記録ID: 8778945
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沢登り
関東
竜神ダムから登るおかめ山北東尾根(当初計画失敗、変更)、渇水期限定ルート、竜神峡、奥久慈
2025年10月05日(日) [日帰り]


体力度
3
日帰りが可能
- GPS
- 09:37
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 1,089m
- 下り
- 1,103m
コースタイム
天候 | くもり、時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
(コース情報)現在、がけ崩れの危険があるため、竜神大吊橋入り口手前から竜神ダムへ降りる道が通行止めになっています。 竜神峡の谷底を歩いているところではGPSの軌跡が暴れています。 −−− 登はん要素の多いバリエーションルートです。 また竜神ダムの水量次第では今回の山行の序盤ルートは湖底に沈みます。 亀ヶ淵方面の竜神峡を見渡せ、筆者が「定点観測地点」と呼んでいる場所から峡谷を見たとき、水が溜まっている場合には歩けないでしょう。さらに渇水している状態でも天候次第では亀ヶ淵からすぐに浅瀬の中を歩く場合もありえるので、沢の足ごしらえがお勧めです。ただ今回の山行ではフエルトソールの必要性はほぼ全くなく、むしろ距離的には薮尾根歩きが大半を占めるので、地下足袋、筆者が使用したスパイク足袋がお勧めです。サンダルやローカットの靴では底なし沼(後述)で履物を持っていかれる危険があります。 まず、亀ヶ淵から入渓(?)し、竜神側沿いに筆者が定点観測地点と呼んでいる左岸林道のほぼ直下まで湖底(?)を歩いたのちに、右岸の枝沢のひとつに取り付きました。 竜神峡の下降は沢登り(沢下り)?としては初心者以前レベルですが、筆者が前進を断念した箇所、ちょうど「定点観測地点」の直下からは底なし沼状態になっており、うかつに足を踏み入れると水深(泥深か)によっては脱出できず進退窮まる、つまり溺死する恐れもあります。何とか泥の浅いところを探しつつ(それを見つけるのが難しかったのですが)、右岸に取り付きます。またそれほど泥が深くなくても、足ごしらえによっては靴が脱げて回収できないというこれまたかなり深刻な事態を招くことがあるため。足の置き場所は慎重に選びます。底なし沼は想定していませんでしたが、この点からも地下足袋は正解でした。 筆者は右岸の枝沢のひとつから登り返し、常陸大宮/常陸太田市境沿いの尾根を目指そうとしましたが、その枝沢の登はんは、チョックストーン(沢をふさいだ落石)がオーバーハングを形成しており、進めませんでした。亀ヶ淵へ引き返して終了も考えたのですが、枝沢の右岸を未練がましく見つめ続けていたところ、ジグザグに攀じていけば比較的安全に高度を稼げ、しかも右岸の桟道(断崖に取り付けた道で崩落しかけている)ではなく、掘削した廃道に出られそうな箇所を発見し、撤退を免れました。 右岸の安定した掘削道(但し薮化しています)に乗った後は、廃道沿いに釜が沢橋を通過しました。橋梁は安定していますが床板(コンクリート)は何枚か崩落しており通過の際には用心します。 湖岸をへつりつつ北東尾根に乗る弱点が見つかるかもしれないということで、釜が沢を竜神ダム岸まで下りたところ、予想通り最後は滝で、登攀具のお世話になりました。一方湖岸は切り立った断崖で北東尾根に湖岸から乗ることはほぼ不可能な様子でした。北東尾根に乗るだけであればこれは全く不要です。 滝を登り返し、廃道を暫く進んでみましたが、廃道は掘削道から桟道に変化し、ほどなくして崩落箇所にぶつかったため、前進を断念し、尾根に乗りました。ですので北東尾根の完全な末端にはたどり着けませんでした。より安全に北東尾根に乗るのであれば、釜が沢橋を渡った時点で正面の斜面を尾根に登り返すほうが斜度が小さく安全です。 