鬼面山と伊那山地周遊
長野県
おにぐん
raweel
体力度について
- GPS
- 12:02
- 距離
- 27.9km
- 登り
- 1,799m
- 下り
- 1,750m
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| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2025年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
【新小渋橋駐車場〜大鹿キャンプ場ストリーム深ケ沢】 国道152号区間その1。 全体を通して、歩行に支障なし。 ただし国道ではあるものの、整備状況は芳しくなく、手入れのされた林道といったほうがしっくりくる状況。 また、途中で一か所派手に山体崩壊している箇所があり、そこは数十メートルにわたり土砂が道を完全に覆いつくしている。 幸い、ここはしっかりしたう回路が既に敷設されているため、全く問題なく通行が可能。 【大鹿キャンプ場ストリーム深ケ沢〜地蔵峠】 国道152号区間その2。 ここから物理的なゲート閉鎖があり、自動車交通はシャットアウトされる。 そのため道はかなり荒廃しており、落ち葉でアスファルトが見えず、落石、枝も路上に転がり、更に路肩が崖に崩落している箇所も多数あり。 幸い、崩落や路上落下物は道を完全に閉塞していないため、徒歩であれば問題なく通行可能。 その際は、崖側を歩かないようにしてください。 【地蔵峠〜鬼面山】 ほとんど人が通過した形跡がない登山道です。 痩せ尾根を通過するような個所も一部はありますが、基本的には滑落の危険があまりない斜面を登り続けます。 踏み跡は相当薄いですが、この区間は尾根に素直に沿って登る形のため、あまり道迷いの心配はありません。 ただ、ピンクテープや案内板といった登山者向けの案内がかなり少ないので、自分の位置と方角は常に気を配る必要があります。 【鬼面山〜大西山】 ほとんど人が通過した形跡がない登山道です。 踏み跡が薄く、ピンクテープや案内板も引き続きほとんど見られず、かなりの密度で倒木と枝が大量・無作為に落ちており、更にこの区間はしばしば迷い尾根も出現するため、先の区間以上にルート間違いに注意する必要があります。 また、枝については足を引っ掛けて躓く場面がしばしばみられました。 転倒しないように、ある程度の太さの枝にも注意が必要です。 【大西山〜新小渋橋駐車場】 最初から最後まで、斜度のきつい斜面に薄く刻まれた僅かな平地をトラバースし続けます。 ただしこの平地、場所によっては経年劣化なのか片足分もないほど狭い個所が頻発し、更にこの日は厚く積もった落ち葉でどこまでが平場なのかの判別が困難でした。 加えて倒木も頻発し、そのたびに滑落リスクのある回避行動を強いられます。 斜度のきつさと狭さから常に滑落、かつ一度落ちれば停止は困難な地形を長時間歩き続ける必要があり、非常に厳しいルートになっています。 |
| その他周辺情報 | 駐車場にはトイレが併設されています。 ただし、この駐車場は地元の通学バスの転回場も兼ねているとのことですので、車を停める際にはこの転回スペースの邪魔にならない場所を利用するように注意が必要です。 |
写真
実際の閉塞個所はこのようになっています。もしここが国道じゃなくて林道とかであれば、このまま長期の道路閉鎖から廃道待ったなしの規模でした。
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この国道歩きの途中に、中央構造線を渡る箇所があり、そこは安康露頭と名がつけられている地質学スポットになっています。ただ、今回は時間に猶予がないため、無念のスキップ。
通行止め個所に建てられていた、秘境信州遠山郷の案内看板。車両交通が不可になった今、この看板の立地そのものが秘境になってしまっています。
物理ゲート閉塞以降は、こういった路肩崩壊がしばしば現れます。この手の崩壊場所は、見えている範囲より地面下の砂利が流れ出していることが多いので、接近は厳禁です。
