてとても素敵だった。重心がとれたしっかりとした足取りを崩すことなく通り過ぎながら、こんにちはと会釈されたその立ち居振る舞い全てがとにかく格好良くて、二人して見とれてしまったのだった。

鹿狼山山頂、標高430m。視界を遮るものがほぼ無く、全周囲の絶景が楽しめる素晴らしい山頂だ。
先程の中間休憩所は海側を向いており見えなかった山の西側が今ははっきりと見える。田園地帯の向こうにまた別の低山の連なり。そしてその遥か向こう、一際高く空中に浮かんでいるようにすら見える真っ白に雪を被った山脈の稜線が見えた。

グーグル・マップによると、あの方向にある高い山は蔵王、そしてその南に吾妻連峰に違いない。
蔵王と言えばついこの3ヶ月前に正月休みで雪国を堪能しようと出かけた場所だ。蔵王ロープウェイで登り下りしてスノーモンスターを楽しみ、裏磐梯では元日に私にとっては初のスノーシューで五色沼巡りをした。今、東北の太平洋岸側の鹿狼山から蔵王を眺め、あそこに私達はいたのだなと妙な感慨が込み上げてきた。

山頂には、こじんまりとした神社がある。登山口の鳥居はこの神社への参拝道の入口を示していたのだろう。山の神様が祭られているらしい。(手長明神はただの居候なのだろうか?)
大晦日の夜から元日の朝には、初日の出を見るために山頂に人が集まるようだ。この眺めなら当然だろう。海岸沿いに工業地帯などもなく、どこまでも広がる太平洋の水平線上から上る太陽…絵になりすぎる。
休憩用のテーブル付きベンチも設置してあったので、他のグループは楽しそうに座って休憩していた。

短い時間ながらも山頂を堪能し尽くした後は、私達は先を進まねばならない。
ここまで登ってきた道は、今日歩く山道のまだ3分の1程度だ。この先向こう側の登山口に到着した後も、そこから下界をその4〜5倍の距離を歩かなくては今日のゴール地点にはたどり着かない。山頂の道標は、元来た樹海コースと、これから向かう側にある3コースを示していた。山頂を離れる人たちのほぼ全てがいま来た道を戻っていく中で、私達は向こうへと続く道へと向かった。

とたんに目の前の道がどんっと落ち込み、私達の足元にはとんでもなく急な下り坂が待っていた。
みちのく潮風トレイルの公式マップブックにも、急坂注意と警告されていたのも納得の急勾配っぷりだ。トレイルの真ん中にコンクリの擬木を並べてロープの手すりをつけてくれているのはとてもありがたいが、そこまでやっているのに階段にはしなかったようで、ほぼ土の地表に小さな石がころころと散らばっているというとても滑りやすい状態の急坂をロープを掴みながら必死で下りた。私達の後に1グループだけ他のハイカーもこちら側に来たようで、急坂の底から見上げるとやはり四苦八苦しながら下りてきている。下から見ると、さらに急さが際立つ。
なぜ大部分の人たちが樹海コースを戻っていくのかがよくわかった。あちらは全年齢対応の優しい道だ。この坂は明らかに来れる人かどうかふるいに掛けてくる。

ありがたいことに、急坂はこれで一旦終わり、その後はずっと稜線沿いのほぼ平坦な道が続いた。樹海コースの道と比べると、人が少ないせいか道幅も狭く、踏み跡で作り上げられたようなより自然な道だ。狭いと言っても、私達2人が並んで歩ける程度の幅があるところも多い。ただ、たまに両側が切れ下がった馬の背状態になっている場所もあり、油断大敵と気を引き締めながら歩いた。

1時間ほど気持ちよく歩いた頃、かすかに車の音が聞こえて来るようになり、再び急な下り坂が始まった。おそらくここから最後の登山口まで一気に下っていくのだろう。
実は私はトレッキングポールを持ってきていたのだが、ずっとザックのサイドポケットに収納袋に入れて差し込んだままだった。下り坂こそ使わなければと思った時にはもう遅く、ポールを取り出す時期も場所も逸したままそのまま木々の枝や幹を掴みながら下りきってしまった。

