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更新日:2025年06月10日 訪問者数:101
ジャンル共通 技術・知識
道迷いからの遭難を防ぐ【後編:行動編】
SoSo3
前回からの続きです。後編は、道迷いを防ぐための行動を中心にお伝えします。
前編↓↓↓
具体的行動1:地図読みについて
地形図をきちんと読めることは登山の基本。線や記号の意味が分かった上で、よりルートファインディング力をあげるためのことをいくつか。

●地図上の表現と、現実の地形をより正確に対応付ける
山中で「読図」として主に行っていることは、地図上で現在地を特定することと、目の前の地形に地図を重ね合わせて次に進む方向を決めることだと思う。
現在地の特定方法はいろいろあるが、道が薄かったり無かったりするところでは、地図上の表現と眼前に見えている地形をいかに対応付けられるかが大事になってくる。
等高線の間隔と実際の斜面の斜度、等高線の曲率と実際の谷尾根のへこみ/でっぱり具合、地図上の長さと実際の距離等、、、
地図から現実を、現実から地図を、的確に想像できれば、ルーファイは大分と楽になる。

そのために、普段明瞭な道を歩いている時などに、地図と実地形を見比べて対応付けを頭に入れていく訓練が必要だ。
特に難しいルーファイが求められる山行では、スタートからその山域での対応付けを貯めていくことが大事だ。(ある程度の範囲内ではどこでも地質的に似た歴史を辿ってきているので、似た地形が出現しやすい)

●少し先に出現する地形を想定しながら歩く
この先登るのか下るのか、どの程度のカーブなのか、どんな地形が現れるはずか、、、
5分10分先の地形や道の変化を頭に浮かべながら歩くと、想定と現実を比較することで道の誤りに気づきやすくなる。
ルーファイが難しいようなところでは、頻繁に地図を見て、地図上の現在地と次の想定をどんどん更新していくべし。間違っているかも、と感じてから地図を見ていては、現在地特定の難易度が格段に上がる。
具体的行動2:間違いに気付く行動
道迷いを防ぐ基本は、注意を払うこと。あまり意識が立っていない時こそ間違いをし、次に意識が立つまで間違った道を進み続けることになる。だから、「間違っているかもしれない」と思えるきっかけをたくさん作ることが大事。

●道の「自然度」の変化を感じ取る
道の自然度とは、人による踏圧の影響の低さのこと。踏み跡とは、人が繰り返しその地面を踏むことで、植物が生育できなかったり地面が踏み固められた状態のことで、自然度が低い地面の連なりである。

明確な踏み跡がなくても、様々な形で自然度は感じられる。
樹林帯であれば、地面の柔らかさ、植物の配置等。岩場・ガレ場であれば、石の浮き度合い・摩耗度合い、地衣類や苔の付き具合等。感覚の解像度が低いうちは、オーラ・雰囲気として感じられるかもしれない。

道の場合、人の通行量に関わらず、分岐から分岐の間(=一本道)は基本的に均一な自然度になる。歩いている人が途中から道を外れることは余りないからである。
なので、自然度の変化を感じたら、道を外れた可能性が高い。ちなみに、慣れてくると数歩外れるだけで変化に気付くようになる。

●道の痕跡を探すのではなく、道でない兆候に敏感になる
持つべき認識の項でも書いたが、人は今いる場所が正しいと思いたがるものだ。道の痕跡を探し始めると、道でなくても道に見えてしまう。だから逆に、道でない兆候を少しでも感じたら、立ち止まり地図を確認すべきである。

道でない兆候とは、上述の自然度の上昇もそうだし、道の危険度アップも材料の一つ。特に岩稜や藪漕ぎルートでは、一般登山道を歩いているはずなのにヒヤヒヤする場面が増えたら、道でない可能性は高い。(一般登山道はそんなに危険なところに作らない)

●どちらに進むか迷ったら、既に間違っている、と考えてみる
そもそも道は、歩く人が間違いにくいように作るはずである。判断に悩むような場所は、既に道から外れている可能性は高い。既に道でないなら、悩んでも正解が見つかるはずがない。

どちらに進むか迷った時に前だけ見るのではなく、後ろを振り返る。そうすると正規の道が別のほうに延びていた、ということはよくあった。

これは仕事や日常生活でも同じことが言えると思う。どうすべきか迷った時、そもそものやり方やこれまでの経緯を振り返ると、問題に気付けることがある。個人的には結構秀逸な気付きだと思っている(笑)
具体的行動3:間違いに気付いた後の行動
せっかく間違いに気付いても、人のズボラにより、間違いを深めることに陥りがち。。。

●確実に分かるところまで引き返す
登山の基本中の基本。とはいえ、なかなかそこまで引き返そうとは思えないもの。
私は散々痛い目を見てようやくこの基本の大事さを認識した。。。

●正規ルートへの復帰には、ショートカットをしない
本当は右の谷を進まねばならなかったが、誤って左の谷に入ってしまった時、間の尾根を越えれば右の谷に復帰できる。。。という甘い考えは持たないほうがよい。
復帰のためのルートは当然道ではなく、藪や崖などの苦労に直面する可能性は高い。復帰できるならまだしも、地形や方角を見誤ってさらに別の谷に入ってしまうことも十分ありうる。
素直に来た道を戻りましょう。何度も失敗した結果の結論です(笑)
おまけ:GPS・紙地図の使用について
私は登山ではGPSは基本的に使わない。紙地図で歩くほうが断然楽しいからだ。
自然の中で自分で現在地を特定し進む先を決めることは、圧倒的な「自立感」と「自己効用感」、自然への「没入感」を感じさせられる。登山を深く楽しむ重要要素だと思う。

もちろん遭難したら楽しいと言っている場合ではないのだが、前編の冒頭記載の準備(予備日・予備食料・防寒装備)と意識(危険箇所は無理せず引き返す)があれば、道を間違えても遭難にはならない!
道迷いを、探検的楽しさに昇華できれば登山の面白さは5割増しです。まじで。
ぜひGPSなし登山もチャレンジしてみてください(笑)
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