(はじめに)
「ヴァリス山群」は、「ヴァリスアルプス」(Valais Alps(英)、(仏)、Walliser Alpen(独))や、「ペニンアルプス」(Penninic Alps(英)、Penninische Alpen(独))とも呼ばれますが(文献14)、(文献15)、スイス南部の「ヴァリス州」(Valais(仏)/Wallis(独))を中心とした大きな山群です。注1)
「ヴァリス山群」(ヴァリスアルプス)、あるいは「ペニンアルプス」の範囲は、文献によって違いますが、この5−2章では、「ペニンアルプス」とは、(文献15)に図示されている、イタリア、スイス両方にまたがる広域的な範囲とし、「ヴァリス山群」(ヴァリスアルプス)とは、そのうちの スイス・ヴァリス州の山岳地帯とします。
添付の図1に、ウイキペディア英語版での「ペニンアルプス」の範囲、及びこの章での「ヴァリス山群」の範囲を示していますので、ご参照ください。
また添付の図2に、この章で言う「ヴァリス山群」主要部(ほぼ「ヴァリス州」の範囲)の地形図を示しています。
さて、この「ヴァリス山群」には、ヨーロッパアルプスの象徴とも言える、「マッターホルン」(Matterhorn;4478m)や、ヨーロッパアルプス第二の高峰「モンテローザ」(Monte Rosa;4633m)など数多くの4000m級の山々が立ち並んでおり、「ヨーロッパアルプス」の中でも、最も4000m級の高峰が多い山群で、クライマー向けのガイドブックもいくつか出ています。(文献11)、(文献12)、(文献13) 注2)
また、「マッターホルン」の麓には、有名なリゾート地「ツェルマット」(Zermatt)があり、「ツェルマット」周辺には多くのハイキングコースがあります(文献8)、(文献9)、(文献10)。添付の図3もご参照ください。
なお、日本人観光客にはあまり知られていませんが、「ツェルマット」のある谷(マッタ―タール;Mattertal)の一つ東側の谷(ザースタール;Saastal)には、「ザースフェー」(Saas-Fee)というリゾート地があります。この一帯も高峰群に囲まれ、かつ「ツェルマット」より落ち着いた感じの良い場所です(文献8)、(文献9)、(文献10)。注6)
これらの山々や各リゾート地の位置などは、添付の図2もご参照ください。
「ヴァリス山群」は、スイスでは、前章の「ベルナーオーバーラント山群」と人気を二分し、観光客、ハイカー、本格的なクライマー、すべての人が楽しめる場所と言えるでしょう。
この章では、「ヴァリス山群」の山々のうち、比較的名前が知られているもの(ほとんどが4000m級の高峰)について、その地質を説明します。
なお、5−2章は説明したい内容が多いので、連載は複数回に分けます。
※ 注) この5−2章(その1)は、当初、第(1)節から第(5)節までと、かなりボリュームのある内容でリリースしました。
・・・が、読み直してみると、ボリュームが多すぎて読みづらい感があったので、2つに分割することとしました。
この回は、前半の「5−2章(その1(改))」で、第1節「ヴァリス山群の概要」と、第2節「マッターホルン」の地質まで、としました。
「5−2章(その1)」の初稿に記載していた、「モンテローザ」、「ブライトホル」、「ゴルナーグラート付近」(第3節〜第5節)は、「5−2章(その2)」として、別の投稿に移動しました。悪しからずご了承ください。
「ヴァリス山群」(ヴァリスアルプス)、あるいは「ペニンアルプス」の範囲は、文献によって違いますが、この5−2章では、「ペニンアルプス」とは、(文献15)に図示されている、イタリア、スイス両方にまたがる広域的な範囲とし、「ヴァリス山群」(ヴァリスアルプス)とは、そのうちの スイス・ヴァリス州の山岳地帯とします。
添付の図1に、ウイキペディア英語版での「ペニンアルプス」の範囲、及びこの章での「ヴァリス山群」の範囲を示していますので、ご参照ください。
また添付の図2に、この章で言う「ヴァリス山群」主要部(ほぼ「ヴァリス州」の範囲)の地形図を示しています。
さて、この「ヴァリス山群」には、ヨーロッパアルプスの象徴とも言える、「マッターホルン」(Matterhorn;4478m)や、ヨーロッパアルプス第二の高峰「モンテローザ」(Monte Rosa;4633m)など数多くの4000m級の山々が立ち並んでおり、「ヨーロッパアルプス」の中でも、最も4000m級の高峰が多い山群で、クライマー向けのガイドブックもいくつか出ています。(文献11)、(文献12)、(文献13) 注2)
また、「マッターホルン」の麓には、有名なリゾート地「ツェルマット」(Zermatt)があり、「ツェルマット」周辺には多くのハイキングコースがあります(文献8)、(文献9)、(文献10)。添付の図3もご参照ください。
なお、日本人観光客にはあまり知られていませんが、「ツェルマット」のある谷(マッタ―タール;Mattertal)の一つ東側の谷(ザースタール;Saastal)には、「ザースフェー」(Saas-Fee)というリゾート地があります。この一帯も高峰群に囲まれ、かつ「ツェルマット」より落ち着いた感じの良い場所です(文献8)、(文献9)、(文献10)。注6)
これらの山々や各リゾート地の位置などは、添付の図2もご参照ください。
「ヴァリス山群」は、スイスでは、前章の「ベルナーオーバーラント山群」と人気を二分し、観光客、ハイカー、本格的なクライマー、すべての人が楽しめる場所と言えるでしょう。
この章では、「ヴァリス山群」の山々のうち、比較的名前が知られているもの(ほとんどが4000m級の高峰)について、その地質を説明します。
なお、5−2章は説明したい内容が多いので、連載は複数回に分けます。
※ 注) この5−2章(その1)は、当初、第(1)節から第(5)節までと、かなりボリュームのある内容でリリースしました。
・・・が、読み直してみると、ボリュームが多すぎて読みづらい感があったので、2つに分割することとしました。
この回は、前半の「5−2章(その1(改))」で、第1節「ヴァリス山群の概要」と、第2節「マッターホルン」の地質まで、としました。
「5−2章(その1)」の初稿に記載していた、「モンテローザ」、「ブライトホル」、「ゴルナーグラート付近」(第3節〜第5節)は、「5−2章(その2)」として、別の投稿に移動しました。悪しからずご了承ください。
5−2章―第(1)節 「ヴァリス山群」の地質概要
前の5−1章で説明した「ベルナーオーバーラント山群」の地質構成は、ザックリと言えば、「アルトクリスタリン」(Altkristallin(独))と呼ばれる古い変成岩類や古生代の深成岩類を主体とした「基盤岩類」(crystalline basements)と、「ヘルベチカ系」地質グループに属する中生代(「ジュラ紀」、「白亜紀」)の海成堆積物層との、大きく2グループで構成されており、分布状況も比較的シンプルでした。
一方、「ヴァリス山群」の地質構造は非常に複雑です。
「ペニンアルプス」(the Penninic Alps)という別称が示しているように、「ペニン系」地質グループ(Penninic nappe system)に属する、中生代の堆積物や海洋プレート由来の地質体が多いのですが、それらは、「ヴァリストラフ系」(Valais trough)(=下部ペニン系;Lower Penninic)、「ブリアンソン・ライズ系」(Briançon Rise)(=中部ペニン系;Middle Penninic)、「ピエモンテ海系」(Piemont ocean)(=上部ペニン系; Upper Penninc)という、3つのサブグループに分かれており、サブグループごとに地質構成はかなり異なっています。
それら「ペニン系」地質グループに属する地質体は、さらにいくつかの「地塊」に分けられています。例えば「ツァテ・ナップ」(teste nappe)注7)や、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt Saas-Fee zone)、「モンテローザ・ナップ」(Monte rosa nappe)など、色々な名称が付けられた「地塊」が、地質図で見ると、モザイク状にごちゃごちゃと入り混じった状態となっています(添付の図4もご参照ください)。
これら、「ペニン系」の各「地塊」は、中生代から新生代にかけての「アルプス造山運動」の際に、海洋プレート沈み込み帯から地下深部に沈み込んで変成作用、変形作用を受け、その後、再び地表へと上昇してきた、という経歴をもち、その長いプロセスのなかで、「地塊」同士の位置関係が複雑になったことや、「地塊」自体も変形していることが、現世での「地塊」分布の複雑さとして表れています。
その他、「ヴァリス山群」には、「ダンブランシュ・ナップ」(Dent Blanche nappe)と呼ばれる、「オーストロアルパイン系」地質グループに属するとされる、異質な「地塊」もあり、ややこしさを増しています。
なお、この章では、英語では(○○ nappe),(○○ zone)と呼ばれている、色々な名称の地質体を、便宜上すべて、「○○地塊」と呼ぶことにします。
さて「ヴァリス山群」を構成している「地塊」の分布状況に関してですが、図4に、ツェルマット周辺のテクトニックマップを、図5に、模式的なテクトニック断面図を示します。
図4は、スイスのオンライン地質図(文献2A)のうち、テクトニックレイヤーを引用し加工したもの、図5は、(文献5)のFig13-8の引用です。なお各「地塊」の分布状況は、地質図(文献3)も参照しました。
図4を見ると、狭い地域に、少なくとも5つの「地塊」があり、複雑なこの分布図は、まるで日本の戦国時代における、戦国大名の陣取り合戦のようです。
また図5を見ると、これらの「地塊」が地下でも、複雑な褶曲構造を取りつつ、入り乱れていることが解ります。
(※注; 図5の(推定)地質断面図は、元論文が不明なので、コンセンサスがあるものなのかは不明確です)。
これらの「地塊」を構成している岩石は、ほぼ全てが変成作用を受けていて、各種の変成岩となっています。そのため、原岩が何だったのかの解釈も難しく、また変成岩の名称も、見方によって異なる場合があります。実際に(文献2A)、(文献2B)、(文献5)では、同じ地質体を、異なった岩石(変成岩)名称で呼んでいることも多く、解りにくさに拍車をかけています。
