大菩薩嶺とダブル雁ヶ腹摺山


- GPS
- 12:29
- 距離
- 31.1km
- 登り
- 2,177m
- 下り
- 2,803m
コースタイム
- 山行
- 6:37
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 7:47
- 山行
- 5:27
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 5:31
天候 | 初日:曇というか雲の中 二日目:晴天 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
アクセス | 0740 JR甲斐大和駅から 0810 栄和交通 大菩薩線のバスにて上日川峠へ |
写真
感想
今回の山行は、テント泊の練習を主目的として、どこか1泊山行でいいところはないか…
というわけで、以前から行ってみたかったものの、(公共交通機関だと)一泊前提でないといけないので見送ってた雁ヶ腹摺山に行ってみることに。
笹子雁腹は前に登ったので、残る牛奥雁腹と無印雁腹に到達することで 3 雁腹制覇といこう!
【JR甲斐大和駅〜上氷川峠】
今回はオーソドックスに、甲斐大和駅から栄和交通さんの大菩薩線バスで上日川峠へ向かうルートを選定。
甲斐大和駅では、駅の階段に一番近い5両目の 2 つめのドア前にみんな集まってました。
そして到着し次第バス停までダッシュ競争するのもこの季節の風物詩っぽい?
といっても、栄和交通さんもそのあたりはわかっているようで、臨時便をたくさん用意してくれています。
7時40分には、すでにバス停には 3 台のバスが登山者を待っててくれました。
そして補助席含めてバスが満員になり次第、ダイヤを待たずに次々と発車する、ガチ登山者対応をしてくれていました。ありがてぇ…!
【上日川峠〜大菩薩嶺】
まずは百名山に向かう主要な道を登っていきます。
ここは斜度もゆるやかで、しかも福ちゃん荘までは並走して軽トラ幅の舗装道まで整備されてます。
登山道が苦手な人も安心?
といっても、当たり前ですが福ちゃん荘からは普通に登山道オンリーになります。
この辺りからその先の大菩薩峠までは道幅が広く、余裕をもってすれ違いや追い越しができるほどです。
なので安心して自分のペースで登っていけます。
そして雷岩に到着すると、目立つ巨大な岩がお出迎え。
そしてここは広場になっており、数多くの人が腰を下ろして休んでいる様子でした。
そこからちょびっと進むと、大菩薩嶺に到着です。
残念ながら山頂からの展望は全然ありません…が、道中は苔むした森林が広がっており、雰囲気は抜群。
自分に純真な心が残っていれば、森の木々の影から妖精さんでも見えそうなくらいのファンタジー風味でした。
【大菩薩嶺〜大菩薩峠】
雷岩まで戻り、今度は峠のほうへ。
この時点で、左手側は完全に雲に包まれており、まったくと言っていいほど何も見えません。
幸い右手側は「まだ」無事で、少し開けたところからは上日川ダムなどが見渡せたりしました。
加えてここらはあまりアップダウンもきつくありません。
足元はちょっと石ごろごろではあるものの、歩くのに全く支障なし。
そしてあっという間に峠に到着!
ここに建っている介山荘は売店の売り物が充実しており、山梨ワインまでおいてありました。
ので、テント泊のお供に一本購入させていただきました。
液体入りの瓶とか重量的にきついけど、山梨ワインとみて我慢できなかったんや…!
【大菩薩峠〜牛奥ノ雁ヶ腹摺山】
ここからは大菩薩周遊ルートから外れ、縦走ルートに突入。
その途端、人口密度が激減しました、体感で 1/10〜15 くらい?
改めて、日本百名山のネームバリューのでかさを実感。
道もお手盛り整備から、いわゆる普通の登山道にクラスチェンジ。
今回の登山はここからが本番だぜ!
