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記録ID: 8814873
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沢登り
北陸

【奥越】荒島岳東面 ハナウラ谷

2025年10月12日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
7.0km
登り
831m
下り
827m

コースタイム

日帰り
山行
8:00
休憩
0:00
合計
8:00
7:00
20
駐車場
7:20
310
九頭竜川渡渉 → ハナウラ谷に入渓
12:30
100
新下山コース登山道に登り上げる
15:00
駐車場
天候 曇り
過去天気図(気象庁) 2025年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
ハナウラ谷の目の前の158号線沿いに駐車場あり(5〜6台駐車可能)
コース状況/
危険箇所等
・ 九頭竜川の渡渉はハナウラ谷の少しだけ上流の平瀬で行ったが、平水状態の浅いところでも腰程度の水深。少しでも増水すると厳しくなると思われるので注意。
・ 序盤はヤブ沢のような風情だが、登るにつれてすっきりとし、中間部は20mほどのナメ滝を筆頭としていくつか滝が出てくる。両岸が切り立った中、最後に現れる7mほどの滝は自分的には直登が難しく、左岸から巻いたが、岩壁の弱点をかろうじて縫っていくような際どい巻きとなった。詰めはやや藪が濃く、かなりの急傾斜となってしんどい。
九頭竜川をはさんだ対岸の国道158号線からハナウラ谷を眺める。最上部は霧が立ち込めており見えないが、荒島岳の東陵へと一直線に鋭く切れ込んでおり、ところどころ岩壁が露出しているのが遠望され、なかなか険しい谷であることが予想される。
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九頭竜川をはさんだ対岸の国道158号線からハナウラ谷を眺める。最上部は霧が立ち込めており見えないが、荒島岳の東陵へと一直線に鋭く切れ込んでおり、ところどころ岩壁が露出しているのが遠望され、なかなか険しい谷であることが予想される。
九頭竜川を腰程度の水深で慎重に渡渉し、ハナウラ谷へ。最初は伏流しておりガレたヤブ沢の風情だが…
九頭竜川を腰程度の水深で慎重に渡渉し、ハナウラ谷へ。最初は伏流しておりガレたヤブ沢の風情だが…
すぐに水流が復活し、さっそく2段10mほどの滝。上段がどうなっているかよく見えなかったため、小さく右岸巻き。
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すぐに水流が復活し、さっそく2段10mほどの滝。上段がどうなっているかよく見えなかったため、小さく右岸巻き。
その上も断続的に小滝
その上も断続的に小滝
20mほどの多段ナメ滝。この谷では一番美しい滝だった。一部右岸をからみながら滝身を登っていく。
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20mほどの多段ナメ滝。この谷では一番美しい滝だった。一部右岸をからみながら滝身を登っていく。
立った側壁にゴロゴロと岩が挟まったような滝が続く
立った側壁にゴロゴロと岩が挟まったような滝が続く
イヤなCS滝が出てきた、と思ったが、ありがたいことに大岩の右側が簡単に登れた。
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イヤなCS滝が出てきた、と思ったが、ありがたいことに大岩の右側が簡単に登れた。
再び岩溝のような滝。大岩が詰まっているおかげで登っていける。
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再び岩溝のような滝。大岩が詰まっているおかげで登っていける。
これは左岸巻き
それほど大きな苦労もなく断続する小滝をこなしていくうちに、両岸が極度に切り立ちはじめる。ついにハナウラ谷の険しさが佳境に入ったようだ。
それほど大きな苦労もなく断続する小滝をこなしていくうちに、両岸が極度に切り立ちはじめる。ついにハナウラ谷の険しさが佳境に入ったようだ。
これは、ややこしい滝が出てきたら一発アウトだな…と思いながら、巨岩を乗り越えていくと…
これは、ややこしい滝が出てきたら一発アウトだな…と思いながら、巨岩を乗り越えていくと…
その「ややこしい滝」がついに出てきてしまった。CSの詰まった7m滝。途中までは登れそうだが、上部が微妙にハングしている。複数人パーティで確保があるなら思いきれるかもしれないが、自分的にはちょっと直登は無理。
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その「ややこしい滝」がついに出てきてしまった。CSの詰まった7m滝。途中までは登れそうだが、上部が微妙にハングしている。複数人パーティで確保があるなら思いきれるかもしれないが、自分的にはちょっと直登は無理。
両岸は絶望的に切り立っており、こりゃ高巻きも無理だ…。
両岸は絶望的に切り立っており、こりゃ高巻きも無理だ…。
正直、谷の水は早くも切れかけていて、これ以上この谷を詰めても大したものは出てこなさそうな雰囲気がアリアリ。引き返す口実が見つかってありがたい、というのが本心だった。さっそく引き返し始めると…
