滝谷山☆ヘビ谷〜p822〜陸地谷 新緑の谷から谷へ


- GPS
- 02:53
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 535m
- 下り
- 524m
コースタイム
- 山行
- 2:48
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 2:53
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ヘビ谷には源頭近くまで薄い踏み跡あり |
写真
感想
この日は一日、好天の予報ではあるにも関わらず午後の14時からオンラインでの業務がある。私自身の仕事は14時半から1時間ほどの予定なのだが、それまでに自宅に戻る必要がある。快晴の青空がなんとも恨めしく思われる。朝に別件で用事があったので出発が遅くなる。限られた時間で短い山行を考える他ない。
まず目指すのは陸地谷の北尾根(左岸尾根)上の無名峰p823だ。この陸地谷の北尾根から大見川に流入する谷にはそのほとんどの谷に名前がついている。いずれの谷も興味を惹かれるところではあるが、まずは入渓のしやすさもあり、p823の北側から流れ出るヘビ谷を遡行することにする。
百井の集落を越えて廃村の大見へと向かうと道沿いには何台も車が停められている。釣り人達のものだ。大見の集落の手前の広地に車を停めて歩き始める。集落の入口にある廃屋の手前では花期の終わりかけのクリンソウが咲いていた。
集落の手前、北東の広地はかつては大原小学校の尾見分校の跡地である。国土地理院の地図でも「文」の記号が記されている。以前は趣のある古い校舎があったのだが、二〜三年程前に校庭にあったジャングルジムや百葉箱と共に校舎が取り壊されたのだった。いまや大きな桜とメタセコイアの大木がノスタルジーを漂わせているばかりだ。帰宅後に調べてみると休校になったのは昭和48年(1973年)であり、廃校になったのが2018年らしい。
小学校の跡地の前の川沿いの湿地ではイワヒメワラビが一面に緑のカーペットを広げている。湿地の脇ではヤブデマリの樹が一面の緑の世界に白い輝きをを添えていた。大見川にかかる錆びた鉄橋で対岸に渡ることが出来るが、果たしてこの小さな橋はあとどれくらもつのだろうか。
植林の陰に隠れているせいか、この谷の入口がよくわからなかったが、植林の端から回り込むと途端に景色は一変する。植林の陰にこんな谷が広がっていたとは・・・と驚くほどの緑の明るい谷が広がった。
沢沿いにはかすかではあるが踏み跡が続いている。ほどなく次々と現れる苔むした炭焼き窯の跡をみるにつけ、この谷に踏み跡が続いている理由を理解した。そもそもこのあたりの谷を通る登山道のほとんどは元来は峠越えか炭焼きのためのものだったのだろう。
谷を渡るそよ風がなんとも心地よい涼しさを運んでくる。沢には小滝すらほとんど見当たらず、平流が続く谷の岸には平坦な河岸段丘が広がる。地味な谷ではあるが、こういう平和な谷歩きがしたい人にとっては格好の谷と言えるだろう。
谷奥に進むに従って踏み跡は不明瞭になるが、周囲に広がる自然林の斜面は樹々の感覚も広く、下生の少ないので、斜面を登るのはそれほど難しくはない。p822の山頂に出ると陸地谷の源頭を挟んで南西に滝谷山が見える。山頂は小さなケルンがピークであることを示すばかりだ。北東には樹間から蓬莱山が見える。
ピークの南東でも源頭にイワヒメワラビの草原となり、好展望が広がる。天ヶ森の彼方には比叡山から北に伸びる稜線を望む。
この山は山名が与えられれば山頂の周囲には開放的な草原状の源頭とその好展望もあり、人気の山になったことだろう。むしろ人が訪れないこの無名峰の静寂がこの山の大きな魅力なのかもしれないが。
緑の草原の源頭に引き寄せられるように下降する。谷の右俣と合流するとすぐに谷は植林となるが、谷沿いには作業道と思われる踏み跡が続いている。谷の入口を塞ぐような杉の倒木帯を乗り越えると陸地谷に降り立つ。
ところでこの陸地谷の漢字は、大見集落の案内板にあるように六地谷と記すのが本来の名称なのだろう。谷を上流に歩くとすぐに炭焼き窯の跡と二本の大きなケヤキの樹が現れる。昨年の秋に訪れた時にもこの二本のケヤキの樹が印象的だったことを思い出す。
すぐに谷は二俣に別れる。右手の谷が本流であるが、左の谷は昨秋も美しい谷相を見せていた。今日は躊躇なくこちらの谷に入る。この谷にも炭焼き窯の跡が点々と続く。上流の二俣に出るとここでも出合には大きなケヤキの樹が聳えている。広々とした谷はなんとも壮麗な雰囲気が漂う。
滝谷山を目指して右手の源頭を辿る。源頭部にも再びケヤキの大樹が現れる。滝谷山の東尾根に乗るとここは北山の前衛にしては珍しく山毛欅の大樹が目立つところだ。緑の葉が繁茂したせいで山毛欅の樹の独特のシルエットがわかりにくくなっているが、十分にその存在感を漂わせている。
滝谷山の山頂からは時間があれば小野谷峠から大見湿原を周回したいところではあったが、さすがに時間がないので、大見林道を下ることにする。
林道をショートカットする道を下ると下から物々しく車のエンジン音が谷間に轟いている。数台の四駆の車が林道を上ってゆくところであった。この大見林道を花背峠に抜ける目論見なのだろう。林道にはバイクの傍に男性もおられる。この林道は人気のオフロードなのだろう。
林道を歩くとたまにはいいこともある。林道脇に生えている蕨を見つけることが出来たのだった。お陰で明日の山での格好の食材が手に入った。とっくに蕨の季節は過ぎたものと思っていたが、この山間ではまだ蕨が生えていることに今更ながらに驚くのだった。
林道を外れて大見湿原を覗くと美しい緑の湿原からは涼しい風が吹いている。空は相変わらず快晴が色がっている。この絶好の好天の湿原に後ろ髪を引かれながら、やむなく京都に戻るのだった。
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