ようやく鈴宇峠側の登山口を出た時には、下り坂で膝とつま先に力がかかりすぎて足がしばらくガクガクしていた。

山からは出たと言っても、海からはまだ離れた場所だ。谷間に続くゆるやかな舗装車道を下りていくと、山間部からちょうど出ようという辺りに「真弓清水」があった。

名前だけ聞くと、私世代の女性なら何万人といそうな名前だが(ただし西洋式に姓名反転)、よい湧き水のようだ。
石碑に書かれた文言を見ずとも、良い水に違いないとわかる。と言うのは、私達が辿り着いた時既に地元の方が取水口から水用のポリタンク2つに水を入れている最中だったのだ。この時期は水の出が良くない時期なのか、取水口からはチョロチョロとしか流れておらず、タンク2つにいっぱいにはまだまだ時間がかかりそうだ。特に喉が渇いている訳でもないので、先を急ごう。

海の方向へさらにトコトコ下りていくと再び開けた平地に戻ってきた。これで本日分の「山」は完全終了だ。
ここら辺も園芸用の樹木を育てている農家さんの地域なのだろうか、ある一画には生け垣でよく見るような木が整然と立ち並んでいる。また別の一画では梅や桜専門の畑が続き、それらが一斉にきれいなピンクの花をつけているので、周囲一帯に梅の花のとても爽やかに甘い良い匂いで満たされている。その中を歩くのはまさに「春を満喫」で、とても気持ちが良かった。

ふと、昨日の行程の辺りで同じように園芸用の樹木畑が続いていたあの場所とこの里は実は直線距離で行けばほとんど真横だと気がついた。あそこの木々を育てているのもここの同じ農家さん達なのかもしれない。

みちのく潮風トレイルのルートは、その土地々々の名所をなるべく繋ぐように設定してあるのだろう。「新地町の山」鹿狼山の後、ここの里ではその最初が先程の真弓清水だ。
この辺りの里は山からのよい水の恩恵を受けている場所なのか、地図を見ると周辺には真弓以外にも幾つかの「なんとか清水」があり、私達が次に向かっているのはそのうちの一つだった。

次の清水は行く手に端が見えてきたため池の脇にあるはずだった。大きなため池で、野球場サイズかそれ以上の大きさはあるだろう。池の周囲を何十本もの桜がぐるりと囲んでいるが、まだようやく2分咲きというところだろうか。
代わりに、池の遊歩道への入り口脇の小さな丘の植えられた色の濃い桜は早咲きの種なのか、いずれも見事に満開だった。ピンクが濃いので青空をバックに良く映える。遠目で見てもきれいだったが、花の近くまで来ると「おお〜」と声が出るほど感動モノの華やかさだった。
山の中でもカタクリやスミレが満開、園芸の里でもきれいな花々、そしてこの桜と、今日は春の花を満喫のラッキーな日だ。
池の周囲の桜にはびっしりと大きく膨らんだ蕾がついている。1週間か2週間後の満開時には、ここはどれほど美しい場所になるだろう。きっと花見客で大賑わいに違いない。

次の湧き水、右近清水はため池の南西角にひっそりとあった。ここでもまた別の地元の人がタンク持参で水を汲みに来ている。間違いなくここら辺りは水の良い土地のようだ。
桜の名所の脇というロケーションもあって、こちらの方がよく知られている湧き水なのだろうか。お社が祀られた屋根付きの休憩所もある。右近さんは伊達家と繋がりがある人物らしく、歴史的背景の説明板の内容は確かに興味深い。むしろさり気なくぼかされている部分のストーリーを詳しく知りたい。

