時を外した金時山。今日も見えへん、山歩き。

- GPS
- 02:57
- 距離
- 5.9km
- 登り
- 499m
- 下り
- 654m
コースタイム
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
何となく、狭間の季節。
ぐぐぐっと気温が下がってきた。まだ寒さにカラダが慣れていない。そして、まだ雪山、という心の準備も出来ていなくて。
山小屋も冬季休業の知らせと、バスも登山口まで行かなくなる季節。どこへ行くにしても、慎重に調べておかないといけなくなってきた。
金時山。
去年の梅雨明け直後の初夏、足柄の地蔵堂という所から、箱根へ抜ける形で歩いた。金時山へ辿り着いた頃には、山頂は湧き立つ雲で、真っ白けっけで、富士山が雲に隠れているのか、自分のところが雲の中なのか分からず、どちらにしても、結局、富士山を1度も見る事が出来なかった。
しかも、下山の方向を間違えて、乙女峠へ下りるつもりが、金太郎ゆかりの公時神社へ下りてしまった。そのままバスに乗って温泉に入って帰ってきた。
という、下山の方向を間違えるという、ちょっと笑える様で笑えない、バスが行き交う所で良かっただけで、一歩間違えると、大変にもなりうる事に繋がる出来事だった。
時々、やってしまうこともあり、山頂からの下山の方向は、より慎重に確認する様になった。
雪化粧をした富士山を、間近で見たい。
そんな金時山を久しぶりに、今回は明神ヶ岳まで箱根の外輪山を縦走して、強羅の方へ下りることにした。箱根は観光地ということもあり、交通網が割と豊富で、何処へ下りても、だいたいバスが走っていそうな感じ。
雪化粧をした、お誂え向きの富士山を見たい。
今回のアプローチは。
もう、早朝は真っ暗な季節。初電に向かう道中も寒くて、もう、すっかり冬だ。
新宿バスタから、6時35分発の高速バスを利用する事にした。2時間で乙女峠登山口まで連れていってくれる。
そういえば、新宿バスタは降りたことはあっても、そこから乗ったことがなかった。
乗車の手順を、イマイチ理解していなかったこともあって、念のために早めに来たら、だいぶん早く着き過ぎてしまった。
バスターミナルは、何となく、飛行場の様に少しややこしい感じと、行き交うスーツケースを転がす人々の醸す、何となく漂う旅情が、ちょっぴり旅の緊張感を煽る感じを、少し懐かしく眺めていた。
箱根行きのバスは、あれだけスーツケースを持った人が多かったのに、打って変わってザックを背負う人が多かったのが、少し可笑しかった。
バスに揺られて、うとうとと。
気づけば、雲ひとつない青空に、朝陽に照らされた雪化粧の富士山がキラキラと光っている。車窓から、そんな富士山を愛でて、愛でてしながら、今日の富士山を想い描いた。
金時山や明神ヶ岳の山頂から、あの富士が、こんな感じに見える。だろう。と、また、うとうとと、してしまう。
何だか、バスの進みが悪い。
高速道路なのに、走っている感じがしない。どうも、高速道路が混んでいる様だ。時計を見ると、どうも、遅れているみたい。まぁ多少の遅れならば。。
高速道路を下りて、御殿場駅に寄り、いよいよ山道に入った。バスは随分と遅れて、乙女峠登山口に着いた。
1時間遅れの到着。
9時半。あららら。これは、今日の計画をやり切れないのではないか。と、頭によぎる。もう冬を目の前に、どんどんと日は短くなり、この時期の夕方の1時間差は、下山時には闇、になってしまう可能性を感じてしまう。
グループだと、麓近くで闇に包まれるくらいはまだ、良いかも知れない。でも、1人だと、それはちょっと、怖い。
何となく、そんな気持ちでスタート。
バスから登山者が沢山降りた。人気のルートの様だ。さすが、金太郎伝説。登山口には、特にベンチなども設置されている様子もなく、みんな道端で、思い思いに準備を整えていた。
