VR天狗尾根〜キレット小屋泊〜VRツルネ東稜

- GPS
- 27:35
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,420m
- 下り
- 1,419m
コースタイム
08:25 出合小屋 08:45
09:25 天狗尾根取り付き
11:05 カニのハサミ
11:20 第二岩峰(天狗モドキ)
11:50 大天狗<昼食>
12:50 小天狗
13:10 一般登山道合流
13:55 キレット小屋<泊> 06:25
06:45 ツルネ南峰
08:10 出合小屋 08:30
10:00 美し森駐車場
| 天候 | 台風一過どピーカン |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
【美し森〜出合小屋】 林道が長い。ある意味核心。 【出合小屋〜天狗尾根取り付き】 標識のところ、本谷を渡って赤岳沢へ。 【天狗尾根取り付き〜天狗モドキ】 取り付きから尾根まではルンゼの笹漕ぎしてはいけません。支尾根に乗れば楽ちん。尾根が短い分、真教寺尾根より傾斜が強い心臓破り。 【天狗モドキ】 右巻き。右下の基部から4mの6手フリークライミング&草付きルンゼ激登り。 【大天狗】 右巻き。右下基部から岩登り。中間小ステージからバンドまで5m弱。最後がハング気味。 【小天狗】 左巻き。 【ツルネ東稜下り】 道迷いポイント3ヶ所あり。 |
写真
感想
目的はキレット小屋宿泊。どうせ行くならと、往復をバリで挟んだのが今回の山行。
【美し森〜出合小屋】
前半の林道が長い。やっと林道終わると、砂防ダム一つ越えたところに「A」型の大型鉄が5つ連なった、オブジェのようなダム?にでる。
この5Aを抜けて以降、全面コンクリート製の砂防ダムはすべて右に巻く。最後の鉄の平行棒で土砂を堰き止めているダムのみ左。
その先は、伏流水の水無しゴロ石河原となるが、注意深く左右岸みると、ほとんどの区間でどちらかに踏跡あり。テープが目印。
出合小屋が近づくと、水の流れが出てくる。
今回は、出合小屋に荷物をデポできるので、小屋まで長靴。小屋で5・10のアプローチシューズに履き替える作戦。
しかし、ほとんどが水無し区間なのと、小屋手前の有水区間も簡単に渡れるため、通常の登山靴のほうが歩きやすかった。
【出合小屋】
高根山岳会が管理している。素晴らしいの一言。
ここに長靴とコーラをデポさせて頂く。
ビバーク用にストーブ、薪、毛布、食料少々が準備されている。
下りに使ったツルネ東稜下部は、笹の刈り取りがなされていて、一般登山道と遜色ない道となっているが、これも同山岳会の皆様のボランティア。
本当に有難うございます。
【出合小屋〜天狗尾根取り付き】
白い道標(直進=本谷、右=赤岳沢)で凡ミス。このポイントで水流のある沢の左に涸れ沢風の歩けるパスが合流している。
深く考えずに、右の水流ある谷を詰めていくが、様子がおかしい。権現が正面左に見えてきた。ここで間違えに気づき引き返し。
水流豊富な沢が本谷で(当たり前といえば当たり前)、赤岳沢はこの沢を渡った対岸から流入している沢であった。
沢の入り口に目印のケルンあり。
沢を詰めていくと、木に赤テープが巻かれているポイントあり。そこを斜めに登ると、笹で覆われたルンゼの左側に笹の生えていない(土が崩落して根付けない)部分あり。
登りやすいので、そこを登って行くと、すぐに笹だらけの世界へ。面倒くさい藪漕ぎをしながら、オーレンのおやじの言っていたことが頭に浮かんだ。