正直、谷の水は早くも切れかけていて、これ以上この谷を詰めても大したものは出てこなさそうな雰囲気がアリアリ。引き返す口実が見つかってありがたい、というのが本心だった。さっそく引き返し始めると…
100mほどバックしたところで、幸か不幸か、高巻きに入れそうな草付きが降りてきている箇所を見つけてしまった…。こんなん見つけたら、気になって引き返せないやん!
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100mほどバックしたところで、幸か不幸か、高巻きに入れそうな草付きが降りてきている箇所を見つけてしまった…。こんなん見つけたら、気になって引き返せないやん!
ということで、さっきまで下山する気満々だったのはどこへやら、草付きバンドを辿って左岸の高巻きに突入。しかしこの巻き、高い岩壁にあみだくじ状に走る細いバンドを辿るかなり危うい巻きで、足元は終始切れ落ちており、全く気を緩められない。
ということで、さっきまで下山する気満々だったのはどこへやら、草付きバンドを辿って左岸の高巻きに突入。しかしこの巻き、高い岩壁にあみだくじ状に走る細いバンドを辿るかなり危うい巻きで、足元は終始切れ落ちており、全く気を緩められない。
そのうち、高さ100m近くブッ立つ壁に前途を阻まれる。あーあ、やっぱりこうなったか。やっぱり下山しといたほうがよかったなぁ…と思いつつも、その思いとは裏腹に、目と足は執念深くルートを探り続けてしまう。
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そのうち、高さ100m近くブッ立つ壁に前途を阻まれる。あーあ、やっぱりこうなったか。やっぱり下山しといたほうがよかったなぁ…と思いつつも、その思いとは裏腹に、目と足は執念深くルートを探り続けてしまう。
あそこしかないな、という岩壁が低くなっているところを何とか一段攀じ登り、上も下も高い岩壁に挟まれた、あるかなきかのバンドをそろそろと上流方向へ辿っていくと…(ここらへんは当てずっぽ)
あそこしかないな、という岩壁が低くなっているところを何とか一段攀じ登り、上も下も高い岩壁に挟まれた、あるかなきかのバンドをそろそろと上流方向へ辿っていくと…(ここらへんは当てずっぽ)
なんと、懸垂なしで先ほどの7m滝の真上に出ることができた! 気乗りのしない巻きだった割には、勘だけは冴えていた。
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なんと、懸垂なしで先ほどの7m滝の真上に出ることができた! 気乗りのしない巻きだった割には、勘だけは冴えていた。
巻いてきた壁を見上げる。うーん、どこをトラバって来たか、既に分からん…
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巻いてきた壁を見上げる。うーん、どこをトラバって来たか、既に分からん…
気づけばかなり高度が上がっており、振り返るとちょっと寒気がするような谷の切れ落ちぶりだ。
気づけばかなり高度が上がっており、振り返るとちょっと寒気がするような谷の切れ落ちぶりだ。
で、肝心の行く手の様子は、完全な荒れ谷。
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で、肝心の行く手の様子は、完全な荒れ谷。
残念ながら、ガレ谷と化してしまい、もう滝が出てくる様子はない。あんなに頑張って高巻いたのに、ひどいや…(まあ、巻く前から予想してはいたけど…)
残念ながら、ガレ谷と化してしまい、もう滝が出てくる様子はない。あんなに頑張って高巻いたのに、ひどいや…(まあ、巻く前から予想してはいたけど…)
地形図で分かってはいたけど、詰めは超急傾斜! 藪っぽいルンゼのような感じでひどい状態。ひたすら泥臭いクライミングまがいの苦行を続ける。
地形図で分かってはいたけど、詰めは超急傾斜! 藪っぽいルンゼのような感じでひどい状態。ひたすら泥臭いクライミングまがいの苦行を続ける。
振り返ると、はるか下方に九頭竜川と158号線。自分の車も見える!
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振り返ると、はるか下方に九頭竜川と158号線。自分の車も見える!
灌木に絡みつかれ、ヒイヒイ言いながら、やっと新下山コースの登山道に這いずり上がった。直後、登山者が2名通過した。登山道に這い上がろうとしている場面を目撃されなくてよかった…(確実に遭難者だと思われたはず)
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灌木に絡みつかれ、ヒイヒイ言いながら、やっと新下山コースの登山道に這いずり上がった。直後、登山者が2名通過した。登山道に這い上がろうとしている場面を目撃されなくてよかった…(確実に遭難者だと思われたはず)
おまけ。ハナウラ谷の一本北側にある七反滝谷に掛かる七反滝。国道から見えます。雪解けの時期はもっと水量があって立派に見える。今回はハナウラ谷に入ってしまったけど、いつかこちらも覗いてみたいな。
おまけ。ハナウラ谷の一本北側にある七反滝谷に掛かる七反滝。国道から見えます。雪解けの時期はもっと水量があって立派に見える。今回はハナウラ谷に入ってしまったけど、いつかこちらも覗いてみたいな。