いずれにしても「ヴァリス山群」は、地理的に近い山々であっても地質構成が違うことも多い上に、一つの山であっても、複数の地質体(地塊)から構成されているなど、極めて複雑な地質構造となっている山域といえます。
一方、「ヴァリス山群」の地質構造は非常に複雑です。
「ペニンアルプス」(the Penninic Alps)という別称が示しているように、「ペニン系」地質グループ(Penninic nappe system)に属する、中生代の堆積物や海洋プレート由来の地質体が多いのですが、それらは、「ヴァリストラフ系」(Valais trough)(=下部ペニン系;Lower Penninic)、「ブリアンソン・ライズ系」(Briançon Rise)(=中部ペニン系;Middle Penninic)、「ピエモンテ海系」(Piemont ocean)(=上部ペニン系; Upper Penninc)という、3つのサブグループに分かれており、サブグループごとに地質構成はかなり異なっています。
それら「ペニン系」地質グループに属する地質体は、さらにいくつかの「地塊」に分けられています。例えば「ツァテ・ナップ」(teste nappe)注7)や、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt Saas-Fee zone)、「モンテローザ・ナップ」(Monte rosa nappe)など、色々な名称が付けられた「地塊」が、地質図で見ると、モザイク状にごちゃごちゃと入り混じった状態となっています(添付の図4もご参照ください)。
これら、「ペニン系」の各「地塊」は、中生代から新生代にかけての「アルプス造山運動」の際に、海洋プレート沈み込み帯から地下深部に沈み込んで変成作用、変形作用を受け、その後、再び地表へと上昇してきた、という経歴をもち、その長いプロセスのなかで、「地塊」同士の位置関係が複雑になったことや、「地塊」自体も変形していることが、現世での「地塊」分布の複雑さとして表れています。
その他、「ヴァリス山群」には、「ダンブランシュ・ナップ」(Dent Blanche nappe)と呼ばれる、「オーストロアルパイン系」地質グループに属するとされる、異質な「地塊」もあり、ややこしさを増しています。
なお、この章では、英語では(○○ nappe),(○○ zone)と呼ばれている、色々な名称の地質体を、便宜上すべて、「○○地塊」と呼ぶことにします。
さて「ヴァリス山群」を構成している「地塊」の分布状況に関してですが、図4に、ツェルマット周辺のテクトニックマップを、図5に、模式的なテクトニック断面図を示します。
図4は、スイスのオンライン地質図(文献2A)のうち、テクトニックレイヤーを引用し加工したもの、図5は、(文献5)のFig13-8の引用です。なお各「地塊」の分布状況は、地質図(文献3)も参照しました。
図4を見ると、狭い地域に、少なくとも5つの「地塊」があり、複雑なこの分布図は、まるで日本の戦国時代における、戦国大名の陣取り合戦のようです。
また図5を見ると、これらの「地塊」が地下でも、複雑な褶曲構造を取りつつ、入り乱れていることが解ります。
(※注; 図5の(推定)地質断面図は、元論文が不明なので、コンセンサスがあるものなのかは不明確です)。
これらの「地塊」を構成している岩石は、ほぼ全てが変成作用を受けていて、各種の変成岩となっています。そのため、原岩が何だったのかの解釈も難しく、また変成岩の名称も、見方によって異なる場合があります。実際に(文献2A)、(文献2B)、(文献5)では、同じ地質体を、異なった岩石(変成岩)名称で呼んでいることも多く、解りにくさに拍車をかけています。
いずれにしても「ヴァリス山群」は、地理的に近い山々であっても地質構成が違うことも多い上に、一つの山であっても、複数の地質体(地塊)から構成されているなど、極めて複雑な地質構造となっている山域といえます。
5−2章―第(2)節 「マッターホルン」の地質
まずは、ヨーロッパアルプスの象徴たる、「マッターホルン」(Matterhorn; 4478m)の地質構造を説明します。
なお最初にお断りしておきますが、「マッターホルン」の地質構造は非常に複雑であり、説明もかなり長くなりました。ご了承ください。
「マッターホルン」に関しては、添付の図3(ツェルマット周辺の地形図)、図4(ツェルマット周辺のテクトニックマップ)、図6(マッターホルンの地質図)、図7(マッターホルン山頂部の地質図)、写真1,写真2(マッターホルンの写真)も、ご参照ください。
なお、もう一つお断りしておきます。「マッターホルン」の地質構造について、スイスのオンライン地質図(文献2A),(文献2B)、及びマッターホルンの地質と地形に関する文献(文献5)、それぞれで説明内容が多少異なります。そこで、この節では、主には説明が解りやすい(文献5)と、地質図として詳しい(文献2A)をベースとして説明します。(文献2B)は、参考程度に扱います。
さて、「マッターホルン」は一見、巨大な一枚岩から削りだして作られたかのようにも見えますが、地質図(文献2A)や(文献5)によると、このピラミッド型の山体は、複数の地質体が、重層的に重なって形成されています。
(文献5)によると、「マッターホルン」のうち、特に東側(ヘルンリ稜も含む)には、3つの地質境界があり、合計4つの地質体からなる、と説明されています。
このうち、上部の2つの地質体は、一般に「オーストロアルパイン系」地質グループに帰属するとされる、「ダンブランシュ・ナップ」(Dent Blanche nappe)(文献16)と呼ばれる、比較的大きな「地塊」に属しています。
「ヘルンリ稜」(北東稜)では、標高 約3400mに大きな地質境界(スラスト断層)があり、それより下の2つの地質体は、「ペニン系」地質グループに属しています(図6)(写真1)。
以下、一般的な登山ルートでもある「ヘルンリ稜」(北東稜)沿いに、地質図(文献2A)と、(文献5)に基づき、下から順に、その地質構成を説明します。
なおこの節では、説明の為に、下から順に「第1層」、「第2層」などと仮称することにします。
【第1層】
まず、「ツェルマット」の位置するU字谷の底(標高 約1600m)から、ロープウエイで登れる「シュヴァルツゼー」(Schwarz see;約2580m)あたりまでは、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt Saas-Fee zone)(文献17)と呼ばれる、「ペニン系」地質グループのうち「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)に属する「地塊」(地帯)に属しています(文献2A)、(文献4)、(文献5)。
地質図(文献2A)で具体的に見ると、「蛇紋岩」、(変成)「玄武岩」、(変成)「ハンレイ岩」などが分布しています。これらはまとめて「オフィオライト(岩体)」(ophiolite)(文献18)と呼ばれる、海洋プレートの断片です。
「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」、及び「オフィオライト(岩体)」については、次の連載、5−2章の第(4)節、(5)節にて詳しく説明しますので、ここでは詳しい説明は略します。
【第2層】
「シュヴァルツゼー」から上へ向かうと、「ヒルリ」(“Hirli”) と呼ばれる地点付近(標高 約2900m付近)に、地質図(文献2A)で見ると、1つ目の地質境界があります(なお添付の図6では枠外)。
それより上方、「ヘルンリヒュッテ」(Hernlli hutte)より少し上、約3400mにある、2つ目の明瞭な地質境界線(添付の図6、写真1では、黄色の線)までは、変成した堆積物の分布域です。
具体的には(文献2A),(文献5)によると、「石灰質片岩」(calc schist(英)、kalk-glimmer-schiefer(独))や、「シェール」(shales(独)、“Schistes lustrés”(仏))など、「白亜紀」の海成堆積岩由来の変成岩が、主に分布しています(文献5)。
これらの地質体は、テクトニクス的には、「ツァテ・ナップ」(Tsate Nappe(英)/Tsaté nappe(仏))(文献2A)、(文献4)、(文献5)注7)と呼ばれる「地塊」の一部です。
この「地塊」は「ピエモンテ海系」(上部ペニン系)に属し、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」とも関連が深い、主に海成堆積岩由来の変成岩類からなる「地塊」です。
地質図(文献2A)を詳しく見ても解りますが、(文献5)によると、ヘルンリ小屋の建っているあたりは、「ツァテ・ナップ」に含まれる「蛇紋岩」の分布域です(添付の図6では黄緑色のゾーン)。
なお「ツァテ・ナップ」については、「補足説明」の項に、まとめました。
【第3層】
マッターホルンの登山基地として良く知られている、「ヘルンリヒュッテ」(Hörnli hutte;約3260m)からいよいよ、ヘルンリ稜(Hörnli grat(独))(「北東稜」とも呼ぶ)が始まります(添付の図6では青い線で示した)。
地質図(文献2A)や(文献5)によると、「ヘルンリヒュッテ」から少し登った、標高 約3400m付近に、2つ目の地質境界があります。ここは、下部の「ペニン系」地質グループと、上部の「ダンブランシュ・ナップ」(地塊)との境をなす、重要な地質境界線となっており、実態は「スラスト断層」だと推定されています(添付の図6、写真1では、黄色の線で表示)。
この地層境界線より上の、(第3層)は、添付の図6、図7では赤茶色で示されるゾーンですが、ここを構成する岩石の種類については、文献ごとに説明が多少違います。以下に各論を列挙します。
・(文献2A);主に「ペルム紀」の「花崗岩質の片麻岩」類(gneiss- graniticsh(独))からなり、部分的に「ペルム紀」の「変成・石英閃緑岩」(meta-quartz diorit(独))の層を含む。テクトニクス 的には、「アローラ(正片麻岩)ユニット」(Arolla ortho-gneiss(独))に属する。
