鶏鳴の滝から笹ヶ岳へ


- GPS
- 03:19
- 距離
- 8.5km
- 登り
- 586m
- 下り
- 587m
コースタイム
- 山行
- 3:10
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 3:19
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
林道から県境尾根のルートは完全にバリルート 笹ヶ岳からの復路は国土地理院の地図の破線を辿るも道は途中で消失 鶏鳴の滝の東の谷は沢沿いに明瞭な踏み跡あり |
写真
感想
笹ヶ岳に登るのは鶏鳴の滝からアプローチするルートを辿ってみたいと前々から思っていたが、笹百合に咲くこの時期を待っていたのだった。先週は雨の予報だったので見送ったのだが、この日は空には雲が多いものの気温はそれほど上がらず、低山を登るのにも悪くない天気に思われれる。朝にヤマレコを見ると日記で様々な滋賀県の滝をご紹介されておられるHB1214さんが鶏鳴八滝の記事をアップされたところであった。
午前中に家内の用事があったので昼過ぎに出発することになってしまうが、信楽までは新名神のおかげで京都からはかなり近く感じられる。信楽の市街は渋滞気味でかなりの観光客が訪れているようだ。前日までの雨のせいだろう、信楽の中心を流れる河は明らかに増水し、土砂の色に混濁している。
鶏鳴の滝の駐車場にたどり着くと駐車場はほぼ満車に近い。まずは最下流の初音の滝を訪れようと駐車場から歩き始めるが、これが意外にも遠い。しばらく歩いたが辿り着かないので、諦めて帰路に立ち寄ることにする。鶏鳴の滝に戻る途中にも離合の困難な細い道には次々と車が往来する。
駐車場に戻り、鶏鳴八滝の二つ目の滝、垂尾(しだりお)の滝を訪ねる。滝のそばには信楽焼の狸の焼き物が目印となり、狸の大きなお腹に滝の名称が記されている。沢沿いの遊歩道を歩き始めると上流の薄暗い谷奥に次の白神の滝が奥に見えるが、滝に近づくとその手前の倒木が眺望が邪魔をする。この白神の滝で川は二筋に分かれており、遊歩道から左手の流心の滝壺に下降してみる。雨で水量が増しているせいか、この小滝もそれなりの滝に見えるのは先ほどの垂尾の滝の落差が少ないからかもしれない。
遊歩道を先へ進むと忽然と幅の広い大きな滝が現れる。鶏鳴の滝だ。滝の前で大きく切れ落ちた滝壺からは水飛沫が上がり、冷気が漂う。滝の手前が程よい展望台になって、この大きな滝をすぐ眼前に望むことが出来るというのもこの滝の魅力だろう。
鶏鳴の滝には次から次へと人が訪れるが、鶏鳴の滝から先に足を伸ばす物好きな人はいないようだ。すぐ上流には白蛇の滝が現れる。狭いゴルジュ状の岩の間を細い流心が流れ落ちる様は白蛇と形容するのが合点が行く。
大きな堰堤が現れる。かつて神山発電所が設けられていたらしい。堰堤を越えると、貯水池のほとりの一面の笹の中を行くようになる。笹の中にはわずかにササユリの花が数株、咲いている。
貯水池の上流で滝が狭くなると、白布の滝、岩しだれの滝、神有の滝と小瀧が連続して現れる。いずれの滝にも登山道から滝に降りる明瞭な踏み跡がある。この鶏鳴八滝の古風な名前が付けられてはいるが、鶏鳴の滝以外は滝の名称は公募により2010年に決められたもので、その歴史は新しい。
笹が繁茂する谷沿いの道を上流へと進む。左手の広々とした植林の谷に入ってゆく踏み跡が現れる。国土地理院の地図でも破線で記されている道だ。
谷を上流に向かうと倒木が道を塞ぎ、踏み跡も不明瞭となるが、すぐ上の右岸の斜面に林道の終点が現れる。斜面を登って林道へ出る。林道はすでに荒廃しているが、蜘蛛の巣の糸のようにあたりの山林には地図にはないいく筋もの林道が張り巡らされている。