1,600m付近まで上がってくると、木々の隙間からちょっとずつ南アルプスが見え始めてきます。これは荒川岳かな、赤石岳かな。
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装備
| 個人装備 |
【ここから衣服】ハイカット登山靴
登山用靴下
登山用長ズボン
圧力タイツ
長袖シャツ
雨具上下
ウィンドシェル
ダウンジャケット
ハット
ネックカバー
グローブ
【ここから食料】水2L(コンツアー3L)
プロテインバーx6
井村屋58g羊羹x3
スポーツ羊羹x3
塩分タブレットx10粒
アーモンド100g
アルファー米x2
カレー用スパイス
鯖缶x2
トマト缶
【ここから調理器具】ジェットボイルミニモ
ジェットボイルセラミッククックポット
ODガス缶
ガス缶カバー
スプーンx2
マグ
フリント式ライター
電気式トーチ
カレー用ボウルx2
【ここから登山ギア】ザック(60L)
ストックx2
ヘッデン
ガベッジバッグ4L
手ぬぐい
折り畳みクッション
【ここから消耗品】皮膚用日焼け止め
唇用日焼け止め
ティッシュ
ペーパータオル
ビニール袋
【ここから電子機器】携帯電話2機
カメラ
Garminウォッチ
【ここから緊急用品】発炎筒x2
エマージェンシーシート
ドルマイシン軟膏
リンデロンVs軟膏
三角巾
自着包帯(2.5cm×4m×1巻)
折りたたみハサミ
サムスプリント指x2
チョコバー
スポーツようかん
小型ライト(VTIGER)
浄水器(SawyerSP129)
チタニウムフリントライター
方位磁針
エスケープヴィヴィ
ツェルト
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感想
【前説】
最近なかなか忙しくて時間がとれない山友が、うまい具合に 2 日のフリーな時間を手に入れたとの由。
じゃあ山に行くしかないな！
ということで、ほどよい距離とほどよい負荷で、ほどよく行きたくなる山をチョイスしてもらい、登ってきました。
【登山開始〜地蔵峠】
今回は車移動からの登山なので、純粋な縦走ルートは基本的に採用できない。
ということで、早めの時間にひたすら車道を歩き、戻りで伊那山地の縦走をするという折衷案のルートになりました。
大鹿村の新小渋橋駐車場から、地蔵峠までひたすら国道152 号を南下します。
ただしこの国道、一般的にイメージするような、しっかりした道幅、歩道、曲線半径といった道というわけではなく。
山奥に向かって進めば進むほど、どんどん道の状況が悪くなっていき、国道というより県道というより村道というより林道というより廃道一歩手前、という景色の変化から山岳道路行政の限界と悲哀をたっぷり感じられる道になっていたりします。
とはいえ行政から完全に見捨てらているような真の酷道というわけでは決してありません。
道中にかなり派手な斜面崩壊からの、道路上に瓦礫が数十メートルにわたってうずたかく積もって徒歩ですら完全に通行不可能、という個所があるんですが、その崩落現場を迂回して車が通行可能な規格の道路がちゃんと付け替えられていたりします。
なのでその大崩落地から先ももう少しだけ車両交通は可能になってはいるんですが、結局その先の安康露頭のあたりで物理ゲート閉塞による車両交通完全通行止めになってます。
大鹿村の公式案内によると、この道は令和3年からずっと災害による通行止めになっており、通行制限期間も「当面の間」となっていることから、復旧の目途も立っていなさそうです。
http://www.vill.ooshika.nagano.jp/info-dorokotu/
実際、そこから路上の荒れ具合は長期通行止めらしい様相となります。
もとい、車のわだちが消失し、落ち葉でアスファルトが見えず、石や枝があちらこちらに散らばり、そして崖側の路面やガードレールが複数個所で崩落しているといった状況です。
ただ、幸いながら徒歩であれば今のところは問題なく通行が可能です。
