薬師岳・雲の平



- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.5km
- 登り
- 2,948m
- 下り
- 2,948m
コースタイム
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 9:35
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 8:10
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありませんでした。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
調理用食材
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
|
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感想
8月1日 晴れのち曇り
今回は純子さんと雲上の楽園・雲ノ平へ。小屋泊まりなので荷物は少なく10kg程度だ。
19:15出発。アクアライン、首都高、横浜北線ともに渋滞なし。純子さんを拾い東京ICで東名を降り、環八で関越・練馬ICへ。中央道で松本、神岡経由の方が100km近いが、下道が長いので運転の楽な高速道路が大半の関越道、上信越道、北陸道経由で富山に向かう。
上信越道・横川SAでうどんの夜食。眠くなったので長野道・妙高SAで10分ほど仮眠。北陸道に入り有磯海SAでも10分仮眠した。道路は空いており自動運転で楽なのだが、さすがに500kmは遠く時々睡魔が襲う。
立山ICで高速を降り、近くのコンビニで朝食を購入。40分ほどで有峰林道の亀谷連絡所に到着。有峰林道は全長95kmの有料林道だが、20時〜6時の夜間は通行止めになる。ゲート前にはすでに5台並んでおり、6番手だった。
シートを倒してそのまま車中泊。外気温は18℃。
5:40起床。1.5時間寝たが眠い。天気はピーカンだ。料金所脇のトイレは多目的トイレがウォシュレットだった。ゲート開通待ちの行列はカーブで最後尾が見えない。
6:00丁度にゲートが開き、1,900円を支払って通過する。料金は1回あたりで、有料エリア内に入ってから出るまでなので、折立往復で1,900円なのだ。
林道とはいえ有料なので全線舗装されている。途中2箇所で補修工事をしており、自動の信号機で片側通行になっている。対向車など来る訳無いと思いきや、道路点検車らいし車が走ってきた。
35分で折立に到着。駐車場は一杯で、2台前の車が最後の空きスペースに駐車した。駐車場と反対側のキャンプ場側の路肩に路駐の列があり、無理すれば停められそうだったが、遠慮した。
臨時駐車場への案内標識があったのでそちらに向かうが、なんと500mも先だった。その臨時駐車場もほぼ満車状態だった。
朝食と身支度をして登山口に行くと丁度路線バスが到着したところだった。キャンプ場にはトイレと水場があるが、水は生での飲用不適なので持参した水を持っていく。登山口にもトイレと水場があり、自販機もある。
登山口には「折立ヒュッテ」という名の避難小屋風の立派な休憩所があるが、宿泊は出来ない。
7:30出発。山道に入って直ぐの左側に「十三重の塔」がある。これは昭和38年(1963)の1月、いわゆる「三八豪雪」で薬師岳登山中にルートを見失い、13人全員が死亡した愛知大山岳部パーティーの慰霊碑だ。ご冥福と今回の登山の安全を祈念して出発する。
三角点までの約1.5時間は樹林帯の急登で風も当たらずに蒸し暑い。先日買った濡らすと冷たくなるタオルを首に掛けているが、中々気持ちが良い。体温で温くなるが、振り回せばまた冷たくなる。
三角点のベンチで2回目の休憩。この頃には晴れてはいるもののガスが上がってきて展望が無くなってしまった。三角点で森林限界を抜けたと思いきや、再度樹林帯に入り、そこを抜けると太郎平までは開けた尾根道になる。
今回はJiNZで先日買ったスイッチという着脱式の偏向サングラスでの初山行だが、透明レンズだけならなんともないが、偏向サングラスを装着すると気持ちが悪くなったので、普通の度付きサングラスに付け替えた。念のため以前のサングラスも持ってきて良かった。レンズのせいなのか寝不足による体調不良のせいなのかは不明。
