新穂高から双六、三俣、鷲羽、水晶岳経由読売新道で黒部ダム


- GPS
- 80:00
- 距離
- 48.9km
- 登り
- 4,037m
- 下り
- 3,580m
コースタイム
8月6日 竹橋発バス
8月7日 新穂高温泉着、双六小屋テンバ
8月8日 双六小屋テンバ-双六岳-三俣蓮華岳-三俣小屋テンバ-鷲羽岳-岩苔乗越-黒部源流-三俣小屋テンバ
8月9日 三俣小屋テンバ-黒部源流-岩苔乗越-水晶小屋-水晶岳-赤牛岳-読売新道-奥黒部ヒュッテ
8月10日 奥黒部ヒュッテ-平の渡し-黒部ダム-扇沢-長野駅-大宮-帰宅
天候 | 初日少し降った以外は快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
読売新道は長いが困難はない。奥黒部ヒュッテから黒部ダム間、特に平の小屋から黒部ダム間は思いのほかシビア。登山モードで歩くことをお勧め。 |
写真
感想
2011年8月6日(土)
21時55分秋葉原発の連絡バスで竹橋に行き、22時30分発の新穂高温泉行きの毎日バスで出発。車内は満員。夜行バスでの山行4年ぶりくらい。新穂高温泉は東京からのアクセスが悪い。マイカーは戻ってこないといけないルートしかとれないし。バスのシートが狭いし、リクライニングもイマイチだが、何とか眠れた。
8月7日(日)
目が覚めたら5時前。外を見たら平湯の辺り。窓の外の奥飛騨温泉郷を眺めながら、5時15分に新穂高温泉到着。飯食ったり、パッキングを直して、5時50分出発。橋を渡って歩き出す。1時間くらい歩いて笠新道入口。ここまでどうということのない道だが、途中、右手の岩場から水がミスト状に吹き出し、涼しいところがいくつも出てくる。他ではあまり見ないような。そこから少しして、7時過ぎにわさび平小屋通過。さらに少し行ったところが小池新道の入口となっている。ここからが登りの始まりという感じ。石の積み重なった明るい登山道だ。8時過ぎに秩父沢。ここでしばし休憩。冷たい沢水で顔を洗う。気持ちいい。ここ先も、ところどころで開けた休憩ポイントがある。10時半に鏡平小屋到着。大勢の人が休んでいる。ここで少し長めの休止。出発してから4時間半少し。かき氷に誘惑されそうになるが我慢。ここから弓折岳分岐まで急登。小屋の赤い屋根を見下ろしながら登高。11時半に分岐。稜線に出た。大勢の高校ワンゲル生が休憩中。皆、70Lくらいのザックを担いでいる。ここまでは天気も良く、さあ、ここからは気持ちのいい稜線歩きと歩きだした途端、雨が降り出した。最初はパラパラだったが、すぐに本気の降り方になり、雨具を装着。雷も遠くないところに聞こえる。結局、13時前に双六小屋に着くまで降っていたが、ついた途端に止んだ。小屋でテンバの受付、500円也。テントを設営してほっと一息。雨具を干してから、小屋に行き、カレーライスとロング缶を注文(どちらも800円だったかな)。ベンチでカレーを食っているとまた降り出した。テントに戻って昼寝。3時頃までけっこう降った感じ。一転その後は青空が広がる。テンバは6割くらいの入りか。皆濡れたものを乾かしている。自分も雨具、ズボン、ザックカバーを干す。小屋に戻ってもう一本ビール。鷲羽岳が正面に。水を汲んでテントに戻る。ここの小屋は天水を使用。来る途中にいい水が出ていたけどね。5時過ぎに晩飯。7時には寝る。真っ暗になってから、すぐそばでテントを設営するグループの声を聞く。月明かりでテントのなかは最初、薄ら明るかったが、1時過ぎに外を見たら素晴らしい星空。天頂には天の川が流れていた。
8月8日(月)
