尾白川渓谷・日向山


- GPS
- 05:14
- 距離
- 9.3km
- 登り
- 1,062m
- 下り
- 1,067m
コースタイム
竹宇駒ヶ岳神社 10:10
旭滝 10:50
神蛇滝 11:15
不動滝 11:45-11:50
錦滝 12:25-12:35
日向山 13:25-13:45
矢立石 14:25-14:35
竹宇駒ヶ岳神社 14:55-15:15
尾白川渓谷バス停 15:20
天候 | 曇ったり晴れたり、約半々。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
韮崎駅 08:50-(清流と甲斐駒ヶ岳周遊バス(山交タウンコーチ))-09:55 尾白川渓谷バス停 (帰り) 尾白川渓谷バス停 15:25-(清流と甲斐駒ヶ岳周遊バス(山交タウンコーチ))-15:58 小淵沢駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●尾白川渓谷バス停・駐車場・竹宇駒ヶ岳神社 → 尾白川渓谷道 → 神蛇滝 尾白川渓谷道は、遊歩道レベルの道ではないので、れっきとした登山道を歩く心構えと足拵えが必要です。 足場の悪い箇所もありますし、神蛇滝の手前では、手を使ってよじ登るようにする急斜面も出てきます。 またアップダウンも結構激しいものがあって、体力的にも登山道並みの対応をさせられるのでした。 ●神蛇滝 → 尾白川渓谷道 → 不動滝 神蛇滝の先にも渓谷道は続きますが、不動滝まで行くとその先が行き止まりとされている上、この区間は渓谷から離れてしまうため、渓谷道らしい趣もほとんどありません。 そのためか、多くの人は神蛇滝から尾根道に入って下ってしまうようで、歩く人の少ない区間となります。 4年前は問題なく歩けた区間なのですが、途中で沢を横断する箇所が、両岸とも崩壊が進んで通過困難な悪場と変わっており、山慣れた人以外は引き返すのが賢明と思われるほどの状況でした。 沢床に降りる前後に階段的なものを整備するか、それとも通行止めにするか、そのどちらかの対応が取られないと、いずれ事故が起こるのは避けられないように感じています。 ●不動滝 → 錦滝 通行止め区間とされていますが、4年前(当時すでに通行禁止でした)と状況が変わっていないのならば、特に危険箇所はないはずで、今回は現況を確認したくて再訪しました。 不動滝から林道に上がるまでの道の様子は、この日も4年前と大差なく、特に荒廃が進んでいる印象は受けませんでした。 危険個所もないため割と普通に歩けますし、実際にそこそこ歩かれている様子も見受けられます。普通に歩けるとはいえ、ずっと急登が続くので、体力的には相当に消耗させられました。 ただしそれに続く林道区間は、崩壊箇所で路盤がごっそりと失われているなど、目を覆いたくなるような状況でした。 4年前の時点では、すでに崩壊が起きていながらも車道の体裁は保てていたのですが、もはや、ここに車が通れる道があったことを想像するのは困難な有様です。 とはいえ、少し高巻くようにして踏み跡が付けられており、難なくあっさりと通過できたのですが、崩壊は今後も進むと思われるため、いつ状況が変わってもおかしくありません。 ●錦滝 → 日向山 とにかく急勾配です。しかも足場の悪い箇所や大きな段差などが少なくありません。 登るのも大変でしたが、ここを安全に下るには一定の経験と慎重さが必要ではないでしょうか。 個人的には、この区間をルートに組み入れるのであれば、仮に体力への負荷が大きいと感じたとしても、登りに使うべきだと考えます。 逆回りの場合には、登頂後の疲労が進んだ足で急斜面を下るという、リスクの高い状況となりますが、なぜかその逆回りを案内するガイドブックが多いことに疑問を感じています。 急登が終わると、白砂がまばゆい雁ヶ原に出ますが、以降はズルズルと滑る砂に足を取られながらの非効率な登りとなります。 それまでの急登で疲労が進んでいる中では、かなりこたえました。 また、最近の台風の影響か、登山道として踏み固められていた部分が流されてしまったことで、この日はどうしても脆くて崩れやすい砂地を歩かざるを得ない箇所がありました。 まぁその状況は、今後再び踏み固められるルートができていくことで、いずれ改善されるとは思いますが・・・ ●日向山 → 矢立石 → 尾白川渓谷バス停・駐車場・竹宇駒ヶ岳神社 良く整備されていて、登山道は問題なく歩ける状況にありますし、道標等も適切に設置されていて迷う心配もありません。 ただし後半の、矢立石から尾白川渓谷駐車場への下りになると、やや傾斜のきつい箇所が見受けられたので、雨後など滑りやすさがある状況下では、少し注意が必要かもしれません。 |
