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更新日:2025年06月10日 訪問者数:51
ジャンル共通 技術・知識
連載「ヨーロッパアルプスの地質学」;序章ー1(はじめに)
ベルクハイル
ベルナーオーバーラント三山
左側から、アイガー、メンヒ、ユングフラウと並ぶ「ベルナーオーバーラント三山」、ファウルホルン付近より

※ 筆者撮影(2024)
ツエルマットから望む「マッターホルン」
ヨーロッパアルプスのシンボルたる「マッターホルン」を、麓のツエルマットから望む

※ 筆者撮影(2019)
氷河と針峰群の奥に、アルプス最高峰;モンブラン
モンブラン山群のロープウエイ車窓より望む、ヴァレ・ブランシュ氷河と花崗岩の針峰群、奥に白いモンブラン

※ 筆者撮影(1995)
複雑な褶曲構造(ヴェッターホルン)
「グリンデルワルド」の街から眺める、ヴェッターホルン(Wetterhorn)中腹部の、複雑な褶曲構造

※ 筆者撮影(2024)
「ヨーロッパアルプス」と周辺の地質概念図(tectonic map)
以下の(文献2)より引用

【凡例】
・黄緑色;「ヘルベチカ系」「ドフィーネ系」地質ゾーン、及び「ジュラ山脈」
・茶色:「オーストロアルパイン系」地質ゾーン
・黄色;「サウスアルパイン系」地質ゾーン、及び「ディナルアルプス」(バルカン半島西部)
・水色、青色、赤紫色;「ペニン系」地質ゾーン


(文献2)G,D.Piaz,A.Bistacchi,M.Massironi, " Geological outline of the Alps", Episodes, Vol. 26, No.3,p175-180  (2003)
序章ー1;(はじめに) 連載「ヨーロッパアルプスの地質学」を始めるに当たって
 ヤマレコユーザーの皆さんは、「アルプス」という言葉で、なにを最初にイメージされるでしょうか?

 多くの人は、槍ヶ岳、穂高岳、剣岳などのある「北アルプス」をイメージされるのでは、と思います。あるいは「南アルプス」、「中央アルプス」を含めた、「日本アルプス」という言葉をイメージされる方も多いでしょうね。

 また、「ヨーロッパアルプス」や、そこを舞台としたアニメ「アルプスの少女 ハイジ」をイメージされる方も、当然おられると思います。

 「ヨーロッパアルプス」には、マッターホルン、ユングフラウ、モンブランなど、有名な山が多く、ヨーロッパ有数の観光スポット、リゾート地でもあり、ヨーロッパ各地はもちろんのこと、世界各国から観光客がやってきています。また、観光だけではなく、ハイキングやスキー、更には本格的なクライミングを目的に来る方々も多い場所です。標高だけで見ると、ヒマラヤ山脈、アンデス山脈などに劣りますが、まさに登山界の「聖地」と言える場所でしょう。「アルパインクライミング」の発祥の地でもあります。

 実はヨーロッパでは、「ヨーロッパアルプス」という言葉は使いません。英語では、(the Alps)、ドイツ語では、(Die Alpen)と呼びます。
「アルプス」という言葉はそもそも、「ヨーロッパアルプス」のことであり、「日本アルプス」や、ニュージーランドの「サザンアルプス」などは、本場の(ヨーロッパ)アルプスに似た山地としての通称です。


 さて、私(ベルクハイル)は、最近、地質学、特に山々の地質に興味がでて、ヤマレコ内の「ヤマノート」のコーナーに、「日本の山々の地質」という連載を書いてみました。
 その関連で、私が数回 訪れた「ヨーロッパアルプス」の地質にも興味がでて、良い日本語の解説書などがないか? 調べて見ましたが、残念ながら「ヨーロッパアルプス」の地質に関する日本語の良書は見当たりませんでした。
 そこで、単なる地質マニアである私にとっては、多少 背伸びしすぎだとは思いましたが、「ヨーロッパアルプス」の地質について、海外の専門書や英語文献を読んで、それを元に、日本語での解説のようなものをまとめてみよう、と思い立ちました。


 この「ヤマノート」での連載、「ヨーロッパアルプスの地質学」は、以下の英語の専門書(注1)を読み、それをベースとしてまとめたものです。
 「ヨーロッパアルプス」の地質、地質構造に関しては、21世紀となった現在でも様々な研究が行われているようで、論文も多数でています。なので、以下の書籍の記載内容が全て定説とは限りませんが、「ヨーロッパアルプス」の地質についての、まとまったものが少ないようなので、この書籍をベースとした解説とします。予めご了承ください。

 また私は、地質学の専門家ではなく、せいせいが「地質マニア」というレベルなので、私が先に連載した「日本の山々の地質」と同様、「夏休みの自由研究」的なものだとして読んで頂ければ、と思います。
 また、記載内容では、間違い、勘違い、記載不十分な点があるやもしれません。そういう点については、地質学などのご専門の方からのご意見、ご指摘は歓迎します。よろしくお願いします。

 なお、この連載の大まかな構成は、以下のとおりです。
分割して連載しますが、連載は約20回を予定しています。

 第1部 「ヨーロッパアルプス」の概要
 第2部 「アルプス地域」の地史と地質(詳細版)
 第3部 「アルプス造山運動」
 第4部 現在の「アルプス地域」
 第5部 「ヨーロッパアルプス」の主な山々の地質
注釈の項
注1)主要な参考書籍について
この連載の内容の元とした専門書とは、以下の書籍です。Amazonで購入しました。
本連載の、各章、各項では、この書籍を(文献1)としています。

