不入山☆雨上がりの四万十川源流の山へ

- GPS
- 02:42
- 距離
- 4.6km
- 登り
- 595m
- 下り
- 589m
コースタイム
- 山行
- 2:28
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 2:42
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
コースは全般的に良好に整備された登山道 しかし不入山の山腹をトラバースする道は笹が繁茂し、雨中や雨後は雨露で濡れることを覚悟する必要がある |
写真
感想
昨晩から降り続いた雨は昼前には上がる。高知で家内と待ち合わせると高知道を西に向かう。須崎の手前でインターを降りるとR197を津野町に向かう。この日の午後の短い時間の山行先に選んだのは長大な四万十川の源流で知られる不入山だ。ところで、この山は字は容易であるものの難読の山名の一つだろう。「いらずやま」と読む。かつて土佐藩の所有で狩猟や伐採のための立ち入りが禁止されたことに由来するという。
今回の高知への旅では四万十川に沿って下るという目的があったので、まずその源流を訪れたいと思っていた。前回に高知を訪れた一昨年の冬にも、四国カルストに泊まるついでにこの山を訪れることを計画していたのだが、その時は寒波による積雪で登山以前に車が登山口まで辿り着けるような状況ではないのだった。
布施ヶ坂トンネルを抜けたところで、右手に分岐する県道に入ると、いよいよ四万十川の上流域に入る。中村の小さな集落では水が張られ田植えを待つばかりの棚田の広がる。集落から見上げる山の上の方は相変わらず雲に覆われている。集落を過ぎると急に山あいが深くなり、人が住む気配がなくなり、途端に秘境の雰囲気が感じられるようになる。
四万十川源流点への道標が頻繁に現れる。道標に導かれるままに県道から林道に入る。道は細くなるが路面には落石もほとんど転がっていない。昨日の白髪山への林道ひ比べればかなり快適な道に感じられる。
数台のベンチが設けられた源流点への登山口の前には一台の車が停められていた。このような天気でも源流点を訪れられる物好きな方が他にもおられるようだ。登山道のそばでは鮮やかな朱色のツツジ系の花が咲いている。一見、山躑躅のようにも見えるが、花が大きく、樹も大きい。近くに案内板があり、オンツツジという種類であることが説明されている。
登山口のすぐ上には「四万十源流之碑」と刻まれた石碑がある。宮澤喜一が首相に就任していた時代に揮った筆によるものらしい。登山道に入ると雨上がり特有の湿潤した空気が森の中に漂っている。四万十川の源流となる沢に沿って登って行くと、谷は苔むした岩で一面に緑の世界が広がっている。まるで空気までが緑の粒子で満たされているかのようだ。
すぐに上から降りて来られる若い男女とすれ違う。男性はクロックスのサンダルを履いておられた。源流点を見に来られたのだろう。登りはともかくサンダルでの下りは大丈夫だろうかと心配になる。
源流点から先で谷は二俣に分かれる。左の沢に沿って進むと間も無く谷の水が切れる。苔むした岩の中を進む。不入山の山腹をトラバースする道に合流すると「源水点」の案内標がある。薄い踏み跡を辿って少し上流に登ってみると、微かに水が流れ出る音が聞こえる。岩の下からわずかな水が流れ出ているのだった。
トラバース道に戻り時計回りに周回する。道には笹が生い茂り、雨露に濡れた笹の葉をかき分けると瞬く間にシャツが濡れる。山頂から伸びる尾根に乗ると、薄い霧の中に入ってゆく。尾根には随所にブナの大樹が現れるようになる。オンツツジの花も随所に咲いているのだが、高いところで咲いているので写真に撮るのが意外と難しい。
山頂が近づくと西側に樹林が切れている。晴れていればさぞかし展望が良いのであろうが、この日は白いガスが見えるばかりだ。気がつくと白いツツジ系の花が咲いている。シロヤシオであった。
不入山の山頂は小さな石の祠があったが、中に祀られているものは何もなかった。山頂広場は樹林に囲まれているが、三角点の柱石が大きい。意外にも一等三角点であった。
山頂で一息つくと尾根を北上する。ブナの大樹の間には石楠花が次々と現れる。花は終盤ではあったが、まだそれなりに残っていた。石楠花は細尾根の急峻な斜面に咲いているものが多く、花を間近で写真い撮ることは難しい。
下山は槙尾根コースと幽谷コースに分かれるが、後者のルートをとる。急峻な谷筋の下降となるが霧のかかった谷の両側には大きな岩壁が聳え、確かに深山幽谷の趣がある。谷を下部に下るにつれ霧はなくなるが、登りの谷と同様、苔むした岩の一面の緑の世界に入ってゆく。なぜか遠くから車のエンジン音が聞こえる。車が達る道が近いのだろうかと怪訝に思ったが、後で地図を確認すると谷の下流にR439が通っているのだった。
槙尾根コースと合流すると不入山の山腹をトラバースする道に入り、源水点を目指す。ここでもやはり道に笹が生い茂る。普段であれば問題ないのであろうが、何しろ雨上がりなので、雨露に濡れた笹の葉のせいでシャツもズボンもしとどに濡れてゆく。早々に雨具を着たら良かったのだろうが、そのことに思い至った時にはすでにシャツ全体がびしょ濡れの状態であった。先頭を歩く私の露払いの効果は大きいようだ。後ろを歩く家内は右手の袖が濡れる程度であった。
源水点に戻り、登山口への下降に入るとようやく笹藪から解放され、一安心だ。再び苔むす岩の緑の世界を下る。谷に水が湧出する地点が近づくと、苔むす岩の下からもコポコポという音が微かに聞こえてくる。登山口に戻ると急速に空気が乾いてくるのが感じられる。車を運転し、四万十川に沿って下降してゆくと空には青空が広がり始め、夕陽に照らされた雲が黄金色に輝いているのだった。
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yamaizu









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