このあたりはいくつものなだらかな丘陵が寄り集まって、複雑な地形を形成している。いずれの丘陵にも林床には竹の低い笹が繁茂する広々とした植林が広がっている。いずれの林道も地図には記載されていないので、まるで迷路を彷徨うような感覚であるが、丘陵地の東側に進む林道を選んで辿ってみると、目当ての東の谷に下降することが出来る。
GPSで場所を確認すると笹ヶ岳の南を東西に走る林道の入り口であった。林道はすぐにも尾根に上がり、小さななピークが複雑に連なる尾根を縫うように進むので、随所に展望が開ける。照りつける陽射しが強いと暑さが堪え難いところであろうが、幸いにも間断なく涼しい風が吹いている。
地図に記された林道の終点からも真新しい林道が南は続いているが、林道は谷に沿って下降してていくので、笹ヶ峰から南に延びる県境尾根から派生する東側の谷に入ることにする。谷に入るとそれまでの明るい林道からは一転、薄暗い檜の植林が広がる。沢沿いの微かな踏み跡は谷の突き当りですぐに不明瞭となるが、すぐ右手の尾根の容易に上がることが出来る。後はわずかに尾根筋を辿り、県境尾根に乗る。
丈の低い笹が繁茂する尾根上には一条の明瞭な道が続いている。アップダウンの少ない尾根を快適に辿るうちにすぐに東屋がある諏訪方面への登山路の分岐に到着する。
雨乞岩に到着すると正面に雨乞岳、綿向山、御在所岳から油日岳に至る南鈴鹿の山並みの展望が大きく広がる。さらに南には数多くの風力発電の風車が立ち並ぶ青山高原が見える。何よりもこの山々の眺望を際立たせているのは眼下に大きく広がる伊賀の里だろう。雨乞岩からのパノラマを眺めながら携行したキウイフルーツとブドウで小休止をとる。
雨乞岩への往路では気がつかなかったが、近くの笹原の中で慎ましやかにひっそりと花を咲かせている一輪のササユリがあることに気がつく。県境尾根に戻るといよいよ笹ヶ岳を目指して尾根を北上する。小さな鞍部を過ぎて尾根上の小ピークca720mは県境尾根の分岐となる。東へと続いてゆく県境尾根にはピンクテープとかすかな踏み跡が続いているようだ。県境尾根と分かれると尾根を北西へ辿り笹ヶ岳の山頂を目指す。山頂が近くなると熊笹の丈が高くなる。山頂近くでも笹百合にお目にかかれることを期待していたが、この丈の高い熊笹の中では笹百合は期待できそうもない。
笹ヶ岳の山頂では果たしてどうやってここまで運んだのだろうかと思うほどに大きな狸の焼き物が出迎えてくれる。三等三角点の柱石の傍には可愛らしい蛙の親子の焼き物もあるのだった。山頂の東側には再び南鈴鹿の山々の展望が開ける。
山頂からは西に延びる尾根を辿る。笹ヶ岳西登山口へのルートを見送ると、尾根上の踏み跡は薄くなるが、頻繁に現れるピンクテープが誘導してくれる。国土地理院の地図の破線のルートに沿って急下降の尾根を下る。破線ルートは一度谷に下降したあと、地図上の標高点p632の北西のピークを越えることになる。しかし、このピークの登り差し掛かったところでそれまでは頻繁に現れたピンクテープがなくなり、踏み跡も消える。
地図の破線は谷沿いを登るようだが、左手の尾根が登りやすそうなので尾根に上がるとすぐにも再びピンクテープが現れる。しかし尾根を越えて反対側の斜面にたどり着いても依然、尾根上の踏み跡は不明瞭のままだ。間伐材が散乱する植林の中を歩きやすいところを選んで下降すると、やがてなだらかな谷間の向こう側に林道が目に入る。GPSを確認すると、地図上の破線ルートからほとんど外れてはいない筈だが、どうやら道は消失してしまっているらしい。先ほどの谷に下降せずに笹ヶ岳の西尾根から尾根伝いにp634まで歩いて、そのまま尾根を下降する方が歩きやすいのかもしれない。
林道にたどり着くとすぐにも鶏鳴の滝から東に延びる谷の源頭部にたどり着く。薄い踏み跡を辿って檜の植林の広がる源頭に降りる。谷沿いには踏み跡があることを期待してはいたが、谷を下降するうちに一般登山道と呼んでも差し支えないほどの明瞭な道が現れた。
