武奈ヶ岳〜釣瓶岳☆静寂の長尾での思いがけない邂逅
滋賀県
山猫
体力度について
- GPS
- 05:28
- 距離
- 15.2km
- 登り
- 1,272m
- 下り
- 1,269m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 5:04
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 5:28
| 天候 | 晴れのち曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2021年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
釣瓶岳〜広谷の長尾は登山道はないが、尾根は下生が少なく歩きやすい 広谷への下降ルートは踏み跡が不明瞭 明王谷林道から地主神社へのショートカット・ルートは道はなく、またかなりの急斜面なので、このルートに入られる際には要注意 |
写真
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写真には撮れなかったが山頂では多くのチョウ達が乱舞
モドキではない御本家ムラサキアブラシメジ
今日に限ってキノコを入れるための袋が全くないのが悔やまれる
感想
朝から爽快な蒼空が広がっている。窓から舞い込む風の透明感が秋の気配を感じさせる。午前中は家で作業をしているうちに時間が過ぎてしまったが、午後の時間の短い山行に出かけることにする。空には高いところに刷毛で掃いたような筋雲がかかり、秋空の雰囲気だ。秋の気配を感じるには比良が良さそうだ。コース取りも深く考えないままにとりあえず坊村に向かう。
坊村の市民センターの駐車場には登山客のものと思われる車が既に多く停められている。葛川市民センターの裏手の水場で水を汲むと、あたりでは秋桜花が満開だ。
ここで山行先を武奈ヶ岳か蓬莱山かと逡巡する。蓬莱山は今週はびわ湖バレイのゴンドラが営業を停止てしており、人のいない静かな山頂は魅力的だ。一方の武奈ヶ岳はおよそ一月前に御来光登山で坊村から西南領を登ったばかりではあるが、何となく武奈ヶ岳に向かうことにする。
明王院の前を過ぎて植林の急登にかかる。西南稜への登山道はこれまでに何度となく通ったところだが、早朝の未明の時間に登ることが多く、この時間に通ることが少ない。空気が涼しいので登り始めからスピードを上げてみるが、風がなく、すぐにも汗が噴き出すことになる。早速にも降りて来られ数組の人たちとすれ違う。
尾根に乗るとようやく谷から涼しい風いて来るようになるが、この時点で既に両脚に疲労を感じ、スピードが上がらなくなった。最近はゆるゆるの山行ばかりだったので、体力が衰えているのだろう。体重も増えてしまっているようだ。
まもなく尾根筋を辿る積雪期ルートと東側の谷に回り込む無雪期ルートに別れるが、前者を選択する。この尾根筋にはトリカブトの大群落が現れ、あたりを濃紫色に染めている。最初のピークは広々とした樹林が広がり、何とも気持ちの良いところだ。
西南稜に入ると稜線上は涼しい風が通り抜けているが、足元が途端に暑く感じられる。朝の光により熱を蓄えた岩石から熱が立ち上ってくるからだ。わずかに単独行の男性一人とすれ違った以外はひと気のない西南稜を快適に歩いて一気に山頂にたどり着く。
武奈ヶ岳の山頂からは琵琶湖の北湖の彼方に伊吹山や霊仙山がすっきりと姿を見せている。アゲハチョウやヒョウモンチョウが過ぎ行く夏を惜しむかのように忙しなく乱舞していた。
山頂では男性四人組の若者のパーティーがランチ休憩をしておられるところだった。他にも単独行の男性が二組、休憩しておられる。蝶を追いかけて休憩しておられる人達の周囲を徘徊することになる。コロナ禍のせいで人の多い山を避けるようになって久しいが、休日の昼時ともなればこの山頂もかなりの人で賑わうことだろう。
コヤマノ岳を経て金糞岳に向かうという選択肢も頭をよぎるが、釣瓶岳に向かうことにする。
山頂の北側に広がる苔の美しい斜面を過ぎると、山毛欅の立ち並ぶ樹林の中へと降りてゆく。