写真
感想
雪のような白い砂浜がまばゆい日向山を、清冽で美しい尾白川渓谷と組み合わせて歩ければ、それはとても魅力的なルートではないかと思いますし、かつては実際にそうして歩かれることも多かったことでしょう。
ところが何年か前に、日向山と尾白川渓谷を結ぶ区間が崩壊により通行止めとされて以来、その指示に従う限り、そのようなルートは組めなくなってしまいました。
とはいえ、このルートは4年前(すでに不動滝と錦滝の間は通行止めでしたが)に歩いており、その時点ではまだ普通に歩ける状況にありました。
それから4年を経た現在、どのような状況にあるのかを確認しに、4年前とほぼ同じルートを再訪してきました。
結果的に通行止め区間は、林道上の崩壊が進んでかなりデリケートになっていたものの、山慣れた人であれば問題なく歩ける状況が保たれていました。
むしろ、何も規制されていないはずの、尾白川渓谷道の先端部分(神蛇滝と不動滝の間)に崩壊による悪場が出現しており、そこの通過が今回最も厄介でした。
さて、韮崎駅から乗った「清流と甲斐駒ヶ岳周遊バス」は、乗客は自分のほかには1組の若いカップルだけでした。聞くと駒ヶ岳神社から黒戸尾根に向かうとのこと。頑張れ〜っ!
それはそうと、発車時刻の直前までバス停には私しかおらず、本当にバスが来るのか不安になったほど。
帰りのバスなどは私以外の乗客が1人だけでしたし、そういえば5月に雨乞岳の帰りで利用した時も、やはり私以外の乗客は1人だけでした。
以前は、公共交通で日向山に登ろうとした場合は、使えるのが韮崎駅〜下教来石間の路線バスしかなかったのです。それだと国道20号線のバス停から延々と車道を歩く必要があり、もちろん4年前はそのようにして登っていました。
ところが2009年に開業したこの「清流と甲斐駒ヶ岳周遊バス」が尾白川渓谷駐車場(駒ヶ岳神社のすぐ手前)まで入るようになって、特に日向山へのアクセスが格段に便利になったはずなのですが、あまり利用者は伸びていない様子。
撤退が相次ぐ近年のバス事情にあって、新規開業された貴重な路線なので、今後も頑張って運行を継続して欲しいところです。もう少し利用者が増えると心強いのですが・・・
――――――(この段落は、後日追記しました)―――――――――――――――――
数日後、何気なく書店で2011年版の「山と高原地図」を手に取ってみて驚きました。なんと、開業からすでに3年が経過しているこのバス路線が、未だに掲載されていなかったのです。これでは知名度が上がっていないのも無理はありません。
オマケにこの地図、通行止めとなって久しい不動滝-蛇滝間に、未だに堂々と赤実線が引かれていました。通行止め区間の割には、良く歩かれている様子なのが意外だったのですが、その最たる理由がここにありそうな気がします。
また、今やすっかり主要ルートの1つになっている矢立石-尾白川渓谷駐車場間に、全く道がないことになっていたりと、日向山周辺に関してはもう何年も実地調査が行われていないことがミエミエでした。
変化があったすぐ翌年に反映させるのは難しいとしても、こんなに分かりやすく、インパクトも大きな変化が何年も見逃されているようでは、毎年改定している意味などないのではないでしょうか。
――――――(後日の追記はここまで)―――――――――――――――――――――
尾白川渓谷はさすがに水がきれいで、随所に見られる深さのある淵がすべてエメラルドグリーンに輝いていて、所々にある滝も美しく、それらを眺めていると心が洗われる気分でした。
しかし、その渓谷を巡る道はと言えば、かなりアップダウンが激しくて急登も多く、残念なことにとても楽な気分では歩けません。というか、休み休み登らなければ、相当に苦しい道のりとなります。
しかも神蛇滝の手前になると、両手を使ってよじ登るようにする急斜面がしばらく続いたりして、観光客が迂闊にも散策気分で歩いたりしていると、面喰らうこと間違いありません。
その渓谷道、神蛇滝よりもさらに奥になると、「コース状況」に書いた通りの悪場が出現します。何の注意喚起もされていない場所ですが、この日最も危険を感じた場所がここになります。
観光客がそのまま入ってきてもおかしくない場所にあるので、何らかの対応が早急に必要だと感じました。
不動滝から先は通行止め区間となりますが、林道に上がるまでの間は、山慣れた人であればまず問題ありません。
道標やテープをほとんど見ない上に、踏み跡も薄くなっていますが、かといって道の続きを見失う心配はほとんど不要でした。
というのも、木段や鉄階段などの人工物が頻繁にあって、ちょっと前方を見渡せば、必ずどこかにそれらの人工物が目に入るからです。ヤブっぽい所が全くないことも、それらの目標の発見を容易にしています。