・(文献5);大部分が、花崗閃緑岩を原岩とした「正片麻岩」(granodioritic orthogneiss (英))、別の言葉でいうと「変成花崗岩類」(meta-granites(英))からなる。場所によっては、「より結晶片岩的な岩石」(more schistose rocks(英))となっている。テクトニクス的には「アローラユニット」(Arolla unit(英))に属する。
・(文献2B);「変成花崗岩類」(meta-granitoids(英))。
説明がマチマチで解りにくいのですが、まとめると、原岩は「ペルム紀」に起きた火成活動由来の「花崗岩」類であり、それが(「アルプス造山運動」に伴う)変成作用を受けて、変成岩の一種、「片麻岩」類(一部は結晶片岩的な構造を持つ)になった、という意味だと思われます。
【第4層】
「ソルベイ避難小屋」(Solvay biwak(独);約4000m)の少し上に、「ショルダー」(“the shoulder”)と呼ばれる出っ張り(写真1,写真2)があり、その少し上、標高 4200m付近に第3の地質境界があります(図7,写真2)。
これより山頂(4478m)までは、「ダンブランシュ・ナップ」のうち上部にあたります。頂上を含むゾーンであり、登山界では、「ルーフ」(“roof”)とも呼ばれるゾーンです(文献5)。添付の図7(頂上部の地質図)もご参照ください。また(写真2)を見ると、この地質境界線より下はグレー系の岩石で、境界線より上は赤黒い色合いの岩石となっており、見た目だけでも地質体の違いが解ります。
(文献5)によると、この頂上部も構成している岩石の大部分は「片麻岩」類ですが、「ダンブランシュ・ナップ」のうち構造的上位の「ヴァルペリーヌ系」(Valpelline series(英))(文献5)と呼ばれるユニットであり、広義の「片麻岩」類ではあるが、中腹の「片麻岩」類(アローラユニット)よりも堅くて浸食に強いことから、「マッターホルン」の尖峰状の形状ができるのに大きな役割を果たした、と推定されています。
なお地質図(文献2A)では、この山頂部の地質構造を、「結晶質石灰岩(大理石)」(Marmor-kalgig(独))、「角閃岩」(Amphibolit(独))、「グラニュライト」(Granulit(独))、「マイロナイト」(Mylonit(独))類、という4つの地質体に、細かく分けています。(地質図(文献2B)ではひとまとめで「雲母片岩」類(mica-schists)としている)。
(文献5)によると、「ヴァルペリーヌ系」を構成する変成岩類は、変成相としては、「角閃岩相」あるいは「グラニュライト相」の変成作用を受けています。また変成作用が起きた時代は、「アルプス造山運動」時代ではなく、それ以前の変成作用(pre-Alpine metamorphism)と推定されています。
「ヴァルペリーヌ系」変成岩体については、色々な研究がなされており、例えば(文献6)では、この地質体は、古生代の「アドリアプレート」側の大陸性地殻由来のもので、「アルプス造山運動」以前に、この地質体が受けた変成作用について、詳しい研究結果が書かれています。
続いて、ヘルンリ稜以外のマッターホルンの山体の地質構造を、概説します。
「マッターホルン」の北壁、東壁、南東稜は、前述のヘルンリ稜と、地質構造は類似しています。
一方、西壁、南壁、南西稜、北西稜は、ヘルンリ稜と地質構造がやや異なっています。地質図(文献2B)によると、特にその中腹には、標高 約3000〜3600m辺りまでの広範囲に、「エクロジャイト相」まで達した高度変成岩である、「角閃岩」(amphibolites(英))が分布しています(添付の図6では、青緑色のゾーン)。地質図(文献2A)でもこの点はほぼ同様で、「変成ハンレイ岩」類(Meta-gabbros komplex(独))としています(※ 「角閃岩」は、「ハンレイ岩」や「玄武岩」が高圧型変成作用を受けてできると考えられているので、ここでの「角閃岩」と「変成ハンレイ岩」は、同じ意味あいと解釈できる)。
この「角閃岩」(変成ハンレイ岩)も、「オーストロアルパイン」地質グループの一部である「ダンブランシュ・ナップ」に属し、「モンコロン・ハンレイ岩」(Mont Collon Gabbro)と呼ばれる地質体です(文献4)。
地質図(文献2A)を見ると、この地質体と同じものは、「モン・コロン」(Mont Collon;3637m)という、マッターホルンの西方、約10kmにある山など、「ヴァリス山群」西部に点在しています。(文献4)によると、この「モンコロン・ハンレイ岩」は、「石炭紀」〜「ペルム紀」に、苦鉄質(マフィック;mafic)なマグマから形成された深成岩体であり、その後に変成作用を受けて、「角閃岩」(変成ハンレイ岩)となったもののようです。
一つの山だけで、説明がずいぶんと長くなりましたが、これは「マッターホルン」が非常に複雑な地質構造を持っているがためです。
なお最初にお断りしておきますが、「マッターホルン」の地質構造は非常に複雑であり、説明もかなり長くなりました。ご了承ください。
「マッターホルン」に関しては、添付の図3(ツェルマット周辺の地形図)、図4(ツェルマット周辺のテクトニックマップ)、図6(マッターホルンの地質図)、図7(マッターホルン山頂部の地質図)、写真1,写真2(マッターホルンの写真)も、ご参照ください。
なお、もう一つお断りしておきます。「マッターホルン」の地質構造について、スイスのオンライン地質図(文献2A),(文献2B)、及びマッターホルンの地質と地形に関する文献(文献5)、それぞれで説明内容が多少異なります。そこで、この節では、主には説明が解りやすい(文献5)と、地質図として詳しい(文献2A)をベースとして説明します。(文献2B)は、参考程度に扱います。
さて、「マッターホルン」は一見、巨大な一枚岩から削りだして作られたかのようにも見えますが、地質図(文献2A)や(文献5)によると、このピラミッド型の山体は、複数の地質体が、重層的に重なって形成されています。
(文献5)によると、「マッターホルン」のうち、特に東側(ヘルンリ稜も含む)には、3つの地質境界があり、合計4つの地質体からなる、と説明されています。
このうち、上部の2つの地質体は、一般に「オーストロアルパイン系」地質グループに帰属するとされる、「ダンブランシュ・ナップ」(Dent Blanche nappe)(文献16)と呼ばれる、比較的大きな「地塊」に属しています。
「ヘルンリ稜」(北東稜)では、標高 約3400mに大きな地質境界(スラスト断層)があり、それより下の2つの地質体は、「ペニン系」地質グループに属しています(図6)(写真1)。
以下、一般的な登山ルートでもある「ヘルンリ稜」(北東稜)沿いに、地質図(文献2A)と、(文献5)に基づき、下から順に、その地質構成を説明します。
なおこの節では、説明の為に、下から順に「第1層」、「第2層」などと仮称することにします。
【第1層】
まず、「ツェルマット」の位置するU字谷の底(標高 約1600m)から、ロープウエイで登れる「シュヴァルツゼー」(Schwarz see;約2580m)あたりまでは、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt Saas-Fee zone)(文献17)と呼ばれる、「ペニン系」地質グループのうち「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)に属する「地塊」(地帯)に属しています(文献2A)、(文献4)、(文献5)。
地質図(文献2A)で具体的に見ると、「蛇紋岩」、(変成)「玄武岩」、(変成)「ハンレイ岩」などが分布しています。これらはまとめて「オフィオライト(岩体)」(ophiolite)(文献18)と呼ばれる、海洋プレートの断片です。
「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」、及び「オフィオライト(岩体)」については、次の連載、5−2章の第(4)節、(5)節にて詳しく説明しますので、ここでは詳しい説明は略します。
【第2層】
「シュヴァルツゼー」から上へ向かうと、「ヒルリ」(“Hirli”) と呼ばれる地点付近(標高 約2900m付近)に、地質図(文献2A)で見ると、1つ目の地質境界があります(なお添付の図6では枠外)。
それより上方、「ヘルンリヒュッテ」(Hernlli hutte)より少し上、約3400mにある、2つ目の明瞭な地質境界線(添付の図6、写真1では、黄色の線)までは、変成した堆積物の分布域です。
具体的には(文献2A),(文献5)によると、「石灰質片岩」(calc schist(英)、kalk-glimmer-schiefer(独))や、「シェール」(shales(独)、“Schistes lustrés”(仏))など、「白亜紀」の海成堆積岩由来の変成岩が、主に分布しています(文献5)。
これらの地質体は、テクトニクス的には、「ツァテ・ナップ」(Tsate Nappe(英)/Tsaté nappe(仏))(文献2A)、(文献4)、(文献5)注7)と呼ばれる「地塊」の一部です。
この「地塊」は「ピエモンテ海系」(上部ペニン系)に属し、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」とも関連が深い、主に海成堆積岩由来の変成岩類からなる「地塊」です。
地質図(文献2A)を詳しく見ても解りますが、(文献5)によると、ヘルンリ小屋の建っているあたりは、「ツァテ・ナップ」に含まれる「蛇紋岩」の分布域です(添付の図6では黄緑色のゾーン)。
なお「ツァテ・ナップ」については、「補足説明」の項に、まとめました。
【第3層】
マッターホルンの登山基地として良く知られている、「ヘルンリヒュッテ」(Hörnli hutte;約3260m)からいよいよ、ヘルンリ稜(Hörnli grat(独))(「北東稜」とも呼ぶ)が始まります(添付の図6では青い線で示した)。
地質図(文献2A)や(文献5)によると、「ヘルンリヒュッテ」から少し登った、標高 約3400m付近に、2つ目の地質境界があります。ここは、下部の「ペニン系」地質グループと、上部の「ダンブランシュ・ナップ」(地塊)との境をなす、重要な地質境界線となっており、実態は「スラスト断層」だと推定されています(添付の図6、写真1では、黄色の線で表示)。
