安芸小富士〜下高山☆似島の島山を縦走

- GPS
- 02:24
- 距離
- 6.1km
- 登り
- 492m
- 下り
- 486m
コースタイム
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
船
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された登山道 |
写真
感想
木曜日から広島に滞在して、この日で三日目となる。梅雨の中休みで晴天が続くのは良いがやはり梅雨の季節のせいか湿度が高く、この日はとりわけ朝から蒸し暑い天気となる。家内と昼過ぎに広島駅で待ち合わせると、市電に乗って再び広島港に向かう。この日は間違えずに比治山線に乗る。前回は紙屋町を経由する市電に乗ってしまい広島港まで超時間を要したのだった。
広島港で山歩き用の服装に着替えると14時発の似島(にのしま)行きのフェリーに乗り込む。船はかなり多くの人が乗っている。20分ほどで船は似島港に到着するが、そのまま船に乗り、学園前に向かう。大多数の乗客は下船するが船内を見渡すと他に三人の乗客が下船せずに船に残っている。次の寄港地、学園前まで乗船するためだ。
この船は一日わずか3便しかない学園前に寄港する便なのだ。牡蠣筏が数多く浮かぶ島の北側を回って学園前に向かう。学園前で下船したのは先ほど船に残っていた三人だ。二人は明らかに学生と思しき若者であり、似島学園の学生なのであろう。この学校は原爆投下に伴う戦災孤児を育てるための福祉学校だったらしい。
桟橋の向かいには変わった形のトイレがある。その脇から伸びる小径を辿ると、忽然と小さなトンネルが現れる。トンネルを潜って先へと進むと物々しいコンクリートの塀と土塁が現れる。ここはかつての陸軍の弾薬庫があった場所らしく、土塁は弾薬庫を囲むためのものだったらしい。土塁の上にはコンクリートの小さな建物がある。見張りのための哨舎らしい。ここを訪れる者は外界と切り離された異次元の世界に突如として迷い込んだような感覚を感じざるを得ないだろう。
再び桟橋に戻り安芸小富士に登るための登山道に入る。登山道とはいえ、似島学園の中のグランドの端を通ることになる。ここでも煉瓦造りのトンネルが現れる。ここはかつての検疫所だった場所らしく、その遺構なのだろう。原爆の投下直後はこの島の検疫所は臨時の野戦病院となり、この島にも大勢の人が運ばれて亡くなったらしい。
グランドの端を歩いて行くと高台に登る石段があり、すぐに明瞭な登山道に入る。登山道は花崗岩の砂礫の尾根となり、道の周辺には樹木がないので展望は極めて良いのだが、太陽の熱を吸収した岩場から立ち上る輻射熱のせいで半端ない暑さだ。すぐにも汗が噴き出すことになる。このような登りが山頂まで続くのかと心配したが、まもなく登山道が樹林に入り、一気に気温が低下する。少し安心するが、わずかな登りの間に水分をかなり失ったように思う。
山頂から南に伸びる尾根に乗ると低木の樹林となるが、時折、西側から海風が吹いてくる。安芸小富士への最後の登りに差し掛かると岩場が現れ、西高山へと続く稜線とその向こうに江田島、宮島の海景が広がる。
樹林の中をわずかに歩いて鉄塔の建つ山頂に到着する。鉄塔は灯台ではなく、航空のためのもののようだ。山頂からは北側に展望が広がり、海を挟んで広島の市街を展望する。よくよく考えると海を挟んで都市を展望するような場所はなかなかないだろうから、滅多に目にすることのない景色だ。
広島駅で入手してきたもみじ饅頭とお茶で休憩すると尾根を引き返し、西高山に向かう。先ほどの似島学園からの登山道の分岐が近づくと交尾最中の二匹の揚羽蝶が目に入る。初めて目にする光景だ。下になった蝶を下垂したまま上の蝶が羽ばたく様はなんとも重たそうだが、二匹同時に羽ばたく訳にはいかないのだろう。
しばらくはなだらかな尾根が続くが、尾根が大きく西向きに方向を変えると迷路のような竹藪の中を下降してゆく。小さな鞍部を過ぎると尾根には延々と墓地が続く。綺麗な墓石が多いので、原爆で亡くなった人のお墓ではなく島の人々のものなのかもしれない。
舗装路が越える似島峠を過ぎると尾根の周囲には大きなクスノキが目立つ。再び樹林の中を歩いて西高山の山頂に立つ。今度は島のすぐ南に海を挟んで江田島の風景が広がり、
海み降りる途中に小さなスーパーがある。似島港に面して小さな酒屋があり、ビールを手にいれると淡い朱色に染まってゆく海面を眺めながらビールで乾杯する。
似島港には小さな観光案内所がある。中には入らなかったこの島は日本におけるバウム・クーヘンの発祥の地らしい。ドイツ人の捕虜が焼き方を日本人に伝えたらしいが、カール・ユーハイムというそのドイツ人の名前は私も知っていた。
この日は西の空には雲が多く、残念ながら会場からの夕陽は見ることが出来なかった。しかし、広島港に戻り、市内に向かうと途端に空が晴れ上がり、みるみるうちに綺麗な夕空が広がってゆく。夜は広島駅の近くの岸本食堂で広島の地酒を堪能するのだった。
山猫
yamaizu












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