尾白川渓谷・日向山


- GPS
- 06:39
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 1,103m
- 下り
- 1,089m
コースタイム
竹宇駒ヶ岳神社 10:00
神蛇滝 10:55
不動滝 11:25
錦滝 11:50-12:00
日向山 12:50-13:45
矢立石 14:30
道の駅はくしゅう 15:50
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
韮崎駅 08:38-(山交タウンコーチバス)-09:10 白須バス停 (帰り) 道の駅白州バス停 17:40-(山交タウンコーチバス)-18:13 韮崎駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北杜市によれば、不動滝-錦滝間の登山道は、上部の林道で起きている崩落により通行止めとされています。 日向山を尾白川渓谷と絡めて歩ければ、魅力的な周回ルートが組めるのですが、この区間が通れないとそれが成立しません。 このため林道の復旧を待つことにして、昨年は敢えて日向山を見送っていたのですが、今年になっても案内は「復旧の見通しはありません」のまま。どうやら地元にはこの区間を復旧させる気はなさそうです。 一方で、ネット上ではこの区間を特に問題なく通ってきた記録がいくつも見られます(逆に通行困難で撤退、という記録は全く見かけません)。 そこで、どうにか通れるのであれば、いよいよ廃道にならないうちに、つまり通る人がいるうちに、自分も出掛けておかなければと、今回の山行となりました。 ●尾白川渓谷道(竹宇駒ヶ岳神社〜神蛇滝) 遊歩道だと思って行くと面喰らいます。体力・技術ともに登山道並みの対応を要求されて、山慣れた人でなければ危険を感じそうな箇所もありました。 ●尾白川渓谷道(神蛇滝〜不動滝) 誰でも全く問題なく歩けます。ただし沢からは離れて渓谷道の趣はなく、単なる山中のハイキングコースです。 ●不動滝〜林道に上がるまで 通行禁止区間で踏み跡はありませんが、頻繁にある鉄製階段や木段などの人工物を目印に進めるために迷う心配もなく、なんとか歩けます。 ただし、木段は朽ちかけたり埋まりかけたりしていて不明瞭なため、草木や落ち葉に隠れると見つけづらいかもしれません。 ●林道区間(不動滝上〜錦滝) 途中でで道が谷に落ちて完全に消失していて、上からの崩落も続いている模様です。この区間の通行禁止措置は妥当だと思われます。 それでも崩落面が安定している時に限れば、安全なルートを見極められる人ならば特に問題なく通過できます。 ●錦滝〜日向山 かなりの急坂で両手を使う局面も多々出現します。登りでは極端に難しい箇所はありませんが、下りならば相当の緊張を強いられるはずです。 ここを安全に下るには、それなりの経験が必要だと感じました。 ※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。 ※GPS導入前なので、ルートは推測です。 |
感想
韮崎駅から乗った下教来石下行きの朝一番の路線バスは、乗客が私1人だけでした。
「白須」停留所で降りて、空になったバスを見送り、来た方向に少し戻って細い道を右へと入ります。
古くからの家が建ち並ぶ風情ある細い道を進んだり、「べるが通り」という標識が立つ立派な2車線の広い道路を進んだりした後、木立の中に入って爽やかな道をしばらく進んで、竹宇駒ヶ岳神社まで来ました。
神社の奥で吊橋を渡った先から、いよいよ渓谷道が始まります。
この尾白川渓谷道、てっきり遊歩道のようなものだろうと思っていたところ、最初からいきなり本格的な山道となっていました。
しかも足元が不安定だったり大きな段差も多々あったりして、普通の登山道でもこれより穏やかな道のほうが多いのではと思うくらいです。
登山道を歩き慣れた人にとってはそれ以上のものでもありませんが、観光気分の人が軽装備で入ると危ないと思えるような箇所も度々出てきます。
その上に、アップダウンも結構容赦ないものがあって、体力面での手応えも大きく、散策気分ではちょっと歩き通せないハードなコースでした。
さらに、それだけ苦労させられながら、ほとんど渓谷を高巻くように道が続くため、沢からは意外に離れた所ばかりを歩かされます。
例えば水の音を聞きながら歩ける箇所はごく限られていて、滝なども遙か上方から眺めるような具合が少なくありません。渓谷の景観を存分に楽しみたい人にとっては物足りないのではないでしょうか。
そして神蛇滝の手前に至っては、本当にこれが正しいルート上なのかと疑いながら手も使ってよじ登るような急斜面が現れます。山道に慣れていない人は面喰らうに違いありません。
この急斜面を登ると、そのすぐ上が神蛇滝を遠巻きに望める場所となっており、尾根コースとの合流点ともなっていました。
普通の人ならば、そんな道の様子に辟易して、ここまで来ればもう充分、あとは尾根道で戻ると言うことでしょう。実際にここから先では、道の踏まれ方が格段に薄くなるのでした。
神蛇滝を過ぎて、渓谷入口に戻る尾根コースを見送り、不動滝への道を進みます。
この先で道が細くなるのは、不動滝より先が通行止めと案内されている影響もあるのでしょう。
不動滝までは渓谷道の一部となっていますが、神蛇滝まで以上に沢からは離れてしまって、単なる普通の山道とほとんど変わらない印象となります。