4時過ぎに起床。もう出発したテントも多いようだ。夜露でグッショリしたテントを撤収するのは少しだけ鬱陶しい。朝飯を食ったり、小屋のトイレを借りたりして、5時15分に出発。小屋前では少し前がご来光だった。ここから先に向かう人は槍ヶ岳方面が8割くらいか。逆の双六方面へ。小屋の前からハイマツ帯の急登となる。少し緩んで、巻道、中道、稜線コースと別れてゆく。もちろん稜線コースへ。快晴の早朝の山歩きは最高。緩やかな登りの広場状のなかの道を歩き、6時20分くらいに誰もいない双六頂上(2860m)。360度の素晴らしい眺め。西穂から槍ヶ岳までのシルエットも心惹かれるが、これから歩く三俣蓮華、鷲羽、ワリモ、水晶のラインも美しい。昨日の高校生たちが上ってきたので山頂を辞去。ここからは楽しい稜線歩き。すれ違う人も多くなる。途中の丸山を越えて、丁度1時間で三俣蓮華岳(2841m)。3年ぶり2回目に踏む。双六とそう変わらない眺望だが、黒部五郎、水晶が大きく見える。もちろん鷲羽は目の前。大勢の登山客で賑わう山頂。皆、嬉しそうだ。ここから三俣山荘まではすぐ。巻道分岐まで下り、ハイマツを抜け、雪渓を抜けると、もうテンバだ。小屋に近い、水場のそばのスペースを確保してから、小屋でテンバの受付、500円也。テンバに戻り、グランドシート、本体、フライを乾かしながら、テント設営。サブザックに雨具他必要なものを詰め、9時半過ぎに目の前の鷲羽岳に向かう。けっこうな人数が上り下りしている。槍ヶ岳手前の硫黄尾根の赤さが印象的。丁度1時間で頂上。3年ぶり。槍ヶ岳頂上はガスがかかって見えなかったが、水晶、裏銀座方面はよく見えた。そのままワリモ岳を経由しワリモ北分岐で休憩。ここから岩苔乗越から、黒部源流碑を経て三俣山荘まで戻る。明朝、暗いうちに逆コースを歩くのでその下見だ。このルートはずっと沢が流れ、草むらが生い茂ったなかを歩く。登山道に水が流れ込むところも多い。途中で三俣山荘は上の方に見え、かなり下ったことがわかる。黒部源流碑まで1回渡渉。朝のうちは雨具をつけないといけないようだ。岩苔乗越から源流碑まで約50分。源流碑からは三俣山荘まで登りとなる。沢沿いの道は気持ちがいい。40分くらい歩いて、テンバの裏手に戻ってきた。13時半くらいだが今日の予定はこれで終わり。テントに荷物を置いて小屋へ。展望食堂で休憩する。ビーフカレー1000円也を食す。なかなか美味い。ロング缶は800円。置いてある雑誌とかを読みながら、ロング缶2本を空けたところでテントに戻る。まだ4時過ぎ。隣り合わせた山梨から来たおじさんと話をして過ごす。昨日、水晶の辺りですごい雷に襲われたとのこと。昨日の雷鳴はそうだったんですね。5時になって食事をして、明日の出発の用意をして寝る。今日は天気がよかった。明日もそうであればいいが。夜中1時頃外を見たら素晴らしい星空。今日も天の川が鮮やか。
8月9日(火)
3時前に起床。眠いが今日の行程は長い。濡れたテントを片づけ、少しだけ口に入れて、3時50分スタート。新しく買ったヘッデンは明るく、昨日歩いた道でもあるので迷いはなかったが、初めてだと真っ暗な中、この道を歩くのは嫌だろう。かなり先にヘッデンの灯りが見えた。先行者か。確かに岩の上に濡れた靴跡がある。
源流碑までの下りは順調に来た。まだ暗い。草露で雨具はビチョビチョ。4時半を過ぎるとヘッデンは不要。登りの途中で振り返ると、三俣蓮華が荘厳に輝きだしていた。緩やかな登りだが、雨具をつけての歩きはカラダに堪える感じ。岩苔乗越に着いたのが5時半。ワリモ北分岐が5時40分。ここで雨具を脱いで、食事の時間とした。目の前の水晶は遥かな高みという感じ。天気は最高。日に照られそうなので長袖のシャツを着る。
