【湯殿山】風の吹き抜ける稜線を征け


- GPS
- 08:22
- 距離
- 10.3km
- 登り
- 795m
- 下り
- 780m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2021年01月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
※過去ログ
雪の湯殿山に登ってみたいと思っていたけど、こんなに早くチャンスが来るとは。
雪が締まっていて、火曜日までは天気も良い。
早速、行きつけの登山用品店で情報収集。
まだ雪山ビギナーだし、とりあえずオーソドックスな石跳川を渡るルートかなと思ってたけど、店長が、
「普通のルートじゃつまんないよね?」
なんて言い出す。
「トンネルの手前に車を止めて、この稜線をね・・」
そう、その稜線はボクも気になってたのよ。
そして帰りはブス沼の方からぐるっと周って・・なんて話してるうちに、もうそれしかないなーと思ってしまった。
と、言うわけで、店長にそそのかされて、じゃなかった、ご提案をいただいて、月山第一トンネルの手前に車を止めてスタートです。
◼️六十里越え街道まで
土曜か日曜に登った人がいたらしく、トレースはトンネルから北東に伸びていたけど、トンネルの上を歩くように急斜面を直登。結果、序盤でバテる(笑)
雪はガッチガチ。グッと力を入れないとストックが刺さらない。なのでワカンで急斜面を登るのはキツかった。
まずは旧国道112号に出る。もちろん除雪はしていない。
ここからは見事なブナの森。樹齢200年前後の木が、若い木に混じって散見される。
この辺りは切られなかったのか。月山、湯殿山の山域という事だからか?
ここから最初のピーク1150.9まで緩やかな登り。ブナを眺めながらの散歩道。
鉄塔のあたりから、スノーシューのトレースが現れる。おそらく、トンネルから北東に進み、鉄塔の下を通って上がってきたのだと思う。確かにそちらの方が正解だね。
ピークの手前辺りから、これから行く稜線が見えだす。明らかに切り立った稜線。思わず「行けるのか?」と呟く。
ピークからちょっと下って六十里越え街道の大岫峠(おおぐきとうげ)。庄内領と最上領の境だったらしい。雪でどこがその古道だか分からず。
この辺りから風が強くなってきた。
◼️湯殿山山頂まで
トレースがなかったら躊躇っていたかもしれない。稜線には切り立ったところも見える。
しかし、トレースがあるということは行けるはずと心強かった。
ありがとう、スノーシューの人。
徐々に斜度が上がってゆき、それに伴って幅も狭くなる。
そして壁が現れる。おそらく、岩場なのだろう。
最初は70度くらい、そして次に90度に近い壁が3〜4mくらいか。
先行者はスノーシューを外している。ツボ足かアイゼンか。
一旦、呼吸を整える。幸いなことに風が止んだ。ちょうど風が当たらないエリアなのか。
意を決して取り付く。
ワカンのまま、何度か雪を蹴りステップを作る。ピッケルがないので、4本の指を刺して雪を掴み体を持ち上げる。
最後の90度を越えた時は、思わずへたり込んだ。
座ったまま休憩して落ち着いてから出発。
再び風が強くなってきたので、ソフトシェルとカッパの間にフリースを着る。
その後も7〜80度の壁が2箇所出てきた。落ちて転げたらシャレにならない。
越えて振り返るたびに高度感が増していく。
風はどんどん強くなる。
特に1320m付近から上は暴風。風に向くと息をするのが大変なくらい。新雪だったら真っ白だったかもしれない。
風に負けないように一歩一歩進む。何歩か進んでは息を整える。時間はたっぷりあるので、焦らず高度を上げていく。
1400m付近から斜度はやや緩くなった。風は止まない。左は崖、右は雪庇。足元は灌木帯らしく、時々踏み抜く。
高低差残り50m辺りで石跳川渡渉ルートからの人が見えた。こちらもあとはもうビクトリーロード。
そして頂上。不思議なことにピタリと風が止んだ。
穏やかな頂上からは正面に月山と姥ケ岳、そして鳥海山。庄内の海、摩耶山をはじめとした山々と粟島。
そして以東岳と朝日連峰、飯豊、吾妻、蔵王・・。
絶景です。
山頂手前から見えていた人はバックカントリーのスノーボーダー。少し会話を交わし、滑り降りて行った。
次にスキーヤーのパーティが4人、スノーシューの登山者がひとり。
平日だというのに、これだけ集まるとは。
あまりの絶景に1時間近く滞在してしまった。
◼️下山
まず、石跳川方面に向かう。
スキーやスノーシューのトレースが多数あって分かりやすい。
途中からルートを外れてブス沼方面に駆け降りる。
すぐに暑くなってフリースを脱いだ。
凍って雪が積もった沼を渡り、ほとりで湯殿山を眺めながら昼食。登った稜線を見ながら感慨に耽る。
風もなく穏やか。ここでも30分以上休憩したと思う。
あとはなるべく稜線を歩きながら月山第一トンネルを目指す。標高1000m辺りからは見事なブナの森が広がる。
植林の杉林は無い。やはり神の山域だからなのだと思う。
当初は稜線を乗り継いで国道112号に降りる予定だったけど、歩行は不可のようなので、旧道を少し歩いて回り込むことにした。
無事に下山して車にはねられたら笑えない。
旧道は何故かくるぶしから足首くらい沈むので、じわりじわりと残りの体力を奪っていく。
沢を3つ渡ってから、再び森の中へ。
途中でスノーシューのトレースが現れる。やはりこう登ったんだなと納得。
途中でゴムのチューブを広げた物を拾った。何かをこれでザックに括り付けていたのかな?
落とした方、トンネル入口のポールに括り付けておきましたよ。
充実した山行でした。やっぱりじっくり考えたルートで登ると充実感が違う。
計画からが登山、毛針を巻くことからが釣り、家に帰るまでが遠足。
雪は終始締まっていて楽に歩けた。3月頃の感じなのかもしれない。
このコース、おすすめしたいけど、やはり稜線の危険箇所を越える装備はあった方が良い。
アイゼンとピッケルがあればより安全だと思う。
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