この辺りから、陽の当たる側は笹の原っぱ、当たらない側は苔天国、といった具合にはっきりと分かれるようです。
どちらにも違った良さがある!…んだけど、今回はもう雲の中に突入状態で視界がない都合上、苔天国のほうが雰囲気グンバツでしたね。
あ、道中はもう白っ白の白だったので、特筆すべきこともなし。
この区間で秀麗富嶽の二番山頂の小金沢山と牛奥ノ雁ヶ腹摺山の双方に到達はしたものの、完全に雲の中なおかげでどの方角でも視界は 100m もなく。
景観としては何も楽しめませんでした…無念。
【牛奥ノ雁ヶ腹摺山〜大峠】
あとはテン泊予定地まで降りていくだけ…
の簡単ルートになると思いきや、ここら辺りは異常に倒木だらけ。
登山道内外問わず、いたるところで木が倒れ伏しています。
それも、どれもこれも同じ方向に倒れており、さらにかなりの数が根こそぎ倒れているものが見られます。
それこそ、直径が 60-70cm、根こそがれた根っこの面積が畳 2-3 畳はありそうなクラスの大木が珍しくなく。
これだけの根っこごと引っぺがしてしまうとは、どれだけここは強風銀座なんだろう…?
そして重い荷物に苦労しつつも、15時頃には大峠に到着。
ここでテントを組み立て、近場の水場で補給。
そして身軽になって気分がアゲアゲになったので、よせばいいのに雁ヶ腹摺山に突撃。
【大峠〜雁ヶ腹摺山〜大峠】
テン泊荷物を背負わなくてよい解放感から、半分くらい走りながら弾丸ピストン!
ごく一部を除き、かなり歩きやすい道になっているのも幸いして、さっと登って降りられました。
なお完全な真っ白状態での登攀なので、雁ヶ腹摺山名物の「山頂から望む旧五百円札」の景色は…
この後は夕食&コーヒータイムを楽しみ、陽が落ちる前に就寝。zzz...
【大峠〜黒岳】
翌日は 6 時前に起床。
テントを出てみると…雲一つない快晴!
ぐ、ぐわああ…大峠から完璧な富士山を望める…が、こんなに完璧に晴れるなら、雁ヶ腹摺山は今日に回せばよかったぁっ!
天気予報さんが今日もどうせ曇りやで、って言ってたのに…!
といっても、昨日登ることを決断したのは自分であるわけで、結局のところ誰かのせいにしたくとも、自分の顔しか思い浮かばないのである。
というわけで、きっと今日の雁ヶ腹摺山は酸っぱいに違いない、と自分を説得して、南下ルートに戻る。
黒岳までは昨日降りてきたルートの逆をたどるだけなのですが、雲の中で歩くのと、快晴の下で歩くのでは(当たり前ですが)表情が全く違う。
具体的に言うと、下ってる最中には全く気付かなかった小ピークの山頂看板に気づくなど。
看板を見落とすくらいのホワイトアウトだったんか…と驚愕。
それでも、朝日にきらめく木々の梢や群生苔などが今日の門出を祈ってくれているかのよう。
おかげで携帯カメラのシャッターを切る指も軽くなるってもんです。
【黒岳〜米背負峠】
ここからは、今回の山行のフィーバータイム。
ずっと山の稜線沿いに、小さなアップダウンを繰り返しながら進んでいくわけですが、少し木々が切れる度に富士山、南アルプス、そして八ヶ岳がその美麗な姿を私に見せてくれるのです!
これまた写真フォルダの容量増加が止まらない。
そしてこの区間で特筆すべきは、途中にある湯ノ沢峠からわずか数百メートルで到達する「湯ノ沢峠のお花畑」。
狭い稜線や尾根伝いが多いこのルートの中では、数少ない開けた平場になっています。
そしてこのシーズンは、名前に反してただ枯れた笹が広がっているだけ…
ですが、その代わりに 360 度どちらを見渡しても素晴らしいパノラマが楽しめるスイートスポットなのです!
