東鳳翩山~西鳳翩山縦走☆錦鶏の滝と桜と五重の塔


- GPS
- 05:03
- 距離
- 19.9km
- 登り
- 1,248m
- 下り
- 982m
コースタイム
- 山行
- 4:06
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 5:04
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山は吉敷畑登山口まで |
コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された一般登山道 錦鶏の滝からの登山道(ナマナマコース)も登山路は明瞭であり危険箇所はない |
写真
感想
山口の近郊で出張帰りに立ち寄る山を探してみると、山口市の最高峰でありながら登りやすい山として、人気の高い山の筆頭にくるのがこの東鳳翩山である。山の東麓には錦鶏の滝という名で知られる名瀑があり、この滝を経由して登る人は少ないようではあるが、滝の好きな自分としてはこの滝も是非、訪れてみたいところである。錦鶏の滝の入口まで手っ取り早くタクシーで乗り付けるという方法もあったのだが、満開の桜の時期、もう一つ途中で寄り道したいところがあった。瑠璃光寺の五重の塔である。
まずは山口駅から約2kmの道のりを歩くことにする。駅前からまっすぐに続く通りを県庁前で右折すると香山公園を目指す。香山公園の手前では立派な山門を有する洞春寺の境内に踏み込む。山門は珍しい四脚門であり、重要文化財であるらしい。同じく重要文化財である境内の観音堂にお参りすると、門前から香山公園へと続く小径を辿る。公園に入るとすぐ右手に広々とした墓所がある。さすがは毛利家の墓所である。清々しい朝の空気に包まれた墓所には荘重な雰囲気が漂っている。
墓所を通り抜けると、その北側に均衡のとれた五重の塔が、その左手にある満開の桜並木と共に視界に勢いよく飛び込んできた。私はすっかり誤解していたのだが、この五重の塔は瑠璃光寺の境内にあるのかと思いきや、公園の中にあるのだった。公園の開放感が五重の塔の荘厳さと妙にアンバランスにも思えるが、誰もが自由に五重の塔まで近づくことが出来る自由を有り難く享受することにする。先程まで熱心に五重の塔の写真を撮っておられた男性が公園の清掃の人達に「五重の塔は正面から眺めるよりも斜めからみるのがええんや」と力説しておられたが、御意である。
五重の塔にタクシーを予約しておいたら良かったのだろうが、登山口まで歩くことにする。ダムの堰堤を対岸に渡り距離は長くはなるものの右岸を歩く。舗装された道路ではあるが途端に車の往来がない静かな道を歩くことが出来る。錦鶏湖の奥へと進むと、桜の樹が多く植えられている一帯がある。このあたりでも桜はほぼ満開であり、何とも豪奢な雰囲気である。近づくにつれそれが運動公園のグランドであることがわかった。グランドが整備され桜が植樹されたのはダムを作ったことによるこの地域へのサービスの一環なのではないかと余計なことを考えてしまう。
グランドの脇は東鳳翩山の登山口となっており、数台の車が停められている。今回、まず目指すのはこの奥にある錦鶏の滝なので、もう少し上流に進む必要がある。結局、滝の入口に辿り着いたのは五重の塔を出発してから50分も経過している。
林道を入ってゆくと、間もなく錦鶏川は左右に別れる。左俣にある雄滝から東鳳翩山に登る登山路がついているようなので、まずは右俣の雌滝を訪ねることにする。右俣に入るとすぐに小さな滝がある。その滝にも降りてゆく踏み跡がついているので、寄り道をする。錦鶏の滝とは雄滝雌滝のみならず周囲の小滝を含む一連の滝の総称らしい。滝の周囲には無数の白い花が斜面を覆い尽くさんばかりに咲いている。すぐには名前が判らなかったが、hobbitさんが教えて下さる。アカネ科の薩摩稲森(サツマイナモリ)らしい。産毛を有する花弁はなんとも繊細で可憐な妖精のようだ。
滝を離れて上流に向かうとすぐにも別の滝音が聞こえてくる。雌滝に辿り着くと、滝が落ちる斜面の右手のあたりだけが柔らかく光があたり、神秘的な印象を与えるのだった。雌滝においても滝壺の周りは一面の白い花が多くみられる。
道を引き返し分岐に戻ると、今度は雄滝を訪ねる。先程の雌滝とは違って近づくまで滝音が聞こえてこない。滝音を聞く前に大きな斜面を幾筋もの白糸のような細い流れが流れ落ちる滝が目に入る。こちらの雄滝でも滝の周りの斜面にまだらに明るく照らされており、神秘的である。シャーとい滝音が静かに聞こえるが、滝の雰囲気と相俟って妙なる調べを聴いているかのような感覚である。滝の手前には比較的新しい不動明王の立派な石像が建てられているが、踏み跡を奥へと辿ってみるともう一体、古い不動明王の石仏があるのだった。この滝に霊的な雰囲気を感じるのは日本人にとっては自然の成り行きなのだろう。
滝の手前には東鳳翩山の山頂への案内標があり、この登山路はナマナマコースというらしい。(悪路)と書かれている。滝の手前の尾根に取り付くと、急登ではあるが、踏み跡はあくまでも明瞭に思われる。
