Mount Kinabalu

- GPS
- 18:06
- 距離
- 21.9km
- 登り
- 3,042m
- 下り
- 3,087m
コースタイム
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 6:13
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 3:46
- 合計
- 11:53
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
朝6時にツアー会社のピックアップが来る。キナバルはキリマンジャロなどと同じく、現地ガイドが同伴する事が義務付けられている。キナバル公園事務所で、ツアー会社の現地スタッフに手伝って貰い、レジストレーション・ID発行をしてもらう。以後このIDカードは事あるごとに提示を求められるので、始終ぶら下げて歩くことになる。現地スタッフがガイドを連れてくると、入山ゲート(1850m)までさらにバスで移動。この時期マレーシアは雨もなく、登山の最適なシーズンなはずだが、モンスーンの影響か温暖化の影響か雨が多いとのこと。
ゲートで入山チェックをすると、いきなり下る。立派な滝を超えてから、登りにかわる。このコース、基本的には延々と上りが続く。しかも結構な急登で、やや落差の大きな階段あるいは階段状の岩を登ることになる。登山者は素人みたいな人が多く、山慣れしている感じには見えない。ただトレランのイベントなのか、ゼッケンをつけた軽装のランナーが、時折ものすごい勢いで下ってくる。日本でもトレランナーはすきではないが、こっちのランナーは声もかけずにすれ違い、ぶつかるのではないかとヒヤヒヤする。彼らは中間地点のゲストハウス(Laban Rata:3250m)まで、そのあたり日のうちに往復するようだ。さて、登山道に戻すと、基本500mおきに道標が現れ距離以外に標高もわかる。だいたい500もの縁面距離で150〜200m程標高を稼ぐ。かなり親切ではあるが、急登のため、500mといえど絶望的に長い。しかも雨混じりの天気。
4km地点にある、大きめのシェルターで昼食。シェルターは、大体1kmに1つの割合で設置され、トイレがある。多くの人は、ここを昼食ポイントとしてガイドに指示されるらしい。ゲートで渡されたランチボックスには、バナナ、ゆで卵2つ、サンドイッチ、スナック3つ、水。食べているうちに混み合ってきて、追い出されるようにシェルターを後にする。ここから暫くは、この日一番の急登。どんどん体力を吸われて、バテバテになる。5km地点からは100mおきに道標が現れるが、高低差も大きく、この100mも長く感じる。5km地点前後から、階段よりは岩混じりの道となり一歩の落差もより大きくなる。やっとのことゲストハウスのある、Laban Rataに到着。
全ての体力を吸われてしまった。情けない。ちなみに6kmで1400m登るというのは、例えば丹沢の塔ノ岳、大倉尾根で比較すると、1200mを7.8kmとなるので、登りが延々続くキツイ大倉尾根と比べても、ハードな登りとなる
Via Ferraraを予約していたので、さらに階段を登ってPendant Hutに宿泊。ガイド曰く、この状態だと、Via Ferraraは中止になるよ。と。Via Ferraraのコース(Lows peak circuit)は、Laban Rataから見える絶壁を歩くとの事で、見ると何本もの滝が激流で白濁しているのが見える。上部は完全なハゲ岩(森林限界超え)なので、止めばあっという間に枯滝になるが、少量でも降ると、土に染み込む分が無いので、逃げ場を失った雨水は、全て斜面を駆け落ちる。この絶壁がLaban Rataからはよく見える。
Pendant Hutの場合、まずVia Ferraraの講習を1時間弱受けた後、下にあるLaban Rataまで食べに行き、また元に戻って来ないと行けない。また布団の代わりに寝袋で寝る。
翌朝隣のベットの宿泊者のアラームが1時に鳴る。私の出発時刻は2:30なので、もう少し寝たかった。2時まで寝袋の中でもモゾモゾして、食堂に行くとパンとジャムが用意されている。吐き気があり、食欲がないのでエナジージェルで軽く満たして登山再開。月や星も見える絶好のコンディション。昨日の悪天が嘘みたい。小屋のすぐ先にゲートがあり、そこから岩混じりの急登+立派な階段。この立派な階段は、多分無いと、多分ロッククライマーの世界になるような、岩のヘリにつけられていて(でなければ、Via Ferraraみたいな酔狂なアクティビティもない)、一気の高度を上げる。さらにロープに完全に頼る、スラブの急登。ガイドがトレッキングポールを持ってくれて、両手でロープを掴んで登る。腕が痛くなる。岩登りの「三点支持、鎖は補助」の大原則の意味がよく理解出来る。腕の力なんて、正直何の役にも立ちはしない。その後、最終ゲートが現れ、レンジャーにIDカードを見せて通過。
レンジャー寒そう(バラクラバかぶってる)だし、こんな早朝に。
そこからは長いスラブの登り、傾斜は緩いが、標高が高いのと、昨日の疲れが全く抜けていないので、歩みは遅い。8kmの地点を過ぎると、前方に尖ったピークが、山頂部にはヘッドライトの明かりも見える。頂上の肩からは急な岩の登り。なんとか山頂に着く。写真だけ撮って少し下の安全な場所まで下りる。丁度日の出のタイミングで、辺りの全貌が明らかになる。遠くから見ると(コタキナバルから公園事務所までの送迎車の中から、明らかに他の山とは違う、異形の形をしたキナバルがよく見えるポイントがいくつもある)、遠くから見ると山頂部には巡礼者が列をなしているような不思議な形をしている。上まで来てみると、その巡礼者達はあまりに巨大だ。山頂ピーク群の中に、日本語がついているものがある。Oyayubi peakと呼ばれるもので、日本隊が初登頂した事に由来しているらしい。Pendant Hutの部屋にもこの名前がついているものがあった。
ここでガイドから、Via Ferraraをやるのかやらないのか、決めてくれと聞かれる。この二日間の疲労状態が半端では無いため、Via Ferraraが出来る体力を心配している。無理をすれば出来なくは無いと思うが、一度始めたら、途中で、「もう出来ません」、というのはない。長考の末、結局キャンセルを決める。どっちかというとVia Ferraraの方を楽しみにしていたので、残念でならなかった。
下りはこれまで真っ暗だった景色がよく見え、興味深い。どうもマグマの通り道が冷えて固まって、隆起に伴い、表層部が削り取られた地形のように見える。景観としてはダイナミックでユニークなものだった。小屋に戻り朝食をとり小休止。いつの間にか外は豪雨。この雨の中、ゲートまで6キロ下る。拷問は続く。下りの長いこと長いこと。登山道は川と化す。岩は比較的フリクションの効く岩ではあるが、それでもスリップに注意して慎重に進む。
何とか体力の尽きる前にゲートに到着。公園事務所までの道の途中にあるレストランで昼食。送迎車でコタキナバルまで戻る。17:45。
ちなみに、今回はダイナモックスを試す、という目的もあった。前日の夜から、サミットプッシュの朝まで、半錠ずつを4回、計2錠。サミットプッシュの朝は吐き気、頭痛ともにあり、効いているのか定かでは無い(そもそも頭痛持ちなので、サミットプッシュの朝はダイナモックスと共にロキソニンも服用)。ただ登り始めれば、頭痛は感じず。頂上に滞在している時も然り。頂上から降りてきて、標高3300mの小屋に戻ってからは、症状は感じられず、普通に食事も出来た。単に高度順応しただけとも言える。
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