「どうすれば熊に出くわさないで済むか?」を話していた時のこと。
「ツキノワグマはパンダと同じで笹が大好物だから、笹のあるところを避けて歩けばいい。」
なんてこった、と思いつつ、相当登ったところで左側の支尾根に乗った。体力消耗。
【天狗尾根〜岩稜帯まで】
樹林相の中、急登が続く。隣の真教寺尾根に比べても、尾根が短い分天狗尾根の勾配はきつい。
無風の中、汗だくで登って行くと、なんと尾根を下って来る男性が一人。
この時間に天狗尾根下降?ハーネスも付けておらず、ザックも日帰り用の大きさで、ロープや下降器持っていそうもない。
事情が飲み込めなかった私だが、お話してみて謎が解けた。
後にわかったのだが、この人物(W氏)は地元北杜市の某山岳会の方で、他の上級者メンバーを引率するための下見にみえたのだという。
W「大天狗で左に踏跡ついてたんだけど、行ってみたら行き止まりで、仕方ないので降りてきたところ。」
「大天狗」ではなく、第二岩峰(天狗モドキ)のことだとわかったが、天狗モドキも大天狗も巻は右なので、W氏にいった。
A「そこは以前右にフィックス・ロープがあったところで、右から巻くはず。今日私はロープも持ってきているので、よかったらもう一度行ってみませんか?」
W氏はもう一度チャレンジすることになり、一緒に登る。
さすがは地元山岳会会員。笹漕ぎでばてている私と違って素早く登っていく。
カニのハサミに到着。第一岩峰はどこがそれだったのか、よくわからないうちに通過。
【天狗モドキ(第二岩峰)】
まっすぐ岩に向かう踏跡と直角に、右に下りていく踏み跡がある。
こちらを行くと、岩に突き当たるところの樹の幹に、腐った古ロープが巻かれていた。
これが撤去されたフィックスに違いない。
先行を依頼されてまず私がフリーで取り付く。基部から斜め右上に向かって約6手。
ホールド/スタンスは固いしっかりした岩質で問題なく、急勾配の草付きルンゼへ。
ここを四つん這いで激登り。息が上がった私が小休止。W氏が先に上るが上でストップ。進み辛いという。
仕方なく、右へトラバース。ハイマツとシャクナゲの藪漕ぎで、なんとか上に抜ける。
【大天狗】
堂々たる出で立ち。本日の核心。
時刻は12時少し前。はやるW氏に「お昼にしましょう。低ナトで足がつるのも危ないですし。」と提案。
ランチタイムとなる。トマトジュースとサンドイッチで塩分補給。
ザックからおもむろにヘルメット、ハーネス、120cmスリング、6mm経ロープで作った自家製捨て縄(60cmスリング相当)、補助ロープを出して装着。
はやるW氏はさっさと大天狗の岩稜に行っていまう。
右にバンドが見えるのが、基部からそこまで7〜8m。基部に良くみると残置ハーケン2つあり。
左寄りの中間部に広めの足場があり、そこにも残置ハーケン2つあるので、「く」の字型に登ればよいのがわかる。
今度はW氏先頭でトライ。最上部のハング気味のところで詰まってしまう。
一般登山靴では見ていてもおっかない。ここは無理せず降りてもらい、ロープを張ることにする。
中間部の残置に捨て縄つけて、補助ロープを通す。上までの距離を読んで5m程度の長さのWロープをつくる。
支点に近いところで、片方のロープにザックを結いつけ、ロープ両端にループ作ってカラビナでハーネスに固定。
要するに、「変法のデンスケ」で、二人とも登ったあとにザックとロープを回収しようと考えたのだ。
空身で中間部から約6〜7手でハングを超えてバンドに出た。