ため池の周囲には自販機は見当たらなかったが、遊歩道を抜けて里の道に戻るとすぐに道の脇に立っている1台を見つけた。近くの『ボヌールやすひろ66』さんでパンでも買えないかと期待していたが、残念ながら土曜日は定休日で閉まっていた。
あちこちに散らばる畑の脇が少し高くなっている場所に座って小休憩をとりつつ、自販機のドリンクと持参してきた携行食で軽い昼食にした。

みちのく潮風トレイルのルートはさらに海に向かっていく。もう園芸農家さんの地域は過ぎてしまったのか、次の場所は広大な田園地帯で、まだ水の入っていない耕された土だけの田んぼがどこまでも続いていた。

昨日同様、ここら辺りでも家々の屋根にはブルーシートが目立つ。実際に屋根やさんが補修作業中の家も幾つか会った。見たところ瓦屋根からもっと軽めの屋根に総変更している最中の様な家もある。神社の鳥居が落ち、私達が歩いている道路にも長く大きな亀裂が走り、2月3月の大型地震の爪痕はまだ生々しかった。

海に近づき、高架の常磐線の下をくぐるところで、道路脇にこちらに裏側を向けた標識がささやかに立っていた。
通り過ぎながら振り返って表面を見ると、上の標識には「福島県」下の標識には「新地町」とある。なんと、どうやら私達はもう宮城県の山元町にいて、これであっさりと福島県を出てしまったらしい。

みちのく潮風トレイルは東北の太平洋側4県にまたがるロングトレイルとはいえ、圧倒的大部分は宮城県と岩手県だ。岩手はわかる、元から都道府県の面積では絶対王者・北海道に次いで全国第2位の広さを誇る、しかも縦長の県だ。だが、一応総面積全国第3位、知られざる大型県の福島県部分がたったの1日半で終わってしまうというのはどういったことなのだろう。せっかくだったら福島県の南端からずっと歩いてみたかった。(この時点ではふくしま浜街道トレイルはまだ存在していない)

2023年、ふくしま浜街道トレイル が開通。福島県の太平洋岸沿いを北から南まで歩けるトレイルが誕生した。(ただし立ち入り禁止区域の通過時は電車利用が公式)

ルートの北部は、みちのく潮風トレイルの南側起点(相浦環境公園)に直結。相馬市と新地町内のルートはみちのく潮風トレイルのルートと同じルートをたどるが、右近清水のある新地町谷地小屋地区内の龍昌寺付近からは、みちのく潮風トレイルのルートとは分かれて独自のルートで北側起点(磯山展望緑地)へと向かう。

私達が歩いた当時に抱いた「福島の南端からずっと歩ければ良いのに」という感慨は、今では実現し東北の太平洋岸を福島南端から青森の八戸までが繋がったトレイルとなった。
次の願望は八戸から下北半島の北端・大間町までの延伸だろうか。(2025年時点、八戸から内陸の十和田方向へのトレイルは計画中らしい)

閑話休題。

宮城県内に入って程なくすると、新しくきれいな車道・県道38号相馬亘理線を横切る。横断歩道も信号もない部分を渡るので、公式マップブックでも注意表記があるが、週末のためか両車線ともに全く車の影もなく、悠々と渡ることができた。
地図上ではここから斜めに道があるように見えるが、実際は整地された空き地が広がっている。空き地なので無理やり斜めに横切れないこともないが、わざわざそこまでする意味もなく、脇の細い道を回り込んで向こう側へ行った。昨日のスルーハイク初日の序盤からいきなり出てきた大幅なルート変更と比べれば、こんな程度の修正などゼロに近い誤差だ。

そして、私達は向こうの地平線の果てまでどこまでも続く広大な空き地の端に立っていた。
右手の海側に数百メートル離れた部分は土手の上に格子の柵が備え付けられた防波・防風堤が続き、海は見えない。後はひたすら建物も樹木もない平たい土地だ。枯れた黄色い草地が広がるそんな荒野に、妙にきれいな細い道路と電柱が続いているのが余計に風景の寒々しさをかきたてている。

