雪崩地獄の抜戸岳

- GPS
- 56:00
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,750m
- 下り
- 1,744m
コースタイム
6:48 新穂高登山指導センター
7:15 左俣谷ゲート
9:08 中崎橋
10:13 笠新道登山口
10:45 取り付き点 10:58
15:10 1810m 幕営地
1月2日
5:30 起床
8:00 出発
9:13 サンピラー出現
10:01 晴れ渡り、槍穂連峰壮観
13:57 キツネに遭遇する
15:01 杓子平
15:56 2550m 幕営地
1月3日
4:50 起床、
7:15 登山開始
9:55 抜戸岳 9:58
10:05 稜線雪庇直下で雪崩に合う
10:33 幕営地帰着
11:32 下山開始
12:20 杓子平から下降開始
12:23 雪崩に巻き込まれる
13:21 2170m地点足元から雪崩発生する
15:40 1850m安全なところまで着く、
16:48 左俣谷林道着
18:52 左俣谷ゲート
19:07 新穂高着、
| 天候 | 1月 1日 曇のち雪 1月 2日 晴れのち吹雪 1月 3日 吹雪のち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年01月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
新穂高ー左俣谷取付き点 トレース無し、膝上ラッセル 取り付き、1810m天場 樹林帯は腰までのラッセル 1810m天場ー杓子平 腰までのラッセル 杓子平ー抜戸岳直下まで 60cm新雪のラッセル 抜戸岳稜線からの降り口で足元から雪崩、5m流される 杓子平からの降り口で幅30m×厚さ70cmの板状に雪崩て その上を歩いていた僕ら二人共流される 僕は、10m流され何とか停止する kは5mくらいで踏み止まる 2200m地点で降り口を探していたときストックを挿したら スッパと切れ落ちまた雪崩が起きた。 30日以前に積もった雪は固く締まっておりその上に何層かの 薄い雪の層が有り、その上に70cmの新雪が積もった雪の層 が板状に雪崩れたようだ、切れ口はバームクーヘンの様でした 非常に不安定で少しの刺激でなだれる状態でした。 |
写真
感想
自宅を5:30に出るが道路沿いも雪が深い、すれ違う車は
除雪車のみ新穂高の駐車場もまだ除雪されて無く四駆でな
いと厳しい、駐車場は半分以上空いている
登山届を出して歩き始めるが直ぐスノーシューをつける
左俣谷ゲートからは全くトレース無し、いきなり膝までの
ラッセル、すすむにつれ雪が深くなり笠新道登山口までに
3時間も掛かり先が思いやられる、おにぎりを食べて尾根に
取り付く、いきなり腰上のラッセルで全く高度が稼げず
1時間に100mのペース、今日は2000mまで上がりたいが
これでは無理かなと沢筋に入ると少しはましで歩き易い
1600mまで上がると傾斜もキツく雪崩も怖いので、右岸の
尾根に上がると又胸までのラッセルで、ザックを置いて空身
での交代でラッセルをする。物凄く疲れる。
15時になり1810m地点で天場を整地してテントに潜り込む
この場所は風穴地帯で岩の下から温かい風が出ているので周りの
雪が溶けて岩が露出している。
1月2日
5時半頃起床、少し寝過ぎた・・ 昨夜の積雪は15cm
急いでラーメンを食べてテントをたたみ、8時に出発
相変わらずの腰から上のラッセルできょうも時間100mの
ペースで中々高度が稼げず疲れだけが溜まって行く、
何としても今日は杓子平までたどり着かなければ敗退だ
それでも高度が上がるにつけ木がまばらになり、歩き易い
所を捜しながら高度を上げてゆく、でもそこは雪崩れて雪が
落ちてしまって硬い雪が露出している所なので気が抜けない
暫く登ると岩が露出してくる
避けながらゆくと笠新道の杓子平へ乗り越す所へ着く、
カール状になっていて、雪庇が出ているので端の方から乗り越す
15時になったが、明日のことを考えて出来るだけ抜戸に近い
所でテン泊したいので16時近くまで歩き2550m地点の岩陰
を整地してテントを張り潜り込む
12時頃から段々と吹雪いて来て杓子平からは本格的に雪になり
天場までのラッセルは30cmで歩きやすいが風が強いのとガスで
視界が効かない、明日はラッセルも楽そうなのでもしかしたら
笠ヶ岳まで行けるかもしれない、
食事を早く済ませ明日の分の水を作って20時にはシュラフに
潜り込む、外はまだ吹雪いてる。
1月3日
4時半頃起床するが相変わらず吹雪いている、がだいぶ風は
弱くなった
外に出るとガスと雪で視界が効かない、新雪が50cm位で
テントが埋まり、除雪してからチキンラーメンとスープの
朝食を摂り、ツエルト、コンロ、などのビバーク装備で
7:15分抜戸岳に向かう、昨夜の降雪でまたもや膝上のラッセル
3日連続の激ラッセル、いいかげんイヤになるがこれをしなけ
れば登頂出来ない。
ガスと吹雪で視界は30m前後で、ホワイトアウトに近いが尾根
を忠実に辿って行くと稜線に出る
物凄い風で鼻が凍傷に成りそうで辛い
頂上の標識を見つけて写真に納め、10時になっているので
笠ヶ岳は無理だ、直ぐに下山開始、所が稜線から降り掛けて