そこに新しい頑丈そうな鎖付き支点が設置されているので、まずここに120cmスリングでセルフビレイ。続いてWロープにテンションかけて、W氏に登ってもらう。
W氏とガッチリ握手。
最後に、ザックのついていない方のロープをカラビナから外してザックを結いた方のロープを引いて、ザックを引揚げ、ロープも回収。
あとはキレット小屋にいけばよいだけなので、焦らずゆっくり用具をしまった。
【小天狗】
ここは左に巻けば良いものを、W氏に中央突破させてしまった。申し訳ない。
左に巻いて2mぐらいのところで、簡単に登攀できるルートを見逃していたのだ。
【一般道合流〜キレット小屋】
W氏は相変わらず先を急ごうとする。
A「上で泊まらないんですか?東稜降りて日帰りですか?」
W「(家族に)何も言わないで来ちゃったから、やっぱり降ります。」
A「じゃあ、私はあまり早く着いても仕方がないので、景色見ながらゆっくり行きます。お気をつけて。」
W氏はとっとこ下りていく。
キレット道のガレルンゼ降下は、アプローチシューズだと一切滑ることがないので、何の苦もなく楽勝。
ガレ場下りきった先のザレたつづら折りで、全身黄色いファッションの60台後半と思われる女性がふらふらしていた。
A「今日はどちらまで?」
女「権現までですけど、あとどれくらい?」
A「2時間ぐらいです。」
女「じゃあ私の足だと3時間かかるわ。」とその場にへたり込む。
少し下の360度絶景のビューポイントでおばさんを待つ。
降りてきたところで、これから超えるツルネ、旭岳、最後の源治梯子を説明する。
ついでに右の阿弥陀、後ろの中岳〜赤岳〜天狗尾根を説明。
やはりまったく余裕がなかったようで、ここで初めて落ち着いて山容を眺めた様子。
尾根道からキレット小屋に降りる分岐で再度待つ。
水場が結構下の方にあること、小屋への南北の小道は両方共鎖があることを告げ、
時間的な問題もあるので、水筒の生ぬるい水で我慢して尾根道を行くよう説得。
女「私九州から来たの。皆さんに親切にしてもらって、どうもありがとう。」
A「旭岳の登りで嫌になっちゃらキレット小屋に戻ってくださいね。」
女「あなた小屋の人?」
A「いいえ、私お客さんです。お気をつけて。」
先日オーレンでご一緒した仙台の女性といい、今日の方といい、遠くからソロで八ヶ岳縦走に来る人が目につく。
【キレット小屋】
庭先のベンチで休憩していた清瀬さんが私に気づく。
チェックインして二階へ。すこぶるきれいな内装。柱を残してリフォームしたのだという。
ビール飲みながら四方山話。
次第に丹沢の話になり、鍋割の草野さんに話題が集中。
清瀬さんはいよいよ今年の冬、アコンカグアに挑戦することが決まったのだという。
アコンカグアを驚異的な速さで制覇した草野さんが清瀬さんにとっては憧れの人なのかもしれない。
K「4〜5年前に鍋割に行って草野さんに握手してもらってパワーもらったんですよ。」
キレット小屋を中心に、本沢温泉グループで何年も勤務してきた彼には、そういう大目標があったんだ、と初めて知った次第。
K「Aさんお酒たくさん飲めます?僕飲めないんですけどお客さんが置いていった焼酎飲んでくれません?全部空けてもらうと助かるんですが。」
いいちこと薩摩焼酎の紙パック2本がテーブルに置かれた。
お湯割り用のお湯もくれたので、出してくれたおつまみつまみながらどんどん飲んでいった。
すると、5時頃になって、小屋の玄関の扉が開いた。すわ、九州の黄色おばさんか?