この地層境界線より上の、(第3層)は、添付の図6、図7では赤茶色で示されるゾーンですが、ここを構成する岩石の種類については、文献ごとに説明が多少違います。以下に各論を列挙します。
・(文献2A);主に「ペルム紀」の「花崗岩質の片麻岩」類(gneiss- graniticsh(独))からなり、部分的に「ペルム紀」の「変成・石英閃緑岩」(meta-quartz diorit(独))の層を含む。テクトニクス 的には、「アローラ(正片麻岩)ユニット」(Arolla ortho-gneiss(独))に属する。
・(文献5);大部分が、花崗閃緑岩を原岩とした「正片麻岩」(granodioritic orthogneiss (英))、別の言葉でいうと「変成花崗岩類」(meta-granites(英))からなる。場所によっては、「より結晶片岩的な岩石」(more schistose rocks(英))となっている。テクトニクス的には「アローラユニット」(Arolla unit(英))に属する。
・(文献2B);「変成花崗岩類」(meta-granitoids(英))。
説明がマチマチで解りにくいのですが、まとめると、原岩は「ペルム紀」に起きた火成活動由来の「花崗岩」類であり、それが(「アルプス造山運動」に伴う)変成作用を受けて、変成岩の一種、「片麻岩」類(一部は結晶片岩的な構造を持つ)になった、という意味だと思われます。
【第4層】
「ソルベイ避難小屋」(Solvay biwak(独);約4000m)の少し上に、「ショルダー」(“the shoulder”)と呼ばれる出っ張り(写真1,写真2)があり、その少し上、標高 4200m付近に第3の地質境界があります(図7,写真2)。
これより山頂(4478m)までは、「ダンブランシュ・ナップ」のうち上部にあたります。頂上を含むゾーンであり、登山界では、「ルーフ」(“roof”)とも呼ばれるゾーンです(文献5)。添付の図7(頂上部の地質図)もご参照ください。また(写真2)を見ると、この地質境界線より下はグレー系の岩石で、境界線より上は赤黒い色合いの岩石となっており、見た目だけでも地質体の違いが解ります。
(文献5)によると、この頂上部も構成している岩石の大部分は「片麻岩」類ですが、「ダンブランシュ・ナップ」のうち構造的上位の「ヴァルペリーヌ系」(Valpelline series(英))(文献5)と呼ばれるユニットであり、広義の「片麻岩」類ではあるが、中腹の「片麻岩」類(アローラユニット)よりも堅くて浸食に強いことから、「マッターホルン」の尖峰状の形状ができるのに大きな役割を果たした、と推定されています。
なお地質図(文献2A)では、この山頂部の地質構造を、「結晶質石灰岩(大理石)」(Marmor-kalgig(独))、「角閃岩」(Amphibolit(独))、「グラニュライト」(Granulit(独))、「マイロナイト」(Mylonit(独))類、という4つの地質体に、細かく分けています。(地質図(文献2B)ではひとまとめで「雲母片岩」類(mica-schists)としている)。
(文献5)によると、「ヴァルペリーヌ系」を構成する変成岩類は、変成相としては、「角閃岩相」あるいは「グラニュライト相」の変成作用を受けています。また変成作用が起きた時代は、「アルプス造山運動」時代ではなく、それ以前の変成作用(pre-Alpine metamorphism)と推定されています。
「ヴァルペリーヌ系」変成岩体については、色々な研究がなされており、例えば(文献6)では、この地質体は、古生代の「アドリアプレート」側の大陸性地殻由来のもので、「アルプス造山運動」以前に、この地質体が受けた変成作用について、詳しい研究結果が書かれています。
続いて、ヘルンリ稜以外のマッターホルンの山体の地質構造を、概説します。
「マッターホルン」の北壁、東壁、南東稜は、前述のヘルンリ稜と、地質構造は類似しています。
一方、西壁、南壁、南西稜、北西稜は、ヘルンリ稜と地質構造がやや異なっています。地質図(文献2B)によると、特にその中腹には、標高 約3000〜3600m辺りまでの広範囲に、「エクロジャイト相」まで達した高度変成岩である、「角閃岩」(amphibolites(英))が分布しています(添付の図6では、青緑色のゾーン)。地質図(文献2A)でもこの点はほぼ同様で、「変成ハンレイ岩」類(Meta-gabbros komplex(独))としています(※ 「角閃岩」は、「ハンレイ岩」や「玄武岩」が高圧型変成作用を受けてできると考えられているので、ここでの「角閃岩」と「変成ハンレイ岩」は、同じ意味あいと解釈できる)。
この「角閃岩」(変成ハンレイ岩)も、「オーストロアルパイン」地質グループの一部である「ダンブランシュ・ナップ」に属し、「モンコロン・ハンレイ岩」(Mont Collon Gabbro)と呼ばれる地質体です(文献4)。
地質図(文献2A)を見ると、この地質体と同じものは、「モン・コロン」(Mont Collon;3637m)という、マッターホルンの西方、約10kmにある山など、「ヴァリス山群」西部に点在しています。(文献4)によると、この「モンコロン・ハンレイ岩」は、「石炭紀」〜「ペルム紀」に、苦鉄質(マフィック;mafic)なマグマから形成された深成岩体であり、その後に変成作用を受けて、「角閃岩」(変成ハンレイ岩)となったもののようです。
一つの山だけで、説明がずいぶんと長くなりましたが、これは「マッターホルン」が非常に複雑な地質構造を持っているがためです。
【他の連載へのリンク】
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【補足説明】の項
[補足説明 1]; 「ツァテ・ナップ」について
「ツァテ・ナップ」(Tsaté nappe)という「地塊」は、この回の「マッターホルン」の項(第1節)のほか、次の連載回の「ゴルナーグラート付近」の項(第5節)など、5―2章(ヴァリス山群の地質)のあちこちに出てきます。ちょっと解りにくい「地塊」なので、ここで補足説明としてまとめました。
(文献4)、(文献5)、(文献7)によると、「ツァテ・ナップ」(Tsaté Nappe(英)/Tsate Decke(独) )と呼ばれる「地塊」は、中生代の「ペニン系地質区」(Penninic realm)に存在していた海洋、「ピエモンテ海」(Piemonte Ocean/ Piemonte-Liguria Ocean)の、海底に堆積した「白亜紀」(一部は「ジュラ紀」)の各種堆積物(泥質堆積物、石灰岩類、チャートなど)が元となっています。
その後、その堆積物は、海洋プレート沈み込み帯で「付加体」(accretionary wedge/accretionary prism)を形成したのち、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」の地質体(=「ピエモンテ海」の海洋性プレート本体)と共に、沈み込み帯に沿って地下深部に沈み込んだもの、と推定されています。
その際、高圧型変成作用を受けて、「石灰質片岩」(calcschist)、「シェール」(black shales)、「(変成)チャート」(meta-chert)、「結晶質石灰岩(大理石)」(marble)などの変成岩となっています。(文献7)によると、このなかでも「石灰質片岩」が多いと書いてあります。
変成作用の度合いを示す「変成相」(変成グレード)については、文献によってマチマチです。(文献5)では、「エクロジャイト相」相当としています。また(文献4)では、最初に「青色片岩相」の変成作用を受け、後に「緑色片岩相」相当の上書き変成作用を受けた、としています。(文献7)では、「緑色片岩相」であり、「エクロジャイト相」に達した「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」より明らかに変成グレードは低い、としています。
また、(文献4)、(文献5)によると、この地質体は、沈み込み帯にて沈み込んだ際(あるいは、「付加体」となった際)に、もみくちゃになり(chaotic aspect)、初生的な堆積物層としての構造は失われています。
かつ「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(=海洋プレート断片)由来の「オフィオライト岩体」、具体的には、「蛇紋岩」(serpentinite)、「変成玄武岩類」(meta-basalts)、「変成ハンレイ岩」(meta-gabbro)、および「プラシナイト」(prasinite(英))と呼ばれる変成岩(結晶片岩類の一種)なども、層状に混入(inserted in/intercalation)しており、地質構成の複雑さをさらに増しています。(文献5)、(文献7)。
「ツァテ・ナップ」の分布域は、地質図(文献2A)のテクトニックレイヤーや、地質図(文献3)によると、ツェルマット周辺だけでなく、「ダンブランシュ・ナップ」(Demt Blanch nappe)を取り囲むように、「ヴァリス山群」の西部にも帯状に分布しています。
私見ですが、「ダンブランシュ・ナップ」の下にも、この「ツァテ・ナップ」の地質体が分布しているのではないか、と思われます。
なおこの連載では、各種文献で一般的に使われている「ツァテ・ナップ」(Tsaté nappe)という「地塊」名を使用しましたが、文献によっては、「コンバン・ゾーン」(Combin zone)とも呼ばれているようです(文献3)。
(文献7)によると、「コンバン・ゾーン」という用語は、より古い用語のようで、多少、定義も異なるようです。
(文献4)、(文献5)、(文献7)によると、「ツァテ・ナップ」(Tsaté Nappe(英)/Tsate Decke(独) )と呼ばれる「地塊」は、中生代の「ペニン系地質区」(Penninic realm)に存在していた海洋、「ピエモンテ海」(Piemonte Ocean/ Piemonte-Liguria Ocean)の、海底に堆積した「白亜紀」(一部は「ジュラ紀」)の各種堆積物(泥質堆積物、石灰岩類、チャートなど)が元となっています。