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用
・ ロープの使用場面はなかったが、険しい谷なので長めのロープ必携。

感想

 荒島岳は、標高こそ1500mそこらだが、場所によってはなかなか急峻な山容を持つ山である。国道158号を車で走りながらこの山の東側をめぐっていくと、九頭竜川の左岸岩壁から一気に立ち上がるこの山の東面の尾根や谷の険しさに目を奪われる。特に、湯上発電所から下山集落の間あたりの景観が印象的だ。
 荒島岳のその急峻な東面には3本の谷があり、どれも谷というよりはルンゼと言ったほうがぴったりくるような鋭い切れ込みで、一直線にこの山の東陵に突き上げている。中でも一番北側にある七反滝谷はかなりの落差を持つ七反滝となって九頭竜川に直接落ち込んでいて目立つ存在で、雪解け期の水量が多い時期にこの滝を国道から見かけて以来気になっており、今回も当初はこの谷に入るつもりでいた。しかし、現地で眺めていると、その一本南側で岩壁をちらつかせているハナウラ谷のただならぬ雰囲気のほうが気になってしまい、結局ハナウラ谷に入ることになった。
 事前の予想では、急峻で滝の多い谷か、それともどうしようもないガレ谷か、どちらかだろうと考えていたが、実際はその中間と言った感じで、中盤まではそこそこ滝も出てくるが、あとはひたすら藪っぽいガレ谷というのが実際だった。雰囲気的には七ザコによく似ている(七ザコのほうが滝が多いけど)。特に核心部は斧で断ち割ったようなV字谷で、滝を正面突破できなかった場合(即ち私のこと)、厳しい高巻きを強いられる。しかし、危うい高巻きをようやく終えて谷に戻っても特にごほうびが待っているわけでもなく、あとは急峻な詰めまで藪とガレでひたすらシバかれるばかり。労多くして功少なし、というか、少なくとも普通に沢登りで楽しくウェーイしたいという人にはあまりお勧めできない。荒島岳の一本一本の尾根や谷まで全て慈しみたいという、地域研究的な関心(偏愛?)のある人には是非。(私はどちらかというと後者なので、荒島岳にはこんな空間もあるということを知ることができただけでも、十分楽しめました。)

※ こんなマイナーな谷に入る人は他にいないだろうと思っていましたが、帰宅してから詳しく調べたところ、同人山猫さんが2012年7月に入渓されていることが判明! こんな谷にも先人の足跡があることが分かり、ちょっと嬉しかったです。

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