(はじめに)
この連載の最初となる、第1部では、「ヨーロッパアルプスの地質」を詳しく説明する前に、「ヨーロッパアルプスの概要」を説明します。
そのうち、この1−1章では、「ヨーロッパアルプス」の地形的な特徴、及び、「ヨーロッパアルプス」を3つに区分して、それぞれの概要を説明します。
そのうち、この1−1章では、「ヨーロッパアルプス」の地形的な特徴、及び、「ヨーロッパアルプス」を3つに区分して、それぞれの概要を説明します。
1−1章―(1)節 「ヨーロッパアルプス」とは
「ヨーロッパアルプス」は、「ヨーロッパ」の中央部に、やや北へ張り出した感じの弧状を描く細長い山脈で、総延長は約1000kmです((文献2)では約1200km、(文献7)では約750kmとしていて、文献によって違いがある)。幅は場所によって違いますが、100〜200km程度です。
西端は、フランス南西部、地中海に面した都市 ニース(Nice)付近で、そこからフランス/イタリア国境部付近にいくつかの山塊、山地を作りながら、ほぼ南北走向で北へ延びています。 その中では、フランス南西部の、「モンブラン山群」(Massif Mont Blanc)が特に目立ちます。モンブラン山群には、「ヨーロッパアルプス」の最高峰;モンブラン(Mont Blanc;4807m)や、グランドジョラス(Grandes Jorasses;4208m)などがあります。
「モンブラン山群」あたりで、山脈の走向が北東―南西となり、その後、スイスへと入ると、走向は東西方向へと変わります。スイス北部の平野部を除くほぼ全域が、「スイスアルプス」と呼ばれる、4000m峰の多い山岳地帯です。マッターホルン(Matterhorn;4478m)、モンテローザ(Monte Rosa;4634m)、ユングフラウ(Jungfrau;4158m)、アイガー(Eiger;3967m)などの有名な山々の多くが、この「スイスアルプス」にあります。
その東は「オーストリア」西部の「チロル地方」に続いています。「チロル地方」では、2000〜3000m級の山々が東西方向に連なっています。またその南側の「イタリア」北東部には、岩峰群が林立する特異な山群、「ドロミティ」(Dolomiti)地域があります。
その後、東へと次第に高度を下げて、東端はウイーン盆地(the Viena basin)へと至ります。
全長は約1000km、4000m峰を82座も含む(注1、文献5)、大きな山脈です。
西端は、フランス南西部、地中海に面した都市 ニース(Nice)付近で、そこからフランス/イタリア国境部付近にいくつかの山塊、山地を作りながら、ほぼ南北走向で北へ延びています。 その中では、フランス南西部の、「モンブラン山群」(Massif Mont Blanc)が特に目立ちます。モンブラン山群には、「ヨーロッパアルプス」の最高峰;モンブラン(Mont Blanc;4807m)や、グランドジョラス(Grandes Jorasses;4208m)などがあります。
「モンブラン山群」あたりで、山脈の走向が北東―南西となり、その後、スイスへと入ると、走向は東西方向へと変わります。スイス北部の平野部を除くほぼ全域が、「スイスアルプス」と呼ばれる、4000m峰の多い山岳地帯です。マッターホルン(Matterhorn;4478m)、モンテローザ(Monte Rosa;4634m)、ユングフラウ(Jungfrau;4158m)、アイガー(Eiger;3967m)などの有名な山々の多くが、この「スイスアルプス」にあります。
その東は「オーストリア」西部の「チロル地方」に続いています。「チロル地方」では、2000〜3000m級の山々が東西方向に連なっています。またその南側の「イタリア」北東部には、岩峰群が林立する特異な山群、「ドロミティ」(Dolomiti)地域があります。
その後、東へと次第に高度を下げて、東端はウイーン盆地(the Viena basin)へと至ります。
全長は約1000km、4000m峰を82座も含む(注1、文献5)、大きな山脈です。
1−1章―(2)節 「ヨーロッパアルプス」の地形学的な特徴
「ヨーロッパアルプス」の地形では、例えば、「マッターホルン」のような、尖峰状の山々が多く、また谷はいわゆるU字谷をしている場所も多いことが、「日本アルプス」などとは大きく異なります。また高峰やその周辺には大規模な山岳氷河がある点も、「日本アルプス」とは大きく違いますし、「ヨーロッパアルプス」の魅力でもあります。
「ヨーロッパアルプス」は、過去の繰り返された氷期において、ほぼ全域が氷河に覆われ、現在はU字谷となっている場所や、細長い形の湖(例えば、スイス西部のレマン湖)が多数存在しているのは、氷期において川のように流れていた氷河の流路の痕跡です。