その後、その堆積物は、海洋プレート沈み込み帯で「付加体」(accretionary wedge/accretionary prism)を形成したのち、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」の地質体(=「ピエモンテ海」の海洋性プレート本体)と共に、沈み込み帯に沿って地下深部に沈み込んだもの、と推定されています。
その際、高圧型変成作用を受けて、「石灰質片岩」(calcschist)、「シェール」(black shales)、「(変成)チャート」(meta-chert)、「結晶質石灰岩(大理石)」(marble)などの変成岩となっています。(文献7)によると、このなかでも「石灰質片岩」が多いと書いてあります。
変成作用の度合いを示す「変成相」(変成グレード)については、文献によってマチマチです。(文献5)では、「エクロジャイト相」相当としています。また(文献4)では、最初に「青色片岩相」の変成作用を受け、後に「緑色片岩相」相当の上書き変成作用を受けた、としています。(文献7)では、「緑色片岩相」であり、「エクロジャイト相」に達した「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」より明らかに変成グレードは低い、としています。
また、(文献4)、(文献5)によると、この地質体は、沈み込み帯にて沈み込んだ際(あるいは、「付加体」となった際)に、もみくちゃになり(chaotic aspect)、初生的な堆積物層としての構造は失われています。
かつ「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(=海洋プレート断片)由来の「オフィオライト岩体」、具体的には、「蛇紋岩」(serpentinite)、「変成玄武岩類」(meta-basalts)、「変成ハンレイ岩」(meta-gabbro)、および「プラシナイト」(prasinite(英))と呼ばれる変成岩(結晶片岩類の一種)なども、層状に混入(inserted in/intercalation)しており、地質構成の複雑さをさらに増しています。(文献5)、(文献7)。
「ツァテ・ナップ」の分布域は、地質図(文献2A)のテクトニックレイヤーや、地質図(文献3)によると、ツェルマット周辺だけでなく、「ダンブランシュ・ナップ」(Demt Blanch nappe)を取り囲むように、「ヴァリス山群」の西部にも帯状に分布しています。
私見ですが、「ダンブランシュ・ナップ」の下にも、この「ツァテ・ナップ」の地質体が分布しているのではないか、と思われます。
なおこの連載では、各種文献で一般的に使われている「ツァテ・ナップ」(Tsaté nappe)という「地塊」名を使用しましたが、文献によっては、「コンバン・ゾーン」(Combin zone)とも呼ばれているようです(文献3)。
(文献7)によると、「コンバン・ゾーン」という用語は、より古い用語のようで、多少、定義も異なるようです。
[補足説明 2]; 岩石に関する解説
※ この連載の回では、色々な種類の岩石名称がでてきますので、(文献20)、(文献21
)などに基づきに、以下にざっくりと説明します
詳しくは、岩石図鑑や専門書をご覧ください。
(1) 「片麻岩」類(gneisses):変成岩のうち、見た目が濃い色(黒っぽい)の部分と、淡い色(白っぽい)の部分が縞模様(片麻状組織)となっている岩石。どちらかというと、高温型の変成岩。日本では分布が限定的だが、ヨーロッパアルプスや世界各地の造山帯、古い地塊(クラトン)では良く見られる。
元となった岩石や、含まれる鉱物によって、細かく種類が分けられている。
原岩が花崗岩類(深成岩)と推定されるものは、「正片麻岩」(ortho-gneiss)、原岩が堆積岩(泥岩、砂岩など)と推定されるものは、「パラ片麻岩」(「準片麻岩」とも)(para-gneiss)という、2種類に区分するやり方も良く使われる。
(2) 「雲母片岩」(mica-schist);変成岩のうち、「結晶片岩」類の一つ。結晶片岩類は「片理構造」と呼ばれる、ペラペラしたシートが重なったような構造をもつが、その中に雲母(mica)が多く含まれるものを雲母片岩と呼ぶ。
「結晶片岩」類は、多くの名称があって、文献によって同じものが別の名前で呼ばれることもあるが、(文献20)では、「白雲母片岩」(muscovite-schist)が「雲母片岩」類の代表として記載されている。日本では「泥質片岩」や「黒色片岩」と呼ばれる結晶片岩類も、白雲母が多く含まれることが多いので、「雲母片岩」と同類と言える。
(3) 「石灰質片岩」(calc-schist);「結晶片岩」類のうち、原岩が石灰岩類(ドロマイトを含む)と推定されるもの。日本では少ないのか、岩石図鑑(文献20)には載っていない。
(4) 「角閃岩」(amphibolite);変成岩のうち、「角閃石」(類)と呼ばれる鉱物が多い変成岩。新鮮面はグレー〜ダークグレーで、風化した表面はやや緑色を帯びる。赤茶色をした鉱物ザクロ石が表れている場合もある。「角閃岩」の原岩は、「玄武岩」、「ハンレイ岩」などの苦鉄質の火成岩。多くの「角閃岩」は、海洋プレート沈み込み帯で、海洋プレート上部の玄武岩、ハンレイ岩が地下深部で変成作用を受けたもの、と解釈されている。なお岩石としての「角閃岩」も、鉱物としての「角閃石」も、細かく言うと単一の名称ではなく、元素組成によって多数の種類に分類される。
なお、原岩が「ハンレイ岩」(gabbro)であることが明確な場合は、「変成ハンレイ岩」(meta-gabbro)と呼ばれることもあるが、意味的には同じである。
(5) 「グラニュライト」(granulite);高温型変成岩で、「グラニュライト相」(800〜1000℃程度)の条件下で形成された変成岩。原岩の種類によって鉱物組成は色々なものがある。元々は、結晶粒子が大きい岩石といった意味。
(6) 「マイロナイト」(mylonite);強い変形作用(せん断応力)を受けてできる、変成岩(変形岩)の一種で、原岩は様々。断層帯にできることが多く、断層構造の指標岩石となっている。
(7) 「結晶質石灰岩(大理石)」(crystalline limestone);石灰岩類が変形作用を受けて、「方解石」(calcite)の結晶を多く含む、結晶質となった変成岩。慣用的に日本語では「大理石」と呼ばれることが多い。英語でも(marble)と呼ぶことも多いが、装飾用石材としての「大理石」のような「マーブル模様」があることはむしろ少ない。
(8) 「シェール」(shale);泥岩など泥質堆積物が、弱い変成作用を受け、層状構造を持ったもの。見た目はダークグレーのものが多い。日本語では「頁岩」(けつがん)と呼ぶ。さらに変成作用が進むと「粘板岩」(slate)、「千枚岩」(phyllite)、「泥質片岩」(「黒色片岩」(black schist))となるが、その区別は連続なのでやや難しい。
(9) 「蛇紋岩」(serpentinite);上部マントルを構成している主な岩石である、「カンラン岩」が、水分(H2O)と反応して形成された、一種の変成岩。地表では、新鮮な「カンラン岩」はあまりなく、部分的に蛇紋岩化していたり、完全に「蛇紋岩」となっていることが多い。外観は緑がかっており、白い部分もあって複雑な模様を呈していることが多い。鉱物組成としては、蛇紋石が主である。
(10) 「カンラン岩」(peridotite);「カンラン石」(olivine)を主とし、「直方輝石」(ortho-pyroxene)、「単斜輝石」(clino-pyroxyne)を含む岩石。見た目は、新鮮なもの緑色〜濃い緑色だが、通常は風化(鉄分の酸化)により、赤茶色をしていることが多い。上部マントルは全て、この「カンラン岩」からできていると考えられており、いわゆる「プレート」もその下部の「リソスフェアマントル」と呼ばれる部分は、「カンラン岩」で出来ていると考えられている。
「蛇紋岩」の項で述べたように、地中で水分(H2O)と反応して蛇紋岩となることが多いため、地表では、蛇紋岩化していない「カンラン岩」を見かけることは少ない。
(11) 「花崗岩」類(granites);マグマが地下で固まった深成岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=フェルシック;felsic)な深成岩。鉱物組成としては、石英、長石類、黒雲母からなる。「花崗岩類」と呼ぶ場合は、(狭義の)「花崗岩」(granite)のほか、「花崗閃緑岩」(grano-diorite)、「トーナル岩」(tonalite)、「石英閃緑岩」(quartz diorite)なども含む。
なお、花崗岩類が高度な変成作用を受け、片麻状組織を持つものは、片麻岩類の一種、「正片麻岩」(ortho-gneiss)と呼ばれる。「変成花崗岩類」(meta-granites、meta-granitoids)と呼ぶこともある。
(12) 「玄武岩」(basalt);マグマが地表や海底で固まった火山岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=マフィックな;mafic)火山岩。見た目は黒っぽい。火山から噴出する場合も多いが、海洋地殻の上部は玄武岩からなっており、この章での「玄武岩」は、海洋地殻上部(海洋性プレート上部)由来の玄武岩である。
変成作用を受けた「変成・玄武岩」(meta-basalts)となっていることも多い。その場合、「角閃石」が主要鉱物であるもの、あるいは原岩が「玄武岩」か「ハンレイ岩」か不明な場合は、「角閃岩」と呼ぶことも多い。
(13) 「ハンレイ岩」(gabbro);マグマが地下で固まった深成岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=マフィックな;mafic)深成岩。鉱物としては、海洋地殻の下部は「ハンレイ岩」で出来ている。火山岩の「玄武岩」と化学組成的には同じ。見た目は、白っぽい鉱物(主に長石類)と黒っぽい鉱物(角閃石や輝石類)が入り混じっている感じ。
地表では変成した「変成・ハンレイ岩」(meta-gabbro)となっていることも多い。
