前穂高岳(まえほたかだけ)
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最終更新：ヤマレコ／YamaReco
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唯一長野県に属する穂高の岩峰
前穂高岳は、北アルプスの穂高連峰を構成する一座で、標高は3090mです。
穂高連峰は奥穂高岳を主峰とし、北アルプス南部に連なる山々の総称です。長野県と岐阜県の境に位置していますが、その中で前穂高岳のみが県境をまたがず長野県に属しています。
この山岳エリアは急峻な岩壁や切り立った稜線が特徴的で、古くより多くのクライマーを惹きつけてきました。
前穂高岳においては、山頂から奥又白池にかけての東壁や、北尾根の末端に発達する屏風岩が登攀対象として知られています。さらに東壁は、作家・井上靖（いのうえやすし：1907-1991年）の長編小説「氷壁」の舞台です。この物語は、実際に発生したロープ切断事故の「ナイロンザイル事件」から着想を得て書かれています。
南北に長い山頂
前穂高岳の山頂は南北に長く、ごつごつとした岩場です。
ここからの眺望はアルペンムードにあふれ、穂高連峰から槍ヶ岳へと連なる迫力のある稜線を間近に望むことができます。
さらに焼岳や常念岳といった北アルプスの名峰が広がり、雄大な大パノラマが展開します。
遠くは白山や八ヶ岳、南アルプス、さらには富士山も見通すことができます。
また眼下には氷河地形の涸沢を一望でき、高度感あふれる景観も楽しむことができます。
定番ルートは岳沢から重太郎新道を経て
前穂高岳を目指すルートでまず挙げられるのは、上高地から岳沢を経て、重太郎新道を登る道のりです。
一般登山道ですが難易度は高く、三点支持など岩稜歩きの基本技術を身に着けて臨む必要があります。
上高地から岳沢小屋へ向かう道は、沢地形に沿って伸びています。樹林帯の中を進みますが、足元は大小の岩が転がっています。
途中に現れる風穴は、岩の隙間から冷気が吹き出す天然のクーラーです。
岳沢小屋の手前では、広い沢に大小の岩が折り重なるガレ場を横切る区間があります。
岳沢小屋は、穂高の岩峰群を正面に望む絶好のロケーションです。
このルートで立ち寄れる唯一の山小屋で、テント場も備えています。
この先から「重太郎新道」が始まります。つづら折りの急登や鎖場が連続して険しさがありますが、上高地と前穂高岳を最短で結びます。
この道を拓いた今田重太郎（いまだじゅうたろう：1898-1993年）は山案内人で、穂高岳山荘の創設者です。登山者の安全を守る目的から小屋を建て、登山道の整備にも尽力しました。
紀美子平（きみこだいら）は、前穂高岳と奥穂高岳の分岐点です。
地名は今田重太郎の養女・紀美子にちなんでおり、ここで今田夫妻は登山道開拓の傍らで幼い娘を遊ばせていたそうです。
紀美子平から前穂高岳までは、1本道の岩場です。登山道は前穂高岳で行き止まっています。
奥穂高岳も踏む周回登山も人気
上高地を起点に、前穂高岳と奥穂高岳の両峰も巡る周回登山も人気があります。
岳沢から前穂高岳へ登った後は、紀美子平へ戻り奥穂高岳を目指します。
2つの山頂を結ぶ稜線は、吊り橋のように大きな弧を描いており、吊尾根と呼ばれています。
奥穂高岳から穂高岳山荘の区間も、梯子や鎖場があり難易度の高い場所です。
穂高岳山荘からは、支尾根を意味する「ザイテングラート」を伝って涸沢へ下ります。
涸沢は涸沢ヒュッテと涸沢小屋、そして広大なテント場がある登山の一大拠点です。
ここからは鋸歯のようにぎざぎざとした前穂高岳北尾根の岩峰群をよく望むことができます。
