猪苗代-磐梯山-裏磐梯 〜霧氷と紅葉と〜 A20


- GPS
- 06:18
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,195m
- 下り
- 1,056m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
当日 5:40、タクシー(予約、磐梯観光タクシー)で登山口ヘ。(870円) 磐梯高原駅発12:50(磐梯東都バス、900円)猪苗代駅着13:18、昼食、発14:39(磐越西線)郡山駅着15:11 ※タクシー初乗り1km510円 磐梯観光タクシー 0242-62-2364(早朝対応可) 猪苗代タクシー 0242-62-3636 |
その他周辺情報 | 民宿「えびすや」 農家の経営する大きめの老舗民宿。遅い到着のため他の民宿に断られていたが、女将さんは快く受けてくれた。10畳の部屋(素泊まり4,320円)で寛ぐ。 猪苗代駅前「市松」 評判どおりソースカツ丼870円が感動的な旨さ。列車を1本見送って良かった。 |
写真
感想
かぼちゃのお化けやカプセル怪物で大盛り上がりの渋谷を抜け出した。郡山20時48分発会津若松行に乗車するため、「お先にトクだ値」新幹線で向かう。錦秋の候、好天の予報、渋谷の街の如き山頂を憂いながら、ベックスで買ったミートローフサンドとコーヒーを食す。
家を出てから3時間後、猪苗代駅に立った。名前入りのプレートを持った運転手がにこやかに出迎える。気分が良いというよりも、近くで申し訳ない、そんな気持ちで車に乗り込んだ。「明日は大勢の人で賑わうでしょう」そんな一言を聞くと尚更早く出発したくなる。「今年は紅葉する前に葉が落ちてしまう」追い打ちをかけるような言葉は聞かなかったことにした。
インターネット上でようやく探し当てた民宿に到着するまで、10分とかからない。駅と登山口の間に位置し、夜遅くの到着を了解してくれた宿だった。果たして十分な睡眠を得て、心身共に万全な態勢で臨む。予約5分前に、車は到着していた。計画よりも15分早く登山口を出発する。
ゲレンデの登りは、前方が見通せるだけに厳しい。朝一番であることをよいことに、前回の山行と同様、何度も振り返りながら歩を進めた。朝陽は安達太良山の南、雲の中から昇った。猪苗代湖は雄大に広がり、点在する紅葉の名残は、昨晩の悲しい一言を少しは紛らわせてくれる。
出発1時間後、天の庭、一合目に到達した。体調は予想以上に良く、頻繁に現れる「お休み処」の大岩に魅力は感じなかった。予想と大きく異なっていたのは、雲の多さ。山頂を隠すものをはじめ、空には様々な雲がひしめき合っていた。眺望の期待できない赤埴山は迷わず捲き、そののち徐々にペースを上げる。
やがて櫛ヶ峰が視界に入る頃、早すぎた出発を少し後悔し始めた。風は、山頂到達前にかれらを蹴散らしてくれるだろうか。思いと裏腹に、磐梯山はさらに強く包まれる。沼の平に現れる金色の湿原に癒され、ペースダウンどころかさらに加速してしまう。
渋谷登山口、川上登山口への道を分け、三合目の標石を過ぎる頃、今日初めて登山者に出会った。そしてほどなく弘法清水。ちょうど歩荷隊が到着したところだった。見上げると、雲に代わって霧氷が美しく山頂を包む。休むことなく目指した。
それから、何枚写真を撮って進んだことか。今年最初の霧氷たちにすっかり魅せられていた。そしていつの間にか山頂に到着していた。午前9時、計画よりも1時間早かった。予想どおり期待に反して360度視界は得られない。ここまで徹底されると未練が無くなる。5分も経たないうちにその場を離れた。
下りながら相変わらず、霧氷たちに目を奪われる。いつしか雲は退散しつつあった。切れ間から裏磐梯の紅葉たちが目に入る。霧氷と紅葉の競演、瞬く間に冬から秋に変貌を遂げる。櫛ヶ峰の精悍さと桧原湖の穏やかさ、陽の光と共に充たされてゆく。先ほどまで決めかねていた、下山のタイミングを教えられた。
今日は山上で寛ぐことは止め、下界に輝きを求めよう。五色沼の水面を想いながら霧氷たちに別れを告げる。八方台から続々と登山者たちが上がってくる。あたかも一つの団体のように途切れない。これが本来の磐梯山、百名山の賑わい。360度の眺望を目にする彼らに少し妬きながら、その場所を目指した。
待望の分岐点。八方台への道を分け、裏磐梯への道に入る。ようやく熊鈴を必要とする静けさを取り戻すことができた。時折上ってくる登山者の挨拶に、笑顔で応えられる余裕が生まれた。午前11時、銅沼に到着する。磐梯山が美しく映える。雲を寄せ付けず、堂々とした姿だった。やはりハイライトは山中にあった。
1本早いバスに間に合うよう緩やかな下り坂を進む。スキー場の明るさを感じると、眼前に裏磐梯の湖沼群、それを守るかのように聳える吾妻山連山が目に映る。絶好の休憩場所だった。「山頂まで登るにはもっと早いバスで来ないといけないね」父親の言葉に頷く子供たちの姿が微笑ましく、何故か最も印象に残った。遥か遠い時間に思いを馳せたからかもしれない。
