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Yamareco

記録ID: 7798582
全員に公開
アルパインクライミング
大山・蒜山

三鈷峰西壁、通称γルンゼ単独登はん

2025年02月14日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
06:11
距離
9.4km
登り
1,072m
下り
1,079m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
4:35
休憩
1:37
合計
6:12
距離 9.4km 登り 1,072m 下り 1,079m
6:18
1
スタート地点
6:27
6:28
11
6:39
6
7:20
7:34
31
8:05
8:06
114
10:00
10:54
5
10:59
11:04
17
11:21
11:30
3
11:33
11:39
22
12:12
12:15
3
12:18
5
12:23
12:24
3
12:27
12:29
1
12:30
ゴール地点
天候 くもりのち晴れ。大山の麓は−1℃(6時)。風はあまりない。
過去天気図(気象庁) 2025年02月の天気図
アクセス 南光Pに駐車。
コース状況/
危険箇所等
※アイゼンと右手に縦走用ピッケル、左手に沢登り用のハンマーで登りましたが、一般的にはアルパインクライミング用の柄が曲がったピッケルを使うのが普通のようです。
※単独とはいえ、ハーネス、アイススクリュー、スリング等を準備せずにいきました。推奨はしません。

 2015年あたりに大山の雪山登山は一度終えていた。長女が2歳、長男が産まれてすぐくらいの頃である。別に子供ができたから雪山をやめたわけじゃないが、結果としてリスクのある雪山をしなくなった。当時私は「三鈷峰の西壁、γルンゼをしたら雪山は終わってもいいかな」と思っていた。
 今回は10年越しの挑戦である。運転しながら向かっている最中、お腹がどうも痛くなってきた。あっと思い出す。毎回山の前に服用している整腸剤を飲んでいない。それでもトイレで排便が少しあった。以後は水分摂取、保温などいつもより気をつかうようになる。
 2日前と同じ計画なので、準備がスムーズだった。前回より20分早く出発する。ユートピアルートの入口から踏み跡はない。前回はボードらしきシュプールもあったのだが。ただ、はまりこみは浅かった。30センチも雪が少なくなっているせいだろう。
 宝珠尾根にでても、前回の吹雪を経験しているので風が弱くて心地よいくらい。中宝珠の手前の「お台場」から三鈷峰の西壁を遠望する。γルンゼの上部がガスって見えない。江府町の天気予報は終日晴れマークだったのに、さすが大山。上部は見えないが、下部の様子から柔らかい雪とシャーベット状の雪があるのがなんとなくわかった。アイスの壁面はどうなってるか登ってみないと分からない。
 8時半ごろに取りつきについた。ここでしばし小休止。パンを食べ、ワカンからアイゼンへ。下もカッパを着こむ(下は下着入れて4枚)。グローブを3重にした(メリノ薄手+ウール+防寒テムレス)。上はハードシェルの下に防寒着(ナノパフジャケット)を挟み込んだ。頭はバラクラバ+ヘルメット+ゴーグル。ツバ付きキャップも考えたが、ゴーグルとの干渉が悪いことと、登はん中に上を見にくくなるので思い切って外した。アイゼンは左右で違う商品。右手に縦走用のピッケル(レイブンプロ)、左手に沢登り用の短いハンマー(ゴルジュライト)。
 9時前に登りはじめた。序盤は斜度が緩く、柔らかい雪とシャーベットが混合した雪面にブレードを刺しながら行く。遠くには黒々した岩壁が見える。そこが中間地点に思えるが、なかなか近づいていかない。
 黒い岩壁を左手に見ながらの登はんは続く。この辺からかための雪がちょいちょいでてくる。ピッケルのピックを使う場面が増えてきた。序盤はゴルジュライトの扱い方に困っていたが、かたい雪面にはハンマーの平な部分を握りこむようにしてピックを押し当てると登りが安定することに気づいた。なんという個性的な登り方。夏の沢登りで対して活躍しなかったゴルジュライトがここにきて一番活躍している。
 そして、後半へ。沢が狭まってきて、γルンゼのノドに突入する。一気に斜度が上がり、アイスが豊富についている。右側は立ちすぎているので、左側にピックを突き刺してみた。アイスだとなかなか決まらないので、シャーベット状になっている箇所に刺す。手は決まっても、アイゼンがなかなか決まらずけっこう恐かった。
 ノドを超えても、また違うノドのような形状の箇所がでてくる。焦らず水分補給をしたり、足場を作って休んでから挑んだ。そして最後は長さのある斜度の強い壁。幸いアイスは思ったよりなく、ピックを丁寧に突きさす。ハンマーも打ち込む。所々で右側の尾根に逃げられるようだったが、この日は一番難しいルートを選んでいった。
 取りつきから1時間半で三鈷峰のてっぺんに到着。
 下りもしばらくはアイゼンとピッケルでいった。宝珠尾根に取りつくまでは、トラバースが続くためだ。厳冬期はここもバリエーションルートといっていいほどリスクが高い。勝間ケルンを目印にトラバースしていくが、上宝珠よりも少し下にでてしまったらしい。少しだけ登りかえし、上宝珠沢に下る。
宝珠尾根コースの登山口はこの日もトレースがない。ここでワカンを装着。
2025年02月14日 06:54撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 6:54
宝珠尾根コースの登山口はこの日もトレースがない。ここでワカンを装着。
宝珠尾根に取りつく。2日前は吹雪だったので、えらい違い。
