烏帽子岳《関西百名山》



- GPS
- 07:44
- 距離
- 9.9km
- 登り
- 957m
- 下り
- 957m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 那智山蓬莱之湯\420 |
写真
感想
5:00起床、O野さん、N田さんの手際よい準備で昨夜の鍋物が雑炊となりお腹一杯詰め込んで予定より15分早く出発することができた。30分ほど走り那智山の麓、大門坂駐車場(標高約115m)に車を停め歩き出した。那智川を渡り、東ノ谷の右岸を行く。やがて「←烏帽子山 陰陽の滝→」の指導標が現れ混乱する。地形図には陰陽の滝の手前で左岸に渡り陰陽の滝を通り烏帽子山に行くはずだ。それなのにまだ右岸を歩いているので陰陽の滝方向が正しいはずと直進すると堰堤の向うに陰陽の滝が現れた。道は行き止まりで登山道は変わっていることが判明した。
分岐に戻り滝を高巻き河原に戻ると本流の渡渉点、水量は多い。渡渉点を探してY本TCが瀬踏みをしているとズルっと滑り左足膝下まで水没!それを見てかどうか女性陣の半分は靴を脱いで水中渡渉となった。左岸に渡り暫く行くと尾根取付(標高295m)に達した。標高差350mを急登する平均勾配は33%、M子Lのお望みだった“好きな時に休憩”取りながら登り詰めると烏帽子山から南に流れる瓶子尾根に達した。この尾根を南下すれば大杭峠を越え光ヶ峰が連なる。しかもしっかりした踏跡があり食指を動かされるが、今日の目的は烏帽子山、左に進路を取り折角貯めた貯金を吐き出すように急坂を下り618mの鞍部へと下り登り返しも厳しい。
アップダウンを繰り返して大きな岩が前面に現れこの張り出しを左から巻いて登った。遊び心旺盛なY本TCは反対側から登って岩の上へ、これが素晴らしい眺め。写真を撮っているのを見つけてK城さんと菅野さんが上部の取り付きから寄り道してきた。これが尾根の名前にもなっている瓶子岩のようだ。道草食っているうちに一行は烏帽子山(909m)山頂に達していた。後を追おうと急ぎ足に歩いた途端に山頂に達してしまった。今日は時間があるのでゆっくり時間を過ごした。落ち着いたところで今日のミッションを行った。ミッション1「子ノ泊山を山座同定する」、ミッション2「大塔山を山座同定する」、ミッション3「大雲取山を山座同定する」の3題だが開けているのが北方向だけでミッション1だけを実行した。コンパスを合せてほぼ同定することができた。蔵光山塊の最高峰なのだが特徴のないピークでどのピークかまでは微妙だった。
そして三角点の不思議。この山には1等三角点「帽子石山」が置かれている。昨日の子ノ泊山も1等三角点があった。直線距離で11キロしか離れていなく近すぎる。明治期の1等三角点選点の際には約40キロ四方に一つが基準だったはず。点の記を見てみると子ノ泊山が明治20年8月8日、烏帽子山は明治28年9月3日にそれぞれ設置されている。この真相や如何に?
