滝谷山☆新緑の陸地谷南尾根〜北尾根を周回


- GPS
- 03:39
- 距離
- 8.9km
- 登り
- 575m
- 下り
- 593m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ、一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
この日は前線を伴った低気圧の通過により午後の14時頃から天気が崩れる予報となる。それまでに下山するつもりで短い山行をと考える。この時期、京都の北山では多くの尾根でシャクナゲの見頃を迎えていることだろう。天ヶ岳から東に伸びる有名なシャクナゲ尾根の他にもシャクナゲの群生が見られる尾根は少なくない。陸地谷の南尾根を辿った時に尾根の東端部にシャクナゲの群落があったことを思い出す。
大原から北上すると早くもパラパラと雨が降り始める。この分では午後まで天気がもたないだろうか。ラジオからは和歌山県南部で竜巻注意報が発令されたと不穏なニュースが聞こえてくる。幸い俄か雨だったようで、登山口となる陸地谷の出合に到着するまでには雨は上がってくれる。
まず陸地谷の様子を覗いてみると、一昨日からの雨で水量が増量しているのだろう、谷の入口からして到底、靴をぬらさずに渡渉できるような状態ではない。エスケープ・ルートとして谷に下降することを考えていたが、その選択肢は安易なものではなさそうだ。
尾根の取付きはその後の尾根の平坦さとは対照的に極めて急峻だ。ほとんどモンキー・クライムのように攀じ登る感じで登ってゆくが、そのお陰ですぐにも高度を稼ぐことができる。ca700mのあたりで尾根の斜度が緩くなると、シャクナゲの群落が現れ、期待通り、多くの花が咲いている。しかし、急峻な北側斜面に咲いているものが多く、多くの花を写真に収めるが意外と難しかった。
尾根を西に辿るとシャクナゲはすぐに姿を消し、代わりに満開のコバノミツバツツジが次々と現れる。尾根の南側には所々でナッチョとの呼ばれる天ヶ森とその彼方に比叡山の展望が広がる。先に進むと北側に樹林のない広々とした源頭が広がり、皆子山と南比良の権現山から蓬莱山にかけての展望が広がった。眼下には新緑の自然林が色あざやかなパッチワークを見せてくれる。
尾根を西進し、緩やかに高度が上がるとスギ、モミ、マツなどの針葉樹は姿を消し、落葉広葉樹の樹林が広がるようになる。所々で白い彩りが目につくのはオオカメノキだ。標高点780を経由する百井からの尾根と合流すると、テープが現れるようになる。
滝谷山の山頂が近づくと北山の前衛にしては珍しく立派なブナの大樹が見られるところだ。ブナの新緑はもう少し先かと思っていたが、意外にもかなり進んでいた。滝谷山の手前では南側に次々と新緑のなだらかな源頭が現れる。源頭を辿って滝谷山まで歩こうと思っていたのにも関わらず気がついたらほぼ山頂の直前まで歩いてしまっていた。
尾根を戻り、源頭に下降すると雲の合間から日差しが零れ落ちては瞬間的に新緑の樹々を明るく輝かせる。広々とした疎林の広がる源頭を辿って、山頂に登り返す。
滝谷山は遠くから見ても山頂の同定の困難な地味な山としか認識していなかったが、山頂から東に延びるこの陸地谷南尾根は何とも魅力的で、特にこの山頂の南東の源頭部はとりわけ素晴らしいところだと思う。
山頂から西側のピークに桟敷ヶ岳の姿を眺めに寄り道する。山頂から北に向かうと尾根上には真新しい複数のタイヤの轍がついている。マウンテン・バイクで走った跡のようだ。
小ピークp845を過ぎてその北側のジャンクション・ピークca840mで大見尾根と別れると、東側に伸びる陸地谷北尾根に入ると、こちらの尾根でもすぐにもブナの樹々が出迎えてくれる。尾根はアップダウンは少ないが複雑な蛇行を繰り返すのは南尾根と同様だ。
尾根上のピークp822に向かって尾根は北側から大きく回り込むことになるが、ここでも尾根の南側の谷に下降してからその源頭を辿ることにする。空には再び晴れ間がのぞき、広々とした源頭の新緑を美しく輝かせる。谷間に群生する緑のトリカブトは普段は忌むべき毒草としか思わないのだが、この日は冬枯れの草地の茶褐色を背景に新緑の若葉色とトリカブトの緑のコントラストが鮮やかに感じられる。
源頭を詰めるとピークの直下には主のような大きな樹が聳えている。近づくとホオノキであった。p822から先もなだらかな源頭をトラバースして尾根に戻る。気がつくと尾根の樹々の切れ目から左手に天ヶ森が綺麗に見える。一瞬、混乱したが、お陰で自分が間違った尾根に入り込んでいることに気がつくことが出来る。そうでなければ快適な新緑の景色につられて尾根をもっと先まで進んでいたことだろう。
尾根を進みca790mのピークに到達すると馬酔木などの灌木が多くなり樹々が賑やかになってくる。ここからが難しいところで東に向かって尾根を急下降する。小さな鞍部をすぎるとその先はいくつもの小ピークが寄り集まって複雑な地形を形成している。北側から尾根を回り込んでp759に至ると、ピークと思しきあたりにはピンク色の古いテープがあるばかりで、低木に囲まれた殺風景なところであった。
南尾根と同様、最後は低木の藪の中の急下降となるが、つい最近つけられたものと思われる赤テープが頻繁に現れる。尾根は南尾根のナイフリッジのような極端な痩せ尾根ではなく、傾斜も南尾根に比べるとはるかにましだと思われる。つまり、この陸地谷を周回するならば時計回りが正解だったようだ。林相は終始、北尾根と南尾根は似ているのだが、北尾根では意外にも全くシャクナゲの花が見られないのであった。
京都に戻っても一向に雨が降り出す気配がない。雨の予報はどうなったのだろうかと思っていると16時頃になって突然、雷雨が始まるのだった。それもそう長くは続かなかったが・・・天気図を確認すると、どう考えても悪そうな天気図であった。この日は各地で記録的な気温の降下を観測したらしい。
コメント
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お写真見惚れてしまいました。
緊急事態宣言解除になったら行きたいなあ、と思いつつ、
こちらもヒル、出るのでしょうか??
Naojunさん
コメント有難うございます。
この陸地谷の尾根は目立つピークもなく、谷奥の滝谷山自体が遠くからではピークの同定が困難な極めて地味な山なのですが、アップダウンのほとんどない自然林の尾根が続き、こういうところが好きな方にはとても気にいって頂けると思います。
そして尾根の陸地谷側には綺麗な源頭のオンパレードとなりますし、所々にブナの大樹が現れるのも魅力です。ブナの大樹はあくまでも北山のこのあたりの山にしては・・・というレベルではありますが。基本的に尾根を歩いている限りはヒルの心配はほとんどないと思います。
陸地谷は谷の入口から水線が記されている谷奥までなんと100mしか標高差がない極めて緩やかな谷です。ここは紅葉の季節を狙って晩秋に訪れているのですが、この谷も綺麗なところです。しかし安曇川水系なので、皆子山の谷と同様、これからの季節(5月後半〜10月上旬頃)まではヒルを覚悟しなければならないと思います。
以前歩いた陸地谷のレコです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2710977.html
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