また、マッターホルンをはじめとした尖峰状の山々は、地形学的には、氷食尖峰(ひょうしょくせんぽう)と呼ばれ、複数の氷河の源流域が山体を削ったためにできた地形です。その氷河が削った部分は、現在ではカールとなっているか、アイガー北壁のような巨大な岩壁となっており、またそれら高峰群の近くには大小の山岳氷河が分布しています(「地球温暖化」により、氷河は急速に減少中ですが)。
なお、日本の槍ヶ岳も、小さいながら氷食尖峰ですので、「日本のマッターホルン」という愛称も、地形学的には間違いではありません。
このように、単に標高が4000m級と高いだけではなく、かつての氷期に、氷食作用を受けたがために形成された、鋭い峰々(氷食尖峰)と、それと対照的な深いU字谷、間氷期である現世(=「完新世」)でも沢山残っている山岳氷河、及び、高原状の地形部分(一般に「アルプ」(Alp)と呼ばれる草原地帯)というように、地形的にもバリエーションに富んでいることが、「ヨーロッパアルプス」の、地形学的な特徴といえます。
なお、「ヨーロッパアルプス」の地形学的に注目すべき点の一つには、ヨーロッパの主要な大河の源流となっている点も挙げられます。それらの大河の水は、ヨーロッパ各地域での国民生活や、各種産業にも重要な役割を果たしており、「ヨーロッパの水瓶」ともいえます。
具体的には、ドナウ川(アルプスから東へ向かい、中欧、東欧諸国を通り、黒海にそそぐ、延長 約2800km)、ライン川(アルプスから北へ向かい、ドイツ/フランス国境部を経て北海にそそぐ、延長 約1200km)、ローヌ川(アルプスから南西へ向かい、フランス南部を経て、地中海にそそぐ、延長 約800km)などの大河が挙げられます。
「ヨーロッパアルプス」は、過去の繰り返された氷期において、ほぼ全域が氷河に覆われ、現在はU字谷となっている場所や、細長い形の湖(例えば、スイス西部のレマン湖)が多数存在しているのは、氷期において川のように流れていた氷河の流路の痕跡です。
また、マッターホルンをはじめとした尖峰状の山々は、地形学的には、氷食尖峰(ひょうしょくせんぽう)と呼ばれ、複数の氷河の源流域が山体を削ったためにできた地形です。その氷河が削った部分は、現在ではカールとなっているか、アイガー北壁のような巨大な岩壁となっており、またそれら高峰群の近くには大小の山岳氷河が分布しています(「地球温暖化」により、氷河は急速に減少中ですが)。
なお、日本の槍ヶ岳も、小さいながら氷食尖峰ですので、「日本のマッターホルン」という愛称も、地形学的には間違いではありません。
このように、単に標高が4000m級と高いだけではなく、かつての氷期に、氷食作用を受けたがために形成された、鋭い峰々(氷食尖峰)と、それと対照的な深いU字谷、間氷期である現世(=「完新世」)でも沢山残っている山岳氷河、及び、高原状の地形部分(一般に「アルプ」(Alp)と呼ばれる草原地帯)というように、地形的にもバリエーションに富んでいることが、「ヨーロッパアルプス」の、地形学的な特徴といえます。
なお、「ヨーロッパアルプス」の地形学的に注目すべき点の一つには、ヨーロッパの主要な大河の源流となっている点も挙げられます。それらの大河の水は、ヨーロッパ各地域での国民生活や、各種産業にも重要な役割を果たしており、「ヨーロッパの水瓶」ともいえます。
具体的には、ドナウ川(アルプスから東へ向かい、中欧、東欧諸国を通り、黒海にそそぐ、延長 約2800km)、ライン川(アルプスから北へ向かい、ドイツ/フランス国境部を経て北海にそそぐ、延長 約1200km)、ローヌ川(アルプスから南西へ向かい、フランス南部を経て、地中海にそそぐ、延長 約800km)などの大河が挙げられます。
1−1章―(3)節 「ヨーロッパアルプス」の地域区分と周辺の地理
「ヨーロッパアルプス」は上記のとおり、非常に広い範囲に広がっているので、地理学的、地質学的には、いくつかの地域に区分されて議論されています。
文献類によっては、例えば(文献2)、(文献7)のように、「西部アルプス」と「東部アルプス」の2つに区分しているものもありますが、(文献1)では「西部アルプス」、「中部アルプス」、「東部アルプス」の3つの地域に区分しています。この連載では、(文献1)の3区分法に従います。
なおこの節では、(文献1)の他、ウイキペディア英語版の(文献2)、(文献3)、(文献4)、(文献5)、(文献7)、およびグーグルマップも参考としました。
小さくて解りにくいかもですが、図2〜図6もご参照ください。
文献類によっては、例えば(文献2)、(文献7)のように、「西部アルプス」と「東部アルプス」の2つに区分しているものもありますが、(文献1)では「西部アルプス」、「中部アルプス」、「東部アルプス」の3つの地域に区分しています。この連載では、(文献1)の3区分法に従います。