登山道には蜘蛛の巣が目立つので、今日はまだ誰も通過していないのだろう・・・と思っていると下から登って来られるテン泊装備の男性とすれ違う。おそらくは蛇谷ヶ峰から縦走して来られたのだろう。
山毛欅の木陰で紫色のキノコが目に入る。アブラシメジモドキだと思って近づいてみると、そのぬめりによって光沢を放つ大きな傘には多数の白い斑点がある。紫色のぬめりを放つキノコは大概はムラサキアブラシメジモドキなのだが、これは珍しいご本家のムラサキアブラシメジだ。頻度の高い方が「モドキ」というのも変な話だ。残念ながらこの日はキノコを入れるための袋が全くない。初秋の山歩きはビニール袋を忘れてはならない。
釣瓶岳の手前の小ピークから振り返ると武奈ヶ岳の姿が、西南稜から眺める武奈ヶ岳は優美な山容を広げているように思えわれるが、北尾根から眺めると何とも雄壮で男性的に思われる。リョウブの樹林の中を登り一息に釣瓶岳に到着する。
蛇谷ヶ峰は上空の雲の陰となり、その彼方に見える野坂山地の山々はわずかに霞んでいるように見える。蛇谷ヶ峰からは長尾に入り、前回一月前とほぼ同じコースを辿ることになる。明瞭な登山道こそないものの、広い尾根には下生はほどんどなく、静かな尾根を快適に歩くことが出来るのが嬉しい。前回は尾根上はリョウブが花盛りであったが、花はすっかりなくなり、うっすらと黄色く色づいているものもある。
途中のピークca1050mは南西にわずかに展望ポイントがあり、再び武奈ヶ岳の勇姿を仰ぐ。この長尾から武奈ヶ岳を仰ぎ見る唯一の展望ポイントだ。積雪期にuriuriさんと共にここから雪の武奈ヶ岳を眺めたことを思い出す。
ピークを過ぎると前方に人影だ見える。この長尾も何度となく歩いているが、ここでは人に出遭ったことがない。近づくとそのお顔には見覚えがあった。「youtoushaさんですね！おひさしぶりです。その節はお世話になりました」。先方もすぐに思い出してくれて「あれは2018年の台風の直後のことでしたね」と応えて下さる。
明るい秋の陽射しが降り注ぐ午後のことだった。イクワタ峠への尾根を登っていたのだが、北山の各地にも甚大な被害をもたらした台風はこの尾根にも大きな爪痕を残しており、登山道は折り重なる杉の倒木により完全に塞がれていたのだった。あまりにも酷い倒木の集中地帯にどうしたものかと立ち往生しかけているところに山の奥から突然、人が現れ、新たに迂回路を整備しているところだから・・・と誘導して下さったのだった。
思わず山談義に色々と花が咲き、しばらく話し込む。気がついたら30分近くが過ぎていた。楽しい時間は過ぎるのが早いものである。去り際に改めて、登山道の整備の御礼を申し上げると「趣味ですから」と屈託のない笑顔を浮かべられる。そういえば、前回イクワタ峠道でも御礼を申し上げた際にそう仰られて、同じような笑顔を浮かべられたのを思い出した。
広谷を渡渉すると登山道脇の岩の下から湧き出す清水を見つけ、ペットボトルの一本を冷たい清水で満たす。イブルキのコバを経て、八雲ヶ原へと通じる道は芦生杉の大樹が目を愉しませてくれる。樹林に差し込む光の加減によって樹々の表情が異なるので、飽きないところだ。
八雲ヶ原の池の畔では先ほど武奈ヶ岳からの下りですれ違った男性が荷物を下ろして調理を始めているところであり、フライパンからは美味しそうな香りが立ち上ってくる。夏場は虫が気になるところだが、この時期は既に虫はあまりいなようだ。
八雲ヶ原の湿原に立ち寄るが、前回に咲いていたサギソウは当然ながらすっかり姿を消していた。前回は緑一色であった湿原の草に茶褐色のものが多く混じり、夏が過ぎ去ったことを感じさせる。
湿原の木道はさらに荒廃しているようだ。今にもボキッと折れそうな木道を歩くのはまさに薄氷を踏むような感覚だが、サギソウも咲いていないことであるし木道を辿ることは断念して、東側の樹林の中を迂回する。しばらく雨が降り続いたせいだろう、湿原から南に下る登山道もすっかり水浸しになっている。防水の登山靴であれば問題なく通過できそうだが、この日は防水性の全くないトレラン・シューズだったので、北比良峠に迂回することにする。