道としてはここから斜度が増すので、多大な九十九折を経て地蔵峠までの標高を一気に稼ぐことになります。
【地蔵峠〜鬼面山】
1,314m の地蔵峠に到着すると、アスファルト？歩きは終わりをつげ、ここから本格的な登山道に入っていきます。
入ってすぐのところにある、この峠の名前の由来と思われるお地蔵様に安全祈願をしたら、今回の最高峰の鬼面山へ向けて登攀開始です！
この登りは途中のピークの貴ノ峰から一瞬下る以外、ひたすら登っていくルートになっています。
また、あまり人気のないルートでもあるようで、この登り区間を含めて人が歩いた形跡がほとんど見られません。
どのくらいかというと、今日は朝の5時から夕方の5時に下山するまで、文字通り完璧に誰一人とも出会いませんでした。
首都圏から日帰り圏の山は、どんなにマイナーなルートであっても大抵数組のハイカーに出会っていたのですが、完全な0は登山を始めてから初めてでした。
山深い地域のハイカー密度、恐るべし。
そうして1時間ほどで最初のピークの貴ノ峰に到着。
ここまで樹林帯をそれなりの斜度で登ってきましたが、樹林の密度もなかなかのもので、眺望がほとんどありません。
山頂も同じく眺望なし。
ほとんどの木は既に葉が落ちているのに、それでも見通しがないほどの高密度樹林なのです。
ともかく引き続き登って登ります。
ちなみに1,800m を超えたあたりで、急に苔の密度があがってきて苔の森の様相を呈してきます。
これは山頂だけ湿気りやすい環境になっているのかな…？
なんにせよ苔好き的には幸せなテクテクタイムでした。
そうして到着しました鬼面山山頂！
いままで全然なかった眺望ですが、ここの山頂だけは例外になっています。
しかもこの日は雲一つない快晴で、中央アルプスの雄姿を思うが儘に見渡せるじゃあーりません！
長い国道歩きに加えてそれなり斜度を登り詰めると、ここまでの行程は大変でしたが、これだけで十分におつりが出るってもんです。
また、山頂である1,900mまで高度をあげて、初めて積雪が山肌に見られるようになりました。
といっても、日陰側斜面にごくわずかに残っている程度なので、伊那山地は11月末でもまだまだ全然3シーズンハイクを楽しめるみたいですね。
そしてここで今日のお昼ご飯の調理を開始！
今回は表参道スパイス研究所さんのミックスパイスで作る、サバとフェンネルのスリランカ風スパイスカレー！
水とトマトと鯖缶とスパイスを混ぜて火にかけるだけの簡単調理なので、料理初心者の自分でも安心して作れるのだ。
煮込みが必要だから30分弱の調理時間がかかってしまうのがネックですが、スパイスから作るだけあってお手軽にも関わらずとっても美味いカレーができてしまうのです！
同行者の山友にも好評だったので、これは成功といってもよさそう。
問題があるとすれば、煮込んでる間はジェットボイルが占有されるので、それと別にお湯を沸かす（アルファー米の戻しや炊飯など）ための調理器具を用意しないといけないことくらいですかね。
今回は山友が持ってきてたのを使いましたが、ソロ山行の場合は自分で2つ担ぎ上げなきゃいけないから、これは本格運用するとなると荷物が大変なことになりそうだ…
いずれにせよこのスパイスカレーは今後の山ご飯に色々と組み込めそうだ…ミックスパイス自体も10種類もあるから、まだまだいっぱい試す余地もあるし。
このためにジェットボイル用の1.5Lの大きな鍋を買ったのは、大正解でした。
【鬼面山〜大西山】
ごちそうさまとお片付けを終えて、進軍再開。
ここから先は、伊那山地の稜線を渡るために細かいアップダウンが無限に続いていく区間になります。
そして微妙に広い場面を通ることが多く、これが踏み跡の薄さというか無さと組み合わさると、かーなり進行方向が判別しづらくなります。
更に年季を感じさせる落ち葉と落ち枝と倒木の多さから、ここいらのハイカー密度の低さと整備頻度の低さも相当なものなようで、首都近郊の山にはないルートファインディングスキルが求められます。
加えてピンクテープも相当少ないので、この区間はちゃんと自分の位置と方角、そして地図とをちゃんと考えながら歩く必要があります。