ただし、一貫して容赦のない急登が続きますので、考えて歩かないと、体力をかなり消耗させられます。
今回ここで頑張ってしまったところ、その先に控えていた錦滝から日向山への急登に取りかかった時、すでに全く余裕がなくなってしまっていたのが反省材料でした。
その上の林道は、もう4年前の姿は見る影もなく、崩壊箇所が複数に増えていた上に、崩壊によるダメージも甚大でした。
幸いに歩いて通過する分には、先行者によって安全な道筋が刻まれていましたが、次の崩壊が起きた時、その道筋が無事である保証は全くなさそうです。
今回難なく通過できたのは、たまたまだと思っていたほうが良さそうです。
錦滝まで来れば、そこから先は一般登山道となりますが、しかしそこから日向山までの間は、侮りがたい急登区間となります。
急斜面の崩壊が4年前よりも進んでいて、木段の段の欠落などが随所で見られます。
そしてそういった箇所は、木段は補修されずに、ロープが下げられることで、無事に通過しうる最小限の対策が施されている程度。登るのも厄介でしたが、下りだとかなり気を遣うことでしょう。
それでも、前方に雁ヶ原の白い砂原が見えてきた時は、4年前と変わらないワクワク感でいっぱいになりました。
そこまでの急登に代わって、今度はズルズルと滑る砂に引き続き体力を奪われるのですが、その苦しさを吹き飛ばすほどの魔力を感じていました。
雪のようにも海岸のようにも見える白い砂浜、いえ、海岸に行ったところで、これほど鮮やかな白い砂はそうそう見られるものではないでしょう。
そんなまばゆいほどの一面の白い世界に、様々な形の花崗岩のオブジェが林立して、ちょっと現実離れした風景が広がっています。
遠くに目をやれば、八ヶ岳が裾野からの全容をスッキリと見せていました。
2度目の登頂となる今回も、「山梨県の山」(山と溪谷社刊)で『この山に登って誰もが満足して帰る奇観』と書かれている、まさしくその通りの感動を、今回も味わってきました。
唯一残念だったことは、南アルプスがすっかり雲の中に入っていて、ここからの展望の主役とも言える肝心の甲斐駒ヶ岳が、影も形も見られなかったことでした。
帰りは、矢立石を経由して、スタート地点の尾白川渓谷バス停へ戻ります。
こちらは登ってきたルートとは打って変わって、急な箇所も歩きにくい箇所もなく、道案内もしっかりしている、何の心配もなく歩ける道です。
ただしずっと林間を行く道からは、ほとんど眺めらしい眺めがないですし、歩きにくい箇所がない分だけ、道の変化が刺激になるようなこともないので、やや退屈を感じるのは否めませんでした。
ところで、今回は通行止め区間を含むルートを歩いてきました。そしてしばしば、同様のことを「自己責任で」と書いている記録を見かけます。
が、何かが起こった時に、自分自身が全ての責任を負える範囲で事後処理が行われるように用意を整えておくなど、何をどこまで事前に手配しておけば「自己責任」だと言えるのか、私にはとても見当が付きませんでした。
通常は、何かトラブルを起こしてしまった場合には捜索や救助などで第三者の手を借りる可能性が大きいわけですから、その可能性を徹底的に排除してから出掛けるのでない限り、馴染まない言葉だと思います。
なので、何が起きても最大限自力で対処する心構えとともに、でももし万策尽きてしまったらごめんなさい、という気持ちで出掛けていたのが正直な所です。つまり、普段と何ひとつ変わらなかったのです。
(もしも捜索・救助されるような事態となった時に、二次災害が起こるリスクが高そうな場所であれば、さすがにそれは控えていたはずなので、そこまでの場所ではないと判断してそれに甘えたことになりますが、でもそれすら根拠のないことですよね...)
う〜ん、やっぱり公開するべき記録ではないのかなぁ。自分で自分のしたことに対してうまく説明が付かないぞ。
一応公開してみますが、行政の指示に従わないこのような記録が、この場にふさわしくないということであれば、取り下げますのでご指摘下さい。
詳細な記録のページ (ヤマレコの文面をベースにして少し膨らませたものです)
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2011_10_12/mt2011_10_12.html#20111001
写真主体のブログ版 (こちらも、ヤマレコと同じ写真しか使用していません)
http://cellist.blog.ss-blog.jp/2011-10-01
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