【白山周辺】直海谷川 内尾谷遡行〜オクボ谷下降 （予想外の大滝出現で時間切れ→藪尾根へエスケープ）
石川県
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 19.3km
- 登り
- 1,731m
- 下り
- 1,731m
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| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2025年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
直海谷川沿いの林道は、入り口に通行止めの看板とバリケード＆鎖があったが、地元の方は車で入られている様子。その場合でも、普通の乗用車では内尾谷との分岐あたりまでが限度。それ以降は路面の荒れがひどい。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
・ 内尾谷は、ところどころナメが走って美しい風情を見せるが、ほとんどは平流の河原で遡行は容易。標高約800m付近に15mほどの大きめの滝があり、落ち口直下で水がひょんぐっていて面白い形をしている。 ・ オクボ谷は、少なくとも標高点745mの二俣より奥は両岸が立ってかなり険しい。一枚岩のナメが連続して美しい区間が多く、滝も結構出てきてなかなか楽しめる内容。特に850m二俣には3段40〜50mくらいはありそうな相当な大滝が掛かっている（今回は下降時に落ち口から見下ろしただけのため、高さは推定です）。本来は下降路とするには難儀に過ぎる谷で、源頭から大滝のある二俣までのごく短い区間でも懸垂下降3回（捨て縄×3消費）、泥壁の際どい巻き2回を要したうえ（その他の滝はクライムダウン可能）、大滝が出てきたところで時間切れとなり、尾根にエスケープする羽目に陥りました。事前情報が全くなかったため仕方がないとはいえ、油断してました。 ・ オロロ（イヨシロオビアブ）はもうほとんどいませんでした。 |
写真
直海谷川沿いの林道は、入り口にバリケードと通行止めの看板が。初めての流域でもあり状況が分からないので、おとなしくセイモアスキー場前（千丈温泉前）の駐車場に車を止めて林道を歩く。
チョウジギク。いつ見ても変わった造形の花だ…。幸か不幸か内尾谷が穏やかな谷なので、完全にまったりモードになってしまい、お花を愛でながらゆっくり遡行。このツケが後になって回ってくることになる…。
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幸か不幸か内尾谷が穏やかな谷なので、完全にまったりモードになってしまい、お花を愛でながらゆっくり遡行。このツケが後になって回ってくることになる…。
980m二俣の左俣をちょっと覗いてみたが、大滝がありそうだと思っていた1050m付近は15m程度の2段の滝があるだけで、やや期待外れ。引き返して右俣へ
ガラ頭から、下降路とするオクボ谷へと下降していく。ネットに情報もないし地形図からも険しさは感じず、平凡な谷だとばかり思っていた。まさかこの後大変な目に遭うとは思いもせず、どんどん下っていく。
次第に10m以上の大きめの滝が増え始め、両岸も立った泥壁で巻くのも難儀であり、3回ほど懸垂下降。短い区間のはずなのに、なかなか下降がはかどらない。日没が近づいてきて、次第に焦りはじめる。
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ここを抜ければ等高線が緩むし、もう大した悪場はないだろう、と考えていた850m二俣まで来てみると、なんかミョーに行く手の空間が大きく開け過ぎている気が…。ものすごく嫌な予感がする。
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うおあっ！ 40〜50mはありそうな多段の大滝出現！ こんなのがあるなんて、聞いてないぞ！（事前情報ゼロなんだから当然か…）手持ちのロープ（40m）では明らかに長さが足りず、懸垂下降は無理（途中で支点を取り直せば可能だが、それは本当に確実に支点が取れれば、の話）。両岸の斜面は絶望的に立っており、高巻きも長時間を要しそう。そして何より、日没まで時間的な余裕がない…。オクボ谷はどうせ凡谷だろうと油断して、ここまでちんたら行動していたツケが一気に回ってきた。
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手持ちのロープ（40m）では明らかに長さが足りず、懸垂下降は無理（途中で支点を取り直せば可能だが、それは本当に確実に支点が取れれば、の話）。両岸の斜面は絶望的に立っており、高巻きも長時間を要しそう。そして何より、日没まで時間的な余裕がない…。オクボ谷はどうせ凡谷だろうと油断して、ここまでちんたら行動していたツケが一気に回ってきた。