基本的に稜線なんだからピークを渡るように歩けば大きく迷う心配ないだろー、とか気を抜くと、しばしば現れる迷い尾根に迷い込んで道を外れます。油断大敵。
この区間はあまり変わり映えの樹林帯をとにかく歩く性質のものです。
たまーに木々が切れたタイミングで、南アルプスか中央アルプスが見通せたりするので、それに元気をもらいながら足を前に進めてました。
【大西山〜駐車場】
大西山までたどり着けば、あとは駐車場までドカンと高度を下げます。
最初にルート設定したときに、ここの斜面の急峻さはわかってはいましたが…
実際には、その理解をはるかに超える辛い下降となりました。
というのも、ここの斜面は体感で45度かそれ以上がずっと続いており、当然こんな斜度では直登するような道を刻むことはできません。
そうしたらどうするかというと、ひたすら九十九折のトラバースの道となるわけですが…
この斜度に幅広い道を刻めるわけもなく、3〜40cmほどの幅、というかひどいところになると0〜10cmの個所もあるような道が、1,750mから850m付近までずーっと続きます。
激狭になっているのは、おそらく山側も崖側も土なので、長時間かけて少しずつ崩れていってるようにも見えます。
それに加えて、10cmはあるような落ち葉の堆積が、実際の道幅を視覚で認識できないようにしてくれています。
更にさらに、倒木が当然のように道を塞いでいるので、足元が狭く不明瞭な場面で倒木をくぐったり跨いだりせねばならず、これもかなりの恐怖。
この結果、一度滑落したらそう簡単には止まれずに派手に落ちるという恐怖に加えて、足元が見えない激狭トラバース〜障害物を添えて〜を長時間強いられる羽目に。
ここまで25km以上歩いてきた疲れも併さって、この区間だけは本当にしんどさを感じた…たぶんいままでの自分ハイク史上、一番きつかった。
そうして無表情無感情で足を動かし続け、日没前までになんとか登山口まで到着。
したはいいものの、精神的に疲れ果ててしまったので、登山口近くの草地にばたんきゅー。
山友にお願いして、車をここまで回してもらうようにお願いするという、最後の1kmリタイア宣言をしてしまう。
とにかく荷を下ろして靴を緩めて寝っ転がり、精神力と足裏の痛みの回復に努めていたところ…
通りがかった軽トラックの爺さんが慌てて降りてきてこっちに駆け寄ってきて声をかけてきました。
曰く、暗がりで人が倒れていたから熊にでも襲われたんじゃないかと思ったとのこと。
しまった、言われてみればそうとしか見えないぞ、この休み方は…
地元の方にいらない心配と迷惑をかけてしまった、これは反省しないといかんですな。
さらに駐車場まで乗っけていこうか、という暖かいお言葉まで頂いたけれでも、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないのでお気持ちだけ頂いておきました。
そんな人の暖かさに触れてすっかり精神力は回復したので、最後は結局重い足を引きずりながら自力で戻りました。
車と合流後は、そのままその日の宿の「阿知の里 ひるがみ」さんに移動して、宿泊と相成りました。
【後記】
伊那山地、とても静謐な山歩きが楽しめました！
鬼面山も、頂上からの眺望は素晴らしいの一言で、伊那の谷とそれを形作る山地山脈が眼下に広がる様は、極めて希少な体験といえましょう。
問題はアクセスが困難であることなので、行くなら虻川か新九郎の滝ルートのほうがよいだろうなぁ、と。
あとは、大西山の下り、あれはちょっと自分には合わなかった。
今まで、色んな道を歩いて怖いとか辛いとかがあっても、それでも最後には楽しかった！と感じられましたが、ここだけはそうは感じられませんでした。
あんなに急峻な山肌に長大な登山道を開削した先人には、一登山者として感謝と畏敬の念があるのですが…それはそれ、これはこれ、な下山でした。
こっそり拍手
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