向山〜貴船山〜判官坂〜長谷左岸尾根☆周回の果てに見た地獄


- GPS
- 03:41
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 850m
- 下り
- 847m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
判官坂の山頂から南尾根への入口にかけては倒木の密集地帯 p361の南斜面の倒木密集地帯には入ってはならない。登山口への尾根が分かりにくい(感想参考) |
写真
感想
朝から降り続いた雨は昼過ぎは上がり、夕方には晴れるようだ。先週末の日曜日も同様に雨後の快晴の天気であり、比叡山に出かけたのだが、昨日の朝も比叡山に出かけたところなので、この日は方角を変えてみることにする。
公共交通機関を使ってアプローチ出来るところを考える。まず雲ヶ畑へのコミュニティー・バス、もくもく号の午後便に間に合いそうなので、地下鉄に乗って北大路駅に向かうことにする。しかし地下鉄に乗り込んで大変な失敗をしでかしたことに気がつく。この日は空身で登るために財布の中の小銭を抜き取ってポシェットの中に入れてきたのだが、もくもく号の運賃を調べてみると、小銭が足りない。地下鉄はPiTaPa(関西で使える交通系ICカード)があるからいいのだが、もくもく号がICカードに対応している訳がない。
地下鉄を降りると急遽、コースを考え直す。こうした時にもコースに全く不自由しないのが京都、北山のいいところだ。鞍馬行きの京都バスが15分後に出発するので、静原の裏山、向山から貴船山へ向かい判官坂から南に下る長い尾根を辿って大岩へと周回するルートを考える。しかし咄嗟に思いついたこのルート、歩かれた経験のある方はすぐにお分かりになるだろうが、事前に下調べをしておかなかったがために最後に大変な目に遭遇することになるのだった。
静原で降りると、住宅地の裏手から向山の山頂に伸びる尾根を目指す。住宅地の裏手には防獣の目的と思われるフェンスがあるのだが、道の突き当りでなぜかフェンスが外されている。有難くここを通らせていただくことにする。尾根に取り付くとすぐに斜面をトラバースする道が現れる。慌てて尾根を登ることもないのでまずはこの踏み跡を辿ると、道は斜面を緩やかに降り始める。斜面を登ってみると南西から上がってくる掘割の古道が現れる。
随所に倒木があり道は荒れてはいるが、古道を辿るうちに向山の山頂が近づくと歩きやすい道となる。向山のいくつかの山名標が架けられている山頂は樹林に囲まれたこじんまりした広場だった。
向山の山頂からは京都一周トレイルとなり、檜の植林地の中の良好に整備された道が続く。トレイルのすぐ西側にp439mに寄り道する。植林地を登り、倒木が散乱する尾根を少し歩くとピークにたどり着く。
夜泣峠から北上する、二ノ瀬からのユリ道と合流すると、ユリ道はすぐに尾根の西側斜面を下降してゆくが、随所で好展望が見られる尾根道を辿る方が気に入っている。尾根上の小ピークp567でPHさんの小プレートを確認すると、ピークの北側から明瞭な踏み跡を辿って二ノ瀬ユリ道に下降する。
二ノ瀬ユリ道はすでに倒木はかなり処理されてはいるものの、やはり一昨年の台風による倒木が随所で残る。谷沿いに滝谷峠へと進む道を見送ると貴船山の南斜面をトラバースして樋ノ水峠に至る道に入る。
歩きやすいユリ道を辿って樋ノ水峠に至ると、まずは貴船山三角点に立ち寄る。貴船山の山頂では馬酔木が花盛りだ。樒の花も咲いている。ついしばらく前にdrpepperさんが訪れた際には見当たらなくなっていたというPHさんのプレートはやはり見つけることが出来なかった。
樋ノ水峠からは西側の判官坂に向かって蛇行する尾根を辿る。ここからは自然林の明るいプロムナードとなるが、尾根を超える風の通り道なのだろう。急に冷たい風を感じることになる。上空に寒気が到来しているのだろう。急に気温も降下しているようだ。
この尾根は京都の北山では珍しく好展望が開けているのが嬉しい。薄暮に染まりつつある京都の市街を遠望する。
判官坂の手前に差し掛かると、右手の樋ノ水谷から登ってくる谷の源頭部が綺麗だったので、源頭に降ってみる。周囲の自然林には下生がほとんどないので、源頭の左岸の尾根をたどりピークに出る。
判官坂から西に進むと杉の植林地となる。長谷の左岸を辿る尾根に入ろうとして、息をのむことになる。尾根の入口には大量の杉の倒木が集中している。松尾谷への道標が目に入ったので、尾根を諦めて松尾谷に下ることも考えたが、下山後の車道歩きがあまりにも長く感じられる。倒木の集中地帯は長くはないと踏んで通過を試みる。
倒木を何本、乗り越え、あるいは潜ったことだろう。倒木の間に人が通過した微かな跡がある。踏み跡を追って尾根芯のわずかに西側を通過すると、無事、倒木地帯を通過することが出来る。ここから先程の倒木の密集が嘘のように快適な尾根が続いている。
時間も遅いのでランニングで尾根を快速に下る。自然林と植林が交互に現れる。尾根上にはは多くの花をつけた馬酔木が次々と現れる。p545mの図根点では再びPH氏のプレートが出迎えてくれる。やがて尾根には琥珀色の夕陽が植林の樹幹を明るく照らし始める。