そうこうしているうちに、何となく、空は曇りがちになっていて、弱々しい陽が登山に少し差すくらい。
最初の登りを終えると、乙女峠に出た。眺望が開けていて、眼下には小さな集落が見えていた。
雲は低いところを、掠める様に浮かんでいて、雲雲の隙間からは、天使のハシゴが幾本も下りていた。
弱々しい光と、低い雲。
稜線に沿う様に、両脇に沢山の熊笹を蓄えた、細い一本道を歩いていく。道脇には短い霜柱が白く、点々と見えた。
その霜柱は解かされて、土を泥々に泥濘みさせて、ニュルっと滑りそうな足触りになっていた。
これは、滑って転けると、痛いよりも、あちこち泥だらけにさせられてしまう。という緊張感が、より慎重な足運びをさせていた。黒々とヌルヌルとした土質は、火山灰の名残なのかな、と思った。
ふと、広い広場に出た。
長尾山、というらしい。1144mの道標があった。周りは樹林に囲まれて、あまり山頂らしくない。
この広場を抜けて、もうひと歩きすると、見た目ピークの様な峰があって、山頂はここなのかな、と、見回す限り看板、山頂標の様なものは見当たらなかった。
岩陰の足元にひとつ、角の取られた三角点の様なものが、地面から顔を出しているのを見つけた。天面の十字以外は、文字も見えなくなっていた。
長閑な稜線歩き。
木々の隙間からは、金時山らしき頂きが見えていた。岩場が少し現れて、少し、道が険しくなった。
猪鼻嶽。かつて金時山はその様に呼ばれていた。という看板が、急峻で岩場が多く、山頂付近では両脇が深い崖で、ふざけない様に、と、注意書きがあった。
少しへつる様に、岩場をクリアしてまた、長閑な熊笹の道に戻った。頭の上はもう、すっかり開けて、雲が多い空の隙間から、少しだけ青空が覗いていた。
まもなく、金時山山頂へ。
この辺りから、今日の富士山の眺望への期待はもはや。
歩く方向の先には、大涌谷の猛々しい水蒸気が上がっているのが見えた。
そして、山頂の大きな天下の秀峰の標柱が見えて、山頂には沢山の人が休憩しているのが見えた。
2連敗の金時山。
今回もすっかり富士は雲隠れ、あのバスから見えた、艶やかな富士はなんだったのか。この残念感は、割と度々起こり、度々経験しているけど、今日は富士山が何処の方向か、すら、わからないくらいに、雲に隠れてしまった。
初夏の時と違って、この季節なら、と期待をしていたのだけど、今回もまた、金時山からの富士山は叶わなかった。周りからも、富士山見えないねぇと、異口同音のように聞こえてきていた。
見えないものは仕方がない。とりあえず、待つふりをしながら、持ち上がったパンを、溶岩のようなゴツゴツとした岩に腰をかけ、そんな景色を眺めながら頬張った。
さて。。これからどうしよう。
なんとなくまだ、雲がどいてくれるのではないか、など、淡い期待をしながら、待つような、待たないような、微妙な気持ちに包まれながら、この先を行くのか、はたまた、今日は金時山でやめておくのか。
なんとも、微妙な感じになってきた。とりあえず下山方向と、その先のルートは同じ道を辿る。
どのみち一度、金時登山口まで下りないと行けない。
そこで考えようっと。
下山、というか、とりあえず先へ進もう。箱根山のモクモクと湧き立つ煙を見ながら、ゆっくりと下山する。
雲の位置は相変わらず、箱根山の山頂を覆い被さるように、そこに居座り、動こうとしない。
どんどんと下っていると、お隣の山が見えてきて、熊笹の海原を一筋の登山道が通っているのが見えた。
あそこも通るのかな!と、ちょっとワクワクした。それを眺めながら下山道を下り、ふと後ろを振り返った。
そのワクワクしそうな道と、同じような道を下ってきていた。両脇を見ると背丈以上の熊笹の合間に居た。
矢倉沢峠の分岐。