ここの何が良いかって、湯ノ沢峠には駐車場も併設されています。
つまり、山登りが苦手な人でも、わずか数百メールも歩くだけで、2000m 近い天空からの山岳展望を簡単にほしいままにできてしまうのです。
体力に不安がある人にこそ、ここへ訪れてほしいなぁ。
他にこの区域の特徴として、やたら植生保護に力が入っている点。
ここを抜けるのに、都合 6 つもゲートを経由しなくてはなりません。
また道の大半は両脇に植生保護用のロープが張られており、絶対に登山道以外は歩かせない、野生動物も一歩も踏み込ませない、という環境保護に対する強い意志を感じます。
ただ…6つのゲートのうち、ゲートのロック機構が壊れてるのが 1 つだけあったんですが、その壊れた機構の代替として使われているのが、プラスチックの境界標がつかれていました。
いやこれ、誰がやったかは知らんが境界損壊罪か不動産侵奪罪の疑いがないか…?
山梨県さん、ここのゲートの修理を、何卒、なにとぞー。
そうこうしているうちに、大蔵高丸を越えてハマイバ丸へ。
そして現地に建っている「破魔射場丸」の立て札で、初めて漢字の表記を知る。
面白いことに、ハマイバ丸自体は展望はないのですが、10m も降れば富士山の展望が現れるんです。
つまり、ここでは悪しき魔を射かけて退治した…
そしてその射撃から逃れようとしても、すぐに姿を現す霊峰富士の御威光に、魔物は逃げること能わず…
みたいな脳内妄想劇場を繰り広げて楽しんだりしてしまいました。
あ、どうでもいいことだけど、ヤマレコプレミアムに入ってると、10分おきのアナウンス以外にも、ランドマークに近づくと「まもなく〇〇です」みたいな案内もしてくれるんですが。
ハマイバ丸の時は、「まもなくは、マイバ丸です」と、ハマイバ丸のハが助詞として認識されてしまっていました。
ヤマレコアプリのエンジニアさん、たぶんこれバグっぽいので修正お願いしまーす、単純に固有名詞は分割されないようにフィックスするだけでよさそうです。
【米背負峠〜大倉沢橋】
米背負峠到着時点で、地味に体力と足腰には余裕がある。
さて、ここでちょっと逡巡。足を延ばして笹子雁ヶ腹摺山に行き、3 雁腹制覇すべきか?
結論は…No!
まず今日は暑かったせいで、大峠の水場で補充した水がほぼ枯渇している。この先に水場があった記憶はない。
次に、笹子雁ヶ腹摺山から笹子駅まで急な斜面があったはず、くたくたの足で降りるのは避けたい。
そして、牛奥と無印の雁ヶ腹摺山は今回真っ白だったので、いずれリベンジする。3 制覇はその時でよい。
最後に、2日分の活動の結果、汗たっぷりのわがままボディになってしまっている。
笹子駅付近は温泉/銭湯がないので、そちらに抜けると帰りの電車で爆臭テロの実行犯になってしまう。
ということで、予定通りやまと天目山温泉へ向けて下山開始。
これがまた結果的には正解!