北比良峠からは碧い湖面を湛える琵琶湖の展望が大きく広がる。振り返ると武奈ヶ岳の上には薄曇りの雲が広がりつつあり、
金糞峠からは奥の深谷に降りると、上流の平流には夕方の光が差し込み、沢の水が淡い緑色に輝煌めいている。冷たい沢の水を頭にかけ、体を冷やす。 沢の上では低木が真っ赤な実を差し出していた。ヤブデマリだ。
大橋に下ると擂鉢の水は普段よりも勢いよく水が湧き出しているようだ。水を汲むとペットボトル一本分をすぐにも飲み干してしまう。山のかげに入ったのだろう。大橋を過ぎると急にあたりは薄暗く感じられる。時間は16時を大きく回っている。
擂鉢山(p1006)からの尾根に合流し、延々と続くつづら折りの下降を牛コバに向かって下降すると、下るにつれてあたりの空気には急に蒸し暑さが滲んで来たようだ。
牛コバからの明王谷林道は最近、法面が崩壊したところだが、林道が陥落しているわけではないので崩落地を乗り越えるのは問題ない。崩落した斜面による岩場には既に人の踏み跡により足元が踏み固められている。
最後はいつものお決まりのコースで林道をショートカットして、地主神社の境内へと降りる。坊村に降りるとすっかり雲が広がり、辺りには夏の名残のような淀んだ空気に充ちていた。
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ムラサキアブラシメジとムラサキアブラシメジモドキ、見分け方、今回初めて調べて分かりました。感想の中にも書かれているように、紫のカサの中に色抜け部分があるのが一番わかりやすい特徴のようですね。確かに今回撮られた写真のキノコは色抜け部分があります。
持っている図鑑にはモドキしか載っていなかったので、今回初めて知って勉強になりました。ありがとうございました。
今までに撮った写真をチェックしてみないと……
私でも碩学なHBさんに情報をご提供できることがあるとは幸甚の限りです。
ムラサキアブラシメジモドキが主流でなぜご本家が少ないのか・・・不思議ですね。この両者、間違えてもいずれも食用することが出来るので問題はないのしょう・・・
それにしても食べてみたかったなぁ〜
ムラサキアブラシメジは残念でしたね
2018年の台風の被害は大きかったですね
直後に歩いた大文字山や稲荷山はすざまじい様相でした
すぐに倒木処理が始まりびっくりしました
どなたか分かりませんが感謝しています
私の身近では古い山友が京都トレイルの補修に駆り出されています
80歳を過ぎたら20�劼魃曚┐栃發�なと忠告？したのは彼です
忠告がなくても20�卻發�としんどいなーと思うようになりました
これは自然の摂理 ちょっとオーバーな表現かな
年のせい でいいですね
大文字山は2018年の台風の後、少し処理が入ってから何度か訪れましたが、それでも台風の爪痕の禍々しさに驚愕したものです。処理に入られた方に感謝です。
家内はまだ50にも達していないにも関わらず、20km以上歩けない・・・と宣っております。確かに20kmほど歩くと牛よりmの歩みが遅くなってしまうようです。
つい先日まで暑い暑いと言ってましたのに、比良の山もすっかり秋めいてきましたね。これからは低山の山行も楽になりますし、秋の花々や木の葉の色付きなど色彩も豊かになってくるので楽しみです。
長尾の尾根上から一緒に眺めた武奈ヶ岳、懐かしく思い出しました。そういえば暫く長尾を歩いておりません。
八雲の湿原の木の歩道は、かなり際どい感じになってますね。私も8月に白い花を観に行った際に、一旦湿地帯へ足を下ろさねばならない状態の場所もありました。誰か直してくれませんか〜😁
あっ、そろそろ湿原にウメバチソウは咲いてませんでしたか？
湿原にはウメバチソウが咲くとは知りませんでした。この日は薄氷のような木道の上を辿るのが躊躇われて、湿原に足を踏み入れるのを断念したのでした。梅鉢草を見る可能性があるなら先に進めば良かったかと思います。いつか機会があったら探してみます。
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