風景は寒々しいが、実際の気温は真逆だ。ここまで来ると太陽は完全に今日は天気予報に反抗する日と決めたようで、澄み渡った空でギラギラと輝いている。何が「時々雨の可能性」だ。地図によると、この遮るものなき直射日光の大地はこれから数kmは続く。間違いなく、暑い。しかも私達2人とも水も他のドリンクも飲み尽くしてしまっていた。

みちのく潮風トレイルのルートはこの荒野をつっきる新しい道路上だが、すぐ横の空き地の端に作業用か砂利道が並走している。少なくともアスファルトからの熱波を避けるため、砂利道の方を歩くことにする。風も吹いているので、きっとなんとかなるだろう。
少し先に、この荒野で視界に入る唯一の建物があった。見たところ事務所か大きな倉庫だろか。こういう田舎の会社のオフィス前には従業員用の自販機が置いてあることが多い。いや、お願いだから置いてあってくれ。すがるような思いで近づくと、敷地脇に見慣れた真っ赤な四角い箱が…

— あった!しかも2台も!ありがとう。

建物は倉庫ではなく自動車の整備会社さんで、特定のブランドの自販機ではなく様々な種類が入っている。しかもこの自販機、小さな缶だけでなく大容量ペットボトルまでほとんど100円なのだ。なんと素晴らしい!みちのく潮風トレイル全ハイカーの救世主。

その場で缶ドリンクを体に流し込んで当座の潤いを補給した後、今後の保険用にペットボトルを購入。私はこの頃ハイキング途上の飲み物としてハマっていたメロンソーダだ。

風が時折ひゅ〜っと鳴る空き地を延々と2km半ほど歩く間に、ずっと地平線上に見えていたオレンジ色の何かが少しずつ形を表し、はっきりと何かの建物だとわかるようになった。巨神兵がグーグル・マップをちらりと確認して「何か…博物館?」と言う。(マップの記号だけを見たらしい)
こんなところに唐突に博物館?といぶかりながら近づき到着した時には、最近の小学校によくある感じの建物だった。— ただし、半壊している。

「震災遺構 中浜小学校」は宮城県南部では唯一残っている3.11の震災遺構らしい。
ここに来てようやく、私達はみちのく潮風トレイルのスルーハイク開始後初めて、津波で全消失した町の跡地を歩いていたのだと気付いた


小学校の門の中に立っていたスタッフジャケットを着たおじさんが「どうぞどうぞ、中に入ってください」と声をかけてくれた。私達は幸いなことに、スルーハイク中でも日数的制限は気にせずとも良く、スピード重視でもないので、ルート途上にある名所や史跡はなるべく立ち寄ることにしている。おじさんは、私達が四国から来たと聞くと「え!あんな遠くから!」とびっくりしている。みちのく潮風トレイルをいっきに歩いてる途中だと言うと、さらに驚いていた。入場料を払いに入った事務所でも、窓口の女性が全く同じ反応をした。コロナ中でなくても、東北↔四国は確かにものすごく遠い感覚がある。もっとも、四国は日本全国どこからでも— 関西からですら — 「遠過ぎ」扱いをされているのだが。

事務所の中にはきれいなトイレと自販機もあり、ありがたく使わせていただく。飲み物はまだ残っていたのでここでは買わなかったが、小学校に立ち寄らない、または営業時間外であれば利用できないので、やはり先程の荒野の自販機2台はとてもありがたい存在だ。

外から見ると半壊程度に見える小学校の建物だが、内部は全壊だ。
1階から2階の元教室だったフロアを案内看板を読みながら全て見て回った後、資料館になっている元図書室へ。また別のスタッフジャケットのおじさんが、この後ドキュメンタリー映画の視聴と当時学校にいた生徒・教師全員が避難した屋根裏のガイドツアーはどうですか誘って下さった。
時間が許せばじっくり見たいのは山々だったが、この先まだまだ道は残っている。最終的に電車でホテルに戻る以上、時間的な制約もあり先に進むこととした。