なおこの節では、(文献1)の他、ウイキペディア英語版の(文献2)、(文献3)、(文献4)、(文献5)、(文献7)、およびグーグルマップも参考としました。
小さくて解りにくいかもですが、図2〜図6もご参照ください。
a) 「西部アルプス」(Western Alps)
この連載での「西部アルプス」とは、フランス南西部とイタリア北西部との国境付近にある山域で、「中部アルプス」との境目はややあいまいです。
(文献1)では、「モンブラン山群」は「中部アルプス」に含むとし、その南西側の「サブアルパイン山脈」(the Subalpine Chains(英)/Chaines sub-alpines(仏))やその南、地中海まで続く山塊群を「西部アルプス」としています。
この「西部アルプス」は、日本人にはあまりなじみのある山は少ないのですが、「グランパラディーソ」山群の主峰 グランパラディ―ソ(Grand Paradiso)、および「エクラン山群」(des Ecrins)の主峰、バール・デュ・ゼクラン(Barre des Ecrins)が、4000mを越えています。
なお図4に、グーグルマップを元にした「西部アルプス」主要部の地形と、主な山群を示していますので、ご参照ください。
(文献1)では、「モンブラン山群」は「中部アルプス」に含むとし、その南西側の「サブアルパイン山脈」(the Subalpine Chains(英)/Chaines sub-alpines(仏))やその南、地中海まで続く山塊群を「西部アルプス」としています。
この「西部アルプス」は、日本人にはあまりなじみのある山は少ないのですが、「グランパラディーソ」山群の主峰 グランパラディ―ソ(Grand Paradiso)、および「エクラン山群」(des Ecrins)の主峰、バール・デュ・ゼクラン(Barre des Ecrins)が、4000mを越えています。
なお図4に、グーグルマップを元にした「西部アルプス」主要部の地形と、主な山群を示していますので、ご参照ください。
b) 「中部アルプス」(Central Alps)
この連載での「中部アルプス」とは、西端を「モンブラン山群」とし、その東の「スイスアルプス」のほぼ全域がその範囲です。なお、その南の縁はスイスとイタリアとの国境稜線の山々となっています。
前述のとおり、モンブラン山群(Mont Blanc Massif(英)/Massif du Mont Blanc(仏))、ヴァリスアルプス山群(Valais Alps(英、仏)/Walliser Alpen(独))、ベルナーオーバーラント山群(Berner Oberland(独)/Bernese Alps(英))といった、4000m峰を多数もつ、いわば「ヨーロッパアルプス」の中核部と言えます。
なお図3に、グーグルマップを元にした「中部アルプス」主要部の地形と、主な山群を示していますので、ご参照ください。
前述のとおり、モンブラン山群(Mont Blanc Massif(英)/Massif du Mont Blanc(仏))、ヴァリスアルプス山群(Valais Alps(英、仏)/Walliser Alpen(独))、ベルナーオーバーラント山群(Berner Oberland(独)/Bernese Alps(英))といった、4000m峰を多数もつ、いわば「ヨーロッパアルプス」の中核部と言えます。
なお図3に、グーグルマップを元にした「中部アルプス」主要部の地形と、主な山群を示していますので、ご参照ください。
c) 「東部アルプス」(Eastern Alps)
この連載での「東部アルプス」とは、スイスの東端部と、オーストリアの西部「チロル地方」(Tirol)の山々、およびイタリア北東部にある「ドロミティ」(Dolomiti)山地などの山群を合わせた地域で、北側のドイツとの国境付近の山々、及び南東側のスロベニアとの国境付近の山々も含まれます。
「東部アルプス」と「中部アルプス」との境は、(文献1)では、スイス東部の「グラウビュンデン州」の州都 クール(Chur)の町を通る南北の谷を区切りとしていますが、地形的、地質的には、その区切りはあまり明確ではありません。また東側は徐々に標高を落として、「ウイーン盆地」へと沈んでいます。
この「東部アルプス」の中のうち、スイス東部の山群としては、ベルニナ山群(Bernina Range(英))が、標高も4000m前後あり、麓のリゾート地、「サン・モリッツ」(St. Moritz)とともに、特に有名です。
オーストリアのチロル地方の山々は、ドイツ、スロベニアとの国境付近も含め、東西方向に並ぶいくつかの山脈に分かれており、標高は3000〜3500m前後と、やや低くなります。