森林限界を過ぎると風が抜けて気持ちが良い。お花畑もニッコウキスゲなどが咲いてそこそこ綺麗だ。三角点の少し上の草原に赤黄黒の三色の縞々に塗り分けられた10m位のポールがポツンと立っている。不思議に思い下山時に太郎小屋のスタッフに聞くと、積雪量を計測するためのものとのこと。そういえば赤色の模様が1mおきになっているようだ。
五光岩ベンチで4回目の休憩。どこにもそれらしい岩が無いと思ったら、五光岩は谷の向こう側の薬師岳の西斜面にある大岩らしく、ここからその岩が見えるらしいが、今日はガスで見えない。
11:45ガスに煙る太郎平に到着。折立から正味3時間30分、休憩込みでも4時間15分。コースタイムは5時間なのでかなり早いが、そもそもコースタイムが少しおかしい気がする。
丁度昼時なので太郎平小屋前の大きな広場は登山者で賑わっている。小屋の裏手にはきれいなバイオトイレと水場があり、水場の周りはニッコウキスゲの群落などお花畑が美しい。
今回のランチタイムはすべて水場のある小屋になるので、行動食ではなくラーメンにした。カップ麺は容器が嵩張るので、袋に入ったカップ無しカップ麺「ノンカップめん」にした。店頭販売はしていないのでネットで入手した。
350ccのお湯を注いで3分で食べられるので便利だ。味噌味と醤油味があるが、今日は味噌味だ。350ccのお湯はカップ麺としては多く、家で試食した時はスープが多すぎると感じたが、山ではのどが渇いているせいが、多いとは思わなかった。
20食3,000円なので1食150円と普通のカップ麺とほぼ同じ値段だが、太郎平小屋のラーメンは800円なので随分エコノミーで、お味も上々だ。
太郎平からテント場のある薬師峠まではお花畑に囲まれた草原の木道歩きで気持ちが良い。薬師峠には綺麗なバイオトイレと水場があるので、ここで冷たい水を補給する。
薬師峠から薬師平までは30分ほど樹林帯の急登を強いられるが、樹林帯を抜けるとお花畑や草原の広がる薬師平など和みのエリアが続く。
14:35薬師岳山荘に到着。相変わらずガスで展望は無い。この小屋は4年前の2015年8月に佐々木さんと立山〜槍ヶ岳経由上高地まで6泊7日のテント縦走をした際に薬師岳の下りで暴風雨に遭遇して命からがら避難した思い出の山小屋だ。
直ぐにビールを飲みたいところだが、まだ薬師岳往復が残っているので、我慢してまずは受付をする。相当な混雑を覚悟していたが、それほどでもなく布団1枚に1人の割り当てだった。
しばらく休憩したあと山頂ピストンに出発。ガスが切れそうで切れない中、ジグザクの急登を登る。最初のピークは山頂ではなく、壊れた避難小屋と愛知大生の遭難慰霊碑がある。避難小屋は愛知大生の遺族が建てたものらしい。
避難小屋から20分ほどで薬師岳の山頂に到着。やはりガスは切れず展望なし。過去2回ともガスと雨で展望なく今回は3度目の正直と思ったがダメだった。
小屋に戻る途中、小さなザックを背負って駆け下りてくる外人さんがいたので声を掛けると、なんと今朝室堂を出発して1日でここまで来たとのこと。通常は五色ヶ原に1泊して2日かかるコースを1日で踏破するとはすごいスピードだ。
小屋に戻って念願のビールで乾杯。玄関前のテラスからは雲海に浮かぶ尖った山が見えるが名前が判らない。周りの登山者もみな判らないので、小屋の人に聞くと「鍬崎山」とのことで、我々の部屋の名前になった山だった。
鍬崎山は戦国武将の佐々成正が数百万両の軍資金を隠したとされる埋蔵金伝説のある山で、300名山だった。
例の外人さんが外でビールを飲んでいたので、話を聞いた。神奈川在住のイギリス人で、明日は黒部五郎岳経由で双六小屋まで行き、明後日は笠ヶ岳から新穂高温泉に下るとのこと。常人なら4泊5日掛かるコースを2泊3日で踏破するのだ。凄い体力とスピードだ。拙い英語で会話したが、どうも日本語で大丈夫だったようだ。
17:40〜夕食。我々は2回戦だが、今夜は3回戦まであるとのこと。おかずが豊富でとても美味しい。オムレツにはケチャップで「やくし」と描かれていて遊び心もある。
