谷川岳一ノ倉沢衝立岩中央稜（単独）
群馬県
アヒル班長
体力度について
- GPS
- 13:20
- 距離
- 17.6km
- 登り
- 1,847m
- 下り
- 1,855m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 12:34
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 13:21
| 天候 | 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2025年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
テールリッジ下端までは雪渓歩きで行ける。シュルンドもまだ問題ない |
写真
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2Pから3Pフェースまでは右へトラバースしていくが、非常に立っておりホールドも豊富ではない。結果フリーソロでは恐ろしいボルダームーヴとなり死ぬかと思った
もう少しいけばテッペン・・トポにあった草の歩きルンゼはどこへやら、このピッチ非常に際どいボルダームーヴをフリーソロでやる事になり恐怖と熱で吐きそうになる
下降に約3時間。25mずつピッチを刻み、ロープスタックや絡みなどに見舞われ、辛い渇きを覚えながらも機械的に下降を繰り返し何とか取り付きへ。心底ホッとしたが体力はゼロに近い
感想
今年の目標、滝谷ドーム中央稜に向けクラシックルート1本はやっておこうと一ノ倉へ。南稜も考えたが2年前に登っているのでここは中央稜を選択。トポだと南稜と同程度のグレードなので、以前のようにオールフリーソロで突破・・なんて甘いことを考えていた。
3連休の中日、絶対混むだろうと0250インフォメーションセンター出発。しかし林道や一ノ倉出合についても先行者や後続現れず、あれ？と思いながら入渓。以前と同じく沢通し、雪渓から白い冷気がとめどなく流れてきて寒いくらい。
10分程度で雪渓末端に乗る。これは何という快適アプローチ、以前ドハマりしたひょんぐりの滝直登からのヘツリ斜面も今は雪渓から数メートル。この下に強烈な滝があるなんて想像もつかない。
雪渓を歩くだけでテールリッジ下端に到達、心配していたシュルンドも開いておらず上陸は簡単。出だしはツルツルで緊張したがその後はフリクションのよく効く乾いたスラブと樹林帯の踏み跡。先ほどの冷気はどこへやら、日の出前なのに汗ばむ暑さに参りながらも特に問題なく中央稜取り付きに到着。
日が昇ると遮るもののない岩場、あっという間に気温急上昇、これは厳しい戦いになりそうだと思いながら登攀準備。例によって装備は装着しロープはザックの中からいつでも取り出せるよう末端を出しフリーソロ。この時点で後続の姿は見えず自分がトップ。この人の少なさは意外だった。
1P目は緩傾斜。ホールドも豊富で特に問題なく終了点へ。ここまでは良かった・・ここまでは。
2P目は草のルンゼ、�教蕁Αι眄仟燭�斜度は結構あり、段差もデカい。これは�教蕕犬磴覆�とよ・・とボヤキながら結構なパワームーヴを強いられる。終了点はルンゼを直上したところにあるが、次の3Pへのトラバースは終了点より右下に下がるためそのまま右上した方が楽。とはいえ疲れて一息付きたかったので2P終了点へ。一気に雲行きがあやしくなってくる。
前情報でも厳しそうだった3P最初の右トラバース、めっちゃ立っとるんですが・・トラバース苦手なものとしては絶対に行きたくない立ちっぷりとホールドの少なさだが、ここでロープ張ると流れも回収も厳しいのでそのままフリーソロで突っ込む。
案の定フリーソロとは思えないボルダームーヴを強いられ頭の中真っ白で何とか通過。生きた心地せず。
トラバースを辛くも越えしばらく登ると残置支点が現れる。先を見るとフェースのしょっぱそうな斜面、�元蕁Α�2Pの前例もあり絶対グレードより難しそう。これはもうシステム利用するしかないと諦め、クラシックルートでは初のソロシステム使用。準備は面倒だがやっぱりロープも荷物もない空荷は登りやすい。ロープ張ってる安心感もあり難しいが快適なクライミング。3P終了点でロープをフィックスし懸垂、登り返し。当然器具は使うのだがそれでも結構体力使う。普通に登ってるのとそう変わらない体力使用。
核心の4P、フェースからチムニーまたはチムニー横のフェース、�后檗�ロープ引き上げソロシステム続行、これも初めての経験だったのでロープバッグにしまったり色々と時間かかる。後続いなくて良かった。
先ほどと同じく空荷、すっきりとしたフェースで難しいながらも快適クライミング。チムニー登りは難しそうだったので左のフェースを選択。際どいムーヴもあったが何とか乗越し安定したテラスの終了点へ。ソロだとここから懸垂で降りてまた登り返しが辛い。2度の登り返しで体力を相当削られ、もうここで終わりでいいんじゃないか・・なんて気もしてくる。
しかしながらこの先はトポ通りなら�掘棔銑供△匹鵑匹鶸蔽韻砲覆襪呂此Α�衝立の頭まで行きたいので続行。ロープを収納しフリーソロスタイルで登っていく。が・・