再び元は町だった野原に戻り、さらにもう2km弱歩くとようやく坂本川に到達した。
私達が歩いてきた道は、公式マップブックでは重機やトラックの往来に注意となっているが、週末のためかだろうか工事はおろか人っ子ひとり見かけずひたすら風の音のみの静かな場所だった。

さて、坂元川に着いた所で、渡るはずの小さな橋が無い。
坂元川の河口付近は護岸整備中で、橋があったはずの土手は両側ともまたらしいコンクリブロックできれいに固められている。
代わりに架けられた新しい大きな橋を渡り、川沿いにまっすぐ伸びる土手道を歩いた。
本来のルートはどれの横に広がる農地の向こう側の道なのだが、元あった橋からそこに続いていたであろう階段か坂道は完全になくなっている。きれいにならされた土手の斜面を無理やり下りることもできるが、そこまでしなくとも農地の向こうのあの道はすぐに私達が今歩いている土手道に合流するのだ。

今度は内陸に向かって歩いているので、再び常磐線の高架ををくぐる。高架の上はちょうど坂元駅だ。駅前には郵便局と並んでコンビニがあり、ふと「そういえば最後にルート上でコンビニを見たのはいつだっただろう」と考えてみると、なんと昨日鹿狼山に向かう前のあの私が転んだところのコンビニだ。つまり鹿狼山の上り下りを含んでほぼ25kmコンビニがなかったこととなる。
北向きにせよ南向きにせよ、公共交通機関での行き来をしないハードコアなスルーハイクの場合は、補給点に要注意の区間だろう。

ゴールまでの最後の5kmは国道6号沿いの歩道だ。この道はさすがに週末でも車の往来が途絶えない。
6号沿いを歩き始めてすぐに、後ろから私達を追い越した1台のミニバンが突然前方数mのところで路肩に停まった。電話でもしているのだろうと思いながら、通り過ぎかけていると、車内から男性が1人下りてきてこちらに手を降った。

これが四国ならば、お遍路へのお接待文化でこういうことは日常茶飯事だが、ここは遥か遠い東北。かと言って私達の知り合いがいるはずもない。

なんとこの男性は、みちのく潮風トレイルの名取トレイルセンターのセンター長だった。
スルーハイクを始める前、準備段階から何度か質問や数日後に待ち受ける「特別渡船」の予約などでお世話になっていた方だ。ネット上ではやりとりしていても、対面ではお会いしたことはなかったので、まったくわからなかった。(この特別渡船の予約については、スルーハイク7日目で明らかにする)

彼ともう一人のスタッフの方はこの日たままた相馬市で用事があり、今は名取に向かって戻っている途上だったという。
私達が昨日からスルーハイクを開始し、相馬の南側起点を出発したのはSNSを通してご存知だったので、「だったら今日の今頃ならここら辺にいるのではないかと思って、車から道沿いを注意して見ていたら、それらしいお二人が歩いていたので」と、センター長は優しく笑いながら真相を明かした。

ずっと気にかけて下さっていたとは、本当にありがたい。今この瞬間にちょうど国道6号を歩き始めたので、私達がもう少し遅ければすれ違っていただろう。素晴らしい偶然だ。

私達夫婦は、はっきり言って目立つ。それは東北の太平洋沿岸の田舎町だけではなく、どこに行っても人目を引くのは避けられない。なにしろ普通の平均的身長体型の日本人のおばさんと、2m超えのオランダ人おじさんの組み合わせだ — まぁ実際目立っているのは巨神兵のみで、私はおまけなのだが。
だから、私達は「人目が気になる」という感覚があまり無い。いちいち気にしていては文字通り生きていけない。特に巨神兵は高身長の国オランダでもひときわ高いのだ。幼い頃から「見られて当たり前」の人生を生きてきた。