今日は睡眠1.5時間と寝不足のせいかずっと気持ちが悪く、行動中も行動食はほとんど食べなかった。今夜ゆっくり寝て明日は復活するだろう。
日没後もガスで星は見えないが、明日・明後日の天気予報は晴れなので期待しよう。20時前に就寝。Tシャツ1枚で布団を掛けなくても暑い。
8月2日 曇りのち晴れのち雨
4:30起床。一度も目を覚ます事なく熟睡できたが、室内は暑かった。外は天気予報に反して相変わらずガス。朝食は5:40〜との事だったが、5:00から始まっており、少し並んで5:20から食べられた。
6:15ガスの中を出発。予報通り晴れる事を期待しつつ下ると薬師平あたりで青空が広がり、薬師峠に着く頃にはすっかり晴れになっていた。
テント場から太郎平の間の草原はお花畑が綺麗だ。太郎平小屋で休憩し薬師沢小屋に向けて出発する。この太郎平から薬師沢小屋にかけてのルートも明るい草原や沢、お花畑の連続で素晴らしい。
薬師沢の支流を何度か渡るが、大きな流れを渡る場所が3ヶ所あり、それぞれ第1〜第3渡渉点の名前が付けられている。名前は渡渉だが、橋が架かっているので渡渉ではない。
このコースにはところどころにベンチが置かれていて休憩しやすい。なかでも第2渡渉点の少し先にあるベンチには冷たくて美味しい湧き水がある。正式な水場ではないが、上流に小屋は無いし前回も飲んでおり特に問題は無かったので大丈夫だろう。
10:15薬師沢小屋に到着。コースタイム4時間のところを3時間15分なので上々だ。
ここでランチタイム。昨日は味噌味だったが、今日は醤油味のノンカップ麺。これも旨い。家で試食はしたが、やはり山バイアスが掛かると一段と旨い。
薬師沢から雲ノ平までは今回最大の難関である、標高差600m、2時間の急登が始まる。薬師沢に掛かる吊橋を渡り、ハシゴで河原に降りると高天原への分岐からいきなりの急登が始まる。
大きな岩がゴロゴロしており、手を使わないと登れないような道で登山道というより水の無い涸れ沢を登っているようだ。大雨が降ったらきっと川になっているに違いない。
雲ノ平は「雲上の楽園」「最後の秘境」と言われ、登山者にとっては天国のようなところだが、そこに至る長い急登は地獄のようだ。とはいえ4年前に1週間のテント泊装備で登った時に比べるとだいぶ楽だった。
薬師沢小屋から1時間45分で木道末端に到達。ここからはほぼ平坦な道になるが、しばらく木道を歩いた後に再度樹林帯に入り、20分ほどで抜けたところが雲ノ平の西端「アラスカ庭園」だ。ベンチがあり、5〜6人の登山者が休憩している。我々もここでのんびり休憩をとる。
雲ノ平にはアラスカ庭園をはじめスイス庭園、ギリシャ庭園、日本庭園など数々の「○○庭園」があり、それらは雲ノ平山荘の初代オーナーで雲ノ平をはじめ黒部源流域を開拓した伊藤正一氏が名付けたものだが、その由来は不明なものが多いが、ここアラスカ庭園はシラビソの林がアラスカに似ているかららしい。
アラスカ庭園からは水晶岳、黒部五郎岳、薬師岳が間近に見えて素晴らしい。のんびり休憩した後、雲ノ平山荘まで今日最後の行程を辿る。すべて木道が敷かれ、広々とした平原は素晴らしい。
この雲ノ平は祖父岳火山の噴火で生成され、2,500m〜2,700mの標高は溶岩台地としては日本最高所にあたる。
快適な木道歩き約40分で雲ノ平山荘に到着。小高い丘の上に立つ独特の形をしたお洒落な山荘だ。1961年に三俣山荘を経営していた伊藤正一氏が建設したが、現在の建物は2010年に建設された2代目だ。昨日は薬師岳往復までおあずけだったビールだが、今日は宿泊受付前にとりあえずビールで乾杯だ。
ビールは受付で常温保存されているので冷え冷えではないが、気温が低いので生ぬるいと言う事は無く、十分に旨い。
空には青空もあるが、東の空には黒い雲が掛かり不気味な感じである。こっちに来なければ良いのだが・・・・。
小屋の入り口は大混雑しており、受付するのに10分くらい掛かった。今日は混んでいるので布団1枚に2人で部屋割りをされたが、夕方宿泊者数が確定した時点で再割り当てするとのこと。
2階がすべて宿泊室で、大半が仕切りの無い大部屋だが、1mくらいの段差が3段になっており、いくつかのエリアに分かれている。我々は布団が7〜8枚敷けるエリアだった。
