それでも山スキーで行く 経ヶ岳


- GPS
- 07:24
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,182m
- 下り
- 1,179m
コースタイム
- 山行
- 6:37
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 7:25
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
実は経ヶ岳には山スキーで行ったことはなかったのですが、貧雪のこの冬、先週のレコで山頂付近にはそれなりに雪があるみたいでしたので得意の?シートラでスキー担いで行くことにしました。
ルートを見ても痩せ尾根のアップダウンで尾根沿いはまったくもって山スキー向きではありません。私らしいといえば私らしいですが・・・
さて7時過ぎに到着ですでに登山者らしい車は5台ほどある感じです。幸い登山口まで車が入れたので少しだけ楽させてもらいました。登山口の空きスペースには私の車を含めて2台。
もちろん登山口には雪はほとんどありません。ローカットのアプローチシューズにスパッツを装着し、スキーはザックの腰のあたりに結束バンドと紐でくくりつけます。縦にスキー板をつけると薮が引っかかって往生するので、私は基本横シートラです。
ローカットのアプローチシューズもなかなかいい感じです。スパッツをしているので木屑や雪も入ってきません。尾根までは比較的近く、三ノ峰よりは楽に感じましたが、これがこの先のルートの険しさを薄めてしまいました。
尾根に出ると雪で登山道が覆われてきましたが、この程度で騙されてはいけません。シール歩行はまだまだ先とつぼ足で歩きます。しばらくすると林道に合流します。林道は10cm弱ほど積もっており、ここからスキーで滑って帰りたいところです。
林道から先にしばらく歩くともうすっかり雪で覆われていて、薮も割と静かなのでシール歩行することにします。アプローチシューズを脱いで兼用靴に履き替え、スキーをザックから取り外し、またアプローチシューズをザックに固定するのは時間のかかるもので、ざっと5分ほど要します。
さてシール歩行になるとザックがとても軽く感じられます。今回は自重3kgのエアバッグザックにしましたので、中身入りでザックだけの重さは10kgに及びます。スキー装着時はこれが15kgになっていたと思いますから、相対的には軽いということで。
ところが雪が硬くツルツルで、シールの食いつきがとても悪いです。そう思ってクトーをつけていますが、シールはほとんど役立たずでクトーだけで登っているような感じです。SMAPが分裂したことをクトー静香はどう思っているのか気になる・・・なんて考えながら登ります。
登山道はステップでゴワゴワなのでクトーの食いつきが更に悪く、時々登山道を離れて歩きます。薮は少ないのでまだこれができました。
そうこうしているうちに保月山に到着しました。もうここで護摩堂山に登った感覚ですが、今日はここからが本番です。この先の様子をみるとどう見てもスキーでは危険そうなので、せっかくのシール歩行を諦めてまたシートラに戻し、兼用靴にアイゼンをつけて歩きます。ザックがまた相対的に重くなり肩に食い込みます。
実際に保月山から先に進むと急で細い下りになります。ああアイゼン歩行にしてよかったと安心しました。そこからは急登あり危険なトラバース歩きありと、なかなかのルートです。ザックの横にぶら下がるスキーが無駄に動いて翻弄してきます。
杓子岳が近づくと痩せ尾根も終わって、広々とした尾根を歩けるようになります。雪は硬いと言いましたが時々(ここは福井なので)ガボり、無駄に体が沈んで体力と筋力を消費します。この広々とした尾根をシール歩行しようかと思いましたが、この先の中岳からの下りはスキーできそうなのでそこまでアイゼン歩行で我慢することにしました。
相変わらずよくガボりながら中岳に着くとようやくシールを剥がし・・・いや、その前に兼用靴からアイゼンを外してザックにくくりつけ、ザックのスキーを外してからシールを剥がし、スキー滑降に入ります。中岳からの下りは雪が緩んでいてかなり深くガボってるようで、ここはスキーですと一気にコルまで下れます。
下ったらまたシールを貼って・・・ではなく、スキーをザックにくくりつけ、兼用靴にまたアイゼンをつけて再び重いザックを背負ってというか肩に食い込ませていよいよ経ヶ岳の山頂を目指します。
経ヶ岳までの登りはかなり凶悪な急登です。これは加賀禅定道の美女坂よりも急な感じで、実際ピックストックの先端を刺しながら登るシーンも必要でした。登りも大変ですが下りも相当大変な予感がします。
最初の急登をクリアすればあとは最後の登りを黙々とこなせば、ふと山頂の道標が視界に入ります。初めての雪の経ヶ岳です。
天気も視界も良く、こんな日は経ヶ岳からの眺望は非常に素晴らしいものでした。白山、赤兎山、大長山、取立山、法恩寺山、越前甲、銀杏峰、荒島岳、野伏ヶ岳〜とぐるり一周できます。遠くには真っ白な御嶽山も望めます。
さて眺めを楽しんだらスキー滑降の準備をして滑りましょう。とはいえこの硬い雪と急斜面、滑りを楽しむよりも恐怖の方が勝っています。
スキーのエッジは滑りがちで、また笹薮が輪になってスキー板を引っ掛けるトラップが点在します。それでスキーの向きが変わって、後ろ向きに滑り出し、ピックストックの先端を刺して滑落をしのぐシーンが2回ほどありました。
斜滑降もエッジが抜けそうで恐怖でしたが、ターンするのもターン直後にすっぽ抜けるのではと非常にスリリングでした。内蔵助氷河で練習した(ほぼ)360°ジャンプターンで、緩慢なエッジにならないようターン後も一瞬でエッジを食い込ませます。
急斜面途中で止まっても脚がガクガク震え、落ち着きません。この感想を書いていてもまたその恐怖が蘇って緊張してきました。
何とか転倒せずにコルまで滑り降り、ここでシールを貼ってクトーを装着して中岳まで登り返します。シールの食いつきは相変わらず良くなく、クトーを雪の凸部に当てて登るようにしました。
中岳から杓子岳までは少し滑れますが、ごく短いのでクトーだけ裏返してシールのまま滑ることにします。このエッジの効きにくい硬い斜面でシール貼ったまま滑走するというのはかなり難しく、シールなしよりもエッジが抜けやすいものです。シールを貼っているとスキーの滑りが悪くスキー操作が思うように行かないのです。
杓子岳からの下りもシールのまま無理やり滑り、そろそろスキーも終わりかというところでスキーをザックにくくりつけ、また兼用靴にアイゼンを装着していよいよ試練のシートラ下山になります。肩に食い込む重いザックがつらいです。
距離はそれほど長いルートではありませんが、細く急なアップダウンのあるルートをシートラで薮を回避しながら歩くというのは大変でした。分かっていましたが予想以上に大変でした。保月山までもなかなか着きませんでしたし、林道までも時間がかかりました。林道を過ぎてしばらくしたところで雪が少なくなってきたのでアイゼンを外しました。ツボ足ですとアイゼンの引っかかりがないので軽快で速く歩けます。ただやはり下りの方が滑落する可能性が高いので、安全優先に行きたいところです。
ツボ足になればどんどん登山口に近づく感じで、ようやく車が見えてきました。下山したらもうヘトヘトでした。帰り道の脚のガクガク感は百四丈滝を見に行った時のような感覚でした。距離は加賀禅定道よりずっと短いですが、痩せ尾根急登加減はこちらの方が上でしょう。
こんなところをシートラで行くなんてやっぱり異常です。このコンディション誰も山スキーで行こうとしないと思いますが、経ヶ岳山頂からの滑走は雪が硬いと非常に危険ですから、状況を見て下りもシートラでアイゼン下降も視野に入れておきましょう。
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