このルートは前半は沢沿いの道を、後半はアスファルト敷きの林道を進むのですが、この前半が好み直撃。
沢筋ということで、水のせせらぎがそこかしこにあり、五感のうちの耳を楽しませてくれます。
その沢の水は冷えており、手を浸すとその清冽さで、火照った気持ちをリフレッシュしてくれることで、五感のうちの肌を楽しませてくれます。
更に水が常に充実したエリアということで私好みの苔むした景色が一面に広がり、五感のうちの目を楽しませてくれます。
とどめに、道中には枝打ちや間引きされた杉林があったのですが、そのあたりは濃密な木の香りが充満!五感のうちの鼻を楽しませてくれます。
いやはや、以前笹子駅からここを通った時は、疲労困憊がヤバすぎて良い記憶が何も残ってなかったけど、これは望外でした。
とはいえ、五感のうち、舌はいろんな意味で無理だからコンプリートはできないだろう…
【大倉沢橋〜やまと天目山温泉】
大倉沢橋を渡ると、そこからはゴールまでアスファルト道。
アスファルトは楽しくないけど、まあやむを得ないか…
と後ろ向きに踏み出したのですが、これまた思いのほか楽しめてしまったのです。
この林道は、途中の工事用道路への分岐を境に、表情が変わってきます。
スタート側、すなわち分岐からこちらまでは、どうもまともな車の往来が途絶えて久しい様子。
もとい、倒木、落石、そして土砂崩れや路肩崩壊と、道が廃になる過程が見事に描かれてしまっています。
今はまだなんとか軽車両程度なら通行可能に見えますが、この状況が続けば早晩…といった状況です。
なんたってこの林道は現代日本の土木工事パワー大炸裂で作られたおかげで、基本的に道は崖と崖に挟まれてます。
そんな人工的な空間は、自然さんの復元力の前には無力なんだなぁ…と見せつけられる思いです。
分岐から先は、しばしば工事用車両が通るおかげか、通行を阻害するレベルの道路落下物はほぼ見られず。
そしてここからは、時たま視界が開ける度に、頭の先だけちょろっとチラ見せしてくれる富士山さん&南アルプスさんがひょっこり現れてくるので、これが思いのほか飽きずに歩けたり。
そして、その途中で伐採された材木を集積しているスペースがありまして。
そこに転がっている木材から、立派なきのこが成っているではありませんか!
キノコ好きとして、秋以外にこんな立派なものにお目にかかれるなんて…!
と喜び勇んで木材に近づき、カメラをパシャリパシャリ。
そこで気づく…あれ、ここに生えてるの、シイタケじゃないか!?
これは…まさか実現不可能と思われていた、五感のうち味が達成できるのでは!?
と考えた瞬間、脳内の自分からメッセージ。
「キノコ狩り鉄則!キノコ狩りの狩りは紅葉狩りの狩り!見るだけにせよ!きのこは素人判断で絶対に、絶対に、絶対に採取するな!食べるな!」
サンキュー自分。
というわけで、立派なシイタケには手を触れずに、その場を立ち去る。
元気に育つんだぞ…!
そんなこんなで、後はやまと天目山温泉にたどり着き、1時間以上湯につかり、酒と飯をかっ喰らってからお土産と共に帰宅の途に。
こんな素敵な山を楽しませてくれた甲州市&大月市、ならびに山梨県に少しでも感謝と恩返しするため、お金を一杯落とすんだ…!
===
まとめると、初日のがっつり雲の中をのぞいて、極めて楽しめた旅程でありました!
初のテント泊も実施できて、良い経験を積むこともできました。
アライテントのオニ・ドームは、建てる時に支柱になる2本のポールを伸ばす必要があるから一時的にかなり広いスペースが要る(ので、場所確保だけでなく混んでるサイトの場合は他の人との接触に注意が特に必要)とか、風が強いと建てるのも撤収するのも大変とか、サンダルをはくと足の指先がめちゃ寒いとか。
ともかく、これで来週の会社メンツとの1泊縦走への備えは成ったぜ!
あと、今回はハイドレーションを実践投入したんですが…これ控えめに言って最高や!
確かに、使い終わった後に洗って乾かすのがちょっと手間だけど、その代わりに山行中の水分補給難易度が限りなく0になる。
飲むために、いちいちサイドポケットに手を伸ばしたり、バッグ自体をあけてボトルの交換をしたり、みたいなことをしなくてもいい。
ただ、肩のマグネットに留めてる給水口を口に運び、ロックを外し、飲む。
しかもこれ、ヤマレコの10分毎のアナウンスとの相乗効果が抜群で、10分おきに数口ずつ水を飲む、といった定期補給が簡単に実現できるのです。
どこで聞いたか忘れましたが、人間が一時間あたりに吸収できる水分量はそう多くないので、大休憩とかでまとめて水を飲むより、こうやってこまめに飲みまくるほうが身体にもよいわけです。
次回以降はもう手放せないマストアイテムと化しました。
こうやって、ちょっとずつギアが増えていくのも、善きものです。
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