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秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ) / 男女岳(おなめだけ)

都道府県 秋田県
最終更新:ヤマレコ/YamaReco

高山植物と田沢湖の眺望に恵まれた活火山

"田沢湖から望む秋田駒ヶ岳"
"田沢湖から望む秋田駒ヶ岳"

秋田駒ヶ岳は秋田県と岩手県にまたがる火山で、日本二百名山に選ばれています。

"男女岳と阿弥陀池"
"男女岳と阿弥陀池"

複数のピークで構成されており、最高峰は標高1637mの男女岳(または女目岳:おなめだけ)で、秋田県に位置しています。他にも男岳(おだけ)女岳(めだけ)横岳などが連なります。

"馬の雪形(赤丸箇所)"
"馬の雪形(赤丸箇所)"

山名は各地にある「駒ヶ岳」と同じく、駒(=子馬、小さい馬)にまつわるいくつかの説が伝わっています。そのひとつによると、田植えの季節になると山肌に現れる雪形が馬の姿に見えることから、その名がついたとされています。また他の駒ヶ岳と区別するために「秋田」の名を冠して呼ばれています。

約10万年前に生まれた活火山

"秋田駒ヶ岳山頂部の火山地形概略図"
"秋田駒ヶ岳山頂部の火山地形概略図"

秋田駒ヶ岳は活火山で、気象庁の常時観測対象に指定されています。
山体の形成が始まった最初の噴火は約10万年前と推定され、周辺の火山と比べても比較的若い山です。その後も度重なる噴火や山体崩壊を繰り返し、現在の複雑な地形がつくられました。
山頂部には北東部と南西部にそれぞれ巨大なカルデラがあり、「北部カルデラ」「南部カルデラ」と呼ばれます。

"小岳(左)と女岳(右)"
"小岳(左)と女岳(右)"

南部カルデラの内部には女岳小岳(こだけ)、南岳が並び、これらはいずれも後からできた中央火口丘です。
一方、北部カルデラの内部には小火砕丘の男女岳(おなめだけ)が形成されています。

"馬の背"
"馬の背"

北部カルデラは南部カルデラの後に生じたもので、両者は接しています。その接合部に位置する男岳横岳は、いずれも外輪山です。
また男岳と横岳を結ぶ尾根状の地形は馬の背と呼ばれています。この区間の登山は両側が切れ落ちた岩稜歩きで、高度感をたっぷりと味わうことができます。

"大焼砂"
"大焼砂"

横岳付近の大焼砂(おおやけすな)と呼ばれる一帯や、焼森(やけもり)の周辺は、過去の噴火で噴出した火山灰や火山礫、軽石などが厚く堆積してできた裸地です。黒々とした砂礫が広がる荒涼とした光景は、火山の息づかいを感じさせます。

"日窒硫黄鉱山後"
"日窒硫黄鉱山後"

火山活動によって硫黄の鉱床も形成されました。八合目周辺には、かつて日本窒素肥料(日窒、現チッソ)が硫黄鉱山を操業していた跡地があります。山肌には当時の索道跡や滑車の残骸、支柱の基礎などが残されています。

"阿弥陀池避難小屋:内部"
"阿弥陀池避難小屋:内部"

秋田駒ヶ岳の最新の噴火は1970年から1971年にかけて、女岳で発生しました。近年も火山性地震が観測されており、駒ヶ岳八合目小屋阿弥陀池避難小屋には緊急用のヘルメットが常備されています。

麓に多数の温泉地

"乳頭温泉郷:鶴の湯"
"乳頭温泉郷:鶴の湯"

火山の恩恵は、山の麓にも及んでいます。
乳頭温泉郷をはじめ、水沢温泉郷や国見温泉など、豊かな湯が各地に湧き出しており、登山の帰りに湯を楽しむ人も多く見られます。

東北屈指の花の名山

"大焼砂:コマクサの群落"
"大焼砂:コマクサの群落"

秋田駒ヶ岳は花の名所としても知られており、新・花の百名山に選ばれているほか、「秋田駒ヶ岳高山植物帯」として国の天然記念物に指定されています。標高1700mに満たない山ですが、山頂部に高い木々はほとんどなく、高山植物の楽園を展開しています。
なかでも大焼砂は火山砂礫地で、高山植物の女王と謳われるコマクサがまとまって咲いています。

"馬場の小路(通称・ムーミン谷)"
"馬場の小路(通称・ムーミン谷)"

また男岳の南東に広がる谷間「馬場の小路」は、おとぎ話の世界を思わせる穏やかな雰囲気から「ムーミン谷」と呼ばれ親しまれています。初夏はチングルマの花が咲き乱れ、訪れる人を魅了します。

"かたがり泉水"
"かたがり泉水"

山頂部には阿弥陀池駒池のほか、かたがり泉水など、火山活動で生じた窪地に水がたまってできた池が点在します。
池と周囲に連なる峰々のライン、そして高山植物が織りなすコントラストは、美しい風景をつくり出しています。

開放感あふれる山頂部

"男女岳山頂"
"男女岳山頂"

秋田駒ヶ岳の山頂部は開けており、眼下には日本一深い湖の田沢湖が広がります。

"男女岳山頂より望む岩手山"
"男女岳山頂より望む岩手山"

また周囲の火山地形を一望できるほか、岩手山八幡平早池峰山など、東北北部を代表する名山をよく望むことができます。

駒形神を祀る霊山

"男岳山頂"
"男岳山頂"