裏磐梯スキー場登山口からは、ダート舗装路を行かねばならない。出発後6時間、そろそろ腰を下ろしたくなる頃だった。結局バスに乗車するまで、座ることは叶わなかったが、この時点ではまだ五色沼の散策を諦めてはいなかった。県道が近づくと急速に人の気配が高まる。瀟洒な佇まいのホテル脇を進み、バス停と物産館を目指す。車道に渋滞が生じていた。
予想以上の人の多さに、五色沼が遠のく。そう、ここはシーズン中のリゾート地。今日の私に居場所は無さそうだ。やはり1本早いバスに乗車することにしよう。物産館では、着替え、靴の泥を落とすことに専念した。やがて猪苗代駅行のバスが現れた。瞬く間に満席となった。ザックを抱えたまま楽しかった今日を振り返る。何だか愉快だった。五色沼入口を過ぎる頃には夢うつつ、ザックを背負ったままハロウィン前夜の喧騒に呑み込まれていた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
kimichin2さん、こんばんは。
表磐梯から裏磐梯まで、疾風のごとく
すでに山頂付近はモノトーンの世界、冬の装いですね。
わずか半月ほど前、表磐梯からピストン登山したので、掲載写真の前半は見覚えのある景色です。ただ私の歩いたときは山頂付近の紅葉黄葉は盛りを過ぎていましたが、まだまだ秋の気配でした。半月の間でずいぶん季節が進んだなあという印象です。(天候の違いもあるかもしれません)
山中での天候は生憎でしたが、何とも味わい深い山行をされ、何よりでした
toshishun様
おはようございます。
体調良く、気力も充実していて、ゆっくり休むことなく進めました。
疾風とまではゆきませんが、写真を沢山撮っていた割には早いペースでした。
ただ、眺望を楽しむには早すぎました。座る場所のないほど多くの人で賑わう
季節なので、時間をずらしたつもりが霧氷を楽しむだけになってしまいました。
写真が上手でないので表現できていませんが、霧氷は美しく、残り少ない紅葉も
趣ある時間を過ごさせてくれました。
toshishun様もこれからも素敵な光景に出会えますよう願っています。
kimichin2様
おはようございます。
磐梯山に行かれたのですね!!
スミマセン……
お山歩きの場合は表磐梯から裏磐梯と表現すると思います。
私の場合は猪苗代スキー場と裏磐梯スキー場のバーンの起伏、ポールセットを思い出しながら、kimichin2さんのヤマレコを拝見させていただきました。
はやま第1クワットリフト(私達は通称ハイホーリフトと呼んでいます)から出発されて、現在第4リフト(昔は第6リフトでした)を通過されてずっとずっと上に登ると磐梯山にたどり着くのですね!!
知りませんでした……
第4リフトの磐梯山に向かって左側が林間コースだと思いますがそこでポール練習をしていました。急斜面スタート、途中天然地形のウエーブがあり、そこで減速すると、最後の緩斜面スピードに乗れなくて撃沈するというポールセットでした。私はいつも失敗して撃沈派でした(笑)
そして裏磐梯スキー場のコーヒー休憩されたトップ。
真正面が冬はコブ斜面になる急斜面、磐梯山方面に向かってちょっと左に入って下るコース、おそらくそこが登山径かなあと思いますが、そのもうちょっと下がったところがスタートで、やはりポール練習をしました。裏磐梯スキー場はハイシーズンでも、まったりした、いいスキー場です。知らない御客様同士でもなぜか挨拶をかわしてしまいます!!
雲を見ていますと、雪雲になりそうな、黒がまざったような色になっていますね。
冬が間近まできているなあと思いました。
紅葉もでもまだ頑張っていますね!!
私のスキーのやる気スイッチがオンになりました。
自分の話ばかりで申し訳ありません。
次回も、お天気に恵まれた静かなお山歩きができますように!!
お身体には充分お気をつけください。
reochi19様
こんにちは。雪便りが待ち遠しい季節になりましたね。
私は短い晩秋の季節が最も好きです。この季節、街にいても山にいても、心弾み、
始まりの予感を覚え、楽しくなります。自身の「決算」は1月下旬ですので、
第4クオーターに入り、焦ったり妙に余裕があったり、年により変動はありますが。
スキーに出かけなくなって、もう長い時間が過ぎました。東北のスキー場へは、
八幡平と蔵王くらいしか行ったことが無いのですが、磐梯山周辺には今でも多く
あるのですね。猪苗代も裏磐梯もゲレンデ端を歩きました。山から離れなければ
今でも滑走していたはず、ゲレンデのど真ん中で転倒している姿を想像しながら
進みました。
reochi19様、撃沈して怪我をなされないよう、気をつけてください。私も無理せず
マイペースで歩きます。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する