(文献5)では、オーストリア「チロル地方」とその周辺の山群、山脈を大まかに、東西走向の3つの山脈にわけています。すなわち、「北部石灰岩アルプス」(Northern Calcareous Alps/Northern Limestone Alps(英))、「(オーストリア)中部アルプス」」((Austrian)Central Alps(英))、「南部石灰岩アルプス」(Southern Calcareous Alps/Southern Limestone Alps(英))です。
(文献7)などによると、このうち「(オーストリア)中部アルプス」は更に、「ホーエ・タウエルン山群」(Hohe Tauern)、「エッツタールアルプス」(Oetztal alps)といった山群に分けられています。このうち「ホーエ・タウエルン山群」には、オーストリアの最高峰;グロース・グロックナー(Grosses glockner,3798m)があります。また「エッツタールアルプス」は、「アイスマン」(あるいは「エッツィー」)と呼ばれる、旧石器時代の狩人のミイラが発見されたことで知られています。
「北部石灰岩アルプス」は、一部、ドイツとの国境をなしており、ドイツの最高峰;ツークシュピッツェ(Zugspitze;2962m)を含みます。
「南部石灰岩アルプス」は、下記のイタリア側の山群と、地質学的に類似しています。また「イタリア」北東部、「スロベニア」との国境稜線をなしています。
また、イタリア北東部にはいくつかの独立した山群があります。そのうち「ドロミティ」(Dolomiti)地域は、標高こそ3000m前後ですが、石灰岩質の岩峰がニョキニョキとそびえていて、クライミングの分野では良く知られており、また観光地としても有名です。特に「トレ・チーメ・ディ・ラヴァレド(Tre Cime di Lavaredo;伊)/ドライ・チンネン(Drei Zinnen;独)という岩峰は「ドロミティ」を代表する岩峰で、日本の北アルプスにある「チンネ」岩峰の名の由来でもあります(文献7)。
このほか、イタリア側の山群として「アダメッロ山群」、「オルトラー山群」など、あまり日本では知られていない山群の名前も(文献7)には記載されています。
なお図5に、「東部アルプス」主要部の地形と、主な山群、地域名を記載していますので、ご参照ください。
「東部アルプス」と「中部アルプス」との境は、(文献1)では、スイス東部の「グラウビュンデン州」の州都 クール(Chur)の町を通る南北の谷を区切りとしていますが、地形的、地質的には、その区切りはあまり明確ではありません。また東側は徐々に標高を落として、「ウイーン盆地」へと沈んでいます。
この「東部アルプス」の中のうち、スイス東部の山群としては、ベルニナ山群(Bernina Range(英))が、標高も4000m前後あり、麓のリゾート地、「サン・モリッツ」(St. Moritz)とともに、特に有名です。
オーストリアのチロル地方の山々は、ドイツ、スロベニアとの国境付近も含め、東西方向に並ぶいくつかの山脈に分かれており、標高は3000〜3500m前後と、やや低くなります。
(文献5)では、オーストリア「チロル地方」とその周辺の山群、山脈を大まかに、東西走向の3つの山脈にわけています。すなわち、「北部石灰岩アルプス」(Northern Calcareous Alps/Northern Limestone Alps(英))、「(オーストリア)中部アルプス」」((Austrian)Central Alps(英))、「南部石灰岩アルプス」(Southern Calcareous Alps/Southern Limestone Alps(英))です。
(文献7)などによると、このうち「(オーストリア)中部アルプス」は更に、「ホーエ・タウエルン山群」(Hohe Tauern)、「エッツタールアルプス」(Oetztal alps)といった山群に分けられています。このうち「ホーエ・タウエルン山群」には、オーストリアの最高峰;グロース・グロックナー(Grosses glockner,3798m)があります。また「エッツタールアルプス」は、「アイスマン」(あるいは「エッツィー」)と呼ばれる、旧石器時代の狩人のミイラが発見されたことで知られています。
「北部石灰岩アルプス」は、一部、ドイツとの国境をなしており、ドイツの最高峰;ツークシュピッツェ(Zugspitze;2962m)を含みます。
「南部石灰岩アルプス」は、下記のイタリア側の山群と、地質学的に類似しています。また「イタリア」北東部、「スロベニア」との国境稜線をなしています。