10歩程歩いた所で足元の斜面が板状に割れ滑り出す雪崩の
上に乗って一緒に滑り出すが5mほどで止まり肝を冷やす
トレースを辿り、登りに2時間半掛かった所を34分でテントに
着く、テントを撤収後下降開始、前日のトレースは消えていて
又々ラッセルを強いられる。
12:20分笠新道の降り口着、先ほどの事があるのでカール状に
なって居る端っこの方からkくんが、慎重に降り始める
少し空けて僕が続く、3分の2位降りた所で音も無く足もとが
滑り出す、またもや雪崩に巻き込まれる・・・
今度はでかいが足元から下が雪崩れたので10m位で何とか
停止する、kは上の方で四つん這いになっていて踏み止って
るのが見える。
助かったー
さてどうする、1度杓子平まで戻るか、このまま尾根通し
降りるか考えたが今日も明日も危険度は変わらないのなら
このまま降りて仕舞おうと云うことになりどんどん下る
笠新道の直ぐ東側の尾根通しに降りてゆくが岩場になり
行き詰る、仕方なく右の裾を巻くことにするが降り口が
急斜面なので降り口を探していたとき雪面にストックを
刺すと其処からピシッと線が入り雪崩はじめた、しかし
これほど不安定な雪は初めての経験です。
雪崩れた跡は硬いので、アイゼン、ピッケルに変え降り
始める
岩の下まで下りて、デブリの端っこに沿ってどんどん下る
でもこのまま下ると左俣谷まで沢筋に降りることなりそれ
は出来ないので、尾根に上がろうとするが、雪崩そうな
斜面ばかりで中々取り付けない1800m付近で漸く右岸の
尾根に上がり胸までのラッセルの末、15:40分、笠新道近
くの尾根に辿り着けて一安心、でも休んでる暇はない早く
降りないと暗くなってしまう、くだりでも腰から上のラッ
セルだが真っ直ぐに下ればかなりのスピードで下れる
16:48分左俣谷林道着、500mを1時間で降りた、やはり
下りは早い。
ここまで来れば誰かのトレースが有ると期待したが見事に
裏切られる、1日の自分らのトレースまで残ってない・・
又々50cmの膝上ラッセルに うんざりですがソイジョイを
食べてテルモスのコーヒーをすすって少しは元気が出て
新穂高に交代でラッセルしながら歩く途中でラテを付け
19:07分新穂高温泉に辿り着く
本当に疲れたー
何時か厳冬期の笠ヶ岳、抜戸岳をやりたいと研究していたが
遂にその時がきた。
しかし今冬は寒く雪も多い、31日から強い冬型になりこれは
無理かなと半分諦めるが、天気図を見ると里雪型で北アルプス
は余り降らないじゃないかと読んで、予定道理決行する
この山は入山者も期待できず雪も多い、
何より雪崩の多発地帯を何ヶ所も通らないと登頂出来ないので
ルート取りや、延々とラッセルをこなす体力、気力が無いと
到底不可能な厳しく、難しい山です。
厳冬期のこのルートは余りにも危険過ぎます、絶対に真似を
しないで下さい。
コメント
この記録に関連する登山ルート










師匠・・年明け一番、強烈すぎます!!
写真25番・・腰以上のラッセルなんて・・50mもたないです・・わたしなら・・
後続していたら・・「師匠・・あきらめましょうよ」
第一、左俣ゲートからのラッセルなんて・・
テント埋まってるし・・あれ発見できなければ春まで埋まってる??(爆笑
雪崩れの巣によくもよくもこの時期に・・
笠新道入り口見ただけでゾッとします
これは北アルプスが裏庭の師匠親子だけにしか無理!!
写真33から34・・相当の苦労があったはず(^^;
無事生還おめでとうございます
でわでわ
わたしなら笠新道入り口ピストンで精一杯です
あけましておめでとうございます。
私はごく普通の人間です。
但 夏の日帰りを拘ってたのは半分はそれが目的じゃなくて
厳冬期の山に力負け?せずに登りたい
その為のトレーニングの意味も有り、無駄に早く歩いていた様に
見えてたかもしれませんが、自分なりに 夢 があってのことです。
今回はその成果が有りました。
20k超の荷物を担いで3日連続合計25時間 のラッセルをこなせました
加藤文太郎は冬の富士山を平地を歩くように登っていた
その脚力に憧れます。
でわ又コメントします。
higaerisazenさま
こんばんは。
私は雪山に足が向かない類なので、只々呆気にとられながら拝見させて頂きました。
枝から落ちる雪と風の音しかしない世界…聞こえるのは自分の呼吸音のみ。時折り高空を飛ぶ飛行機の音から元気が貰えるのでしょうか…そんな気がしました。
それとも雑音かな?
無事生還何よりです。
帰宅後のお酒
こんばんは、コメントありがとうございます。
雪山は日が短く、テント張るのも整地が大変で、中にはいっても雪を溶かして
3Lの水を作り食事を済ませると次の日のための水を作ってそれでもう2時間以上掛かり後は寝るだけです。
朝も暗い内から食事、撤収パッキング等慌ただしく過ぎてゆくので夏より数段
忙しいのでゆっくりと景色を楽しむ余裕はないのです
テント生活をテキパキこなすのも登山の大きな要素です
それでもパッと晴れ上がり真っ白な穂高が浮かび上がったときは、
息を呑むほど綺麗です。
帰ってからゆっくりと酒を酌み交わすのは、至福の時です。
それにしても今回は危険過ぎでした。(T_T)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する