酒を背負って裏剱へ〜阿曽原温泉と仙人温泉〜

- GPS
- 75:44
- 距離
- 32.3km
- 登り
- 5,317m
- 下り
- 4,441m
コースタイム
- 山行
- 6:11
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 6:19
- 山行
- 5:59
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 6:25
- 山行
- 6:23
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 6:44
| 天候 | 1日目 晴れ 2日目 晴れ 3日目 曇り時々晴れ 4日目 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
1泊2日1100円 以降1泊毎に900円 扇沢は無料駐車場を利用 |
| 予約できる山小屋 |
仙人池ヒュッテ
|
写真
感想
チーム「酒を背負って」メンバーによる黒部源流を遡る山行です。本当は下ノ廊下を通り,十字峡やS字峡を見たかったのですが,残念ながら今年は残雪が多くてこの時期は通ることができないとのこと。若干ルートを修正してピークを踏まないこのプランとなりました。
一番の悩みはアプローチ。ルートとしては黒部ダムからスタートする方が一般的かもしれませんが,車2台作戦だと一度宇奈月温泉まで行って扇沢まで戻ってくることになり金曜日はほとんど徹夜になってしまうので,帰りは辛いけど一台を扇沢に置いて宇奈月温泉からスタートすることとしました。
<1日目>
黒部渓谷トロッコ鉄道の欅平から出発。小説「高熱隧道」で知られる水平歩道を歩きます。始めの急登が厳しく,その後の水平歩道はとにかく長い道のりです。高度感は徐々に慣れますが,転んだりしたら即アウトなので飛ばして歩く訳にいかず,コースタイムを稼ぐことができませんでした。それでも時折現れるトンネルや奥鐘山の絶壁,大太鼓などの絶景を楽しみながら歩くことができました。
阿曽原温泉は野趣溢れる本物の秘湯。テン場から若干遠いのが難点ですが,ビールを片手に一日の疲れを癒すことができました。
標高が低いせいかこの時期の夜でもそれほど冷え込まず,テントの外で二次会を楽しんだ後,明日に備えて就寝としました。
<2日目>
池の平小屋のテン場までは遠く,仙人池ヒュッテが満員であったこともあり,この日は仙人温泉小屋までとして小屋泊します。阿曽原温泉からは一度登った後,仙人谷ダムまで急降下し,ダムの施設を通ってからいよいよ雲切新道に突入です。足場が悪く厳しい急登が続く道です。随所に張っているロープを頼りにグイグイ標高を上げます。確かに険しく厳しい急登でしたが,阿曾原温泉のHPによるとこの新道のおかげで事故も減っているとのことであり,登山者としても感謝すべきでしょう。振り返ると,後立山連峰のこれでもか!と広がる景色が実に気持ちが良かったです。
小屋に着く前の雪渓を渡る部分,ここが大きく崩落しており,小屋の方がかけてくれたものと思われるハシゴがかけられていました。実際我々の目の前でも雪渓が一部ドドッと音を立てて崩れ落ち,肝を冷やしました。恐る恐るハシゴを登り,急ぎ足で雪渓を渡りましたが本行程で一番緊張した場面でした。
仙人温泉小屋は大きくはありませんが心温まる小屋でした。多少は空いているかとも思っていたところどんどん人数が増え,結局布団2組分のスペースに3人で寝ることとなってしまいましたが。それでも温泉に浸かり,唐松岳や白馬岳を眺めながらのビールは最高でした。
<3日目>
仙人池に登る雪渓は軽アイゼンを付けるとサクサク登ることができ,ひんやりした風が気持ちよかったです。仙人池ヒュッテに着くと眼前に現れたのが・・・剱岳です。若干ガスがかかっていましたが,その偉大とも言える山容は迫力満点でした。仙人池に映る逆さ剱も楽しむことができました。
仙人峠を越えてからは,右手にずっと剱岳を望みながらの気持ちのいい下り道でした。
真砂沢ヒュッテの直前の雪渓も危険とのことで,地図上の破線ルートを通ることとなりましたがこれが実に険しい道で,苔だらけの石に足をとられて転倒してしまいました。
真砂沢ヒュッテでは,楽しみにしていたビールがまさかの売り切れで,意気消沈。
それでも,なんだかんだ背負ってきたお酒で晩酌を楽しみ,「酒の切れ目が山の切れ目」とばかりに就寝しました。夜は剱沢雪渓を吹き下ろす風で冷え込みました。
<4日目>
朝3時過ぎに起床。満点の星空の中で撤収して出発しました。
ハシゴ谷乗越までの樹林帯は苔むした岩がツルツルと滑り,頭上には木の枝もあって歩き辛いです。それでも,樹林帯を抜けるとドーンとそびえる剱岳が。今日は雲一つない快晴で,岩壁には色とりどりの紅葉が映えて最高の景色でした。もっと見ていたかったなぁ。
朽ちかけたハシゴを登って道が見えないほどの藪を漕ぎ,内蔵助平まで景色の変わらない長い道を下ります。内蔵助谷も滝のような沢沿いにハシゴあり,鎖あり,ロープありの急峻な下りが続きます。遠くに黒部の本流が見えた時は嬉しかったですね。
内蔵助谷出会から黒部川の左岸を上っていくと目の前に現れるのが,黒部ダムです。もの凄く高い壁を見上げ,当時の人々の叡智と努力に感心せずにはいられませんでした。
こうして今回の山行も無事終了。お会いした多くの方から「何で剱岳に登らないの?」と言われてしまいました。確かにここまで来ていながら勿体ない気もしますが,黒部川の源流と秘湯を巡り,剱・立山と後立山の大パノラマを楽しめて,とても満足です。好天に恵まれたのが何より良かったです。今度は下ノ廊下へリベンジしたいですね。
1日目の水平歩道、小説「高熱隧道」を読んで予習したつもりでしたが、想像を超えた道でした。よくもまぁこんな道を切り拓いたものです。終始左手にみえる「黒部の怪人」奥鐘山西壁は圧巻ですね。阿曽原温泉に浸かりながらのビールは旨かった🍺。
2日目は、急登に次ぐ急登、ロープありハシゴあり、雲切新道は歩き応えがありました。後立山連峰の景色を眺めながら頑張りましたね。雪渓の崩落にはビビりました。仙人温泉はこれぞ秘湯っていう感じで最高😃⤴⤴。
3日目は何といっても仙人池に写る逆剱。少し雲がかかっていたけど、それもまたいい感じ。その後もずっと裏剱を眺めながら歩く筈だったけど、曇りがちだったのは残念でした。真砂沢ロッジのビール売り切れも残念(>_<)。
4日目は快晴で、大迫力の剱岳を間近に眺めることができました。「黒部の巨人」丸山東壁と「黒部の魔神」大タテガビン南東壁に囲まれた内蔵助谷では、黒部の奥深さを感じながら歩いていました。黒部ダムが見えたときは、やっと終わってホッとするのと、もう終わっちゃうんだという気持ちで複雑な思いがしました。
4日間のハードな旅でしたが、無事に終わって何よりでした。
オノディ
hanaabi
namagennsyu




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