ほぼ、金時山は下り切ったところの矢倉沢峠という分岐についた。隣の山は、この先にあって、ワクワクの道が、駆け上がるように目の前に現れた。今日は、ここまで。今日は先へは行かずに、もう終わりとしよう。
でも、少しだけ、金時山の下山の時に見えた、少しワクワクする道を歩いてからにしよう。
そう思って、少し登り返してみた。こっちから、さきほど下ってきた道を、見たかった。
先ほどと同じ、背丈以上の熊笹の間を通る一本道。道は泥濘んで、ちょっとでも油断をすると、ヌルッと足を取られる。見通しの良いところまで上がって、振り返り、今日歩いてきた長尾山と金時山の稜線が、綺麗に見えた。足元まで続く、ワクワク道と共に、最後のシャッターを切った。
さて下山。
国道の通る、金時登山口までは、まだ少し距離があった。ブラブラと下る。今日の山歩きは短かったし、富士山は見えなかったし、なんとなく、中途半端で、なんとも「狭間」な感じの山歩きだったなぁと、ひとり、くすくすっとした。そんな日の山歩きもあるよね。と。
バスを探す。
国道まで出て、バス停を探す。金時登山口の近所のバス停の時刻表を見ても、いまいち何処へどう行くのか掴めない。土地勘もないし、そもそもこっちの車線側で合っているものなのか。それすら覚束ない。
もう少し先の大きめの交差点のところにもバス停がある。周りにいた登山者もそちらの方向へ進んでいる様子だったので、何となく同じように、そちらの方向へ進むとする。
そもそも、箱根湯本が良いのか、小田原がいいのか。その行き先もいまいち覚束ない。
Googleマップと睨めっこしながら、箱根湯本駅から小田急のロマンスカーで、新宿行きがあることを見つけた。小田原駅から新幹線よりも安い!よしこれにしよう。と、箱根湯本駅行きのバスにした。そのまま乗れば小田原駅まで行くバスだった。
下山メシ。
バスに揺られながら、箱根湯本駅に着くまで、今日の下山メシを探す。バス停に停車する度に、バスはどんどんと観光客を飲み込んで、満員御礼、パンパンな状態で走っている。運良く、座れていてよかった。と、とても思った。
山道を下ったバスは箱根湯本駅の手前まで来ていた。1つ手前のバス停で下車をして、少しだけ箱根の気分を味わった。観光客で溢れかえっている。ちょうどお昼時で、目星をつけたご飯屋さんはどこも一杯、軒先には行列ができていた。正直ここまでとは、思わなかった。日本有数の観光地を少し舐めていた。
今日はお蕎麦が食べたかった。今日はもう、急いで帰らないといけない訳でもない。暖簾を覗いて、空いていそうな、駅前の蕎麦屋さんがあったので、席を整えるのを軒先で少し待った。
すぐに席に通されて、生ビールと、天ぷら蕎麦をお願いした。今日は、山歩きより移動の時間の方が長かった。移動の時間は、気軽な反面、我慢をしなければいけない側面もあったり。
我慢して我慢して、耐えて耐えて、ようやく生ビールとご対面。熱いお蕎麦と、冷え冷えのビール。このコントラストが、沁みる。
今日は山帰りですか?
お会計の時、そんな感じの格好をなさっておられたので、と、女将さんにそう聞かれて、はい、そうなんです、もう早くビールが飲みたくて。と、よく分からない返事をしていた。間違えてはいないのだけど、返事としては、間違えている感じをしながら、お店を後にした。
最後に。
何となく、2025年もいよいよ師走というのもあり、押し迫ってくる年末を目前に、色々と考えないといけないことなどに、気持ちも押され気味で、少し気も漫ろな山歩きでした。
夏山も終わり、雪山を目指すにはまだ、心の準備が整っていない状態です。
季節も、気持ちも、何となく「狭間」な、気分が漂っていて、年末のソワソワ感も相まって、ちょっと落ち着かない山歩きでした。
しみじみ山歩き












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