秋田駒ヶ岳は古くから人々に崇められており、かつては女性の立ち入りが禁止されていました。
男岳の山頂には駒形神社が鎮座しており、駒形神が祀られています。

"浄土平"
"浄土平"

山域には浄土平や阿弥陀池など、信仰に由来する地名もあります。

"秋田駒ヶ岳山開き:記念登山でのピッケル交換"
"秋田駒ヶ岳山開き:記念登山でのピッケル交換"

毎年6月1日の山開きには、登山口で神事が執り行われ、その後、登拝が続きます。登山隊は秋田県仙北市側と岩手県雫石町側の2つの登山口からそれぞれ出発し、男岳を目指します。山頂で出会った両隊は、互いにピッケルを交換して安全登山を祈念します。

男女岳への王道ルートは八合目から

"駒ヶ岳八合目:八合目小屋"
"駒ヶ岳八合目:八合目小屋"

秋田駒ヶ岳にはいくつかの登山口がありますが、代表的なのは北部カルデラの北端近くの駒ヶ岳八合目と、南麓の国見温泉です。
とくに駒ヶ岳八合目は、比較的短時間で山頂部に登ることができ、駐車場や路線バスの発着所、売店、駒ヶ岳八合目小屋も整備されています。
アクセスの良さもあり、多くの登山者に利用される人気の登山口です。

"駒ヶ岳八合目:バス乗車待ちの行列"
"駒ヶ岳八合目:バス乗車待ちの行列"

ただし夏季の全日と秋季の週末にはマイカー規制が実施されており、該当日にはJR田沢湖駅から路線バスが運行します。バスは途中で田沢湖高原温泉を経由するため、マイカーをこちらの駐車場に置いて乗車することもできます。

"男女岳登山道概要(新道コース〜男女岳〜シャクナゲコース)"
"男女岳登山道概要(新道コース〜男女岳〜シャクナゲコース)"

最高峰の男女岳を目指す際は、登りに「新道コース」、下りに「シャクナゲコース(焼森コース)」と呼ばれる道を利用するのが一般的です。

"片倉展望台"
"片倉展望台"

新道コースの途中にある片倉岳展望台は、眼下に田沢湖を望む休憩スポットです。

"阿弥陀池"
"阿弥陀池"

阿弥陀池まで辿り着くと、池畔には木道が敷かれ、阿弥陀池避難小屋が建っています。
男女岳の山頂に登頂後は、再び阿弥陀池まで戻ります。

"焼森"
"焼森"

下山にシャクナゲコースをとる場合は、横岳を経て焼森へと下ります。焼森は、大焼砂と並ぶ火山砂礫地で、黒褐色の荒地が広がっています。

"シャクナゲ"
"シャクナゲ"

焼森から下部にかけての登山道では、その名のとおり初夏はハクサンシャクナゲシラネアオイの花が咲き、森の中を華やかに彩ります。

組み合わせ自由な周遊コースも

"山頂部の周遊ルートの一例(赤線)"
"山頂部の周遊ルートの一例(赤線)"

秋田駒ヶ岳の山頂部は複数の登山道が交差しています。
多彩なルート取りが可能で、たとえば駒ヶ岳八合目をスタート地点として、男岳やムーミン谷、大焼砂などの主な見どころを周遊する登山もよく行われています。
登山口 駒ヶ岳八合目小屋
中生保内登山口
国見温泉
田沢湖スキー場前バス停
周辺の山小屋 阿弥陀池避難小屋
駒ヶ岳八合目小屋
基本情報
標高 1637m
場所 北緯39度45分40秒, 東経140度47分57秒
カシミール3D
山頂
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ)とは、秋田県仙北市と岩手県岩手郡雫石町に跨る活火山。南西側と北東側に異なる火口(噴出中心)をもつ複合火山である。日本二百名山の一つでもある。
山頂部には2つのカルデラがあり、中南部に位置する南部カルデラと北部に位置する北部カルデラがある。このうち南部カルデラには女岳(めだけ)、小岳(こだけ)、南岳(みなみだけ)の3つの中央火口丘がある、1,637m)などの複数の小火砕丘が存在する
各地の駒ヶ岳と区別するために秋田駒ヶ岳と呼ばれ、地元では「秋田駒(あきたこま)」とも呼ばれる。昔は女人禁制の信仰の山であった。
十和田八幡平国立公園に位置しており。なお、秋田駒ヶ岳の南に隣接して真木真昼県立自然公園がある
乳頭山(岩手県側では烏帽子岳と呼称)からは山頂が広い湿原となっている小白森と大白森を経て八幡平へ繋がっている。尾根が登山道となっており、間には避難小屋も整備されているので縦走に便利である。秋田駒ヶ岳から乳頭山への縦走路から外れたところには千沼ヶ原と呼ばれる大きな湿原がある。
標高が低いため正確な意味では高山帯を持たないが、頂上効果によって広大な偽高山帯が発達している。山頂一帯に咲くヒナザクラやタカネスミレ、コマクサ、エゾツツジなどの数百種類の高山植物群は、1926年(大正15年)2月、秋田駒ヶ岳高山植物帯として国の天然記念物に指定された。

付近の山

この場所に関連する本

この場所を通る登山ルート

「秋田駒ヶ岳」 に関連する記録(最新10件)

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2025年10月19日(日帰り)
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mdhappy, その他1人
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2025年10月18日(日帰り)
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2025年10月18日(2日間)
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2025年10月17日(日帰り)