越沢バットレス ※スズメバチにご注意

天候 | 薄曇り/湿度高い/ビレ中は大丈夫だが動くと暑い/予報では午後雨だったが降らなかった。/前夜雨が降ったようで路面は濡れている。/岩は下部は湿っていたが、上部はほぼ乾いていた。 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
感想
今回の山行では、いくつかの課題が見つかりました。特に、スズメバチの大群に襲われた経験と、それ以外の技術的な反省点について書いてみました。
【技術的な反省点】
反省点として挙げられるのは、主に登攀能力とロープワークです。
・登攀能力: 私の場合室内壁の4級とRCCグレードのⅣ級が同じくらいに難しく感じ
アルパインの感覚を取り戻す必要があると感じました。
・ロープワーク: 些細な動きに無駄が多く、懸垂下降での対応も見直しが必要
でした。こうしたタイムロスを減らすことを感じました。
・実力を過信しない事
何より、「若い頃は散々やっていたから大丈夫だろう」という考えが通用しない
ことを痛感。
私たちはもう若くないので、地道なトレーニングを重ね、万全の準備をして
アルパイン復活に臨む必要があるということを昇龍さんと再認識できたのが
よかった。
【スズメバチの被害とアナフィラキシーショック】
越沢バットレスにおける蜂の被害については、事前に情報収集していたものの、認識が甘かったと反省。今シーズン行かれる方は、くれぐれもご注意ください。
・スズメバチの巣の場所と状況
スズメバチの巣は、通常の下降ポイントにある「右ルート右の滑り台」の終了点付近にあります。近づいただけで猛烈な攻撃を受けるため、このルートは絶対に登らないでください。私は、情報を得ていたので第二スラブから慎重に近づきましたが、終了点にたどり着いた途端、どこからともなくスズメバチの大群がわき上がりました。この場所は懸垂下降のポイントでもあるため、別の場所から下降する必要があります。
・下降ポイントについて
懸垂下降のポイントは、正規の場所より左にある「青梅ベルグハングの終了点」から下降できます。ただし、出だしが緩傾斜で、そこから一気に切れ落ちるため、ロープの引きが悪くなる点に注意が必要です。また、完全な空中懸垂となります。
・アナフィラキシーショックの体験
スズメバチに刺されることの危険性を甘く見ていましたが、今回のアナフィラキシーショックの経験から、十分な注意が必要だと痛感しました。
刺された直後
8か所刺されましたが、痛みが強く、どこを刺されたか、その時点では特定できませんでした。鉛筆で強く突き刺されたような、かなり強い痛みでした。刺された箇所は、右腕3か所、左腕2か所、左肩1か所、左胸1か所、右手1か所です。薄い長袖シャツを着ていました。
症状の進行
刺された直後は痛みがひどく、昇龍さんに懸垂下降のセットをしてもらいました。下降して、一休みしてから右ルートを登り始めましたが、刺されてから1時間ほどで呼吸が浅く荒くなり、腕や肩がパンパンに腫れ上がり、腕を上げるだけで痛むようになりました。それでも、「アルパインなら逆境での体験が必要だ」という誤った思い込みから、登攀を続けました。
体調の急変
右ルートの1ピッチ目をリードしましたが、心拍数が上がると呼吸が苦しくなるのが気になりました。2ピッチ目のビレイ中に急激に体調が悪くなり、立っているのがつらくなりました。2ピッチ目を登る頃には手の腫れがひどく、力が入らず、A0でなければ登れない状態でした。
行動不能に
2ピッチ目を登り終えたビレイ点で、症状が悪化し、座り込んで動けなくなりました。3ピッチ目に蜂の巣があるため、そこから下降することにしましたが、もはや自力でセットすることもできず、すべて昇龍さんに任せました。このとき、水を飲むと少し楽になることに気づき、ハイドレーションの有効性を実感しました。刺されてから2時間ほど経っており、この時点で血圧が低下していたのだと思います。なんとか下山しましたが、登り返しの斜面では、心拍数が上がると呼吸が荒くなり、スピードが出ませんでした。