まずは水晶小屋への緩やかな登り。水晶岳に行くには、少しだけ遠回りになるが、敬意を表して水晶小屋に寄る。6時40分。アクエリアス500ml500円と水晶岳のバッチ500円也を購入。前に来たのは3年前だが次はなかなか来ないだろうと思い記念に後者を。さあ、ここからは奥黒部ヒュッテまでの長丁場。気合を入れ直して出発。水晶往復の人と多数すれ違いながら、7時15分に水晶頂上。快晴の下の素晴らしすぎる360度の大眺望。ここまで来ると、剱立山、後立、裏銀座が大きくなる。野口五郎は好きな山だ。稜線のはるか先には赤牛岳。黒部ダムも見える。この頂上で若い女性がすぐ後に到着。三俣テンバからのピストンとのことで、話していて、同じさいたま市の人と知ってビックリ。最近の山ガールでなく、かなりバリバリの人のようだった。さあ先を急ごう。赤牛を目指し、7時35分に出発。岩場を急下降する。基本的には岩場の続く稜線を歩く。はるか下に高天原山荘の赤い屋根。温泉沢の頭に8時20分。小休止。少し先に先行者が一人。朝のヘッデンの人か。読売新道を歩くなら、水晶小屋に泊まれば楽だが、布団1枚で2人以上と言われては泊まる気がしない。今日、三俣山荘から読売新道を目指すのは、彼と俺だけかと思う。今日はテント装備が重く感じる。この先は岩稜帯や広い野っぱらみたいなところなど、バリエーションに富んだ登山道が続く。振り返って遠ざかる水晶岳と赤牛岳を見比べ、後どれくらいかと考えながら歩く。人を全く見かけず、北アの深いところを歩いているんだと思うが、けっこう疲れてきた。若干の不安感も感じていると、後ろから軽装のおじさんが来た。またしばらくすると反対方向からも軽装のおじさんが。そうか、水晶小屋からピストンの人がいるんだと思い至る。ここまで歩いて戻るなら、反対側に抜ければと思うが。赤牛が赤く見えるのは赤土のせいだなと当たり前のことを考えながら、10時半に赤牛岳に到着。来たー、という感じ。山頂には朝からの先行者の若者、途中で追い越されたおじさん、それと奥黒部ヒュッテを朝4時に出たという熟年夫婦がいた。みなさん、お疲れ様です。ここで大休止。ここからは薬師岳が目に前に大きい。この薬師が見られるのは赤牛岳だけ。遥か下には黒部ダムが。あそこまで下るのか…。さあ、これからが読売新道、コースタイムで5時間となっている。10時50分、さあ下ろう。下りはこれまでの縦走路から見えていた道を歩くのかと思っていたら、全く違う尾根がその裏に黒部湖方面に伸びており、この尾根を下るのが読売新道なのであった。最初は岩場の急降下。慎重に行こう。その後も、傾斜が緩むが、小ピークを巻いたりする、気の抜けないガレ場が続く。なかなか大変だ。岩場、いやガレ場か、を下りに下る。1時間ほどすると気持ちのいい広場のようなところに出て休憩。見ると、(東沢出合⇔赤牛岳 6/8)の標識あり。8分の7はどこかにあったのだろうか。気が付かなかった。まだまだ先だねと思って歩く。5/8はハイマツ帯だった。この辺りから先はガレ場はなかった(と思う)。しかし、気が付くと樹林帯に入り、そのまま下まで、どこの地方のどの山にもあるような、樹林の中の泥んこ道が続いた。眺めもない中を只管、下るだけ。疲れたとか、いつ着くのだろうか、とか一切思わず、淡々とゆっくり下る。それが一番ストレスない、と思っている。1/8から先が、実際、長かったと思う。登る人に気合を入れるためだろうか。3時55分に突然、奥黒部ヒュッテの前に出た。着いたー。12時間5分の行動(休憩込)だった。ここは人も少ないというので、テントでなく、泊まってみようと思っていた小屋だ。翌朝は6:20分の渡しに乗ろうと思い、朝抜きの一泊夕食付で7750円。