悩んだ末、藪尾根にエスケープすることに。一番避けるべきは未知の谷中で闇下になることだ。松尾山まで行けば登山道がある。そこまでは藪漕ぎだろうが、辛抱だ。さらに痛いことに、谷を離れる際に水を汲み忘れ、この後下山まで水なしの長時間行動を強いられるというオマケまで付いてしまった。白山の谷を侮ると、こういうことになるという実例。
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装備
| 備考 | ・ フェルトソール沢足袋使用。ナメが多く赤いコケが結構ついていたので、ラバーだと滑るかも。 ・ 内尾谷はともかく、オクボ谷は険しいので、長めのロープと捨て縄多めに。特に下降する場合はハーケンなども数枚あったほうがいいかもしれない。 |
|---|
感想
できる限り情報の垢にまみれていない谷を見つけて入ってみること、そしてそこで予想外の風景に出会うこと。それが沢登りの醍醐味の一つだと思う。しかし時には、「予想外」の度合いがいささか強すぎて、なかなか困った事態に立ち至ることも当然ある。
直海谷川は、白山北部の谷の中でもマイナーなほうではないだろうか。ネット上では本流の右俣・左俣、倉谷、板尾大谷の記録があるくらいである（特にかの有名な「富山起点！ 楽しい山登り」の主の方が積極的に入渓されている）。内尾谷とオクボ谷は、割と大きな支流であるにもかかわらずネット上に記録が見当たらなかったため（見落しがあったらすみません）、今回入ってみることにした。
記録がない谷というのは、�｜韻頬淬�という定評が既に固まっているため誰も入っていないだけか、�∨榲�に人がほとんど入っていない未知の谷か、のどちらかであり、もちろん�，里曚Δ任△襪海箸�ほとんどである。地形図を見てもあまり険しさが伝わってこないことも手伝って、内尾谷とオクボ谷も、きっと平凡な谷なんだろうなぁと思っていた。特にオクボ谷は、下流部の等高線のゆるみっぷりばかりが目立つこともあり、きっと河原が続く容易な谷だろうと予測して下降路とすることにした。これが大きな誤りであることなど、このときは知る由もなく…。
私の気のゆるみが反映したのか出発も遅れ、現地に到着したのは日が高く登ってからになってしまった。そして実際に入渓した内尾谷が穏やかだったことも、私の油断に拍車をかけた。今日は一日、初秋のお散歩山行になりそうだと、谷を彩るツリフネソウやハギを愛で、珍しいオオシラヒゲソウやチョウジギクとの出会いを喜びながら、たっぷり時間をかけてのんびり歩いた。
しかし、ガラ頭を経てオクボ谷に下降を始めてすぐ、谷の様子の変化に気が付いた。オクボ谷はかなり上部から一枚岩のナメ床が途切れることなく続き、お隣の内尾谷とは全く異なって、かなり岩盤質な谷であることが下るにつれてはっきりしてきたのである。美しいナメ滝も次々に現れる。しかしこれはこれで歓迎すべき変化だ。凡谷だとばかり思っていた谷で思わぬ美しい景観に出会えたことを単純に喜ぶ余裕が、まだこのときはあった。
が、出てくる滝は次第に大きさを増していき、両岸も嫌らしく立った泥壁となって、険悪な様相となってきた。気づけば既に捨て縄を3本使って懸垂下降3回、際どい巻き下りも何回かしている。いきおい下降スピードが落ち、じりじりと夕刻が近づいてきて、次第に焦りが生じはじめる。
地形図を見ると、850m二俣から下は等高線がはっきり緩んでいる。そこまで下れば大丈夫、あとは堰堤まで河原を歩くだけだ。そう信じて、出てくる滝場を坦々と、かつ慎重に下り続ける。
そして、そこからは安全圏だと信じていた850m二俣が見えてきた。しかし、行く手の様子が明らかにおかしい。そこで谷がぷっつり切れており、その先にはイヤに明るい大きな空間が開けている。まさか…。
そのまさか、予想外の大滝が出現したのである。落ち口から眺めただけでも、おそらく3段40〜50mはありそうな、本日一番の大滝が、よりにもよってこのタイミングで現れてしまった。記録をほとんど見ないこの谷で、まさかこれほどの大滝が出てくるなんて…。
いつもであれば、むしろ狂喜するシチュエーションである。しかし今は、いかんせん日没まで時間がなさすぎる。油断しきって出発が遅くなったうえ、ここまでちんたら歩いてきたツケが一気に回ってきてしまった。よく考えれば、険谷ぞろいの白山北部の谷を相手に舐めてかかったら、痛い目に遭うに決まっているのだ。
手持ちのロープでは長さが足りず、懸垂下降は危険だ（何ピッチかに分ければ降りられるかもしれないが、途中で支点が取れなかった場合、非常にマズイ事態になる）。両岸とも極度に切り立っており、高巻きも長時間になることが明らか。未知の谷を巻き下っている最中に闇下になる事態だけは避けたい。情けないことだが、左岸の尾根へエスケープすることにした。十中八九ひどい藪だろうが、松尾山まで行けば登山道がある。そこまでの辛抱だ。
今日、滝下に立てなかったあの大滝は、日を改めて必ず見に行ってやろう。
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