Matterhorn(マッターホルン・ヘルンリ稜)


- GPS
- 27:11
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,808m
- 下り
- 1,823m
コースタイム
- 山行
- 8:51
- 休憩
- 3:10
- 合計
- 12:01
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
そこからヘルンリ小屋まで登山道歩きとなる。 帰りも同様にSchwarzsee駅まで歩いてゴンドラで下山。(歩くこともできる) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■ルート状況 ・Schwarzseeからヘルンリ小屋までは危険箇所なし。道も明瞭だが登山靴は必要。 ・ヘルンリ小屋から上はクライミングの領域となる。 ・ソルベイ小屋まではほぼ積雪なし。 ・ソルベイ小屋から上は積雪あり。前爪付きアイゼン装着の上岩と雪のミックスを登る。 ・フィックスロープ帯を超えたら山頂までピッケル使用。四つん這いで前爪を効かせながら氷の壁を登るイメージだった。 ・山頂部は痩せたリッジだが普通に歩ける。 ・降りの方が技術的な難易度は高いが際どいところは懸垂下降でガンガン降る。 ■総評 ・技術的にはジャンダルム(奥西縦走)より少し難しいかな?と感じる程度。 ・問題は体力面と高度。4478メートルは富士山より700m高く酸素が少ない。更にZERMATTERSのガイド基準ではヘルンリ小屋からソルベイ小屋までのリミットタイムが2時間半、山頂4時間(これを超えると強制帰還)という制限があるため必然的にスピード登山となる。 ・この高度でのクライミング要素を含むスピード登山は体力的にかなりしんどい。(自分の中では過去一番ハードな登山だった) ・また、前後に常に登山者がいたり、後半はすれ違いも多くなるためカオス。精神的にも追い込まれる可能性がある。 ・岩場のアイゼン歩行とスムーズかつ確実な道具の着脱やレイヤリング、荷物の軽量化もポイントになる。 ・ガイドとの相性も地味に大事になりそう。今回のガイドさんは地元ZERMATTERSの若手ガイドで英語で気さくに話せる相手だったため気持ち的には余裕が持てた。 |
その他周辺情報 | ・マッターホルンに登頂できた場合、ヘルンリ小屋で登頂証明書がもらえる。 ・ヘルンリ小屋はモンベルと提携しているらしく小屋オリジナルのTシャツが購入できる。 ・ヘルンリ小屋の水は高いので下から担ぎ上げた方が良い |
写真
感想
登山に目覚めた約14年前から「いつかはマッターホルンに登る!」という漠然とした夢を描いていた。
山といえばアルプス、その中でもスイスのヨーロッパアルプスは自分の中で理想の山岳風景となっていた。
子供の頃に観たアルプスの少女ハイジの影響も大きかったのかもしれないし、学生時代に没頭したアルペンスキーの世界で登場するオリンピックやワールドカップの舞台にも憧れていたのかもしれない。
そんな解像度の低い夢だったが昨年になって急展開を迎えることになった。
きっかけはスイスのヨルゲン(正確にはその友人)から連絡をもらったこと。
彼は日本の富士山を滑りたいということで当時の自分のブログを読んで連絡をくれたのだ。
富士山こそ同行できなかったが今年の二月にヨルゲンが来日したタイミングで一緒に2泊3日で白馬のパウダーを滑り「次はマッターホルン!」と固い約束を交わしたのだった。
そうして迎えた今回のスイス山行。
初海外登山でいきなりマッターホルンが正しいのか分からないが乗れる波には乗るしかない。
山は逃げないがチャンスは逃げる!
少し長い休みを取る事になるので職場のみんなにも迷惑をかけるがごめん、これだけは譲れないんだ。
チューリッヒに降り立ったらその日はヨルゲンの自宅に泊めてもらって翌日グリンデルワルト等を巡りながらツェルマットを目指す。(詳しくは先日のレコを参照)
ブライトホルンでのテスト登山を経て今回の本番を迎えた。
一日目はヘルンリ小屋までのアプローチなのでほぼハイキング。マッターホルンを目指す人だけではなく小屋までのトレッキング目的で訪れるハイカーも多かった。
少し時期が早いと言われていたエーデルワイスにも会えてラッキー。幸先が良い。
この夜はヨルゲンとそれぞれのガイドさん達と顔合わせをしつつ共に夕食をいただいた。
ご飯が終わったら持ち物検査。
アイゼン、ピッケル、ヘルメットなど必要なものを持参していることはもちろんだが、余計なものを持たせないという視点も強かった。余分な食料や水、電池や着替えなどはとことん削らされた。それだけギリギリの山行になるということなのだろう。
その後21時過ぎには就寝、翌朝3時に起床した。
ほかの登山者は食堂で朝ごはんを食べていたがヨルゲンと自分はサトウのご飯で作ってきたおにぎりで気合いを入れる。
3時50分に扉の前に集合してスタート。スタート順もきっちり決まっていて地元ZERMATTERSの決まったガイドが最初の扉を開く。自分もその集団の一員なので続いてスタート。よーいドンで歩き始める感じがまるで山岳レースだ。出たことはないけれど。
前も後ろも登山者なのでマイペースで歩く訳にもいかない。
常にガイドのハイペースに引っ張られる格好で出だしから息が切れる。3000メートルオーバーでこのペースは未体験だったので不安がよぎったが幸いなことに2週連続の富士山が項を奏したのか高山病の症状は出なかった。
それにしてもコンスタントに速いし休まない。
2時間半以内にソルベイ小屋、4時間以内にピークに辿りつかなければならない、少なくともZERMATTERSのレギュレーションはこうだ。
それでも後ろから続々と追い抜かれるんじゃないか?と思ったが意外と抜かれることはなくて逆に自分が追い抜くケースもあった。苦しいのは自分だけではないのだろう。いやガイドのMedericさんには抜かなくていいからゆっくり歩いて欲しかった笑
ソルベイ小屋に到着すると先行していたヨルゲン達に追いついた。彼らはだいぶ前について休憩を終えて出発するところだった。自分たちもここで休憩かな?と思ったらMedericさんがもう少し先へ行こうと言い出す。鬼ですか。この辺から雪がミックスし始めて気温も低かったので岩も氷始めた。まだアイゼン装着前だったのでたまらずスリップ!さすがにMedericさんもまずいと思ったのかここでアイゼン装着。できるだけゆっくり装着して休憩時間を稼ぐ笑
そうこうしてるうちに下からヨルゲン達がやってきて先へ進んで行った。また後ほど!