2025年02月14日 07:37撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 7:37
宝珠尾根に取りつく。2日前は吹雪だったので、えらい違い。
なんと、三鈷峰の上部がガスっててγルンゼの上部も見えない。
2025年02月14日 07:59撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 7:59
なんと、三鈷峰の上部がガスっててγルンゼの上部も見えない。
この辺が北西尾根かな?
2025年02月14日 08:01撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:01
この辺が北西尾根かな?
中宝珠近くのお台場より。ルンゼの灰色になってる部分はたぶんシャーベット。あそこを手掛かりに登ろうと決めた。
2025年02月14日 08:03撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:03
中宝珠近くのお台場より。ルンゼの灰色になってる部分はたぶんシャーベット。あそこを手掛かりに登ろうと決めた。
いったん剣谷に下る。
2025年02月14日 08:08撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:08
いったん剣谷に下る。
北西尾根(だと思われる)はゴツゴツしてて僕には難しそう。
2025年02月14日 08:08撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:08
北西尾根(だと思われる)はゴツゴツしてて僕には難しそう。
この辺がαルンゼとβルンゼ? 登られた記録みたことないけど。
2025年02月14日 08:13撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:13
この辺がαルンゼとβルンゼ? 登られた記録みたことないけど。
γルンゼの取りつきで小休憩。パンを食べて上下を着こみ、ダブルアックス、アイゼンに。手袋も3枚にした。
2025年02月14日 08:21撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 8:21
γルンゼの取りつきで小休憩。パンを食べて上下を着こみ、ダブルアックス、アイゼンに。手袋も3枚にした。
レイブンプロに後輩ができた感じ。レイブンはハンドリーシュ、ゴルジュライトにはバネをつけて落ちないようにした。
2025年02月14日 09:10撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 9:10
レイブンプロに後輩ができた感じ。レイブンはハンドリーシュ、ゴルジュライトにはバネをつけて落ちないようにした。
真ん中はさらさらしてて不気味だったので、割とかたまった左側を進む。しばらく景色は変わらない。
2025年02月14日 09:10撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 9:10
真ん中はさらさらしてて不気味だったので、割とかたまった左側を進む。しばらく景色は変わらない。
岩壁は凍っている。
2025年02月14日 09:26撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
2/14 9:26
岩壁は凍っている。
黒い岩壁の右側。ここから右の尾根にも取り付けそうだが、今回はいかず。
2025年02月14日 09:26撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 9:26
黒い岩壁の右側。ここから右の尾根にも取り付けそうだが、今回はいかず。
奥にノドが見えてきた。
2025年02月14日 09:51撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 9:51
奥にノドが見えてきた。
歯ごたえがありそうだ。
2025年02月14日 09:51撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 9:51
歯ごたえがありそうだ。
右側。
2025年02月14日 09:53撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 9:53
右側。
次も難しそうな登りが要求される。
2025年02月14日 09:58撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 9:58
次も難しそうな登りが要求される。
しっかりとピックを突き刺す。
2025年02月14日 09:59撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 9:59
しっかりとピックを突き刺す。
最後の核心。
2025年02月14日 10:13撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 10:13
最後の核心。
右にもいけそうだが、より難しい左側を登る。
2025年02月14日 10:16撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 10:16
右にもいけそうだが、より難しい左側を登る。
ゴルジュライトもまさか厳冬期の三鈷峰に駆り出されるとは思ってもみなかっただろうな(もう一本あるはずのレイブンがなくて代用した)。