 O.Adrian Pfiffner 著 “Geology of the Alps” (英語版),
     second edition(改訂第2版)、(2014年)発行、
     ISBN;978-1-1187-0813-2
   出版社は “ Wiley Blackwell” 社 刊(イギリス)、
   
  (この書籍の原著はドイツで出版されており、書籍名は、“Geologie der Alpen” 、
    出版社ははっきりしない 、この第2版の発行年は、2010年)

※ なお、この連載は、(文献1)の単なる翻訳ではなく、それ以外の論文や、ウイキペディア(英語版)の情報なども参照したうえで、自分の私見も含めて、私(ベルクハイル)の著作物として作成したものです。
注2) 図などの「引用」に関して
 この連載では、(文献1)にある図などをそのまま、あるいは部分的に加筆して載せています。
 こういう場合、本来は著作権などのことも配慮すべきかと思いますが、なにせ、著者も、出版社も海外であって、連絡方法すら不明なので、引用元を明記したうえで、図などはそのまま引用しています。

 ところで日本の著作権法(第32条)では、特に研究関係においては、「引用」という形で、他の人の研究結果(論文内容、論文中の図など)を「引用」することは、容認されているようです(自分が大学の研究者だった頃は、当然のこととして、そのようにしていました)。
 なので、(文献1)からの図などの「引用」は、日本の著作権法上では、上記の「引用」にあたると自分では解釈しています。

※ この注2)は、「ヤマレコ」での「ヤマノート」投稿にあたっての、「ヤマレコ」管理者サイドからの注意事項(以下)に関しての、自分の見解として記載するものです。
  
   https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=6
注3) ヨーロッパアルプスとその周辺のオンライン地質図について
 ヨーロッパアルプスとその周辺の地質は、(文献1)の図のほか、スイス国内については、
 スイス政府が管轄している「map.geo.admin.ch ; (スイス連邦)地理ポータル」という、
 インターネットサイトのうち、以下のオンライン地質図を参照しました。

   https://map.geo.admin.ch

  ※ (スイスのオンライン地質図の開き方)
    グーグル等で上記アドレスを検索すると 
   “Maps of Switzerland - Swiss Confederation - map.geo.admin.ch” というサイト
    がでてくるのでクリックすると、まずスイスのオンライン地図の
    最初の画面が出てくる。
   そこのメニューバーより、以下の順に選択すると、「オンライン地質図」が出てくる。
      > “ Geocatalog”> “ Nature and Environment” >
       > “Geology” > “Geo Cover -Vector Datasets”(にチェックを入れる)
   
   (なお、使い方のイメージは、日本の「産総研;シームレス地質図v2」に近い)

 他に、「スイストポ」(swiss topo)という公的機関(日本語に訳すと「スイス国土局」)から購入した紙ベースの地質図なども参照しました。
 また、スイスのオンライン地質図のうち、「Swiss Topo (Maps)」というスマホアプリは、上記のパソコン版の「オンライン地質図」と基本的には同じものですが、説明が英語になっていて解りやすいので、必要に応じて、こちらも参照しました。


  ところで「ヨーロッパアルプス」はスイスだけではなく、フランス、オーストリア、
イタリアなどスイス周辺の各国にまたがっています。
  なので、それら諸国でリリースされているインターネット上の地質図サイトも調べて、
多少は参照しました。が、使い方や地質説明が解りづらいという難点があり、
また一部は英語での説明が出ないので、あまり参考にはしていません。

※  ご参考までに、フランス、オーストリア、およびヨーロッパ全土の、
  オンライン地質図について、インターネット上のアドレスを、以下に示しておきます。

 1);フランスのオンライン地質図;説明はフランス語

   https://infoterre.brgm.fr/viewerlite/MainTileForward.do

    ※ 使い方;上記サイトにアクセスすると、フランスのオンライン地図がでるので、
      メニューバー(Donnees/Themes)より、
       >”Cartes geologiques”を選ぶと、地質図レイヤーになる。
       (使い方が解りにくい、説明はすべてフランス語)

  2);オーストリアのオンライン地質図;説明は最近、英語になった)

     https://maps.geosphere.at/

    ※ 使い方;上記サイトにアクセスすると、オーストリアのオンライン地図が
      でるので、メニューバーより、レイヤーマークを選び、
       >”Geologie” >  “Geologie 1:500000“ を選ぶと地質図レイヤーになる。
   (使い方は、スイスのオンライン地質図とほぼ同じ、
      説明は英語化され解りやすくなった)

  3);ヨーロッパ全域のオンライン地質図/EGDIという機関のリリース;説明は英語)

   https://maps.europe-geology.eu/

     ※ 使い方;上記サイトにアクセスすると、ヨーロッパのオンライン地図(白地図)
       がでるので、メニューバー(Layers)より
       >”Basic Geology” > “Lithology” > “Pan-Europian(ECDI,1;1000000)”
        を選ぶと、ヨーロッパのオンライン地質図がでてくる。説明は英語。
       ただし、スイスとバルカン半島諸国はデータなし
【目次】の項へのリンク  (※ 順次 整備予定)
この「ヨーロッパアルプスの地質学」という連載は、「ヤマレコ」内の「ヤマノート」というサイトに、不定期で連載(投稿)していくため、各章を見るのに解りにくいと思われます。
なので、各投稿へのリンクを貼った「目次」の項を作ります。
 以下のリンク先が、「目次」の項へのリンクです

※ 注;連載期間中は、投稿を行うごとに、その総目次へ、順次、リンクを追加して
   いきます。
   ので、その「目次」の項が完成するのは、連載が完結した時となります。
   予めご了承ください。
(参考文献)
スイスのオンライン地質図サイト
【書記事項】
1)初稿 リリース(2025年6月9日)

△最新改訂年月日;2025年6月9日
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