この章での「ハンレイ岩」は、海洋地殻下部由来の「ハンレイ岩」である。「変成・ハンレイ岩」は、「玄武岩」と同様に、「変成相」での「角閃岩相」の条件化で変成作用を受け、「角閃石」が主要鉱物であるもの、あるいは原岩が不明は、「角閃岩」と呼ぶことも多い。
)などに基づきに、以下にざっくりと説明します
詳しくは、岩石図鑑や専門書をご覧ください。
(1) 「片麻岩」類(gneisses):変成岩のうち、見た目が濃い色(黒っぽい)の部分と、淡い色(白っぽい)の部分が縞模様(片麻状組織)となっている岩石。どちらかというと、高温型の変成岩。日本では分布が限定的だが、ヨーロッパアルプスや世界各地の造山帯、古い地塊(クラトン)では良く見られる。
元となった岩石や、含まれる鉱物によって、細かく種類が分けられている。
原岩が花崗岩類(深成岩)と推定されるものは、「正片麻岩」(ortho-gneiss)、原岩が堆積岩(泥岩、砂岩など)と推定されるものは、「パラ片麻岩」(「準片麻岩」とも)(para-gneiss)という、2種類に区分するやり方も良く使われる。
(2) 「雲母片岩」(mica-schist);変成岩のうち、「結晶片岩」類の一つ。結晶片岩類は「片理構造」と呼ばれる、ペラペラしたシートが重なったような構造をもつが、その中に雲母(mica)が多く含まれるものを雲母片岩と呼ぶ。
「結晶片岩」類は、多くの名称があって、文献によって同じものが別の名前で呼ばれることもあるが、(文献20)では、「白雲母片岩」(muscovite-schist)が「雲母片岩」類の代表として記載されている。日本では「泥質片岩」や「黒色片岩」と呼ばれる結晶片岩類も、白雲母が多く含まれることが多いので、「雲母片岩」と同類と言える。
(3) 「石灰質片岩」(calc-schist);「結晶片岩」類のうち、原岩が石灰岩類(ドロマイトを含む)と推定されるもの。日本では少ないのか、岩石図鑑(文献20)には載っていない。
(4) 「角閃岩」(amphibolite);変成岩のうち、「角閃石」(類)と呼ばれる鉱物が多い変成岩。新鮮面はグレー〜ダークグレーで、風化した表面はやや緑色を帯びる。赤茶色をした鉱物ザクロ石が表れている場合もある。「角閃岩」の原岩は、「玄武岩」、「ハンレイ岩」などの苦鉄質の火成岩。多くの「角閃岩」は、海洋プレート沈み込み帯で、海洋プレート上部の玄武岩、ハンレイ岩が地下深部で変成作用を受けたもの、と解釈されている。なお岩石としての「角閃岩」も、鉱物としての「角閃石」も、細かく言うと単一の名称ではなく、元素組成によって多数の種類に分類される。
なお、原岩が「ハンレイ岩」(gabbro)であることが明確な場合は、「変成ハンレイ岩」(meta-gabbro)と呼ばれることもあるが、意味的には同じである。
(5) 「グラニュライト」(granulite);高温型変成岩で、「グラニュライト相」(800〜1000℃程度)の条件下で形成された変成岩。原岩の種類によって鉱物組成は色々なものがある。元々は、結晶粒子が大きい岩石といった意味。
(6) 「マイロナイト」(mylonite);強い変形作用(せん断応力)を受けてできる、変成岩(変形岩)の一種で、原岩は様々。断層帯にできることが多く、断層構造の指標岩石となっている。
(7) 「結晶質石灰岩(大理石)」(crystalline limestone);石灰岩類が変形作用を受けて、「方解石」(calcite)の結晶を多く含む、結晶質となった変成岩。慣用的に日本語では「大理石」と呼ばれることが多い。英語でも(marble)と呼ぶことも多いが、装飾用石材としての「大理石」のような「マーブル模様」があることはむしろ少ない。
(8) 「シェール」(shale);泥岩など泥質堆積物が、弱い変成作用を受け、層状構造を持ったもの。見た目はダークグレーのものが多い。日本語では「頁岩」(けつがん)と呼ぶ。さらに変成作用が進むと「粘板岩」(slate)、「千枚岩」(phyllite)、「泥質片岩」(「黒色片岩」(black schist))となるが、その区別は連続なのでやや難しい。
(9) 「蛇紋岩」(serpentinite);上部マントルを構成している主な岩石である、「カンラン岩」が、水分(H2O)と反応して形成された、一種の変成岩。地表では、新鮮な「カンラン岩」はあまりなく、部分的に蛇紋岩化していたり、完全に「蛇紋岩」となっていることが多い。外観は緑がかっており、白い部分もあって複雑な模様を呈していることが多い。鉱物組成としては、蛇紋石が主である。
(10) 「カンラン岩」(peridotite);「カンラン石」(olivine)を主とし、「直方輝石」(ortho-pyroxene)、「単斜輝石」(clino-pyroxyne)を含む岩石。見た目は、新鮮なもの緑色〜濃い緑色だが、通常は風化(鉄分の酸化)により、赤茶色をしていることが多い。上部マントルは全て、この「カンラン岩」からできていると考えられており、いわゆる「プレート」もその下部の「リソスフェアマントル」と呼ばれる部分は、「カンラン岩」で出来ていると考えられている。
「蛇紋岩」の項で述べたように、地中で水分(H2O)と反応して蛇紋岩となることが多いため、地表では、蛇紋岩化していない「カンラン岩」を見かけることは少ない。
(11) 「花崗岩」類(granites);マグマが地下で固まった深成岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=フェルシック;felsic)な深成岩。鉱物組成としては、石英、長石類、黒雲母からなる。「花崗岩類」と呼ぶ場合は、(狭義の)「花崗岩」(granite)のほか、「花崗閃緑岩」(grano-diorite)、「トーナル岩」(tonalite)、「石英閃緑岩」(quartz diorite)なども含む。
なお、花崗岩類が高度な変成作用を受け、片麻状組織を持つものは、片麻岩類の一種、「正片麻岩」(ortho-gneiss)と呼ばれる。「変成花崗岩類」(meta-granites、meta-granitoids)と呼ぶこともある。
(12) 「玄武岩」(basalt);マグマが地表や海底で固まった火山岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=マフィックな;mafic)火山岩。見た目は黒っぽい。火山から噴出する場合も多いが、海洋地殻の上部は玄武岩からなっており、この章での「玄武岩」は、海洋地殻上部(海洋性プレート上部)由来の玄武岩である。
変成作用を受けた「変成・玄武岩」(meta-basalts)となっていることも多い。その場合、「角閃石」が主要鉱物であるもの、あるいは原岩が「玄武岩」か「ハンレイ岩」か不明な場合は、「角閃岩」と呼ぶことも多い。
(13) 「ハンレイ岩」(gabbro);マグマが地下で固まった深成岩のうち、シリカ分(SiO2)が少ない(=マフィックな;mafic)深成岩。鉱物としては、海洋地殻の下部は「ハンレイ岩」で出来ている。火山岩の「玄武岩」と化学組成的には同じ。見た目は、白っぽい鉱物(主に長石類)と黒っぽい鉱物(角閃石や輝石類)が入り混じっている感じ。
地表では変成した「変成・ハンレイ岩」(meta-gabbro)となっていることも多い。
この章での「ハンレイ岩」は、海洋地殻下部由来の「ハンレイ岩」である。「変成・ハンレイ岩」は、「玄武岩」と同様に、「変成相」での「角閃岩相」の条件化で変成作用を受け、「角閃石」が主要鉱物であるもの、あるいは原岩が不明は、「角閃岩」と呼ぶことも多い。
【注釈の項】
注1) 「ヴァリス」(山群、州)の読み方、表記について
このスイスの州は、ドイツ語圏とフランス語圏にまたがっている為、以下2つの表記、読み方があります。
・ドイツ語では、”Wallis” 、読み方(日本語表記)は、(ヴァリス)
・フランス語では、”Valais” 、読み方(日本語表記)は、(ヴァレー)
この章では、日本語表記としては、日本のガイドブック類でよく使われている、「ヴァリス」とし、現地語表記を併用する場合は、地質学の文献などで多く使われている、フランス語の(Valais)を使用します。
注2) 山々の標高について
この章で記載している山々などの標高は、スイスのオンライン地図(文献2A)のうち、地形図レイヤーの値を採用し、記載しています。文献、ガイドブックなどによっては、数m程度違う値となっている場合があります。
注3) スイスのオンライン地質図について
スイスのオンライン地質図は、パソコン等で見る「ウエブ版」(文献2A)と、スマホのアプリとなっている「アプリ版」(文献2B)(アプリ名;“Swiss topo”)とがあります。
どちらも(Swiss topo)という機関がデータ元ですが、「ウエブ版」(文献2A)は、説明が詳しく、解像度も高い一方で、ポップアップの地質解説がドイツ語なのでちょっと解りにくい、という短所もあります。
一方「アプリ版」(文献2B)は、地質解説が英語で解りやすいのですが、解像度が低く、かつ、場所が違っていても似たような地質体をグループ化して説明している点は、短所だと思います。
また細かく見ると、地質説明に、けっこう違いがあります。
この章では、主に(文献2A)を参照し、(文献2B)は参考程度としました。
それぞれの地質図の使い方、見方などは、「参考文献」の項をご覧ください。
注4) [Saas-Fee] の読み方について
この地名は、日本語で表記する場合、「ザースフェー」とするものと「サースフェー」とするものの2種類があり、日本のガイドブック類(文献8)〜(文献12)などでも読み方がマチマチです。(おそらく、英語読みとドイツ語読みの違い)
この章では、「ザースフェー」と表記します。
注5) [Tsaté nappe] の読み方について
ツェルマット付近やヴァリス州西部に広がる、「Tsaté nappe」という「地塊」は、ヴァリス州のフランス語圏にある小さな集落の名前がその名の由来のようですが、フランス語由来の為、日本語での表記は良く解りません。この章では「ツァテ・ナップ」と訳しました。
注6) “Ma”は、百万年前を意味する単位です
このスイスの州は、ドイツ語圏とフランス語圏にまたがっている為、以下2つの表記、読み方があります。
・ドイツ語では、”Wallis” 、読み方(日本語表記)は、(ヴァリス)
・フランス語では、”Valais” 、読み方(日本語表記)は、(ヴァレー)