やがて檜の樹林のなだらかな谷間を行くようになる。杉の林間に柔らかな陽射しが差し込むと、檜の樹高の高さ、広々とした谷間の広さを感じる。ところどころに倒木はあるものの通過に支障のあるような箇所はなく、一般登山道として全く問題のない道である。しかし谷をつめてニノ堂からの登山路に合流すると、何故、このコースが悪路とされているのかようやく理解する。こちらの登山路がしっかりと踏み固められた、あまりにも広い登山路だからである。古来より多くの人が歩いてきた道なのだろう。
道は檜林の中をトラバースしながら緩やかに登ってゆく。東鳳翩山の手前のピークで稜線に出るとようやく檜林をぬけて、落葉した広葉樹林の中の明るい尾根道となる。
山頂に辿り着くと、前日に訪れた宇部の山とその彼方に瀬戸内海が一気に視界に飛び込んでくる。東鳳翩山はさすがに好展望で知られる山口市の最高峰である。360度、視界を遮るものはなく、周囲の山々をすべて見晴らすことが出来る。空は春霞のせいで霞んでいるが、おそらく空気が澄んでいれば九州までは見えることだろう。西の方角には山頂に何本もの電波塔を戴いた西鳳翩山にかけての縦走路が見える。西鳳翩山の山頂まで、果たしてどの程度の時間がかかるのか、時間の目処がたたないのだが、かなり遠くに感じられる。山頂では子供二人を連れた男性が湯を沸かしてカップヌードルを準備しておられるところだった。宇部から来られたとのこと、舟木山と迷った挙げ句、この東鳳翩山にしたとのこと。私は知らない山であったが、次回に宇部に出張する際の山行先の候補にしよう。
山頂を後にすると連続する木の階段を下り、地蔵峠まではすぐにも到着したように思われる。峠には車が一台、停められていたが、間違いなく先程の親子連れのもののようだ。ここからの登り返しは最初は急登であるが、ひとしきり登るとすぐにもなだらかな道になる。地蔵峠までの広々とした道に比べると、道幅は狭い。とはいえ中国自然歩道なので十分に整備されており、歩きやすい快適な道が続く。
油ノ峠が近づくと、先程までは遠く感じられた西鳳翩山が間近に大きく聳える。登山路脇には藪椿の花が散見するが、多くが八重であり、豪奢な感じがする。藪椿の花の写真を撮ろうと登山道脇の藪に入ると、途端に蔓性の茨の樹が多く、要注意である。
油ノ峠に辿り着くと、林道が枝分かれしてはいるものの、西鳳翩山の方角に登ってゆく登山道が全く見当たらない。それもその筈、地図をよくよく見るとここからは舗装された車路をあるくことになるらしい。こうした場合、尾根には古道があったりするので、敢えて車路から外れて尾根芯のあたりを歩いてみるが、踏み跡すら見つけられなかった。諦めて車道を歩く。樹林の切れ目からこれまで辿ってきた東鳳翩山からの縦走路を見晴らすことが出来る。
山頂直下では一人の男性が山頂に向かってあるいている。見たところ登山者には思えず。車で来たようだ。山頂手前の広場では数台の車が停められており、一つの電波塔の下から賑やかな話し声が聞こえる。電波塔を管理する業者の方達なのだろう。
山頂まで辿り着くと東鳳翩山に比べて、西鳳翩山の人気度が低いのがよくわかる。何本もの電波塔が林立し、しかも眺望が開けるのは南側のみである。そもそも車で山頂にまで辿り着けてしまう山となると、余程、展望がよくない限り、頭頂意欲が削がれるものである。
電波塔の間の小さな高みに登ってゆくと、塔の裏手に遠慮がちに設置された三角点を見つけることが出来た。ピークでは電波もよく通じるので、下山予定の吉敷畑にタクシーを予約する。東鳳翩山比べて秋吉台にかなり近づいているはずなので、北西方面の展望が開けるところがないかと期待していたのだが、そのビューポイントは思いの他、容易に見つかった。西鳳翩山の西側のピークにある電波塔に辿り着くための林道が分岐してゆくのだが、その林道を入るとすぐに北西になだらかなカルスト台地が広がっている。
峠まで戻ると、先程は気が付かなかったが、林道の間を谷に沿って降りる細い踏み跡が目に入る。下るにつれ、すぐにも谷沿いには細い流れが出現する。檜の植林地の中を緩やかに下る沢沿いの道を下る。沢の下部では右手の尾根を乗り越えて隣の小さな沢に下ると、小菜の滝への案内標がある。訪れてみたいところだが、既に山麓の登山口にタクシーを予約しているので、寄り道する時間的余裕がない。
吉敷畑の集落に出ると丁度、予約したタクシーが登山口に到着したところであった。山口駅からはかなり長い歩行ではあったが、当初予定していた下山時刻よりも早い時間に下山であった。帰りの新幹線に乗るまでにはまだ時間があるので、その前にもう一つ、寄り道をすることにしよう。タクシーの運転手に行き先を告げる・・・秋吉台へ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
ヤマネコさんなら長い道のりもあっという間に。
すっかり良くなられたようですね。
ナマナマコースだろうとなんだろうとスタスタ
重文も、花も滝も見どころしっかりと
なんとも盛り沢山のハイクです。
私がサツマイナモリを見たところもアマゴのいる渓谷です。
錦鶏川の清流のおかげでしょうか
ホビさん 改めてお花を教えて下さり有難うございます。なんと一昨日のホビさんのレコにも可愛いお花がしっかりと映っているではありませんか。お陰様で、出会うたびにホビさんを思い出す花が増えていきます。
なんでナマナマコースなんでしょうね。少なくとも危険なところもなく、とてもいいコースに思われました。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する