黒岳

- GPS
- 13:54
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 1,476m
- 下り
- 1,320m
コースタイム
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 8:23
- 山行
- 2:51
- 休憩
- 0:01
- 合計
- 2:52
| 天候 | 曇り時々雨 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
腕を使いながら岩を超えていく箇所、ロープ場、などあったが、危険箇所は無さそうだった。ピンクテープは多く、道迷いは少なそうだったが、一部では迷いうる箇所もあった。 |
| その他周辺情報 | 温泉:星生温泉「山恵の湯」 食事:旅館白泉荘 |
写真
感想
卒業試験、就職活動が一旦終わり、結果がわかる前でしたが、封印していたテント泊を解禁し、また自分へのプレゼントとして冬用のシュラフを購入しました。11月に祖母傾縦走をやろうと友人と話していたので、そのためというのもあります。今回はその性能の確認と、テント泊さらには山行のリハビリのための登山の予定でした。しかし結果的には様々な要因で、予定ルートを短縮し、挑戦的な山行になりました。予定変更それ自体はむしろ適切な判断ができたという点で評価できる選択だと思いますが、疲労具合や精神状態はかなり限界で、僕にとってはなかなかものでした。
くじゅうの主な山は以前17サミッツを2日で回ったときに登頂済みであり、せっかくなら未踏の山頂を踏みつつ、坊ガツルに至るルートを選ぼうとして選ばれたのが黒岳・高塚山でした。知り合いから黒岳はきついと聞いていたので、絶好の機会でもありました。
入山は白水鉱泉白泉荘から。くじゅうの向こう側と言えば熊本の人には通じると思います。向こう側、です。朝4時に出発して2時間半ほど車を走らせました。道中に鹿やら狸やらがいっぱいいて賑やかでしたが、濡れた路面の状況や霧の濃さが既に今回の山行が気楽なものではないことを感じさせました。
急登と聞いていたので、ひたすらゆっくり歩きました。テント泊装備を背負っていたというのもあるでしょうが、いつもよりもゆっくりと一定のペースで登れたので息が上がりすぎることはありませんでした。ここで1つ目の反省点としてトレッキングポールとグローブを忘れてきたことに気づきます。正確には家に意図的に置いてきた。前日なんやかんやで2時間半しか眠っておらず判断力が鈍っていたのか、毎回忘れがちなグローブをまたも忘れてきました。しかも装備が重く、時間との勝負なところもある計画なのに、スピードを上げてくれるトレッキングポールも忘れてきました。よくない滑り出しでした。とはいえ素手で苔むした岩肌や地面を触るのは案外気持ちよく、これまでの登山者が同じ様に握ってきたであろうグリップがいたるところに手がフィットする感覚も新鮮でした。
原生林が残る山らしく、くじゅうの他の山とは景色が大きく異なり、岩は分厚い苔でもっさりと覆われ、木々は背が高く、地面は落ち葉が落ちたままでした。屋久島で見た景色と似ていました。屋久島に行ったことある人は(白水鉱泉から)黒岳に登ると同じような景色を見ることができて感動するかもしれません(もちろんそうでない人も)。
そしてとにかく岩を軽くよじ登る場所が多かったです。危ないと思った場所は思い出せる場所として1箇所だけで、そこはロープがある岩場だったが、足をかけることのできる場所が狭く、濡れていて、不安定でした。もっと安全に通過する方法があったんだろうな、という場所が幾つかありました。3点支持が安全には大切とは言うものの、横着してえいやっと登る箇所も多かったです。ルートファインディングが苦手なんだなと少し悲しくなりました。が、今回、これまで「なんとなく道が違いそう」と判断していた地形の特徴に気がつきました。道が硬くないということです。ふかふか・さらさらしていたら、そこは人間が歩いていない。つまり登山道でない可能性が高いんじゃないか、ということに気がつきました。自分天才なのでは、と少し元気になりました。単純。
アドベンチャラスな山行を提供してくれる黒岳ですが、思ったより、ピンクテープは丁寧で、
間隔は短かったです。しかし何箇所かは不明瞭な場所もあり、それとも倒木等で移動していたのか、そういうところ以外は道迷いしそうでした。ふかふか理論を用いれば、すぐに道を外れたとわかるのかもしれません(ここで国見岳を歩いたときに「ふかふかだ~!」と喜んでいた自分を思い出す)。
しかし急登なことは変わりなく、体力はごっそり奪われました。部活を完全引退して、初めてのテント泊登山。当時の山行は部活で体を動かしていたからこそ実現可能だったのだと気づいた。腹回りに脂肪を蓄えているというのもあり、とてもきつく感じました。減量と日々の継続的な運動は安全な山行のために重要だと痛感しました。消費するカロリーが減れば、持っていくべき食料の量も減って身軽になるし、なにより、体重が軽くなって足腰への負担が減るのが大きいと思います。帰宅後はハムストリングス、腓腹筋、大腿四頭筋、上腕三頭筋、大胸筋、辺りが筋肉痛でした。心なしかパンプしていて面白かったです。