この章では、日本語表記としては、日本のガイドブック類でよく使われている、「ヴァリス」とし、現地語表記を併用する場合は、地質学の文献などで多く使われている、フランス語の(Valais)を使用します。
注2) 山々の標高について
この章で記載している山々などの標高は、スイスのオンライン地図(文献2A)のうち、地形図レイヤーの値を採用し、記載しています。文献、ガイドブックなどによっては、数m程度違う値となっている場合があります。
注3) スイスのオンライン地質図について
スイスのオンライン地質図は、パソコン等で見る「ウエブ版」(文献2A)と、スマホのアプリとなっている「アプリ版」(文献2B)(アプリ名;“Swiss topo”)とがあります。
どちらも(Swiss topo)という機関がデータ元ですが、「ウエブ版」(文献2A)は、説明が詳しく、解像度も高い一方で、ポップアップの地質解説がドイツ語なのでちょっと解りにくい、という短所もあります。
一方「アプリ版」(文献2B)は、地質解説が英語で解りやすいのですが、解像度が低く、かつ、場所が違っていても似たような地質体をグループ化して説明している点は、短所だと思います。
また細かく見ると、地質説明に、けっこう違いがあります。
この章では、主に(文献2A)を参照し、(文献2B)は参考程度としました。
それぞれの地質図の使い方、見方などは、「参考文献」の項をご覧ください。
注4) [Saas-Fee] の読み方について
この地名は、日本語で表記する場合、「ザースフェー」とするものと「サースフェー」とするものの2種類があり、日本のガイドブック類(文献8)〜(文献12)などでも読み方がマチマチです。(おそらく、英語読みとドイツ語読みの違い)
この章では、「ザースフェー」と表記します。
注5) [Tsaté nappe] の読み方について
ツェルマット付近やヴァリス州西部に広がる、「Tsaté nappe」という「地塊」は、ヴァリス州のフランス語圏にある小さな集落の名前がその名の由来のようですが、フランス語由来の為、日本語での表記は良く解りません。この章では「ツァテ・ナップ」と訳しました。
注6) “Ma”は、百万年前を意味する単位です
【参考文献】
(文献1) O. A. Pfiffner 著 “Geology of the Alps”, 2nd edition ,Wiley Blackball社刊,
(2014); (原著はドイツ語版で、2010年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第5−2章 「中部アルプスのテクトニックな構造」
(Tectonic structure of the Alps ; the Central Alps)
(文献1−2) (文献1)のうち、第3−2章
「中生代のアルプス地域におけるテクトニックな進化」
(the Alpine domain in the Mesozoic; Plate Tectonic evolution)の項の、
図3-16,図3-28(「ジュラ紀」、「白亜紀」の古地理図)。
(文献2A) スイスのオンライン地質図(ウエブ版)
https://map.geo.admin.ch/
※ 地質図は、メニューより、 > Geocatalog > Nature and Environment > Geology
> GeoCover Vector Datasets 、より見ることができる。
※ 断層、テクトニック構造、「地塊」分布図などは、メニューより、> Geocatalog >
Nature and Environment > Geology > Tectonics 500 、より見ることができる。
※ 地形図も兼ねているので、地形図レイヤーより、山名、標高なども確認できる。
※ 地図自体は(EN)を選ぶと英語表記になるが、ポップアップの地質解説はドイツ語
なので、ちょっと解りにくい。
※ 利用したバージョンは、v 1.59.0
(文献2B) スイスのオンライン地質図(スマホアプリ版)
※ スマホに、“Swiss topo” というアプリをインストールして利用する。
※ メニューより、”geology” > “Gological Map” を選ぶと地質図を見ることができる。
※ 地図自体も、ポップアップの地質解説も全て英語なので、解りやすい。
※ 利用したバージョンは、v 1.19.1
(文献3) スイスのテクトニックマップ(紙媒体)
“Tectonische Karte der Schweiz”
50万分の1 図幅、”Swiss topo”発行、(発行年度不明)
ISBN 3-906723-56-9 (“Swiss topo” のインターネットサイトより購入)
(文献4) スイスの地質に関する解説サイト
“ Strati CH;Lithostratigraphic Lexicon of Switzerland ”
https://www.strati.ch/en/
のうち、(Dent-Blanche-Decke)、(Tsate-Decke)、(Arolla Gruppe)、
(Valpelline Gruppe)、(Zermatt Saas Decke)、 (Mont Collon Gabbro)などの各項
(文献5) M. Marthaler、H. Rougier 共著、
“ An Outstanding Mountain: The Matterhorn”
(内容より意訳すると;「マッターホルンの地質と地形」))
書籍;“Landscapes and Landforms of Switzerland ”、pp.187-199 (2021)の一部
https://www.researchgate.net/publication/342847689_An_Outstanding_Mountain_The_Matterhorn
(DOIアドレス;https///www.DOI:10.1007/978-3-030-43203-4_13 )
※ このサイトより、PDFファイルが無料でダウンロードできる。
(文献6) P. Manzotti、M. Zucali 、共著
“The pre-Alpine tectonic history of the Austroalpine continental basement
in the Valpelline unit (Western Italian Alps)” 、
Geological Magazine誌、vol.150,p1-20 (2006)
https://www.researchgate.net/publication/233744172_The_pre-Alpine_tectonic_history_of_the_Austroalpine_continental_basement_in_the_Valpelline_unit_Western_Italian_Alps
(DOIアドレス:10.1017/S0016756812000441)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
(文献7) A. Steck、 H. Masson、 M Robyr 、共著
“Tectonics of the Monte Rosa and surrounding nappes (Switzerland and Italy):
Tertiary phases of subduction, thrusting and folding in the Pennine Alps”
Swiss Journal of Geosciences誌、vol. 108, p3?34 (2015)
https://sjg.springeropen.com/articles/10.1007/s00015-015-0188-x
(DOIアドレス; 10.1007/s00015-015-0188-x)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
※ 「モンテローザ」地塊と、その周辺の地質構造についての論文
(文献8) 「地球の歩き方;スイス(2024-2025年版)」 Gakken社 刊 (2023)
(文献9) 小川 清美 著
「ヨーロッパアルプス ハイキングガイド(2) ツェルマット;周辺を歩く」
山と渓谷社 刊 (2000)
(文献10) 金原 著「ヨーロッパアルプス 登山・ハイキング 改訂2版」
本の泉社 刊 (2013)
(文献11) リヒャルト・ゲーデテ著、島田荘平、島田陽子 共訳
「アルプス4000m峰 登山ガイド」 山と渓谷社 刊 (1997)
(文献12) 近藤 等 著 「アルプスの名峰」 山と渓谷社 刊 (1984)
(文献13) Michael Vaucher 著、「Walliser Alpen」(ドイツ語版)
Carta社(ドイツ) 刊 (1983)
(文献14) ウイキペディア・ドイツ語版の、(Walliser Alpen)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Walliser_Alpen
(2025年10月 閲覧)
(文献15) ウイキペディア英語版の、(Pennine Alps)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Pennine_Alps
(2025年10月 閲覧)
(文献16) ウイキペディア英語版の、(Dent Blanche nappe)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dent_Blanche_nappe
(2025年10月 閲覧)
(文献17) ウイキペディア英語版の、(Zermatt-Saas zone)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Zermatt-Saas_zone
(2025年10月 閲覧)
(文献18) ウイキペディア英語版の、(ophiolite)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Ophiolite
(2025年10月 閲覧)