上に行けば行くほど難易度が上がっていく。
まずはフィックスロープ地獄だ。
綱引きで使う綱のように太いロープを頼りに登りにくい急な斜面を登っていく。あまり使わない腕力や握力が試されるポイントだ。
それが終わったら最後の氷壁地獄。一旦解けた雪が凍って氷の斜面を作り出していた。
ステップはできているが念の為アイゼンを蹴りこんでしっかり足場を固めて登っていく。縦走用のピッケルは刺さらなくて気休めにしかならなかった。
核心部をクリアしたらいよいよ山頂の稜線へ。
ガス優勢だったが青空が覗いてくれた。さすがに視界はそれほどなかったが今回は登頂が目的なのでこれでも十分だった。
そして山頂の十字架へ…ここがスイス側のピークだと思っていたが実はイタリア側のピークだったらしい。スイス側のピークはいつの間にか通り過ぎてたようで…Medericさん早く教えてよ笑!
イタリア側のピークで写真を撮りつつ一休みしたら下山開始。その間もどんどん下から登山者が登ってくるがあまり遠慮していると全然降りられないのでひとつのビレイポイントに3人くらいがロープを引っ掛けて昇降するような状況だった。
マジメに降りたら結構大変な下山ルートだが面倒なところは懸垂しまくりで楽々下山。とはいってもやっぱり慎重にならざるを得ないので結局登りと同じくヘルンリ小屋まで4時間程度要した。ということでヘルンリ小屋から山頂往復で丁度8時間。体力は落ちていたが急かされながら登ったせいもあってなかなか上等なペースで終わった。
小屋でヨルゲンたちとも合流して地元のソウルドリンク?のrevellaで祝杯を挙げながらランチを堪能。念願の登頂証明書もゲットした。
その後消化試合というかビクトリーロード的にシュバルツゼーまでのんびり下山した。
ということで、14年来の夢がようやく叶った。
山は人生そのもの。
知らず知らずのうちに目の前を通り過ぎていく数多くのチャンスをつかめるかどうか、そして目標に向かって頑張れるかどうかでその濃さが変わってくる。今回の山行で改めてチャンスを掴み取ることの重要性を感じることができた。
最後に・・・ガイドや移動、食事などの手配に奔走してくれたヨルゲンと友達に深く感謝したい。ありがとう!今度は日本の山を登りましょう!
コメント
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登頂おめでとうございます!次はエベレストですね😁
今回マッターホルンには登りましたが元々海外登山自体にそれほど執着しているわけではなくエベレストにもあまり興味がないので多分行かないかなぁとは思ってます。
でもまたチャンスが目の前を通り過ぎたら掴みにいってしまうかもです笑
初海外登山でいきなりマッターホルン登頂ですか・・・
お、お、おめでとうございます。
ボクはたしか5回目の挑戦で登れましたよ(イタリア側・リオン稜、その後ヘルンリ稜)。
しかし、かなり厳しそうなコンディションやね。
すばらしいです。大拍手を贈ります。
さすが、さんちゃんです。
次は、サニーサイド・オブ・マッターホルン、リオン稜で!
クマ
さすがですね、5回もチャレンジしていてリオン稜まで行かれているとは!
確かに降雪直後でガイドさんも難しいコンディションだと言っていましたがギリギリ登れました。体力の衰えを感じます笑
クマさんに教えてもらったクライミング技術やその時に買ったハーネスがこんなところで生きてくるとは思いませんでした。改めて感謝です!
これから積極的に海外登山に行こうというわけではないですが、またアルプスには行きたいなぁとは思いました。スイス最高です!
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