冬枯れの大文字山北斜面を逍遥


- GPS
- 02:30
- 距離
- 6.7km
- 登り
- 447m
- 下り
- 519m
コースタイム
- 山行
- 2:25
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 2:30
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
今回のコースは一般登山道なし 詳しくは感想にて |
写真
感想
京都で開催されるシンポジウムに参加するために市内に出張する。午前中のセッションが終了し、次に出席するシンポジウムまで少し時間があるので、大文字山の北斜面を逍遥することにする。
北白川琵琶町で、白川に左岸より合流する新田川の一つ手前の谷から入山する。すぐ左手には白川石を採石するためのものと思われる道路が白川を渡り、山腹に伸びている。
谷沿いに進むという方法も考えられたのだが右岸の尾根を辿って大文字山を目指すことにする。しかし尾根の取付きは地図から予想されるよりもはるかに急傾斜である。なんとか取付きの斜面を上がると、すぐ右下の白川の左岸には採石場と思われる平地を見下ろす。
尾根を辿るとすぐにも両側の斜面が崩落している箇所に出る。いきなり危険極まりないナイフリッジに尾根の末端で遭遇するとは思ってもいなかっった。樹をつかみながらナイフリッジを通過する。
尾根上のピークca270mに至ると「船」というプレートが掛けられている。変わった山名だ。このピークに初めて赤テープが現れる。テープは西側の急斜面から上がってくるようだ。少なくとも辿ってきた崩落地のある尾根から登ってくるよりははるかにマシだろう。
次のピークca290mに上がると、再びユニークな山名標が掛けられていることを期待したが、ピークには山名標の類は全く見当たらなかった。南東の方角へ尾根筋を辿ると大文字の北斜面によく見られ自然林の細尾根となる。
幾つかの小さなピークを超えてなだらかな尾根を進むと、尾根の東側の広地で出た。広地の中心に給湯器のような人工物があるので近づいてみると、自動雨量計らしい。計測器は使われなくなって久しいのだろう。随所に錆が浮いている。ここまでは廃林道が新田の方から上がってきているらしい。
再び尾根を辿ると、古道が越える小さな峠がある。樹に巻かれたテープには東側をさして「新田(ワコール)→」と書いてある。後で確認するとワコールの比叡平グランドがあるらしい。やがて東側からは杉の植林地が登ってくる。
大文字山の山頂の東側の稜線に出る。大文字山の山頂はいつもながら多くの人が賑わっている。この日は空には流雲もなく、果てしなく蒼穹が広がっている。空気が澄んでいるせいだろうか、大阪の高層ビル街のスカイラインが明瞭に見える。山頂に長居をするつもりはないので、再び北斜面の谷を下る。
見上げると青空を背景に小さな蝶のようなものが空を舞っている・・・いや、蝶と思ったのは冬枯れの樹々からわずかばかりに残った葉が風に舞っているのだった。葉の一生の間の一度きりの飛翔を愉しんでいるかのようだ。
北斜面をトラバースする道と交叉するので、小さな尾根を横切って一つ隣の谷へと移動する。広い谷筋には一本の高木が印象的だ。春から秋にかけては繁茂する羊歯が美しいところだが、多くの羊歯は既に枯れている。わずかに残った羊歯が見せる緑色の透過光が明るく輝いている。
谷の上部に向かって踏み跡を辿ると右手の斜面に上がり、幻の滝がある隣の谷筋に移行する。まだ午後の早い時間ではあるが、幻の滝のあたりはすでに山の陰に入っているのだろうか、薄暗い。一月前にもここを訪れたばかりではあるが、綾羅錦繍を見せていた楓の木々はすっかり散ってしまっている。
ここから谷沿いに下ると中尾の滝にたどり着くが、この日は谷を戻り、北斜面をトラバースする道に入る。最後は銀閣寺への登山道のすぐ右手の広々とした谷を下る。谷間ではタカノツメの鮮やかな黄色の葉が季節の名残をとどめている。
谷の下部で銀閣寺からの登山道と合流するとやはり多くの人が往来している。この日の山行では大文字山頂以外では全く人の気配を感じなかったが、非現実的な世界から戻ってきたかのような感がする。
シンポジウムの会場に戻るのに吉田山を越えると、吉田山の裏手の民家の軒先ではイロハモミジはまだ色鮮やかな紅葉を残している。山上の公園ではすっかり紅葉した躑躅が狂い咲きの花を多く咲かせているのだった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する