全然簡単じゃない。疲れた身体には厳しい悪めの登り、直射日光で照らされたシューズが熱く足が焼けるように痛い。
2〜3ピッチほど登り、もうそろそろトポにある歩きのガレが出てきても良いころだが全然どこにあるか分からず、目の前にはまた悪そうな壁・・しかしここを登ればもうすぐのはず、もうちょい行けば簡単になる・・と自分に言い聞かせ、疲れと水分不足でヘロヘロになりながら登り出す。
悪い、悪すぎる。ボルダージムの4級のような強烈なムーヴ、フリーソロのクラシック岩壁でやるもんじゃない強度の登り、疲れと恐怖で吐きそうになる。おそらくルートを外しているのは何となく分かっていたが、とりあえず終了点まで行かねば撤退もままならぬので泣きそうになりながら登った。
残置支点に辿り着く。地図上だと殆ど衝立の頭近くだが、行く先にはさらにヤバそうな壁がつづき、上方には被った岩。水分はほぼなく身体はボロボロ。ここで無理して進んで動けなくなったら遭難確定。・・数分迷ってここで撤退を決意。北稜下降行きたかったな・・なんて思いつつも今は命が大事。
今までのクラシックルートはどれもそのまま稜線まで抜けられたので、ルート途中からの懸垂撤退はこれが初めて。50mロープと一緒にバックアップラインも持ってきたため、やろうと思えば50m懸垂可能だがスタックしそうなところ多数、安全策で25mずつ刻んで降りる事に。
実際懸垂始めるとロープが途中で絡んだりして一筋縄ではいかず。下部の懸垂支点を探しつつロープ回収でなるべくスタックしないラインを選んで降りていく。今回下降用にペツルのピラナとシャントを持ってきたが、これが非常に懸垂しやすく助かった。シャントはセットするだけで間違いなく機能し毎回フリクションコード巻くより早く確実。少し重いが持ってきた甲斐があった。
喉カラカラ、足が熱く焼けるように痛い。しかしミスするわけにはいかないので機械的に作業を進めていく。懸垂も5ピッチぐらいになると段々手慣れてきてやる事のみに集中。しかし核心ピッチ辺りで回収ロープの末端が10m上くらいでスタックしたときは最高に焦った。何度も振ったり引っ張ったりして5分ほどでようやく末端がすっ飛んできて事なきを得る。取り付き点が見え一気に下りたい衝動に駆られるが
25mだと刻むしかないので焦らず短めにピッチを切る。
下降開始から3時間弱、中央稜取り付きに到着。とりあえず戻って来れた・・ホッとしてとりあえずシューズを脱ぎ、残り200mlほどの水を一気に飲み干しロープをしまう。南稜の方から声がしたのでパーティーはまだルート上にいる様子。
ここからまた初めてのテールリッジ下降開始。登りは余裕だが下降となると結構斜度あり、スラブつるつるでなるほど降りづらい。前向きでは下りられず斜面に正対し降りていくが時間かかってしょうがない。日差しで焼けた岩で手が焼けそうになるし、残り少ない体力も容赦なく奪われる。これがテールリッジ下降・・雨降ったらそりゃ懸垂になるのも納得の悪さだった。
1時間ほどかけてテールリッジ末端へ。最後は10m近くツルツルのスラブなので面倒だが懸垂で下降。雪渓に降り立った。頭にあるのはその辺の雪を喰らいたい衝動のみ。しかし雪の上には土がこんもり乗っており綺麗な雪はない。最後もうひと踏ん張りだと雪渓を降りていく。
喉の渇きでおかしくなりそうになりながら雪渓切れに到着。待ちに待った水分、沢の水は普段飲まないが背に腹は代えられず、雪渓の雪解け水だし大丈夫だろうと一心不乱にガブ飲み。水は冷たく最高に旨かった。1.5Lぐらいは飲んだと思われる。
雪渓切れ地点に人が二人おり、観光の人かな？と思ったらハーネスを着けている。どこ登ったんですかとの問いにクライマーだと認識、中央稜だと答えると、実は南稜に登ったパーティーのお仲間で、パーティーのメンバーが熱中症になったので今からサポートに向かうとのこと。時間は15時前。非常に厳しい下降となると思われるが、お気をつけてと見送った。
水分だけだと身体が動かなかったので、ジェル2個と塩タブレット補給しようやく体調回復。そういえば今日エネルギーといったら夜明け前に食べたパン、400kcalと先ほどのジェル200kcalのみ、まちがいなくカタボってる。しかしフラフラでもここまで辿り着いた自分の身体、よくやったと久々に自画自賛。
あとは安堵感に浸りながらの林道歩き1時間を経て16時過ぎに谷川岳インフォメーションセンター到着。あれほど水飲んだ後でも三ツ矢サイダーは最高に旨く、500ml一気飲み。久々に沁みる炭酸だった。
あとから聞くとやはり中央稜は上に行くほど簡単になるとのことで、あの最後のピッチはルートミスっていたと思われる。トップアウトして北稜下降ルート経験するのが第2目的だったのでそこは残念だが、とりあえず無事帰って来れて本当に良かった。中央稜、自分の実力ではソロは厳しい、それは最高に身に染みたので今後1人では行かないと思う。誰か一緒に行ってくれる方がいたらリベンジしたい。
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