左手から谷の本流が現れる。下からは小さな段瀑があるように見えたので谷に入ってみるが、近づいてみると岩の間を流れがそのように見えただけであった。
幾度か谷を渡渉しながら、歩きやすい道を下るとすぐに車を停めた鶏鳴の滝の駐車場のすぐ裏手に出るのだった。駐車場には我々の車以外には車は見当たらず、すっかり静まり返っている。
車に乗り込むと鶏鳴八滝の最初の初音の滝に向かう。この初音の滝はやはり駐車場からはかなり離れている。狸の焼き物がなければ見過ごして通り過ぎてしまうようなところだろう。滝の周囲の道路は離合が困難であり、道路に車を停めて落ち着いて滝を見ることが出来るのもこの時間帯ならではのことだ。
初音の滝の周囲はすっかり薄暗くなってしまっているのだが、微かに空から明るい光が差し込むような気がした。後ろを振り返ってみると、樹間からは空に浮かぶ雲が西陽を反射して金色に輝いているのが目に入るのだった。
コメント
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山猫さんのレコとしては、意外な場所?を歩かれた感じです。正月には、ここよりマイナーな多羅尾エリアを歩いておられましたね。
そう感じてしまったのは、この辺りは馴染み深い地域でして鶏鳴の滝辺りは子供の水遊び場的なところもありましたものでして。
つい先日、ヤマレコの質問箱で笹ヶ岳へ登るときに車を何処へ停めたらいいと質問されていたのに目が留まり、鶏鳴の滝から上がると面白いんじゃ?なんて、丁度このルートを地形図で見ていたところなんです。駐車場もありますしね。
鶏鳴の滝からのルートは、やはり歩かれる人も少なく廃道に近いような感じでしょうか。
駐車場が満車だったんですか? まあ5、6台ぐらい止められるところだったかと思いますが、信楽観光のついでに来られた方もおられるのかな。
ののさん コメント有難うございます。
多羅尾もそうですが、このあたりは如何様にでもルートを考えることが出来るという魅了があると思います。いくつか鶏鳴の滝から笹ヶ岳に行かれたレコが他にもありますが、どれひとつとして同じルートを歩いていないようですね。勿論、私たちが辿ったルートも完全に同じものは過去には無いように思います。
途中、何度も古い道標があったので、過去には鶏鳴の滝から笹ヶ岳に登るルートがあったのだと思いますが、笹ヶ岳の西尾根からのルートも途中で道が消失しますし、往路で辿った林道から笹ヶ岳か県境尾根に上がるルートはありませんので、独自にルートを考える必要があると思います。
地図に何も記載されていないルートを辿るという楽しみが出来るところなので、ここは何度でも訪れてみたいと思うところです。ののさんが行かれるとしたらどのようなルートを辿られるか、楽しみです。
そう、信楽は大勢の人で賑わっており、私たちが到着した時も駐車場には入れ替わり立ち替わりで車が到来していました。一般の観光客が訪れることが出来る滋賀県の滝としてはこの鶏鳴の滝はやはりかなりメジャーなところなのでしょうね。
行ってこられたのですね。
鶏鳴の滝は水量多くて迫力満点ですね。水が濁っていなければもっとよかったかもしれませんが。
この滝の上流域には人も住み、水田もあり、ゴルフ場もあるので、雨の後で濁っていない時でも清流とは言えないでしょうけど。
ササユリ、意外と少ないのですね。他のルートを辿ればもっとあるのでしょうかね。
来週案内してきます!
コメント有難うございます。
笹が岳に登る他のルートは山の北側の南新田からのルートになると思いますが、ここでも多くのササユリは期待出来ないのではないでしょうか。
いよいよテレビ出演ですね。放映が決まったら是非、ご紹介下さい。
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