p361に登りかえす。この時点で時間は17時42分、あとは最後の急斜面を下るだけだ。遅くとも18時前には県道に降り立つことが出来るだろう。p361の山頂部でしばしPH氏のプレートを探し回るが残念ながらプレートは見つけることは出来なかった。
その南斜面の上に立って青褪めることになる。見渡す限り夥しい数の倒木が斜面を埋め尽くしているではないか。とりあえず杉の倒木の間で下降出来そうなところを選んでは杉の下を潜りながら急斜面を下降する。やがて右下の方に道路が見えるが、最後の急峻な斜面が倒木のせいで地面に足をつけることが出来ない。倒木の枝の上を一歩一歩を確かめながら下降して、なんとか樹の下の地面に降り立つことが出来る。
安心したのも束の間、最後にさらなる困難が待ち受けていた。降り立ったのはなんと擁壁の上だったのだ。下の道路までは3m近くはありそうだ。ここを飛び降りたら骨折の危険性が高いだろう。擁壁の上は木が枝を張り出しており自由には歩けない。しかし、枝を掴んで無理やりトラバースするしかない。なんとか下降出来そうな斜面を見つけ、低木を掴みながらなんとか県道京都京北線に降り立つことが出来る。
時間を確認すると18時07分、わずか100mにも満たない距離の斜面を下るのに20分も要したのであった。気がつけば靴下にもトレラン用のタイツにも大きな穴が空いている。それに加えて体中には見たことのない小さな粒状のひっつき虫が無数についている。これがなかなか取れずに難儀する。
県道を歩くとすぐに「判官坂→」と記された木の古い道標と尾根筋が目に入る。どうやらこの尾根の取付きを目指して下降すれば倒木はかなりましだったようだ。しかし、尾根の上からでは無数の倒木のせいでどこが下降しやすいか冷静に判断することは困難だ。ここを通過するなら登りに使う方が望ましいだろう。
あとは市原まで4kmほどの行程を再びランニングで走る。徐々に薄暗くなりつつある空を見上げると、残照が広がる空には雲一つ見当たらず、星が瞬き始めていた。市原の京都バスのバス停にたどり着くとまもなく国際会館行きのバスが出発する。明日の山行は晴天に恵まれるといいのだが。
※帰宅後にdrpepperさんが最近、この尾根を登られた山行記録を拝見すると、尾根の取付きから慎重にルートを探せば、このp361の南斜面の倒木地帯は通過することが出来るようだ。しかし、判官坂の西側の尾根合流地点の倒木集中地帯はそれなりの覚悟が必要と思われる。参考までにdrpepperさんの昨年末の山行を
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2161044.html
コメント
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お題の「地獄」を見て、すぐにあそこのことだろうなとピンときました。
去年の大みそかには南東斜面で大規模な工事をしていたので、だいぶ片付いたかと思ったのですが、南西斜面側はまだまだ手付かずのようですね。
お疲れ様でした。
drpepperさん 毎度プレートの補修山行ご苦労様です。県道に降りてから南東斜面を通ればおそらくそれほど苦労せずに下降することが出来たのだと思い至りましたが、帰宅してからdrpepperさんのレコをすぐに拝見し、改めてそのことを再確認致しました。南西斜面を下ると県道に着地することが困難なことが地図を注意深く見ればわかるはずなのですが、初歩的なミスです。
一昨年の台風による倒木は通れるように再整備されたところが増えてきましたが、この尾根の上部においても倒木の処理がまだまだのところもあり、要注意ですね。
お疲れ様でした。記録を拝見して、2013年にほぼ同じコースを(逆向きですが)歩いたのを思い出しました。2018年の台風のあと、雲ヶ畑に行く途中で、バスから長谷林道の入り口周辺の惨状を目の当たりにした際、このルートはもう登れないなと思いました。昨年5、6月に通過した際には、県道の周辺と林道の周囲は倒木が処理されていて、いくぶん元に戻った感がしましたが、尾根の取り付きあたりは放置状態で、人の入らない古道ゆえ、引き続き当分の間は登るのは難しいなと感じました。
写真を拝見して、やはりそうかと、あらためて台風被害の大きさを実感しました。報告ありがとうございます。
nagaikazuさん レス返が遅くなり、失礼いたしました。泊りがけで奥越の山を縦走した後、登山口に迎えにきてくれた家族達と旅行をしておりました。
登山口からp361の南東の尾根はなんとか通過が出来そうです。最後に一枚、写真を追加させて頂きました。下山後、先にコメントを頂いたdrpepperさんのレコでもここを登っておられたようです。
しかし、判官坂の西側の尾根合流部の手前では相当な倒木集中地帯を通過する覚悟が必要と思われます。nagaikazuさんの仰る通り、台風の爪痕はまだまだという感じですが、近々改めて、このルートを捲土重来してみたいと思います。
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