身体的な疲労に加えて、精神的な疲労を加速させたのは登山者の不在でした。平日であってもくじゅうなら誰かいるだろうと考えて入山しましたが、結局、1日目の午前中つまりもっともきつい場所では誰にも会いませんでした。もちろん楽しかったのは楽しかったのですが、露だか霧雨だか雨だか、で身体はびっしょり濡れ、山行を楽しむ体力も奪われていきました。途中でこのままじゃ低体温症になると思い、服を脱いでレインウェア着た判断はナイスでした。その後体温を上げるために湯を沸かし、カレーメシを食べました。カレーメシは抜群に美味くて信頼していたのですが、残念ながら買ってきた種類のものは僕の口には合いませんでした。とにかく身体は熱を取り戻し、歩き始めました。
ピークを超えると大船山のお鉢巡りです。ミヤマキリシマは5、6月に美しいピンクの花を咲かせることで僕たちを楽しませてくれますが、シーズン外はただひたすら足やら腕やらを引っ掻くだけのやっかいな植物。その群生地の狭い登山道を抜けるのは膨大なストレスを伴いました。もう少し広くして欲しいけれど…
坊ガツルまで辿り着かなければ大船山避難小屋に泊まろうと考えていました。実際ペースは悪くなかったものの、疲労困憊で、坊ガツルに降りるのは諦め、計画変更しました。しかしその選択も果たして正しかったのか。日没まであと2時間以上あったのでもう少し頑張って歩いて、人に会える坊ガツルまで降って、談笑でもした方が精神衛生上よかったのかもしれないと今では思います。
15時に小屋に着き、翌朝6時に出発するまでの15時間はひたすら1人でした。あまりに心細いのでスマホにダウンロードしてあったpodcastを聞くなどしましたが、充電は減るばかりで地図見れなくなるのは避けたいのですぐに消しました。本も持ってきましたが、ライトが無ければ読めず、貴重なヘッドライトの充電を使うのも惜しかったので少し読んでザックに収めました。
今回もってきた食料は総じて微妙で、モンベルのアルファ米の偉大さを再確認しました。やっぱりモンベルが最強です。いつか自分でも作ってみたいです。安物のスキットルも購入したのですが、ウイスキーを切らしていてビールを持って登ってきました。次までに補充しておきたいと思います。ちなみにシュラフの性能は凄かったです。めちゃくちゃあったかくてそれだけで心も温まるような感じでした。-15℃まで耐えられると主張していましたが、伊達ではないようです。
心細い夜を過ごした後、翌朝は北大船山の山頂を踏んで、男池登山口へ下山しました。とにかく長かった。常念岳から一ノ沢を下ったときもひたすら長い下山でしたが、それに匹敵するくらい長く感じました(実際は一ノ沢の方が長かった)。途中雨が降り出し、身体が冷えました。大船山は斜面がザレてて、それも体力を削りました。しかし原生林の景色は美しく、後半は景色を楽しむ余裕も出てきました。「ソババッケ」とは「急な崖」だかなんだかを意味する言葉らしいですが、沼のような地形に葉を落とした木々が生えていて、異様な光景でした。ここでもまた『Death Stranding』というゲームの話をしますが、まさにあのゲームでBTというゴーストが出てくる場所みたいでした。デスストが好きな人は登山好きだと思うし、登山好きな人はデススト好きだと思います。美しかった。
男池登山口から白水鉱泉白泉荘へは舗装路を歩きました。通る車の運転手にガン見されながら。白泉荘では豊後牛焼肉定食をいただきました。めちゃくちゃ美味かった。そして温かいお茶が最高でした。ハッと目を覚まして居眠りをしていたことに気づくように、内臓が温かくなって初めて冷え切っていたことに気づきました。登山口使うときはおすすめです。あと梨がめちゃくちゃ美味かったです。日帰り温泉はやっていないとのことで、星生温泉山恵の湯に入りました。いろんな種類の露天風呂があって楽しかった。
天気が悪い中を歩いたり、運転したりするときは前述のデスストのサントラを聴きながら移動するのですが、なんかそれ聞いたら感極まってしまいました。雨&人少ない&山行がきつかったというのもありますが、この1年くらいの就職活動や卒業試験に付随した緊張が解けたのだろうと思います。
帰路で卒業試験の合格がわかり、その翌日就職先が決まりました。ソロ登山は自分を見つめる良い機会だと僕は考えています。とても良い登山でした。毎度の如く反省すべき点は多いですが、遂に来月に迫った祖母傾に向けてエスケープルートまで含めた計画を練りたいと思います。祖母傾縦走の経験者にもお話を聞きたいです。あと1回くらい縦走前にはどこかに登るかもです。
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Ken
















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