また、イタリア北東部にはいくつかの独立した山群があります。そのうち「ドロミティ」(Dolomiti)地域は、標高こそ3000m前後ですが、石灰岩質の岩峰がニョキニョキとそびえていて、クライミングの分野では良く知られており、また観光地としても有名です。特に「トレ・チーメ・ディ・ラヴァレド(Tre Cime di Lavaredo;伊)/ドライ・チンネン(Drei Zinnen;独)という岩峰は「ドロミティ」を代表する岩峰で、日本の北アルプスにある「チンネ」岩峰の名の由来でもあります(文献7)。
このほか、イタリア側の山群として「アダメッロ山群」、「オルトラー山群」など、あまり日本では知られていない山群の名前も(文献7)には記載されています。
なお図5に、「東部アルプス」主要部の地形と、主な山群、地域名を記載していますので、ご参照ください。
d) 「ヨーロッパアルプス」周辺部の地理
「ヨーロッパアルプス」周辺部の地理について、簡単に説明します。
添付の、図6、図2もご参照ください。
「中部アルプス」(スイスアルプス)の北側部分は、チューリッヒ(Zurich)、首都ベルン(Bern)など、スイスの中では大きな都市がある平野(あるいは盆地状)の地形が広がっています。ここは、地理学的には、「(スイス)中央台地」(Mittel land(独))や「スイス台地」(Swiss Plateau(英))など色々に呼ばれていますが、地質学的には一般に、「モラッセ盆地」(the Molasse Basin(英))と呼ばれています(文献1)。「モラッセ盆地」はその東、ドイツ南部まで続いていますが、東側の区切りは明確ではありません。
「モラッセ盆地」の北西部には、「ジュラ山脈」(the Jura mountains(英))という、標高が2000m程度の、北東―南西走向の、細長くて、穏やかな山容の山脈があります。ちなみに、地質学での時代区分である「ジュラ紀」(Jurassic period)は、この「ジュラ山脈」が名前の由来です。
「モラッセ盆地」、「ジュラ山脈」とも、「ヨーロッパアルプス」と地質学的には関連の深い地域です。
「ヨーロッパアルプス」のうち「中部アルプス」の南側、ここは「西部アルプス」の東側にもあたりますが、そこはイタリア北部の平野部となっていて、「ポー盆地」(the Po Basin)、あるいは、「ロンバルディア平野」(Lombardia(伊))と呼ばれる低地帯となっています。ここも、「ヨーロッパアルプス」の形成と関連のある地域です。
その「ポー盆地」を付け根として南北に細長く伸びるのが「イタリア半島」で、その東側は、地中海の一部、「アドリア海」(the Adriatic Sea)とよばれている細長い海です。
「イタリア半島」は、「ヨーロッパアルプス」とテクトニクス的には、あまり関係ない場所ですが、「アドリア海」のほうは、「ヨーロッパアルプス」から少し離れていますが、実は、「ヨーロッパアルプス」の地質学に非常に関連の大きい場所です。
なお、図6に、「ヨーロッパアルプス」周辺部の地域名を図示しましたので、ご参照ください。
添付の、図6、図2もご参照ください。
「中部アルプス」(スイスアルプス)の北側部分は、チューリッヒ(Zurich)、首都ベルン(Bern)など、スイスの中では大きな都市がある平野(あるいは盆地状)の地形が広がっています。ここは、地理学的には、「(スイス)中央台地」(Mittel land(独))や「スイス台地」(Swiss Plateau(英))など色々に呼ばれていますが、地質学的には一般に、「モラッセ盆地」(the Molasse Basin(英))と呼ばれています(文献1)。「モラッセ盆地」はその東、ドイツ南部まで続いていますが、東側の区切りは明確ではありません。
「モラッセ盆地」の北西部には、「ジュラ山脈」(the Jura mountains(英))という、標高が2000m程度の、北東―南西走向の、細長くて、穏やかな山容の山脈があります。ちなみに、地質学での時代区分である「ジュラ紀」(Jurassic period)は、この「ジュラ山脈」が名前の由来です。
「モラッセ盆地」、「ジュラ山脈」とも、「ヨーロッパアルプス」と地質学的には関連の深い地域です。
「ヨーロッパアルプス」のうち「中部アルプス」の南側、ここは「西部アルプス」の東側にもあたりますが、そこはイタリア北部の平野部となっていて、「ポー盆地」(the Po Basin)、あるいは、「ロンバルディア平野」(Lombardia(伊))と呼ばれる低地帯となっています。ここも、「ヨーロッパアルプス」の形成と関連のある地域です。
その「ポー盆地」を付け根として南北に細長く伸びるのが「イタリア半島」で、その東側は、地中海の一部、「アドリア海」(the Adriatic Sea)とよばれている細長い海です。