2025年02月14日 10:19撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 10:19
ゴルジュライトもまさか厳冬期の三鈷峰に駆り出されるとは思ってもみなかっただろうな(もう一本あるはずのレイブンがなくて代用した)。
ここを登ったら山頂。
2025年02月14日 10:21撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:21
ここを登ったら山頂。
三鈷峰山頂。1時間半で登はんは終了。昼休みは15分くらい。
2025年02月14日 10:24撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
2/14 10:24
三鈷峰山頂。1時間半で登はんは終了。昼休みは15分くらい。
北西尾根方面。
2025年02月14日 10:28撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:28
北西尾根方面。
これから下る尾根。
2025年02月14日 10:28撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:28
これから下る尾根。
2025年02月14日 10:29撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:29
下り開始。
2025年02月14日 10:49撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:49
下り開始。
γルンゼを見下ろす。
2025年02月14日 10:53撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:53
γルンゼを見下ろす。
ユートピア小屋に人がいる。このあと下りの後を単独者が追ってきてたけど、この方かな??
2025年02月14日 10:59撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 10:59
ユートピア小屋に人がいる。このあと下りの後を単独者が追ってきてたけど、この方かな??
2025年02月14日 11:06撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 11:06
下ってくる単独者。
2025年02月14日 11:17撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 11:17
下ってくる単独者。
トラバースエリアが下りの難所。滑落したら剣谷まで。
2025年02月14日 11:19撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 11:19
トラバースエリアが下りの難所。滑落したら剣谷まで。
上宝珠あたりで3人の登山者がいて、先頭の方に声をかけられる。上宝珠沢を下る。
2025年02月14日 11:43撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 11:43
上宝珠あたりで3人の登山者がいて、先頭の方に声をかけられる。上宝珠沢を下る。
大山が晴れてきた。
2025年02月14日 11:43撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 11:43
大山が晴れてきた。
中央に8合尾根。
2025年02月14日 11:44撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2/14 11:44
中央に8合尾根。
どの辺が滝沢が忘れたけど、どこからでも登れそうだ。
2025年02月14日 11:51撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 11:51
どの辺が滝沢が忘れたけど、どこからでも登れそうだ。
天狗沢には生涯行くことないだろう。
2025年02月14日 12:01撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2/14 12:01
天狗沢には生涯行くことないだろう。
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コメント

その条件でこの難コースクリアですか。。見事としか言いようがありません。
上部は急斜度に加えてアイス・ミックスな感じでしょうか?
2025/2/19 12:46
sunsundemioさん まー、いろいろ紛失するんです。アイゼンやピッケルを無くしたのはやばすぎでしたが笑 ただ、沢ハンマーがめちゃくちゃ使えて、普通に積雪期の登はんにもつかえますね。
上部は感覚的には、45度くらいで、時折70度くらいの滝(アイス混じり)がでてくるかんじですね。アイスとシャーベット、新雪みたいなふかふか雪のミックスですかね。
2025/2/25 22:48
プロフィール画像
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利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
2/5
体力レベル
1/5
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