人目を気にしないと言っても、隠れて何かをするという事はできないし、たまに変な絡み方をしてくる輩もいる。巨神兵にとって日本はサイズが大きすぎるせいでできない(入らない)事だらけで、身長も高すぎると得よりも圧倒的に損ばかりなのだ。

それでも、目立っていることでこうして見つけてもらえたのだから、悪いことばかりではない。

センター長さんと一緒に写真を撮らせてもらい、絶対に次は名取トレイルセンターでお会いしますと約束し、再び帰路に着くお二人の車を見送った。

私達が昨夜から今夜と2泊しているホテルグラード新地は新地駅の真ん前だ。新地駅は新しい駅なのだろうか、駅前にコンビニも店もない。今夜の夕食はホテルに隣接の『つるしの湯』の食事処で食べるが、おやつや明日の携行食などは電車に乗る前に調達する必要があった。

グーグル・マップで店を探すと、この国道6号沿いにコンビニが1件、そして本日のゴールである山下駅の真ん前にスーパーが1件。

選ぶも何も駅前にスーパーあるならそこ一択だろうというのが当然の見方だが、私達はコンビニでの買い物を選んだ。たとえ結果として、巨神兵が思いレジ袋を下げて最後の2.5km歩くことになったとしても、だ。

実はこの時点で私達は時間的にはかなり焦らざるを得ない状況になっていた。中浜小学校やトレイルセンターの人たちとの偶然の遭遇で思った以上に時間を費やし(もちろん有意義な時間だった)ため、山下駅から乗りたい電車にはギリギリかもしれないというペースになっていたのだった。
ちなみに、夕食の買い物は心配いらない。今晩のおやつも、確かに不可欠ではない。ただ、明日3日目の行動食は今絶対に買っておかなければならなかった。

駅前についた時点で実は買い物をしている時間が全くありませんでした、となる事態は避けたい。ましてスーパーは夕方の混雑時間でもあるだろう。初めてで勝手のわからない店で欲しいものを探すのも、小さなコンビニよりも大型スーパーの方が時間がかかるはずだ。
たとえ(巨神兵のみが)重い荷物を運ぶことになろうとも、まずは食料を確保してそこからできる限り早足で行くのが安全だろう、なんなら最後はダッシュになっても良い。

振り返れば、1本逃してもこの時間帯は30分に1本は来るので、待てばよかっただけの話なのだが、けっこう偏食の巨神兵の好物がコンビニにしかなかったという要因も付け加えておこう。

山元町役場前の交差点で海側にある駅の方角に曲がったところで、一旦みちのく潮風トレイルのルートから外れる。明日は駅からここまでまた戻ってきてスルーハイク再開だ。
やはり、駅前のきれいなスーパーに差し掛かった時には時間はギリギリで、中をのぞいてみることもなく急ぎ足で駅構内に入った。

みちのく潮風トレイル・スルーハイク2日目、歩いた距離は約27km。

昨日に鹿狼山の登山口まで行けていなければ、手前の坂本駅までが精一杯だったはずだ。そうなっていれば、明日の3日目が非常にきつくなり、まして偶然に名取トレイルセンターの人たちに会えることもなかっただろう。

鹿狼山の山道から出た後は、ルート上はほぼ舗装道路だった。昨日は全然足の痛みがないと大口を叩いていた私だが、今日はさすがに足裏が痛くなってきた。そこに加えて鹿狼山から下山時の2箇所の急坂をトレッキングポールなしで下りたのが、若さなどとっくに失った膝にあまりよろしくなかった。総じて、冬の間ダラダラしていたツケがしっかりと身体に表れてきている。

つくづくホテルグラード新地に温泉『つるしの湯』があって良かった。一日の終りにゆっくりお湯につかって足腰を癒せるかどうかは死活問題だ。
予定通り、温泉内の食事処で美味しい夕食を食べた後、部屋に戻って今日は持っていく必要がなかった荷物全てをザックに入れ直す。
明日からは、また総重量を背負って歩かなくてはならない。

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