受付では若い男女2名が働いていた。受付して、2Fの針の木という部屋へ。6畳の部屋を独占使用。この日の泊り客は3人で全員が大きな部屋の個室だった。私を除く2名は今日黒部ダムから。一人は熟年で明日読売新道を上がり、高天原へ。一人は若者で何と赤牛岳往復らしい。先行していた若者はテンバ。おそらく今日、読売新道を歩いたのは、3組4人だけだったのだろう。ビールを表のベンチで飲んでいると、熟年登山者が一人来た。どちらから、と尋ねると、小屋の経営者だった。失礼しました。この方からはいろいろと面白い話を聞けた。明日は志水哲也氏が来るとのこと。5時から入浴できた。一人ずつというので狭いのかと思っていたら、浴槽は狭いが、浴室は広い。シャンプーも使え、滅茶苦茶、気持ちよかった。値打ちある。6時から晩飯。とんかつ、おいしいごはんで言うことなし。ほんとにご馳走様でした。こんな山小屋ばかりだったらいいんだが。ロング缶700円也2本レギュラー缶500円也2本を空ける。結局、最終日は少しゆっくりしようと思い、朝食1050円を頼み、10時20分の渡しに乗ることにした。8時過ぎに就寝。夜中の12時くらいに目が覚め、ラジオ深夜便を断続的に4時頃まで聞いていた。石澤アナの語りがいい。
8月10日(水)
5時半過ぎに起きてパッキングしたり、ベンチでボッとしたりして過ごす。6時半から一人の朝ごはん。おいしい。山旅でこんなごはんを食べられるというのは幸せだ。ごはんを2杯いただいた。出発の準備を整え、7時半に出発。平の渡しが10:20で標準タイム2時間なのだが、万一の余裕を見て、早めに出た。奥黒部ヒュッテから渡船場までのルートは、黒部川に注ぐ沢を高巻く梯子がたくさんかけられている難コース、と聞いていたので、それなりの心の準備もあったせいか、それほどのこともなく通過できた。黒部川を眺めながらの歩きは快適。丁度、1時間50分で渡船場に着いた。川面に近いところに降りていくと女性の先客が一人。針の木谷を降りてきたとのこと。扇沢から蓮華岳に行き、針の木谷を下り、これから五色に上がって剱まで行くとのこと。もう一人老年男性が来た。白馬から縦走してきたらしい。えらいね。臭かったけど。10時20分に船が来た。定員9名。このまま、ダムまで行ってくれないかな、と皆思うだろう。船着場から3分というので平の小屋を拝見に歩く。新しいきれいな小屋。黒部湖を見下ろすいいロケーションだ。さあ、コースタイムで後3時間、湖畔の道かと思って歩きだしたが、大間違いだった。この後の道が、今回の山行で一番つらかった。
元々の山というか、尾根の沈み方によって黒部湖は複雑な形をしている。また、沢が流れ込んでいるところは大きく高巻く。そのため、目の前のところに行くのに大きく遠回りするし、梯子も多数かかり、かなり登下降させられるなど、一山登るくらいの気合でいかないといけないコースだ。入山に使うならいいが、最後で気を抜いていたせいか、かなり疲れた。いつも愛飲しているアクエリアスパウダーを使い切り、ただの水しか飲めなかったせいもあるのだろうか。終盤、ロッジくろよんが見えた途端、目の前に湖面が切れ込み、思い切り遠回りさせられたのもしんどかった。11時前に平の小屋を出て、ダムに着いたのは、15時を回っていた。まあ、何とか帰ってきたからよかったか。ダムの堰堤からは、水晶も赤牛も読売新道もよく見える。トロリーバスで扇沢に下り、17:00発の高速バスで長野駅に行き、19:29発のあさまで大宮20:50着。家に着いたのは21時半を回っていた。
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