尾根に乗ってからは、薮あり、アップダウンありのバリエーションルートですが、基本尾根沿いの獣道をたどるだけです。しかし里山独特の枝道があり、まるで異なる方角をおかめ山の方角と思いこませるような雰囲気もあるので、こまめにGPSで現在位置を見ながら正しい尾根に乗っていることを確認します。 山頂近くと山頂直下に壁がありますが、いずれも南(山頂に向かって左)に少し巻くと、潅木の多い浅い岩溝があるので、そこを登ります。 おかめ山からの下山路は、現在はハイキングコースとして整備されていますが、ここも紛れが多い(たとえば竜神峡に向いているように見える明瞭な林道は進まずに、踏み跡の浅い急登を進んだりとか)ので、GPSでのこまめな現在確認が必要です。特に伐採地のような日当たりの良い場所は踏み跡を薮が覆い隠している箇所もあり、ルートファインディングが少々必要です。 最終的に第2駐車場を目指すのですが、直前に大吊橋へのショートカットのような明瞭な踏み跡が分かれます。しかしこの先は薮こぎと登はんが待っていますので、楽にゴールすることを目指すのであれば、特に夕方は、第2駐車場を目指すほうがはるかに楽です。 |
写真
亀ヶ淵から入渓し、竜神川を下っていく。ここは筆者が勝手に竜神峡Hピークと呼んでいる右岸の山への取り付き。この夏はここですでにジャブジャブだったが、秋になって水位が落ちていた。ここはまだ靴濡れせずに通過できた。
ここまできて、足もとがやわらかいなと思っていたら、いきなり膝までずぼっと沈み動けなくなった。たしか、こういうときにはじっとしているのが良いのではなかったか、、?まず気を落ち着けて、ゆっくり足を運んで引き返してから、泥の浅そうなところを選んで右岸へ渡った。
廃道に乗って、崩落箇所を上から進もうとしたところ。眼下にチョックストーンを見下ろし、通過可能そうだが、廃道は足をかけるとぐらぐらだし、ハンドホールドも取れそうになく、この枝沢はあきらめた。
つまり亀ヶ淵まで引き返して撤退かと思いながら、物欲しそうに枝沢の右岸を見つめていたら、急斜面をジグザグに登はんできそうな筋を発見した。やってみると、先ほどの崩落地点の先に安定した掘削道があった。竜神峡の神様、ありがとうございます。
プルージック(今までブルージックだと思っていた)したスリングとハーネスとを結びながら登ることを試みたが、滝の流れの中では結びが決まりにくくて難儀した。ザイルの下側を持って結び部分をくびらせることによって、摩擦の効きがぐっと良くなった。
下山口は東峰からだ。東峰山頂で装備を解き、藪こぎウェアを脱ぎ、スパイク足袋からハイキングシューズに履き替えた。東峰からは、明山、武生山、篭岩山、男体山、長福山と眺望が良い。さて後はひたすら歩くだけだ。
もうひとつの迷い。ここで左の明瞭な踏み跡を進めば、第二駐車場から登り返さなくても、ショートカットで吊り橋へ着けるかもという誘惑に駆られるが、とてつもなく悪い道が待っている。安全に、しかも早く楽に下山するのであれば、右側から第2駐車場に降りて登り返すことをお勧めする。
馬力神に無事を感謝した。ネットで調べて見たところ、馬力神を祀るのは、栃木、宮城、茨城など割と限られた地域であるらしい。通常は馬頭観音。しかも建立時期は幕末から明治にかけてだとか。
装備
備考 | スパイク足袋(沢および明山バリエーションルート用。ホームセンターで購入)、ヤッケ上下(ホームセンターで購入。藪こぎおよび沢用)、ゴーグル(ホームセンターで購入。藪こぎ用)、水泳用ゴーグル(沢で長い距離を泳ぐ必要が出た時用、出番なし)、ヘルメット、ピッケル、登はん具(ハーネス、ザイル30mを1本、ダイニーマ製スリング50cm2本、110cm2本、ナイロン製テープスリング120cm2本、ワイヤゲート式カラビナ数枚、ロックゲートつきカラビナ3枚、エイト環)ゴム引き軍手(商品名「タフレッド」)、防虫ネット、タオル、スマホGPS、ヘッドライト、行動食、水2L 滝の高巻きではハンドホールドの取れない土の急斜面をよじるので、夏でもピッケル必携です。 