記録ID: 82468
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ハイキング
日光・那須・筑波
男体山
2010年05月09日(日) [日帰り]



- GPS
- --:--
- 距離
- 7.8km
- 登り
- 1,198m
- 下り
- 1,198m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
これで良かったのかなぁ・・・そんな思いがある。今までが自由人過ぎたのだとも思う。その自由人でいられた10年間に余りにも色々な経験をし、想い出を積み重ね過ぎたのかも知れない。仲間たちと出会い、川上さんに出会い、佑次郎を山渓に連れ出した楽しい10年間だった。何よりも仲間の顔を揃えての渓行きが大好きだった私が、今は自分が一番そこへの参加が危ぶまれる境遇になっている。そんな中でとても嬉しく思う事は「日程を合わせますから一緒に行きましょう!」と誘ってくれる奴らが居る事だ。 「山渓」と一言で言うけれど休日を振り分けるには「山」と「渓」では大いに違う。山は日帰りが可能だが渓は泊らないと話にならない。以前、自営の中尾さんが忙しい毎日を振り返って「おぎんちゃん、渓には行く暇が無いけど山なら行けるから山を歩くよ。」と言っていた事があるがそれを今実感としている私だ。 「山なら行けるか・・・」こんな思いが強くなっていた私である。 真っ先に「荻野さんに合わせますから!」こう言ってくれたのは原くんだった。当初は私の仕事上がりを待って近場の渓へ行くというものだったが、行き先が二転三転とする中で私の思いは渓よりも山へと傾いていた。結果的に彼との行き先を“男体山”と決めたのも私である。 男体山を眺めて暮らす私にとって、そこの頂に立つ事で一つの思いを新たにする切っ掛けにもしたかった。それは中途半端に渓に行ってもダメ、そこら辺りの低山でもダメなのであって“男体山”が的確な選択だと思ったわけだ。 男体山は眺めても登っても良い山として私の意識の中にある。眺めるのは簡単だけれど登るのは「気軽に!」と言う訳にも行かない。そしてそれがいいのだ。佑次郎との思い出もある山だ。 二荒山神社からの表登山道は登り一辺倒で志津林道からの裏登山道は行程が長い一日コースだ。2008年5月に裏から登った男体山は緩んだ雪に苦しめられた記憶がある。今回は正統派男体山登頂をするべく二荒山神社からのアプローチを試みた。 勉強不足も甚だしいぺんぎんおとな隊。二荒山神社の駐車場に乗り込んだ時間は午前4時半。明るくなる5時には身支度を整えて車を離れたわけだが、登山口である神社の門は固く閉ざされたまま・・・。 「午前6時 登山の受付開始」 ??? 表登山口に門限があるとは知らず出鼻を挫かれたぺんぎんおとな隊なのであった。 仕切りなおして午前6時チョイ前に登山口に向かう。チョイ前というのが如何にも我慢が出来ない我がまま中年オヤジっぽい。早々に参拝届を記入して初穂料を収めて登山開始。 普段の不摂生が祟るオヤジ二人はいきなりの階段に息を切らせる。辛さを誤魔化す訳ではないが「シラネアオイ自生地」という看板に誘われる様に脇道に外れる。自生するシラネアオイを見たかったのはここ数年の思いでもある。ところがシラネアオイは全然見つからず意気消沈して登山道に戻った。 一合目の鳥居をくぐり息を弾ませて汗をぬぐう。今日は原くんの調子が今一つの様だ。10人ほどのグループを追い越して三合目からの四合目の舗装路を歩く。四合目で鳥居をくぐり再び登山道に入る。 しかし男体山表登山道は登り一辺倒、しかもほぼ直登の急な登山道を登る。振り返れば樹林越しに中禅寺湖を見下ろせ中禅寺湖対岸には昨年暮れに登った社山が望める。原くんが「もう社山の標高は越えましたかねぇ?」と問い掛けて来るが見るからにまだ越えてはいない。余程今日の原くんは調子悪いと見える。普段ならこんな言葉は出て来ないタフな奴である。前を歩きながら色々考えたが、そう言えば彼は山頂ラーメンの仕度を全て背負っていた。「おい、水どれくらい担いでるの?」と聞くと「2リットルです・・・かみさんが2リットル容器しか無いって・・・。」と言う。二人分の即席ラーメンに2リットルは多過ぎる。「俺が水背負うから。」と申し出るが流石に断る原くんだった。 六合目前後は岩場の登山道でこれが結構堪える。例えが釣り屋っぽくて申し訳無いが堰堤やダム上のゴーロ帯を歩いている様で、それが急斜面であれば岩を乗り越える動作の連続は弱った足腰には辛い区間である。 八合目から上は残雪。アイゼンは必要ないくらいの雪だが普通よりは気を使う。気を使う歩きは動作がぎこちなく余計な部分に力が入り、これまた疲れる。まあ登山とは疲れる娯楽ではある。 雪が途切れて火山岩質の地表になるといよいよ山頂も近い。前方に懐かしい二荒山神社奥社の鳥居が見える。途端に「ビュー!!」と冷たい風が吹き寒さに慌てる。奥社に手を合わせ常設の温度計を覗き込むと「-2℃」寒い・・・。 山頂で鐘を鳴らし、天に聳える剣と3年ぶりの再会を果たす。感慨も長続きせず強風から逃げるように奥社横の小屋の軒下に陣取る。原くんが苦労して担ぎ上げた2リットルの水の1/5を使い山頂ラーメンを作る。強風に踊る他の登山者たちから羨望の眼差しを浴びながら暖かいラーメンを啜る。全て原くんのお陰である。 山頂でのんびりしていると途中で追い越して来たお爺ちゃんが登って来た。何と男体山に1000回以上登っているという“スーパーお爺ちゃん“の田名網さん。お爺ちゃんが手にする金剛杖には「81歳 1051回登頂」と刻んである。聞けば今は85歳だというから記録は着々と更新されているわけだ。 このお爺ちゃんを見ていて登山と言うものは人生末永く付き合える趣味なのだなぁ・・・とあらためて思った次第。源流行も面白いが山も面白い。そろそろ何かテーマを見つけて山と取り組んでも面白いかな?なんて思ってみたりもする。少し真剣に考えてみようかとも思う。 さて、下山。下山路はぺんぎんおとな隊の得意とするところである。飛ぶようにとは言えないまでも快適に標高を下げて行く。四合目を下り舗装路に出る。もう11時と言うのにまだ登って行く登山者が多いのに多少驚く。日は伸びたとは言え登山は午前中という思いがあるが、まあ人は人ということなのだろう。 一合目の鳥居をくぐり男体山登山は終了。道々またシラネアオイの自生地に足を向ける。朝には絶対に咲いていなかったシラネアオイが一株二株・・・紫色の花を咲かせている。中には珍しい白い花も咲いているのが見える。「シラネアオイが見たくて男体山や白根山の登山を考えた事もあったなぁ。今回渓泊りを諦めてやって来たご褒美というかご利益なのかも知れないなぁ・・・」そんな事を思いながら二荒山神社の境内に降り立つ私だった。 この登山をしてみてあらためて渓泊りが難しい境遇にいる自分を悟った。そこには周囲を巻き込んでの時間制限が必ず起こる。みんなが無け無しの休日を割いて行われる渓行きにそれは許される事ではない。その間は私は山で気を晴らそうと決めたこの登山だった。 |
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