雪山初めての長女と、立山へ雷鳥撮影へ

- GPS
- 03:53
- 距離
- 4.9km
- 登り
- 456m
- 下り
- 468m
コースタイム
| 過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
|---|---|
| アクセス | |
| 予約できる山小屋 |
立山室堂山荘
|
写真
感想
袈裟丸山でアカヤシオを堪能した日の翌日、私はまた立山にいた。先日立山から帰って来てわずか3日後。
事の発端は2ヶ月ほど前。長女に「お母さん、白い雷鳥ってどこで撮れるんだろう?」と言われる。「お母さん、4月末に山岳会で立山に行くけどそこで見られるよ」と返すと「私も行きたい!」と。
山岳会の山行に雪山を歩いた事のない娘を連れて行くわけにはいかないのでそれは断ると、「どうしても行きたい!」とのことで譲らない。最初こそ「2回は無理だよ」と言っていたものの、長女の熱意を聞いているうちに、高校生のうちに雪の立山で雷鳥撮影にチャレンジするという後押しをしてあげても良いのではと思い始めた。
とはいえ、雷鳥が見られる富山県の室堂に行くためには、長野側から入る「扇沢」という駐車場まで家から4時間半ほど。そこからアルペンルートで電気バス、ケーブル、ロープウェイ、再びバスを乗り継ぎ、自宅から6時間以上はかかる。アルペンルートは往復1万円を超えるし、1週間のうちに2回も室堂に行くなんてと、決断にはなかなか勇気いる。それでも行くと決断したのは娘の熱意に押されて。
決断してからも不安がいっぱいだった。連休真っ最中でものすごく賑わう中、雪山を登ったことのない娘を、3000m峰の山々が立つ場所に1人で引率出来るのか?雷鳥を撮るためには平坦な道ではなく、斜面を登らなければならない。娘にも「簡単なルートではないよ?かなり大変だよ?」と何度も念を押すも、「雷鳥のためなら頑張れる!」との返事に私も根負けした。
当日は朝4時に家を出て(袈裟丸山から帰って来てわずか7時間後…)、予定通り9時前には扇沢に着き、予想通りの人混みの中何とかアルペンルートを乗り継ぎ、室堂に着いたのは10時半ごろ。この日はこれ以上ないくらいの快晴。真っ青な空に立山の3000m峰の山々が美しく、3日前に見られなかった景色に、単純な私はやっぱり来てよかったと思い始める。時間的に雄山往復は無理と諦め、途中の一ノ越山荘を目標地とする。
一ノ越までの道もなかなかのハード。この日は気温が高く、シャーベット状になった滑りやすい雪の上を歩くだけで体力が奪われる。娘は更に3kgを超えるカメラとレンズを首から下げている。娘を励ましながら進むと、途中で雷鳥らしき姿が。娘は夢中で斜面を登っていく。その姿を遠目に見ながら、とても雪山始めてとは思えないなと、雷鳥を撮りたいという熱意でここまで来た娘に関心する。
娘があまりに夢中になっているので、私は少し先に行きたくなった。幸い周囲が見渡せる場所だったので、「お母さん先に行ってていい?」と言うと、「私はもう少しここで雷鳥を撮る」と。私はそのまま一ノ越山荘まで登った。途中、滑りやすいトラバースもあり、急登もあって娘はここまで来るのは無理かもと思う。雷鳥を撮る目的は達成出来たようだから、私は行けるところまで雄山を登り、途中で引き換えしてこようと、歩みを進める。
結局、私は2800mくらいの地点でタイムアップ。快晴の中、雄山頂上まで行けなかったのは残念だったけど、3日前に登っているのでまあ良しとする。さて、娘を迎えに行こうと一ノ越山荘まで降りると、「お母さーん!」と娘の声と笑顔。あの重いレンズを下げてここまで来たのかと、これにはびっくり。
「よくここまで来たね?」と言うと「だって小屋が見えてるんだもん、頑張ろうと思ったよ。でも小屋見えてるのに中々着かなくて長かったー!」と笑う娘を見ていたら、ちょっと涙腺が緩んだ。
娘は私が雄山に登っている間に、いつもの如く周りの人たちとすっかり仲良くなっていた。「すごいカメラだね!大学3年くらい?」と言われたり、社会人と間違われたりする度に「高校2年生なんです」と自己紹介すると、ものすごく驚かれていた。私も周囲の人たちとニコニコ会話をする娘を見ていると、ここに連れて来てやっぱり良かったと、改めて娘の熱意と頑張りに感心する。
下山前に、「お母さん、イワヒバリは撮れなかったね」「イワヒバリは雄山の山頂あたりで見たよ。もっと登らないと。今日は無理だね」と会話を交わした。すると、目の前にイワヒバリが三羽現れ、これには本当に驚いた。娘も大興奮で「私の言葉がわかるの?」と嬉しそうにレンズをむけていた。生き物が小さい頃から大好きなこの子には、こんな風にナウシカのような瞬間がたまにあって驚かされる。
目標を達成出来た娘の下山の足取りは軽かった。あっという間に室堂に到着。途中、雷鳥沢キャンプ場面のテントサイトがカラフルで「可愛い!」とシャッターを切る娘。いつかあのテントサイトに泊まってみたい。
下山後、お母さんが登山する人で本当に良かった!冬の雷鳥が撮れるなんて夢見たい!」との言葉に嬉しくなる。2年前に雪山を始めた事が、娘の夢をかなえる事に繋がるなんて、私も夢にも思わなかった。
今回、少し無謀とも言えるチャレンジを娘としたけれども、娘の師匠の写真家さんからは「ののちゃんの青春の1ページに深く刻まれましたね」と言われ、本当にそうだといいなと思いながら、バスに揺られて眠る娘の横顔を眺めていた。
これで私の今年の雪山は終了!最高の天気の中、娘との楽しい雪山歩きを楽しめた。
nagatani1975




いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する