フェルトソールの沢靴は持っているのですが、もう10年履いていないのと、高巻きの急登にはフェルトソールは不利なので、今回はスパイク足袋をホームセンターで購入して使用しました。急登におけるグリップは土付きでも岩でもさすがだなと思いましたが、90度近い角度の登はんでのつま先での立ち込みは、アプローチシューズやアルパインブーツに比べると靴底(足袋底?)がやわらかく、足指の筋力頼りであるため、自分の実力では無理でした。また、滝のようにこけが生えているつるつるの岩でも同様にグリップはほとんど利きませんでした。 高巻きのルート次第では懸垂下降を必要とすることがあり、登はん具は必携です。今回は釜が沢の下降の滝を降りるため、30mザイルをフルに使って懸垂下降しました。滝そのものの落差は5m程度でしたが、離れた大岩に支点を取ったためです。(登り返す場合)支点が岩や、太い木を使うときにはスリング複数をカラビナでつないで使用します。ロックゲートカラビナの枚数は限られているので、ゲートが簡単には開かないようにテーピングテープで巻いて仮固定します。 滝の登り返しには長めのダイニーマスリングをザイルにプルージック結びし、ハーネスとつなぐことで自己確保しました。滝の流水に濡れてぴんと張ったザイルに対しては摩擦がしっかり利かなくて難儀しましたが、プルージックの下側のザイルを折り返して持つことで何とか解決しました。体重はプルージック結びしたスリングが引き受けるので、折り返しのロープを持つ手にはそれほど力は要りません。懸垂下降のエイト環に対して下側のザイルを持つの同じ理屈です。もちろん手を離せば滑落です。今思えばエイト環と組み合わせればもっと楽に登り返せたなと反省しています。 猿渡沢をやった2週間前と比較して、ブユとアブは激減していました。今回の山行は虫除けスプレー等は持ち忘れたのですが難儀することなく歩けました。唯一おかめ山山頂ではアブが若干いて休憩中に煩わされました。 一般に、秋はクモの巣が発達しているため、防虫ネットをかぶっているとくもの巣が顔に張り付くことを防げます。但し今回は極端にくもの巣が多くはなかったので手抜きしてかぶりませんでした。 |
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感想
竜神湖渇水期限定ルート第2回だ。林道の(竜神湖水量の)定点観測地点を何度か行き来し、夏場の渇水状態を見ているうちに最初に思い立ったのは、当初この夏の目標としていた、そしてずっと逃げていた猿渡沢主要部分の遡行が、渇水状態を活用すれば湖底からから歩いてアプローチできるかも知れないと気がついたことだった。
猿渡沢遡行との湖底からのアプローチに次いで、もうひとつのアイデアが浮かんだ。約10年前にヤマレコユーザのkinoeさんが精力的におかめ山周辺を歩いていらした頃の山行記録に、おかめ山の北東尾根を詰めたら最後は湖にぶつかり、泳ぐしかなさそうな状態が見て取れたので引き返した由が報告されている。しかし渇水状態の今ならば、その湖からスタートすることも可能なのではないか。
崖が険しすぎるのと、末端は深そうな水の中だったため、尾根の末端に直接取り付くことはできなかったが、北東尾根に接する釜が沢の出口を経由して(正確には釜が沢を一旦出口まで下降してから登り返して)、形の上は湖底から北東尾根に乗れたので、これでよしとしよう。釜が沢橋の実物にお目にかかれたことも相当の幸運だったと思う。
途中底なし沼とほとんど垂壁状態の湖岸、チョックストーンがオーバーハングを作っていた涸れ沢に阻まれて、亀ヶ淵まで撤退かと思ったときに、文字通り一筋の光明とでも呼ぶべきルートが見つかったときには嬉しかった。竜神峡の神様に感謝したい。
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