(文献19) ウイキペディア英語版の、(Matterhorn)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Matterhorn
(2025年10月 閲覧)
(文献20) 西本 著「観察を楽しむ、特徴がわかる 岩石図鑑」 ナツメ社刊 (2020)
のうち、「蛇紋岩」、「片麻岩」、「グラニュライト」、「角閃岩」、「花崗岩」などの各項
(文献21) 地質団体研究会 編 「新版 地質事典」 平凡社 刊(1996)のうち、
「オフィオライト」、「マイロナイト」などの各項
(2014); (原著はドイツ語版で、2010年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第5−2章 「中部アルプスのテクトニックな構造」
(Tectonic structure of the Alps ; the Central Alps)
(文献1−2) (文献1)のうち、第3−2章
「中生代のアルプス地域におけるテクトニックな進化」
(the Alpine domain in the Mesozoic; Plate Tectonic evolution)の項の、
図3-16,図3-28(「ジュラ紀」、「白亜紀」の古地理図)。
(文献2A) スイスのオンライン地質図(ウエブ版)
https://map.geo.admin.ch/
※ 地質図は、メニューより、 > Geocatalog > Nature and Environment > Geology
> GeoCover Vector Datasets 、より見ることができる。
※ 断層、テクトニック構造、「地塊」分布図などは、メニューより、> Geocatalog >
Nature and Environment > Geology > Tectonics 500 、より見ることができる。
※ 地形図も兼ねているので、地形図レイヤーより、山名、標高なども確認できる。
※ 地図自体は(EN)を選ぶと英語表記になるが、ポップアップの地質解説はドイツ語
なので、ちょっと解りにくい。
※ 利用したバージョンは、v 1.59.0
(文献2B) スイスのオンライン地質図(スマホアプリ版)
※ スマホに、“Swiss topo” というアプリをインストールして利用する。
※ メニューより、”geology” > “Gological Map” を選ぶと地質図を見ることができる。
※ 地図自体も、ポップアップの地質解説も全て英語なので、解りやすい。
※ 利用したバージョンは、v 1.19.1
(文献3) スイスのテクトニックマップ(紙媒体)
“Tectonische Karte der Schweiz”
50万分の1 図幅、”Swiss topo”発行、(発行年度不明)
ISBN 3-906723-56-9 (“Swiss topo” のインターネットサイトより購入)
(文献4) スイスの地質に関する解説サイト
“ Strati CH;Lithostratigraphic Lexicon of Switzerland ”
https://www.strati.ch/en/
のうち、(Dent-Blanche-Decke)、(Tsate-Decke)、(Arolla Gruppe)、
(Valpelline Gruppe)、(Zermatt Saas Decke)、 (Mont Collon Gabbro)などの各項
(文献5) M. Marthaler、H. Rougier 共著、
“ An Outstanding Mountain: The Matterhorn”
(内容より意訳すると;「マッターホルンの地質と地形」))
書籍;“Landscapes and Landforms of Switzerland ”、pp.187-199 (2021)の一部
https://www.researchgate.net/publication/342847689_An_Outstanding_Mountain_The_Matterhorn
(DOIアドレス;https///www.DOI:10.1007/978-3-030-43203-4_13 )
※ このサイトより、PDFファイルが無料でダウンロードできる。
(文献6) P. Manzotti、M. Zucali 、共著
“The pre-Alpine tectonic history of the Austroalpine continental basement
in the Valpelline unit (Western Italian Alps)” 、
Geological Magazine誌、vol.150,p1-20 (2006)
https://www.researchgate.net/publication/233744172_The_pre-Alpine_tectonic_history_of_the_Austroalpine_continental_basement_in_the_Valpelline_unit_Western_Italian_Alps
(DOIアドレス:10.1017/S0016756812000441)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
(文献7) A. Steck、 H. Masson、 M Robyr 、共著
“Tectonics of the Monte Rosa and surrounding nappes (Switzerland and Italy):
Tertiary phases of subduction, thrusting and folding in the Pennine Alps”
Swiss Journal of Geosciences誌、vol. 108, p3?34 (2015)
https://sjg.springeropen.com/articles/10.1007/s00015-015-0188-x
(DOIアドレス; 10.1007/s00015-015-0188-x)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
※ 「モンテローザ」地塊と、その周辺の地質構造についての論文
(文献8) 「地球の歩き方;スイス(2024-2025年版)」 Gakken社 刊 (2023)
(文献9) 小川 清美 著
「ヨーロッパアルプス ハイキングガイド(2) ツェルマット;周辺を歩く」
山と渓谷社 刊 (2000)
(文献10) 金原 著「ヨーロッパアルプス 登山・ハイキング 改訂2版」
本の泉社 刊 (2013)
(文献11) リヒャルト・ゲーデテ著、島田荘平、島田陽子 共訳
「アルプス4000m峰 登山ガイド」 山と渓谷社 刊 (1997)
(文献12) 近藤 等 著 「アルプスの名峰」 山と渓谷社 刊 (1984)
(文献13) Michael Vaucher 著、「Walliser Alpen」(ドイツ語版)
Carta社(ドイツ) 刊 (1983)
(文献14) ウイキペディア・ドイツ語版の、(Walliser Alpen)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Walliser_Alpen
(2025年10月 閲覧)
(文献15) ウイキペディア英語版の、(Pennine Alps)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Pennine_Alps
(2025年10月 閲覧)
(文献16) ウイキペディア英語版の、(Dent Blanche nappe)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dent_Blanche_nappe
(2025年10月 閲覧)
(文献17) ウイキペディア英語版の、(Zermatt-Saas zone)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Zermatt-Saas_zone
(2025年10月 閲覧)
(文献18) ウイキペディア英語版の、(ophiolite)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Ophiolite
(2025年10月 閲覧)
(文献19) ウイキペディア英語版の、(Matterhorn)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Matterhorn
(2025年10月 閲覧)
(文献20) 西本 著「観察を楽しむ、特徴がわかる 岩石図鑑」 ナツメ社刊 (2020)
のうち、「蛇紋岩」、「片麻岩」、「グラニュライト」、「角閃岩」、「花崗岩」などの各項
(文献21) 地質団体研究会 編 「新版 地質事典」 平凡社 刊(1996)のうち、
「オフィオライト」、「マイロナイト」などの各項
【書記事項】
・初版リリース;2025年10月9日
△改訂1; 「5−2章(その1)」初版のボリュームが多すぎて読みづらいので、2回の投稿に分割することとした。 この5−2章(その1)(改)は、初版のうち、前半部(第1節、第2節)までとした。 (第3節)〜第5節)は、「5−2章(その2)新)」として別途投稿)
・ 「ツァテ・ナップ」の説明を、補足説明としてまとめた。
・ 岩石に関する説明を、「注釈」の項から、「補足説明」の項へ移動
(改訂 2025年10月20日)
・最新改定日;2025年10月20日
△改訂1; 「5−2章(その1)」初版のボリュームが多すぎて読みづらいので、2回の投稿に分割することとした。 この5−2章(その1)(改)は、初版のうち、前半部(第1節、第2節)までとした。 (第3節)〜第5節)は、「5−2章(その2)新)」として別途投稿)
・ 「ツァテ・ナップ」の説明を、補足説明としてまとめた。
・ 岩石に関する説明を、「注釈」の項から、「補足説明」の項へ移動
(改訂 2025年10月20日)
・最新改定日;2025年10月20日
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