と思いきや、なんと上がってきたのはW氏。東稜下りで支尾根に入ってしまい戻ったのだという。
W「踏み跡はバッチリ真っ直ぐだったんだけどなあ。」
どうやら見た目は直進でも、左折しなければならないポイントがあるらしい。
W氏もイケる口らしく、終に二人で焼酎を全部空けてしまった。
羽釜ご飯と美味しい甘口のシーフードカレーの夕食。
その後8時に就寝。
翌朝5時起床し、2回の窓から雲海と富士のめくるめく変わっていく色合いを眺めた。
5時半朝食。6時半出発。清瀬さんから草野さんへの伝言を頼まれ小屋を出る。
W氏はそのまま縦走して今夜は青年小屋の落語をきくのだという。
【ツルネ東稜】
ツルネ南峰に、「出合小屋」と描かれた立派な道標がある。
ここがツルネ東稜の起点。しばらく下ると、W氏が間違えたであろうポイントに出る。
A「これは間違えやすいわ。」と独り言。
結論を先に言うと、ツルネ東稜の下りでは、3ヶ所ルーファイ難しいポイントが有った。
そのすべてにおいて、直前の樹の幹に、幹を一周するピンクか赤のテープが巻かれている。
そのテープの先を、3ヶ所とも「左折」せねばならない。
3つめの左折ポイントは、テープの先に写真27があり、正しい道はこの看板のある樹の根元を左下に降りていくルートなのだ。
尾根が広がったところから、一気にテープの量が増える。
やがてルート上に写真28が現れ、少し先に高根山岳会の皆さんが刈ってくれた笹地を経て尾根は終わる。
終了点にも道標あり、川沿いに下ると出合小屋に戻る。
【エピローグ】
出合小屋にデポしておいたコーラを飲み、靴を履き替えて帰路につく。
長〜い林道が面倒くさい。キベリタテハの♀が道中何度もまとわりついて私に挨拶。
10時丁度に駐車場に着いた。
コメント
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ALFALOMEOさん、天狗尾根で出会ったWです。
私には第二岩峰から大天狗は手ごわかったですがAさんのロープワークで通過することができ感謝してます。
それから私の靴は古いので岩場の登下にアプローチシューズを検討してみます。またツルネ東稜の迷いポイントがよく分かりました。今度下から登ってみます。
あれから青年小屋の山落語を聞いて二日酔いで下山しました。
yatugongenさん。
先日はご一緒して頂きありがとうございました。
登山はスポーツか?旅か?という命題は繰り返し話題に登るところですが、私は旅派です。
天狗で出会えたWさんは旅の友。ご縁に感謝します。
それにしてもさすがは山岳会重鎮。登りの速いこと!
私が笹薮漕ぎや暑さでバテていたとはいえ、早月尾根や黒戸尾根をピストンされる脚力には心底感服いたしました。
青年小屋で二日酔いですか・・・私も去年同様の経験をしました。「遠い飲み屋」は罪作りですね。いつか「更に遠い飲み屋」である権現小屋で飲める日が来るといいなと思っています。
今度はご家族に予告して上がってきてくださいね。
またしてもお邪魔いたします。
天狗尾根は私には難しいルートで歩いたことがありませんが、地獄谷やツルネ東稜ルートは思い出深いです。
最初に歩いたのが昨年2月の豪雪時。まだ山行の右も左もわかっておらぬ頃で、今思えば無謀でしたが、美し森から歩いて出合小屋の先ツルネ東稜にとりつくまでもなく1m以上もある積雪に追い返されました。
その後10月に今度はキレットから周回してツルネ東稜を下降、こちらは季節も良く楽しく歩けましたが・・。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-242765.html
ですので「A5のダム」(ありゃ何の構築物なんでしょう?)や出合小屋も印象深い。
あのルート、沢歩きがもう少し短いといいのですが、出合小屋までが長いですね。
天狗尾根での周回もしてみたいのですが、このALFAROMEO様のレコを読むとやはりロープワークなど全然知らない私には難しいのでしょうね。
pasocomさん、おはようございます。
ロープは念のため持って行ったのですが、結論から言えば、ソロで行くときは、7mの細引き一本あれば大丈夫だと思います。
大天狗のバンド下、左斜め上の中間部にザックを置き、ザックと身体を細引きでつないで空身でハング超えられます。
あとは上からザック引き上げればよいでしょう。
(まあ、その時にバンドの支点にセルフビレイできるように、ハーネスと120cmスリング&カラビナは持っていたほうが安心ですけどね。なくっても落ちることはないでしょう。)
それよりも、私はあそこを普通の登山靴で行く方が勇敢に思えます。クライミングシューズ持っていくのは大げさとしても、最低アプローチシューズは必須と考えます。
断トツのおすすめは、5.10(ファイヴ・テン)の製品です。ステルスソールの異次元のフリクションを経験してください。
更に、どこか屋内ボルダリングジムに数回通えば完璧です。
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