烏帽子山を後にして西の尾根を下った。10分ほど歩くと大きな尖がった岩、これが帽子岩だ。縦走路は直前で左に反れ急降下しているが岩には梯子が掛かり登ることができる。露岩で文句なしに素晴らしい展望が得られた。横から見るとこれが烏帽子そのものの形をしている。山名の由来に納得できる。この展望で残り2題のミッションを実行すると大雲取山はすぐ同定できたが、大塔山はその奥で遠すぎて見えなかった。
帽子岩からの下りは恐ろしく急。鞍部に達すると途中まで登りに使った東ノ谷ルートが谷に下りて行った。ただ指導標には「難路」と書かれていた。稜線を進み小さなピークを乗り越し鞍部から巻くように下り出すと尾根の先端部で林道に出た。水平道で幾つもの谷を越えるが何れも水量が多く落差のある滝もあり東ノ谷へと流れ込んでいた。林道の分岐点で鬼杉谷へと下降すると、やがて水流が現れ赤テープに惑わされ渡渉するが、林業者の目印だったようで右岸に戻った。那智川本谷に出合う直前に一旦左岸に渡渉した。本谷出合で再び渡渉し連続して本谷も渡った。林道に上がり暫く行くと右岸の高みに山ノ神の祠があった。このあたりも地形図の登山道とは異なっていた。山ノ神から再び河原に下り左岸に渡渉した。この辺りまで来ると水量は増し谷が深くなってきた。東に大きく切れ込み枝沢を渡渉すると、ここで臨時ミッション:「現在地は何処でしょう」、この顕著な地形を地図で見て判断し現在位置確認の方法を確認してもらった。
登山道が河原に近くなると優美な滑滝が木の間隠れに見えてきた。12時を過ぎS方Lは昼食ポイントを物色しながら歩いている。しかし谷筋は苔むしなかなか腰を下ろせるポイントが無かったのでここは絶好のポイントだ。優美な滑滝の下、20mほど先は三ノ滝の落口だった。
烏帽子、妙法、大雲取の三山に囲まれた地域を那智山という。那智川の4つの谷(本谷、東ノ谷、西ノ谷、新客谷)には48滝があるという。その最大の落差があるのが本谷の那智大滝、「那智の滝」として知られている。その上流にあるニノ滝、三ノ滝も一廉のものだ。
三ノ滝は高巻き登山道からは木の間隠れにしか見ることができない。ニノ滝へ向けて尾根の張り出しを乗越すと手前に分岐があり、三ノ滝へ行くことができる。希望を聞いてみるが誰も下りて行こうという人は無くパスしニノ滝へと向かう。苔むした危なっかしい岩壁を左に見て急坂を下った。「今大地震が来たらあれは崩れるだろうな。京都の山岳会グループ下敷きになる。なんて不運なことになりかねないね」なんて話しながら通過した。下りきるとニノ滝の滝壺に到った。豪快な滝で滝の傍には樹齢何百年という杉の巨木、その前には沢山のお札が打ちつけてあった。此処は修験道の行場のようだ。
滝壺のすぐ下を渡渉した。15m位の川幅があり、しかも滑りやすい。渡ったと思ったらまた左岸に右岸にと渡渉を繰り返す。そして本谷最後の渡渉点、「この先の河原は進入禁止」の看板、すぐ下が那智大滝の落口で神域あることが知れる。ここは西ノ谷との合流点ですぐに西ノ谷も渡渉する。これで今山行の渡渉は終了。西ノ谷沿いに進みどんどん高度を上げる。妙法山への尾根を分岐しトラバース道を進み舗装道路に下りると西国三十三箇所の第一番札所那智山青岸渡寺の境内へと入って行った。本堂前の広場は三重塔と滝が望めるポスターなどでよく見る風景だ。お寺に参拝すると、隣の巡礼者は般若心経を唱えていた。
本堂を南に行くと熊野三山の一つ熊野那智大社、ここに到る参詣道も併せて世界遺産に登録されている。後鳥羽院の頃は都から上皇、公卿殿上人の参詣が盛んだったという。参道には那智黒の碁石や硯を売る土産物店。店が途切れると熊野古道の面影を今に留める杉木立の石段道の“大門坂”を下った。駐車場に帰り着いたのは14:34、残された時間は余り無い。大急ぎで那智山蓬莱乃湯に立ち寄った。入浴料420円と良心的な値段の温泉で喜んだのも束の間、体を洗おうとすると石鹸・シャンプーが無い!
思い思いにお土産を買い、紀伊勝浦駅へと向かった。大急ぎでレンタカーを返却し駅に着いたのは“スーパーくろしお32号”発車の10分前だった。昨夜のおつまみの残りと酒、ビールは車販で仕入れ、反省会、4時間の乗車もあっという間に過ぎてしまった。
2日間の思いをこめて「那智の山 深く流るる 滝川の 御幸の道は 春の中辺路」 詠み人知らず
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