でも沢から離れたのが幸いしてか、険しい箇所はなりをひそめて、傾斜も緩やかで比較的歩きやすい道が続きます。
ずっと登り調子だった道が下りに変わると、前方にしっかりした吊橋が見えてきます。それを渡った先が不動滝で、そこには錦滝への道が通行止めであることを示す標識が立っていました。
不動滝の先では、途端に道が消えてなくなっていました。やはり通行止めの標識を見たら引き返すのが普通なのでしょう。構わず歩く人もいたはずですが、その踏み跡はほとんど残されていません。
ただしこの時期、地面には落ち葉が深く敷き詰められていて、そのために道が見えないのか、そうでなくとも元々踏み跡など消えて久しいのか、どちらなのかは分かりませんでした。
踏み跡がないばかりか、テープやペンキマークも結局2〜3回見た程度で、ほとんど無いに等しかったです。
それでも、鉄製階段や木段といった人工物が頻繁に現れるため、先々の様子を良く見極めてそれらの人工物を探して進む限り、ルートを外す心配はなさそうでした。
木段は朽ちかけていてあと何年持つか、といった具合の箇所が少なくありませんが、少なくとも進路の目印としては役に立っていました。
特に困難な箇所はなく、急斜面のため階段が多くて体力的にきついことを除けば、割と普通に歩けて上の林道に出ることができています。
林道を錦滝へと歩いていくと、途中で谷の崩落により道が完全に消失している箇所がありました。
崩落跡の斜面上を土砂の間を縫って通過することになりますが、山を歩き慣れた人であれば、容易に安全なルートを見つけられる程度のものです。
ただし、この日が好天で崩落面が安定していたのでそう感じましたが、雨天時などにはまた別の様相となるのかもしれません。
この林道区間は崩壊箇所以外は何の問題もなく歩けて、すぐに錦滝に到着です。休憩用の東屋も建っていて、この先が急登とされているので、ここで少し足を休めていきます。
休憩中に上から3名のグループが下りてきたので、道の様子を伺うと、かなり難儀する下りだったものの、上では素晴らしい感動が待っているとのこと。
そのことはガイドブックでも読んで来ていましたが、3人揃って実感こもった口調で力強く言われると、俄然その期待が大きく膨らみます。
錦滝から日向山への登りに取りかかると、急登の具合は思っていた以上で少々手強かったです。
所々でロープやクサリが下がるほか、足場が脆い所があったり、手を使いたくても掴むために適当なものが乏しい箇所もあったりしました。そうでなくても、両手を使うような急登がしばらく続きます。
それでもどうにかなったのは、きっと登り方向に歩いたからだと思っています。下りならばもっと難しくなる局面が多そうで、何事もなく下り切れる自信はありません。
途中では「日向山ハイキングコース」の標識がたびたび現れましたが、とても「ハイキングコース」などと呼べる代物ではないので、この呼称もはなはだ疑問に感じました。
急登をどうにか登り切って傾斜が緩むと、前方にまばゆいほどの白ザレが見えてきました。
やがてその中へと入っていくと、今度は一歩一歩で砂に足がもぐるようになって、思うように進めなくなります。最後に来てこの効率の悪い登りもなかなか苦しいところでした。
それでも登るにつれて、上に見える白い斜面がどんどん視界一面に広がっていきます。そして稜線に達すると、そこから見る景色は本当に目の覚めるようでした。
雪のように白い砂浜の斜面に、奇妙な形の花崗岩の塔が乱れ立っています。正面には八ヶ岳が裾野からの全容を見せていて、振り返れば甲斐駒ヶ岳がまるで独立峰のように大きく聳えています。
「山梨県の山」(山と溪谷社刊)に『この山に登って誰もが満足して帰る奇観』とありますが、まさしくその通りだと思いました。
帰りのバスの時間まで余裕がありすぎるため、ここでゆっくりと過ごしていくことになりましたが、そうでなくても時間の経つのを忘れるほど、圧倒的な光景でした。
12時台に到着した時点ではいくつもの団体さんを含めて賑わっていた頂上も、小一時間いるうちに人影がまばらになってきました。
バスの時間にはなお余裕がありますが、日の短い季節なので早めに下り始めることにします。
矢立石への道は、尾白川渓谷側から登ってきた道とは好対照で、どこまでも緩やかで穏やかな歩きやすい道が続いていきます。
矢立石までに500m以上の標高差を下りますが、それをほとんど実感させられることなく一気に下ってしまいました。
その後は長い舗装道路歩きです。樹林帯を抜けて竹宇の集落に入ってもまだ先は長く、うんざりする頃にようやく道の駅はくしゅうに到着しました。
バスの時間まで2時間近くあって、ここで食事や買い物などをしながら、ゆっくりと時間を潰します。
その間に日はどっぷりと暮れてすっかり夜になり、延々と待ってやっと乗った帰りのバスも、朝と同様に乗客は私1人だけでした。
さらに途中からもう1人が乗って来たものの、この路線の将来が思いやられて、やや寂しい気分に浸りながら韮崎駅へと向かいました。
詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2007_10_12/mt2007_10_12.html#20071117
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