下山後の対応と反省
下山後、車で休んでから帰路につきましたが、呼吸の荒さは改善せず、意識もぼんやりしていました。車の運転が遅くなり、後続車が連なっているのに気づき、慌てて路肩に停車しました。救急病院に行くべきだと判断し、青梅の救急病院に向かいました。病院に行く前に、あまりにも体が汗臭かったので病院近くのエニタイムフィットネスのジムでシャワーを浴びたところ、症状がさらに悪化し、立っているのがつらくなり、寒気と鳥肌が立ちました。どうやらシャワーが症状悪化の原因だったようです。病院に到着し、アナフィラキシーであることを告げると、すぐにベッドへ運ばれ、点滴の処置を受けました。点滴中に家族が迎えに来ることができないと伝えると、そのまま入院することになりました。翌朝には症状がほぼ改善し、無事に帰宅して仕事に復帰できました。そういえば、青梅の病院の、皆様には良くして頂きこの場を借りて御礼申し上げます。
最終的な反省点
私は5~6年前にもアナフィラキシーショックを経験しており、それが今回の症状を重くした原因と考えられます。重症化すると死に至る危険があるため、今後はポイズンリムーバーを携行する必要があると感じました。ポイズンリムーバーの有効性には賛否両論あるようですが、今年の6月にペルーで遭難死された登山家であり形成外科医であられた稲田千秋さんの記事
https://yamahack.com/5586
が大変参考になりました。
今回の体験談が、同じ場所へ向かう方々や、アナフィラキシーについての警鐘となれば幸いです。
spectraさんと5月から始めた月一合同でのクライミング再帰練習山行。目指せもう一度本チャン。7月の三ツ峠山では思い描いた登攀が出来なかったのでリベンジ的は意味合いがあった。三ツ峠山同様お互い30数年ぶりの越沢バットレス。当時四苦八苦した記憶はないので、今回どこまでできるかの答え合わせに来た。同様に臨んだ三ツ峠山はボロボロだった。
結果は、登攀そのもの自体はまぁまぁできたと思う。最近のジム練習が地味に効果を出している。落ち着いて岩肌を観察すればホールドやスタンスが見えてきてクライミング楽しい!という気持ちだった。ビレイワ−クもだいぶ慣れてきた。
古いリングルト、ハーケンの中間支点は相変わらずだが、ペツルボルトが要所要所にあった。岩が固くしっかりているのでカムが活用できた。よって当時より心理的には易しくなった思う。(個人的には登攀能力は落ちているので±0)
登ったルートは第二スラブと右ルート(一般ルート)。第二スラブ終了点後spectraさんに危機が訪れました。詳細はspectraの記録をご参照ください。
今回の個人的大問題は懸垂下降。
ロープ接続は慣れたダブルフィッシュマン+末端処理で行ったが、引っ掛かって抜くのに苦労した。慣れないことはやりたくないのだが、昨今トレンドは障害物を乗り越し易いフェーラー結びのようだ。新しい技術を覚えて慣れた処理とする必要がある。
懸垂下降途中に、ロープの絡みで苦労してしまった。第二スラブ終了点からの懸垂でのアクシデントは恥ずかしく書けないほどの内容だった。せめての救いは時間は掛かったがパニックにならずに何はともわれ降りられたこと。
右ルート下降時は、まず、下降支点設営時にロープの絡みで時間を掛けてしまったこと。やっとこさ整理してロープダウンしたにもかかわらず絡みが生じて、またもやそれなりに苦労(=危険と言わざるを得ない)したこと。
過去に懸垂でここまでやばかったことはないので今一つ原因がわからない。
同じようにやっているつもりでも、目に見えないノウハウが抜け落ちたのかもしれない。今はYouTube等で様々なノウハウを知ることが出来るので研究をしたい。
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