「イタリア半島」は、「ヨーロッパアルプス」とテクトニクス的には、あまり関係ない場所ですが、「アドリア海」のほうは、「ヨーロッパアルプス」から少し離れていますが、実は、「ヨーロッパアルプス」の地質学に非常に関連の大きい場所です。
なお、図6に、「ヨーロッパアルプス」周辺部の地域名を図示しましたので、ご参照ください。
注釈の項
注1;「ヨーロッパアルプス」の4000m峰を何個と数えるかについては、主峰の近くにある衛星峰までカウントするかどうかによって、諸説あります。
ここでは、UIAAが認定したもの(文献5)を元に、82峰としています。
ここでは、UIAAが認定したもの(文献5)を元に、82峰としています。
(参考文献)
文献1) O. A. Pfiffer著 “Geology of the Alps” second edition (2014)
(文献1−1) (文献1)のうち、1−4章 “Structure of the Alps”
文献2) ウイキペディア英語版の、“Alps” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Alps
(2025年6月 閲覧)
文献3) ウイキペディア英語版の、 “Geography of the Alps” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_the_Alps
(2025年6月 閲覧)
文献4) ウイキペディア英語版の、” Geography of Switzerland“ の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_Switzerland
(2025年6月 閲覧)
文献5) ウイキペディア英語版の、“Geography of Austria” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_Austria
(2025年6月 閲覧)
文献6) UIAAのホームページより、アルプスの4000m峰リストの項
https://www.theuiaa.org/4000-alps/
(2025年6月 閲覧)
文献7) 岩田、小あぜ、小野 編「世界の山やま、(1)ヨーロッパ、アメリカ、両極編」
(「地理」誌、1995年10月増刊号)、 古今書店 刊 (1995)
のうち、「アルプス概説」の項 など
文献8) 「実用・登山用語データブック」 山と渓谷社刊(2011)
(文献1−1) (文献1)のうち、1−4章 “Structure of the Alps”
文献2) ウイキペディア英語版の、“Alps” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Alps
(2025年6月 閲覧)
文献3) ウイキペディア英語版の、 “Geography of the Alps” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_the_Alps
(2025年6月 閲覧)
文献4) ウイキペディア英語版の、” Geography of Switzerland“ の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_Switzerland
(2025年6月 閲覧)
文献5) ウイキペディア英語版の、“Geography of Austria” の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geography_of_Austria
(2025年6月 閲覧)
文献6) UIAAのホームページより、アルプスの4000m峰リストの項
https://www.theuiaa.org/4000-alps/
(2025年6月 閲覧)
文献7) 岩田、小あぜ、小野 編「世界の山やま、(1)ヨーロッパ、アメリカ、両極編」
(「地理」誌、1995年10月増刊号)、 古今書店 刊 (1995)
のうち、「アルプス概説」の項 など
文献8) 「実用・登山用語データブック」 山と渓谷社刊(2011)
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【書記事項】
初版リリース;2025年6月13日
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「ヨーロッパアルプスの地質学」;序章ー2 【目次】と、各投稿へのリンク 8 更新日:2025年06月13日
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