涸沢からは、沢沿いに延びる登山道をたどって横尾へ下ります。
横尾からは梓川の清流に寄り添うように、長い林道を歩き続けます。川越しに明神岳を見遣りつつ、やがて上高地へと帰着します。
人気のバリエーションルート・前穂北尾根、明神岳
前穂高岳はバリエーションルートの人気も高く、よく知られているのは前穂高岳北尾根からのルートと、明神岳経由のルートです。
前穂高岳の北尾根は、山頂を主峰として2峰、3峰・・・と横尾谷まで8峰が連なります。多くの登山者は涸沢から取り付いて、5峰から挑んでいます。
一方の明神岳経由のルートは、明神岳主稜や東稜を伝って明神岳に登り、そこから前穂高岳を目指します。
明神岳は一般登山道が無い山で、熟達した登山者のみ立ち入ることができます。
前穂高岳の難易度（信州 山のグレーディング）
91. 周 穂高縦走（上高地）<北穂→前穂> 難易度E ★★★★★(5)94. 前穂高岳（上高地）<重太郎新道> 難易度D ★★★★☆(4)
| 登山口 | 上高地バスターミナル |
|---|---|
| 周辺の山小屋 |
岳沢小屋 穂高岳山荘 涸沢小屋 涸沢ヒュッテ |
基本情報
| 標高 | 3090.23m |
|---|---|
| 場所 | 北緯36度16分55秒, 東経137度39分37秒 |
一等三角点が設置されている。山頂は南北に細長い
| 山頂 |
|---|
山の解説 - [出典：Wikipedia]
穂高岳（ほたかだけ）は、中部山岳国立公園の飛?山脈にある標高3,190メートルの山（奥穂高岳）を主峰とする山々の総称。日本第3位の高峰。日本百名山、新日本百名山および花の百名山に選定されている。これらの山々は穂高連峰とも称され、槍ヶ岳とともに槍・穂高連峰とも称される。奥穂高岳は北アルプス最高峰で、北に向かって涸沢岳、北穂高岳、南岳、中岳、大喰岳と山稜が連なっており、さらに北に位置する槍ヶ岳も含めて槍・穂高連峰と称されている。前穂高岳以外は主に長野県松本市と岐阜県高山市の境界に位置している。地質的には柱状節理の発達した穂高安山岩類が、山岳氷河の氷蝕作用を受けた地形であり、峻厳な岩峰が南北に走っている。
これらの山々とは別に奥穂高岳の東方には屏風の頭（標高2,565.4メートル）、前穂高岳、明神岳と連なる山稜があり、吊尾根と呼ばれる尾根で奥穂高岳につながっている。前穂高岳から屏風の頭までの岩峰にはそれぞれI峰（前穂高岳）からVIII峰、明神岳の南方の岩峰にもそれぞれI峰（明神岳）からV峰の番号が付いている。
さらに槍ヶ岳から奥穂高岳までの南北の山稜は、奥穂高岳から南西方向に向きを変えて、西穂高岳や西穂高独標に連なっており、これらも穂高安山岩類で構成されている。これより南西側は緩やかな地形の滝谷花崗閃緑岩の分布域で、その延長線上に焼岳が位置している。
山麓へは奥穂高岳より吊り尾根を経て、前穂高岳に至り、カール（圏谷）を下れば、上高地河童橋に至る。また、岐阜県側に穂高岳山荘から白出沢を下るか、あるいは西穂高岳からロープウェーかその下の道を下れば、新穂高温泉である。
穂高岳は、剱岳、谷川岳と共に日本三大岩場に数えられている。特に、涸沢岳から南岳の稜線の飛?側には、谷川岳一の倉沢と並ぶ有数の岩場滝谷を擁する。滝谷は急峻なだけでなく、崩れやすい岩も多く、岩の墓場と形容される。また、前穂高岳の東側、奥又白谷の上部も角度の高い岩壁となっている（前穂東壁と呼ばれる）。
穂高岳登山の拠点となる涸沢は、奥穂高岳と前穂高岳に挟まれた吊り尾根よりU字型にえぐられた圏谷で、夏でも雪渓が残る。
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