隣はテント泊のような大型ザックの若者4人と、反対側は福島・三春町から来られた70歳前後のご夫婦だった。
外のテラスでコーヒーを入れようとしたら雨が降り出し、本降りになってしまったので食堂に避難してコーヒーを飲んだ。食堂では大勢の人が歓談している。
夕方雨が上がったので外に出ると同室の福島のご夫妻もおられた。奥様が着ているTシャツは彼らと同郷の登山家で2016年に亡くなった田部井淳子さんのもので、彼女が登った海外の199の山の名前が書かれている。
夕食は3回戦目で18:15から。福島のご夫婦は4回戦目とのこと。ここの夕食は毎日石狩鍋のようで、自分はあまり好きではないので心配していたが、粕汁仕立てで野菜が多くすこぶる美味しい。おそらく人生で一番美味しい石狩鍋だろう。生姜の佃煮も初めて食べたが美味しい。
隣の席の若い女性2人組は高瀬ダムから入り、昨日野口五郎小屋泊で、明日はなんと槍まで行くとの事。槍から新穂高に下る3泊4日の強者だった。
部屋に戻って福島のご夫妻と話をしたが、彼らは大町に車を置き、JRとバスで新穂高から入山。初日は鏡平泊、今日雲ノ平で明日は野口五郎泊で明後日高瀬ダムに下るとの事。こちらも健脚だ。
夕食前に部屋割りの見直しがあり、予約なしの遅い到着の客はいなかったようで、布団3枚で4人になったが、予備の布団がもう1枚あり、誰も来なかったら使ってよいとのことで、結局布団1枚に1人になった。
寝る前に入口の登山靴を数えたが、約90足あり、小屋の定員70名をはるかに超えていた。トイレは簡易水洗でそこそこ綺麗だが、和式なので疲れた足には辛い。
夜になって雨が激しくなり雷も伴って大荒れの天気になってしまった。明日は果たして晴れるだろうか? 20時頃就寝。
8月3日 曇りのち晴れ
5:00起床。昨夜は2時頃まで大雨が降っていた。何度か目を覚まし、熟睡できず眠い。
3日目最終日は昨日・一昨日の道を辿って折立まで下るが、昨夜の雨で薬師沢小屋までの大下りがどうなっているのか心配だ。
5:25から3回戦目の朝食。魚の甘露煮がメインで中々に美味しい。
6:15出発。雲は多いが高曇りで遠望は利く。昨日は見えなかった笠ヶ岳が綺麗に見える。昨夜の雨で濡れた木道は滑りやすいので慎重に歩く。
奥日本庭園からは立山・剱がハッキリ見える。見えないと思っていた槍ヶ岳も三俣蓮華岳と祖父岳の間から見える。五郎平の黒部五郎小舎が小さく見える。薬師岳山荘も辛うじて見える。
アラスカ庭園を過ぎるとまもなく急降下開始。昨日は乾いていた岩は濡れ、道は川のような流れに変わっていて滑らないように気を遣う。しかし下からは続々と登ってくる。薬師沢小屋まで登りとあまり変わらない時間が掛かった。
薬師沢小屋で一休みして今日最後の登りにかかる。カベッケヶ原は気持ち良く歩けたが、第1渡渉点からの登りはキツかった。
やっと着いた太郎平のランチ休憩で同じテーブルだった神奈川から来たソロの若い女性がジョッキで生ビールを飲んでいるのを見て、我慢出来ずに純子さんと2人でジョッキ1杯を飲んでしまった。旨い!
女性は毎日アルペン号で折立から入山し、今日は薬師沢小屋に泊まり、明日は雲ノ平経由で高天原温泉泊。3日目は三俣山荘泊、最終日は新穂高温泉に下るとのこと。ソロの女性は若い子が多い。
ビールの後ノンカップ麺・味噌味でランチを摂って下山開始。五光岩ベンチでは静岡の高校山岳部の子達と出会ったが、屈託の無い若者が眩しかった。
太郎平からの緩い下りは楽勝と思ったが、純子さんが足の爪を痛めてペースダウン。それでも太郎平から折立までコースタイム3時間10分のところ2時間50分なのでまずまずだ。
駐車場に戻るとほぼ満車。隣には袖ヶ浦ナンバーの車があった。帰りがけに立山町内の吉峰温泉「ゆ〜ランド」で汗を流した。ゆ〜ランドで夕食を食べようとしたが、食堂は15時までとのことで、有磯海SAのレストランで食べた。
夕食後はひたすら高速を走る。北陸道はガラガラ、長野道も上信越道もガラガラ。関越は混むと思ったが時間帯が遅いせいか渋滞無し。1:45純子さん宅、3:15に我が家に着いた。
期待したより天気は良くなかったが、楽園・雲ノ平に行く事が出来て満足だ。来年は裏銀座を縦走したいものだ。
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